この金具をご存知ではない人は少ないと思う。
畜産農家やその他農場、あるいは工事現場などで、よく見かける
ロープやワイヤー、あるいはチェーンなどを
いたるところへ結びつけて、牽引するときに重宝する金具である。
その名を『マメサックル』というらしい。
何てかわいらしい名前だろう(笑)それを聞いたときから、この金具には特別の愛着が沸くようになってきた。
ホームセンターへ行くと、ついつい手に取り、一つ二つ意味もなく、買ってしまう。
大小さまざまな大きさがある。
文房具のような小さいものから、大きいものは数キロもありそうなものまである。
メーカーは3社くらいあり、材質や色、長さや形が微妙に違う。
ま、こんなものをコレクションしても、まったく意味がないんですけど、ね。
* * *先日は、十勝獣医師会の下り線ブロック会議と、その後の懇親会に出席。
自分より年配の獣医師よりも、自分より若い獣医師のほうが多くなっていることに気づいた。
若い獣医師の中には、私が豆作であることを知っている人が多く
初対面にもかかわらず、向こうからたずねてきて「一度お会いしたかったんですよ。」なんて言いながら、お酒を注いでくれたりする。
これは大変嬉しいことである。
私が獣医師会誌に出している漢詩や俳句についての感想を言ってくれたりすると、酒がますますおいしくなる。またその2日後は
馬繁殖成績向上対策会議とそのあとの懇親会に出席。
この会議には、畜産大学で馬の繁殖の論文を書いている学生さんが必ず出席する。
M宅先生はじめM井、I井両先生、そして十勝農協連の方々の努力のおかげで毎年続けられている。
この会に来る学生さんも、私が豆作であることを知っている人が少なくない。
この日の懇親会もまた、ブログの思わぬ効用により、酒が一段とおいしくなった。
ま、飲んでばっかりはいられないんですけど、ね。
それは、後肢の『ナックル』である。
後肢の球節が正しい角度で維持できずに、前方へ突出してしまうので「突球」ともいわれる。
片方の足に起こることもあれば、両足がなることもある。
多くが産後に起こることから、分娩時の骨盤周辺から後肢を支配する神経の麻痺が原因であろうといわれている。
腓骨神経麻痺などがその典型だ。
ナックルの牛を探そうと思ったら、この辺の酪農家を2〜3件も回れば直ぐ見付けることができるだろう・・・これは良いこととは思えないが・・・
鎮静をかけて、立位でギブスをかけてみた。
が、立位のままで球節を正常な角度を維持しつつ、ギブスを巻くのはあまり良い方法ではない。
ギブスが乾くまで球節を伸ばしておくのにかなりの力が必要だからだ。
案の定・・・巻いた次の日、ギブスが上方へズレてしまっていた・・・巻き方が甘かったのだ(汗)
横臥の状態で、がっちりとギブスを巻いた。
今度はギブスがズレずにしっかりと、球節の正しい角度を維持できたのだが
その10日後の様子(写真)を見てみると
球節の部分のギブスが割れて、血がにじんでいた。
さらに、ギブスの上端前縁にも血がにじんでいた。
ギブス固定も限界に来ているな・・・と思い、翌日(11日目に)ギブスを外した。
寝起きも問題なくできるようになっていた
が、御覧のような擦過傷が2箇所にできていた。
神経麻痺による無力が、ギブスの内側のどの辺の箇所に負担をかけていたのかがよくわかる。
後肢のナックルは、前肢の橈骨神経麻痺などよりずっと頻度が高いのだが
ギブスによる整復の難易度もまた、ナックルの方が高いのである。
ちなみに・・・
『ナックル(knucle)』とは、指関節の瘤、ゲンコツ、などという意味がある。
ナックルボールというのは、指の関節を曲げたまま握るからそう呼ぶのだろう。
ナックルヘッドというのは、バカ者のことだそうな。コラッ、ゲンコツだ!っていうことかな(笑)
数日後、うまく立てなくなってしまったという稟告。
診てみると、右の前足がおかしい・・・
前に出すことができずにモタモタとしていた。
橈(トウ)骨神経麻痺である。
牛が分娩を境に、四肢の異常をきたすのは、多くが後肢
それも、ナックルとよばれる後肢の球節が出っ張った形になることが多いのだが
この牛の後肢はなにも異常がなく、前肢に異常が出た珍しい症例だ。
介助をして、患肢を伸ばしてやると、普通の姿勢で立つことができる。
また最初の写真のようになってしまう。
正しい姿勢のときに、ギブスを巻いた。
ギブスを巻くのは、後肢よりもずっと楽だった。
軽く鎮静して立たせているだけでよい。
ただし、肩から腕節にかけて
すぐ下の写真のような姿勢になってしまった。
それでも、こうして固定することにより
球節を地面に着かせない効果は十分ある。
そのまま1週間放置。
ギブスがずれたり、割れたりすることもなく
「少し牛が元気になって、食欲も出てきたよ。」
と飼主のмさんもほっとしたようだった。
そろそろギブスをはずしてもよいかと思ったが
痛がっている様子もないので
もう1週間そのままにしておくことにした。
牛はもう何の違和感もなく
寝たり起きたりも、自由にしているので
ギブスをはずすことにした。
腕節から近位の部分が若干はれぼったくなったが
前肢の動きは、まったく正常といってよい動きになっていた。
乳牛の橈(トウ)骨神経麻痺は、あまりお目にかからないが
治療法は10日程度のギブス固定くらいで治ってしまうようだ。
ちなみに・・・
馬の橈(トウ)骨神経麻痺の記述が、hig先生のブログにあった。
馬の場合は、横臥で全身麻酔した後、下になった肢がこうなってしまうことがあるらしい。
牛が横臥で麻酔をかけられても、こうなることは稀である。
しかし、今回の牛の例は
買ってきて慣れない場所で
長い時間、右の前肢を下にして分娩したために
こういう事態になったことが想像できる。
馬での話が、牛の橈骨神経麻痺の原因究明に役立った?!ということになる(笑)
搾乳牛が突然の食欲廃絶、可視粘膜蒼白、黒色タール状便・・・写真では、左の牛。
以前、私はこの症状の牛を一目見ただけで
第四胃潰瘍であろうと、勝手に診断していた。
私自身も十二指腸潰瘍を何度かわずらい、同じ症状で苦しんだことがあったので、他人とは思えず(笑)、過去のブログに書いたこともあった。
しかし
獣医学はそんなに簡単なものではなかった。
「家畜診療」56巻6号(2009年6月)p331〜に、NOSAI山形の先生が、この症状を見せる病気について、詳しく報告されていた。
上記の症状を見せる牛のことを
『出血性腸症候群(Hemorragic Bowel Syndrome)』略してHBSと呼ぶのだそうだ。
詳しくは「家畜診療」を見ていただきたいが、病巣は第四胃よりもむしろ空腸にあるらしい。
報告の中の死亡例からは、空腸の限局性の出血や、空回腸の広範囲の斑状出血などが認められたという。
私の場合は十二指腸だったので、その中間?(いっしょにするなって)
HBSの原因として有力視されているのは、アスペルギルスフミガタス(Aspergillus fumigatus)という飼料中のカビなのだそうだ。
私の場合は、ヘリコバクターピロリでしたが・・・(わかったから)
発生農場の約半数は大型フリーストールで、8割以上が輸入乾草飼料を給与していたそうだ。
報告の11例中、治癒したのは6例。
すばらしいのは、治癒した症例も個体の追跡を続け、その後剖検を行い小腸に肉眼病変を見つけていることだ。
「今後、飼料の汚染状況の調査と、アスペルギルスの消化管内における定着および増殖を阻害するとされる飼料添加剤の使用や、乳牛のストレス軽減を含めた予防策を構築する必要がある。」
と結んでいる。
私は、今までの安易な診断を反省しなければならない・・・
と同時に、NOSAI山形の先生方に敬意を表したい。
まだ、1ヶ月半以上あるけれど、もう11月の中旬か・・・という思いが強いのは、雪が降ったせいかもしれない。
降水量が例年より多く、日照時間も平均の70%程度だという。
景気のほうも、それにあわせて湿っているようだし・・・。
診療車のタイヤの交換を
ここ数日で済ませて
生活もいよいよ冬を迎えるという実感がしてきた。
職員が30人以上いる大所帯の我が診療所には
タイヤ交換は、ガソリンスタンドと同じような方法で、スムーズに行うことができる。
タイヤの交換は年に2回、冬タイヤから夏タイヤへ、とその逆と、行わねばならないが
いつも11月の、夏タイヤから冬タイヤへの交換のほうが、強い印象があるのはなぜだろう。
春先のタイヤ交換は、各自適当な時期に、勝手気ままにやるのに対し
初冬のタイヤ交換は、雪がちらつくころにみんないっせいに、しかたなく一気に行われるからだろうと思う。
寒くて辛い冬の雪の季節は、あまり来てほしくはないのに、迎えざるを得ない、という気の重さがあるのだろうと思う。
* * *
この辺のエゾシカ狩りは、もう解禁になったのだろうか。
鹿肉はやはり、刺身で、おろし生姜とにんにくを溶いた醤油をつけて食べるのが一番だと思う。
写真の大和煮缶は、ぼそぼそとしていて、うまくなかった。
大和煮はやはり牛のほうがうまいと思った。
でも、鹿の天敵であるオオカミを絶滅させてしまった我々人間は
鹿肉を食べなければならぬ責任が、たぶんにあるだろう。
「第8回総合芸術際・とかち文化祭り」の会場に
今日、我が処女作を持っていった。
発表の場所は、ギャラリーの一角
1人たたみ1畳分のスペースが与えられていた。
写真がボケてしまったが
好きなように、自句を飾りつけていた。
私の作品は、写真の左端・・・
よく見ていただくと判るのだが
作品のほとんどは、立派な額に入っていたり、色紙に達筆で朱印が押してあったりと、場慣れした感じであるが
私の作品だけは、100円ショップで買った色画用紙に貼り付けただけの、粗末なもの。
案の定、ちょっと肩身の狭い思いが襲ってきた・・・
が、なーに、俳句は格好じゃなくて中身だっ、などといきがって1人で作品の貼り付け作業を続けた。
あるベテランの俳人の方2名がやってきて、作品の配置のし方などをいろいろアドバイスしてくれた。
これには、大変救われた。
私がたまーに、北海道新聞の文芸欄に入選したりていることを知っている人も結構いて
いろいろ話しかけてくれる人がいたりして、だんだん作業が楽しくなってきた。
作品は以下の5句、テーマは「水」
割りにゆく牛の水場の厚氷
水洟(みずばな)も牛飼う貌(かお)の一部なり
明易(あけやす)や羊水まみれなる子牛
洗車する水に親しむ赤蜻蛉
炎昼(えんちゅう)や倒れし牛に水を汲む
日々牛屋さんを往診で回っているときの日常吟。
その中の「水」、に焦点をあててみた。
いったいどれだけの人が、この展示を見に来てくれるのか、とても楽しみだ。
一度もやったことがなかった。
そんなことは、名の通った大先生のすることだと思っていた。
ところが・・・このたび11日から始まる「第8回とかち文化まつり」の、俳句の部に、私も作品を出品することになってしまった。
習字などは中学校の授業以来やったことがないので、まるで自信がない。
十勝の俳句界のベテランの人たちに混ざって、私の拙い作品が展示されると思うと、なんだか大きなプレッシャーを感じる。
でもまぁこれも、俳句の修行のひとつだと思って、半ばヤケのやんぱち。
開き直って暴挙に出ることにした。
メインテーマである「地貌往還〜花鳥水石」の中の、水の部だそうだ。
このテーマで出す予定の、他の俳人は、みんなベテランばかり・・・
私一人が初心者のようなものだ。
句の内容については、活字にしてもらったことがある俳句ばかりだから
ギリギリ恥ずかしくはないレベルのものだとは思うが
毛筆の文字のほうはがまるで初心者・下の下・・・である。
こんなのでいいのかなと思うけと゜、もう書いてしまったし(笑)
あとはもう明日、これをとかちプラザへもっていくだけだ。
11日から15日まで、展示しますので、暇をもてあましている方がいらっしゃれば、どうぞ、見に来てください。
朝の往診準備をしていると、新人獣医師のK君がそう聞いてきた。
「うん。そうだけど・・・」
「ドライバーより、もっと使いやすいやつ、あるんですよ。」
そう言って、K君は自分の道具の中から、こんなものを取り出した。
「・・・へー。スクレーパー・・・ね。」
「A町の友達が使ってて、いいぞって言ってたんで、このあいだ買ったんですよ。600円くらいで買えますよ。」
「ドライバーよりいい?」
「いいですね。幅が広いところで大きく取れるし、尖がってるところで穿れるし、安田さんも使ってみたらどーですか。」
「へー。そんなんで買えるんなら、買おっかなー。」
ありがたいことである。
蹄病の治療道具は、ここ5〜6年、新しいタイプの道具を採用したことがなかった。
蹄にこびりついた牛糞をはがす道具は、もっぱらマイナスドライバーでやっていて
自分の頭も手も、それに慣れてしまっていた。
昨日の蹄病治療でデビューさせてみた。
これがまた、使い勝手がとてもよかった。
蹄の外壁にこびりついた糞を落とすのは
まさにこの道具の、本来の機能であり
その幅広い頭の部分でメリメリと剥がせる。
先端の一部が尖っていることにより
広い刃が入りづらいところの糞に
先端を差し入れて割り
パカッとはがすこともできる。
どういう考えがあって、このような形にしたのか知らないが
まるで、蹄病治療をする人の意見を聞いて作ったのではないかと思うほどの使い心地である。
趾間部分の掻き出しも
幅が広くて一気に取れるのが嬉しい。
今まで使っていたマイナスドライバーには
たいへん気の毒だが
戦力外通告・・・を出さざるを得ないかな(笑)
今、町のスーパーの乳製品コーナーで一番売れている牛乳がコレだ。
「十勝軽(かろ)やかしぼり」
名称は単に『牛乳』とはいわず、いわゆる『成分調整牛乳』と呼ばれるものだ。
普通の牛乳200ml中の脂肪分が8.5gなのに対し
成分調整牛乳200ml中の脂肪分は5.2gである。
しかし、いわゆる低脂肪乳とも違っていて、コクがあってうまい。
まさに、軽やかな味なのだ。しかも、値段のほうもご覧のごとく
普通の牛乳よりも安くなっている。
今年の4月に、牛乳の生産者価格が上がった。
しかし、スーパーの乳製品コーナーを注目してみていると
小売店頭の値段は、特売日などを設けて、独自の値段で売る努力をしているようだ。
下の写真は同じ系列の別店舗の特売日。
ご覧のように、「軽やかしぼり」ばかりが、なんと売り切れになっていた!
いつもの値段より20円安く売り出す特売日には、従来の牛乳と、成分調整牛乳にはこれだけの差が出る。
この差は、10円の価格差だけなのだろうか。
「軽やかしぼり」の「うまさ」も加味された人気のような気がするがどうだろう。
加工技術の勝利なのだろうか。
「軽やかしぼり」人気の影で、バターの在庫がだぶつき始めているらしいけど・・・
* * *
コンビニに行ったら、コカコーラの1リットルサイズが店頭に並んでいた。
値段は・・・1本、199円だった。
一方の「軽やかしぼり」。
値段は・・・1本、178円だ。
コカコーラの製造過程を私はよく知らない。
一方、「軽やかしぼり」ができるまでには、酪農家が牧草などの餌を作りながら、子牛を育て、種付けをして、育成し、牛糞にまみれないように寝床を毎日きれいにし、分娩させて、毎朝毎晩ミルカーを装着して生乳を絞り、それを業者が専用ローリーで集荷し、成分調整の工程を経て、1リットルのパックとして出来上がる。
コカコーラは、それに比べてどんな生産工程で作られるのだろうか。
本当に199円で売るくらいの価値が、コカコーラにあるのだろうか?
私は▲さんの牛の直検(繁殖検診)をしながら言った。
▲さんは経産牛30頭に満たない身軽な経営である。
「うん。まぁ、たまたま空いちゃったもんだからね。こっちに入れちゃったのよ・・・搾りの牛買ってきたら高いでしょ。こうやって自然に増やすの、これが一番金がかかんなくていいい・・・でもね、農協はいいこと言わないんだなこれが。」
「もっと沢山搾れ、って?」
「そう。金貸すから、もっと買って搾れって言う。やつらは金貸しなんだ。・・・牛屋にたくさん搾らせて、手数料稼ぐことばっかり・・・」
「銀行と同じだね。・・・はい、これ妊娠プラス。」
「デカイ銀行なんてさ、パンクしても国が公的資金を注入して助けてもらって、いいよなー。今度は銀行じゃなくて、JALもそうなる、いいよなー。JAL退職したOBのために公的資金なんてね。」
「まぁ、JALつぶれたらまずいからね、帯広から東京飛ばなくなったら困るし・・・」
「このあいだ、東京便乗ったら、スチュワーデスがえらく年増の不細工でさ、それがシートベルト以外にもテーブルだ背もたれだなんだかんだって、こうるさくて、参ったんだよな。宝石は売りにくるし、なんかスチュワーデスも質落としてんじゃねーのかな。キャビンアッテンダントとか何とか言いやがって。」
「(笑)、・・・はい、これもプラス。」
「国営化に逆戻りもどーなのかね。郵政だって俺は、民営化されてよかったと思ってるよ。あのガマガエルみたいな顔した亀井大臣はどーするつもりなんだか・・・」
「民営化で、郵便局員の挨拶はよくなったね。」
「そうでしょ。オらの部落のあんな小さい所に局長と部下2人もいたんだから。民営化前なら3人ともロクな挨拶しなくて、何様よって感じだった。臨時に雇われてた■の爺さんなんて午前中1軒配達して、あとは家の畑起こしてたからね、それで給料もらってんだから、どーもならん・・・」
「・・・うーんと、これは嚢腫。LH(-RH)打つからね。」
「次は・・・と、これも若牛。未経産。」
「生産調整してるわけじゃないんでしょ(笑)。」
「ははは。今年は年度途中の緊急対策は、まだないよ。」
「2年前にあった、AタイプとかBタイプとか言うアレね。」
「あんなの、オらに言わせたら、まったくけしからんね。」
「・・・はい、これはプラス。」
「生産過剰になったのはさ、年度枠の実績無視のデカイ牧場に自由に搾らせたからなのよ。いきなりどーんとでっかくして参入して、ガンガン搾って。」
「・・・はい、これもプラス。」
「余っちゃったのは奴らのせいなんだから、まずはそいつらを出荷停止にすべきだったんだ。」
「・・・これは、・・・排卵した後みたいだね。」
「農協は金貸したいもんだからさ、デカイ所にやれやれって規模拡大やらせといて、乳余ったらさ、組合員あまねく均等に生産調整・・・そんなのあるかって。」
「うーん・・・たしかに・・・。」
「そういう生産調整のところだけ『協同組合』なのよ(笑)。堅実にやってるところは馬鹿を見る、強者の味方の『金貸し』なんだから。」
「なるほど(笑)・・・はい、これもプラス。」
「えっと、・・・これで終わりだね、以上です。」
久しぶりに、▲節を聞きながらの、楽しい時事放談・・・じゃなくて繁殖検診だった。
直検は手ですべし、頭でするべからず。
牛の過去を信じて、未来を疑え。
というのが私の繁殖検診のモットーだ。
ちなみに
放談の内容についてはすべて▲さんのご意見。
私はすべて聞き役なんで、あしからず(笑)
それもすべて、乳牛の第四胃変位ばかり。
久しぶりの二桁手術だったが、それほど珍しいことではなく、仕事は淡々と進んだ。
手術室には述べ6人の獣医師が、それぞれの手術の担当をしたり
助手をやったり、入れ替わり立ち代り・・・
手術台は2台を同時に稼動させるので、1頭に思わぬ時間がかかっても、隣の台のもう1頭が終われば、その後に入れるので、時間の無駄が少ない。
しかし、この数になると主治医が誰で、畜主が誰で、術者は誰で、どんな症状で、どういう目的の手術かということが、こんがらがってくることがある。
今回は四変ばかりだったから、術創は傍正中切開でよかったけれど
「この牛は、ほんとはケン部切開からアプローチしてほしかったんだけど・・・」、などと後で言われたことがかつてあった(汗)。
主治医が居らず、どこを切っていいのかわからず、電話で問い合わせたりすることもあった。
洗浄した四変用の、山のような手術器具を
写真のように分配して、青いタオルでくるんで
さらにそれを専用シートで封をし
オートクレーブに入れて滅菌する。
ちゃんと確認をして、ワンセットずつ包むのだが
この前術者をやって、包みを開けたとき
メスの柄が入ってなかったゾ・・・
音更町にある独立行政法人・十勝牧場で、重輓馬生産者を対象にした勉強会があり
帯広競馬場内にある診療所の先生による、重輓馬の消化器病についての話を聞いたことがあった。
私は若いころ、年配の大ベテランの競馬場の先生からいろいろ重輓馬の診療について教えてもらったことがあったので
この時の話もそんなイメージがあり、てっきりベテランの大先生の講義かな、と思っていた。
ところが、当日壇上に立ったのは、背のスラッと高い若い獣医師だった。
講義の内容も、私たちにはとても新しく、馬の消化器疾患について競馬場での診療の実際が、海外の文献などを沢山読みこなしたと思われる知識に結びつけられた、大変興味深くためになるものだった。
「ばんばの競馬場の診療所もこれで変わるな・・・」と、予感させるものがあった。
その、若い先生(drafthorse先生)が去年からブログを書いている。
「世界でひとつ」ばんえい競馬の診療所
以前から、私のブログにもリンクを張らせていただきたいと思っていて
今日、ようやく初めて書き込みをしたところ、有難いことに早速快諾していただいた。
私自身は、最近馬を診る機会がすっかり減ってしまい、寂しい思いをしているが
同じ十勝の中で、重輓馬を診療する獣医師として
このブログはたいへん羨ましく、また貴重なものだと思う。
と同時に、大変心強いリンクが出来たと感じている。
drafthorse先生、これからいろいろ情報交換など、どうぞよろしくお願いいたします。
私はスポーツ中継のほうがいいのだが、残念ながら私にはチャンネル権が無い・・・。
最近気になるのは、民放で医療関係のドラマの放映が多いことだ。
ドクターヘリ、チームバチスタ、救急医療最前線などなど・・・そして10月からは、産婦人科医のドラマが始まったようだ。
現実の医療の現場を反映してか、超多忙極まる医師たちが病院内を駆け回り活躍するといった内容が多い。
テレビは現実社会を映し出すわけだが、ちょっとうがった見方をすると
ロケが少ない・・・。
不況が続いているのは、テレビ局とて例外ではないのだろう。
制作費を安くあげて高い視聴率を獲得するために、医療系ドラマの連発リリース、という現実が見え隠れする。
手術室や病室のセットも、一度使っただけではモッタイナイだろうしね。
さて
医療系ドラマに対して畜産獣医系ドラマ(?!)はどうだろうか。
是非とも作っていただきたいものだが
畜産獣医系ものは、動物を使わねばならないのが最大のネックだろうと思われる。
演技のうまい犬や猿、イルカなどが過去にはいたが、育成・調教・管理が大変だろう。
動物が登場する畜産獣医系の
名作テレビドラマの誕生する可能性は
残念ながら
極めて低いだろう、と言わざるを得ない。
帯広の森アイスアリーナで、高校アイスホッケー北北海道大会・十勝地区予選の決勝を観戦した。
息子の同級生たちが出場するS学園高校の応援である。ひんやりとしたアリーナの中で、熱い戦いが繰り広げられた。
とにかくすごいスピードだ。
ゴール付近の透明の防護ボード越しに、携帯のカメラを構えていると
向こうの相手ゴール付近にいたかと思った選手たちが、パックと共に一気にこちらの方へ押寄せてくる。
素早いパス回しの中から一人が強烈なシュート。パックはキーパーのグラブとゴールの上をかすめて、私の頭上の透明ボードに割れんばかりの衝撃で当たって、落ちた。
落ちたパックに、数人の選手が殺到する。
選手同士が激しくもみ合って、そのまま私のすぐそばの壁にドーンと体当たりした。
そしてホイッスル、フェイスオフをくりかえす。
すごい振動が何度も私の体にも伝わってきて、迫力満点だ。
我が息子らの応援団はメガホンで声を合わせ、選手たちを鼓舞していた。
結果は、S学園がS高校を6対3で下して優勝。
北海道の高校生のレベルは、日本のトップレベルだそうだ。
この日の試合に出た選手の中にも、実業団入りや有力大学入りが決まっている子がいる。
いずれは全日本選手になりそうな有望株もいる、と息子は言っていた。
その子牛の頚静脈に留置針を差し込んで、点滴治療を施す。
臨床獣医師ならば、誰でもやっている手技である。
ところが、この留置針がなかなか血管に入らないときがある。
脱水で子牛の血圧・血流量が極端に低下しているのだろう。
横臥している子牛の頚部を指で駆血しても、いつまでたっても静脈が膨らんでこないことがある。
こういう時は、子牛の下(後)半身を頚部より高くしてやると、静脈が膨らみやすくなる。
先日のμさんの子牛もそうだった。
ホルスタインの生後約一週の急性下痢で起立不能、眼球陥没、体温低下、虚脱状態。
頚静脈がまったくわからない。
μさんに子牛の足を持ってもらって、後半身を高くした・・・しかし、頚を駆血してもまったく怒張しない。
数分繰り返しても、カスリもしない・・・時間がどんどん経つ。
「トラクターで吊り上げるか。」
人力で持ち上げてもらう程度では、不十分な場合が多く
飼主の体力的にも限界があるので
こういう時は早々、トラクターなどの機械で、子牛を逆さ吊りにしてしまうほうがよい。
肩が完全に持ち上がるまで吊り上げる。
飼主も、手馴れた作業で楽である。
どんなに血圧の下がった牛でも、頚静脈は怒張する。
指で駆血してもまったく膨らまなかった頚静脈がウソのように怒張し、留置針の挿入完了。
あとは、抜けないように保定し
次の仕事へ向かう。
ところで・・・
頚静脈が膨らまず、留置針を入れづらくなるのは
和牛よりも、圧倒的にホルスタインのほうが多いような気がするのですが
皆さんはどうですか?
今日で、生後約1ヶ月目の写真。
じつは、出生予定日が、本当は今日だったのだ!
母親の受精月日は1月5日。
3を引いて10を足せば、だいたい今日あたりになる。
この未熟児を診察した。
起立不能、哺乳欲ゼロ、体温低下、排便無し。
浣腸と、栄養剤の点滴をして
「ウンチがでて、飲む力が出てくれれば、あとは、この子の生命力かな・・・」
と言って帰ってきたことを覚えている。
その後がんばって育てていたのが、τさんの奥さんだった。
毎日少しづつ何回も、保育用の管でミルクを強制授乳し、1週間ほどそれでがんばった。
そのうちに、
いきなり普通の授乳乳首では大きすぎたので
τさんは、農協の資材へ行って、ヤギ用の乳首を見つけてきた。
これが、未熟児君の口にピッタリ会ったのだという。
なるほど、こんなものがあるんですね。
私は以前ヒト用の哺乳瓶の乳首で、子馬を育てているおじさんを知っていたが
ヤギ用の乳首で未熟子牛を育てるのを見たのは初めてだった。
とにかくこの子牛を何とか生かしたい、育てたい、というτさんの奥さん気持ちが、このヤギ用乳首を発見し、
試行錯誤の結果、新しい知恵となったのだ。
それが素晴らしい。
「ものになるのかどうか・・・」
と、τさんは笑っていたが
この牛が『ものになるかどうか』も大事だけど
『この子牛を育てたという事実』は
それ以上の価値のあること、なのだと思う。
生育が心配されたデントコーンもいよいよ、収穫間近となった。
私の家のあるM町S地区では
もうとっくに刈り終わっているのだが
我が診療地区の方は
海に近いせいもあり、気温が上がらず
生育も遅く、小さい。
周りの手入れをされている畑のものと比べて
ひときわ雑草が多かったものだから
勝手に心配をしていた。
だが
10月の収穫時期を間近に控え
何とかそれなりに、伸びてくるものだな
と、感心しながら、4枚目の写真のシャッターを押した。
よく見ると、かなり余計な物が畝からのぞいてますが(笑)
切り込んで、コーンサイレージとしてうまく醗酵してくれることを願っている。
生育のよいものと比べて、味がどれだけ違うのか、違わないのか・・・
きっと、微妙に複雑な味が混ざったコーンサイレージになるだろう
肝心な嗜好性はどうなのかな。
こればっかりは、牛に食わせてみないとわかりませんね(笑)
* * *
帯広の回転寿司に行って来た。
サンマが旬である。
サンマの刺身や寿司は
道東では、当たり前にうまい。
旬の寿司でうまいのが
定番のサーモン。
シャケとは呼ばない。
アキアジというと一本丸ごとというイメージ。
回転寿司屋ではサーモンと呼ぶのが定着しつつあるようだ。
写真のような基本形以外に、大とろサーモン、炙りサーモン、軍艦巻き、いくらとの親子巻き、漬け味サーモン、オニオンマヨネーズサーモンなど・・・
サーモンにはいろいろなバージョンがあり、そのシリーズだけで満腹になってしまうのだ。
牛の血液検査でよく調べる値の中に、「血清蛋白分画」がある。
血清の蛋白質を電気泳動して、成分構成をグラフ化したものだ。
波形の微妙な変化を読み取るためというより
γ(ガンマ)グロブリンがどれくらいの割合で血中に存在するかを知るために
この検査をする獣医師が多いと思う。
たとえば、写真のような波形を見たら
牛の獣医師は、普通
「あーこれは・・・ひどいねぇ」
と言うだろう。
右端の山が異常に高い、つまり
γ(ガンマ)-グロブリンが異常に多い
いわゆる「慢性炎症型」の波形である。
そして
「これはもう、牛がもたない・・・」
と思うだろう。
γグロブリン、すなわち免疫抗体の成分が血液に異常に増えているのは
感染が長引いて、体内の免疫反応が慢性化し、泥沼の戦場と化している事が想像できる。
体のどこかに、決定的な感染病巣があるに違いない。
肺炎、肝膿瘍、創傷性胃炎、脾炎、心内膜炎、関節炎・・・?
分画のパーセンテージから、実際の濃度を計算してみると
総蛋白 10.9 (mg/dl) 正常値は 約7.2(mg/dl)
アルブミン 2.3 (mg/dl) 正常値は 約3.5(mg/dl)
α-グロブリン 1.3 (mg/dl) 正常値は 約0.9(mg/dl)
β-グロブリン 1.2 (mg/dl) 正常値は 約0.6(mg/dl)
γ-グロブリン 6.2 (mg/dl) 正常値は 約2.0(mg/dl)
A/G 0.26 正常値は 約 1
だから
これは大変な高グロブリン血症である。
総蛋白質濃度が高いのは、おそらく、脱水のせいだと思われる。
さて、この牛は
どんな臨床症状だったのかというと
稟告は、朝から起立不能。 分娩は約2ヶ月前。
T38.6 P88 R20
上診時、牛舎の通路で立てずに横臥。
BCSは2.75程度。臀部と肘に褥創があり、飛節が腫れている。
診断病名は「関節炎」とした。
おそらく、歩くのが痛くて水も十分飲めていなかったのだろう。
リンゲルなどの補液と、抗生物質を投与した。
牛床はコンクリートで、麦稈の敷き藁だが、量が少ない。
関節炎の多発農場は牛床に問題があることが多い。
そして、牛の運動不足、密飼い・・・
牛の関節は悲鳴を上げているのだ。
(これはダメかな・・・)
この牛を初診したとき、そう思った。
ところが翌日、あっさりと立って餌を食いだしたという。
しかし翌日、「血清蛋白分画」の波形を見てまた
(やっぱりダメかな・・・)
と思った。
ところが翌々日も、牛は立ち上がって餌をさらに食い、乳の生産を始めたという。
血液所見はひどくても、ケロッとしている牛もいるのだ。
何事も例外なく、という事の無いのが、臨床の現場。
しかし、一見ケロッと治ったように見えても
牛っていうのは、我慢に我慢を重ねて、痛みに耐える動物だから
限界が来て、そのうち忘れた頃に
また電話がかかってくるんだろうなー
「例の牛やっぱり立てなくなったんだけど・・・」 と。
そのときは、迷わず廃用宣告をしようと思っている。
Пさんの繁殖検診を終えて
繁殖台帳へ結果を記録していたら
この牛、むむ・・・なかなかの好成績なのだ。
1産目が平成16年6月20日♀。
つづいて翌年から、ほぼ1年1産で今年の7月21日まで無事に産んでいる。
そして、見事に
産子のすべてが♀。
しかも
平成20年は、♀♀の双子を無事に取っている!
写真がボケてしまって恐縮だが、こんな成績を残している牛は、家宝者である。
こういう牛は♀を産みやすい体質を持っているのではないか・・・
いわゆる、雌腹(メスばら)というやつ。
人でも、女系家族というのがあるけれど、牛には遺伝的なそういうものはないのだろうか?
それとも、ただの偶然に過ぎないのだろうか。
最近はX精液(X染色体を持ついわゆるメス精液)が普及してきたが、それでもまだオスが生まれることがある。
現場というのは確実ではないのだ。
繁殖学・遺伝学の教科書に従えば
卵子のほうには、性の決定権はない。
しかし、雌腹がもし本当にあるのだとすれば
それはもしかすると、卵子にX精液を受精させさせやすい卵管内環境や子宮内環境があるのかと思われる。
それとメス精液が組めば、鬼に金棒である。
メス卵管!?、メス子宮!?というのだろうか。
* * *ピンボケ写真、ついでにもう一枚・・・
後の子供にピントが合ってしまった。
左下にいるのは
キリギリスなんですが・・・
キリギリスが鳴くのは雄のみらしい。
雌のキリギリスは、きっと蟻のように働きのもなのだろう(笑)
草色の弦と弓もつキリギリス
というところは、現在も昔もあまり変わらないと思う。
ただし、当時の道は、土か砂利の道だっただろうけれど
今はアスファルトの舗装道路だ。
「荷馬車がゴトゴト 子牛を乗せてゆく」
というところは、昔と今では大きく違っている。
今はもちろん荷馬車ではなく立派な家畜車である。
昔は子牛をどうやって荷馬車に積んだのだろう。
結構苦労して積んだのではなかろうか。
今では、写真のようにゴムの腹帯のついたロープで子牛を吊り上げる。
ロープの上にはバネ秤がついていて体重が一発でわかるようになっている。
吊り上げた子牛を、家畜車荷台の横に取り付けた扉を開けて誘導して積み込む。
写真の子牛の体重は、40kgを指していた。
ホルスタインの子牛にしてはかなり小さめである。
この牛は実は、フリーマーチンだった。
「かわいい子牛 売られてゆくよ 悲しそうな瞳で 見ているよ」
このような情緒は、今の多頭数の飼養形態ではなかなか生まれないのかもしれない。
子牛を毎日のように売っていたら、いちいち感傷に浸っては入られない
というのが普通だろう。
でも
時々、そんなんでいいのかな?と思うこともある。
牛1頭1頭に対する、人の視線や思い入れが、ずいぶん減ってしまった。
牛と人との関係が、薄っぺらくなってしまったのではないだろうか?
さらに
荷馬車がトラックに変わってしまったことも、大きく情緒を殺いでしまった。
写真を撮ったこの子牛は
なかなか可愛いらしい顔をしていた。
「ドナドナドーナドーナ 子牛を乗せて ドナドナドーナドーナ 荷馬車が揺れる」
荷馬車を引く馬の、静かな優しそうな表情が
見たこともないのに、目の前に浮かんでくる。
この哀愁たっぷりの曲と、悲しげな歌詞
これは、迫害されたユダヤ人の歴史を表わしているという説もあるらしい。
一度聞いたら忘れられない。
名曲だと思う。
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