北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

若牛のキック!(◎_◎;)

ここ半月のあいだに、

私は、若牛(ホル育成牛)のキックに見舞われた。

IMG_0237それも立て続けに、

先週は左足の太ももを、

昨日は右足の太ももを、

どちらも、

家は違うが、

ホルスタインの育成牛の、

繁殖検診をしている最中だった。

最初の左足の時は

妊娠マイナスの牛の治療のために

シダー(膣内貯留型黄体ホルモン剤)を挿入しようとして

後ろに近づいた途端

その牛が後ろ蹴りを放ち

IMG_0236私の左太ももをヒットした。

膝の皿の上の筋肉だったから良かったものの

しばらくは歩行困難に陥った。

その痛みと傷が癒えないうちに

昨日

別の家でホルスタインの育成牛の

繁殖検診をしようと

ある牛の肛門へ手を入れようとした瞬間に

その牛の右隣の牛が

左後ろ回し蹴りを放ち

IMG_0235私の右太ももをヒットした。

これもまた

膝の皿の上の筋肉だったから良かったものの

しばらくは歩行困難に陥った。

幸いにどちらも

軽い打撲で済んだようで

一夜明けた今朝は

普通に歩行ができるようになった。

牛から、立て続けに

こんなキックを連続で見舞ったことはなかったので

油断したというか

歳を感じるというか

情けない気持ちが先に立つ。

同僚の獣医師たちに迷惑をかけたらそれこそ大変だ。

私の注意不足が

最大の原因であり

ちゃんと保定をしてもらわないうちに

牛にちゃんと声もかけずに

不用意に近づいた私が悪く

弁解の余地はほとんどない。

しかし

一言だけ言わせてもらいたいことがある。

それは

最近のホルスタインの育成牛は

人に馴れていないのが

多くなったのではないだろうか。


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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「酪農音頭」!

新聞をぱらぱらとめくっていたら、

「酪農音頭」という文字とともに、

「豊栄会」という文字が 、

私の目に飛び込んできた。

私が以前、診療に回っていた十勝南部広尾町の、

酪農婦人の皆さん方のグループ「豊栄会」が、

「酪農音頭」なるものを作詞作曲して

JAの感謝祭の場で披露した

という記事を見つけたのだ。 

IMG_0171「豊栄会」の皆さんは

相変わらず

とても元気で

またまた今回も

面白いことをやっているなー

と、記事を読みながら

思ったのだ。

記事からその「酪農音頭」の

歌詞の1番を抜粋してみると・・・


 〽︎ ギューっと搾った牛乳飲んで

   今日も1日元気良く

   モーって鳴いてるあの子にこの子

   のんびりと

   日高山脈見渡せば

   夢は広がる広尾町

   べーべーべー

   トンと十勝は

   べーべーべー


   サイロサイロサイロ

   広い緑のこの大地

   酪農音頭でべーべーべー 〽

 いやー

素晴らしい!

こんな感じで、何番も続くらしい。

IMG_0205歌詞を読んでいるだけで

なんだかウキウキして

元気が出て来るではないか!

でもじつは、私はまだ

この「酪農音頭」の歌詞を読んだだけであり

この「酪農音頭」の メロディーをまだ聞いていないし

また「酪農音頭」の振り付けもまだ見たことがない。

You Tube などで探してみたけれど

まだアップもされていないようだ。

いつかぜひ、CD版・・・

あるいは

振り付け入りのDVD版・・・

などが発売されることを期待している。

そして、この

「広尾町・酪農音頭」が

地元に根付き、愛され

十勝管内へ、全国へ、と

知名度を高めて行くことを

心から願っている。

豊栄会の皆さん

今回も存分に楽しんで

頑張ってくださいね。

久しぶりに「豊栄会」の名を聞いて

私は、とても嬉しくなりました♪

d19e2400今からちょうど5年前に

皆さんと一緒に撮った写真を

再び貼り付けて

豆作からの応援メッセージとしたいと思います♪ 


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第29回村上鬼城賞表彰式

9月19日は、

IMG_0185第29回村上鬼城賞の表彰式と、

第30回村上鬼城顕彰全国俳句大会が、

群馬の高崎ビューホテルで開催された。

私は今年も村上鬼城賞の、

既発表30句を応募したのだが、

それが思いもよらず佳作に選ばれた。

シルバーウイークの後半は、

高崎まではるばる俳句のために

IMG_0194仕事を休んで

飛行機に乗って高崎まで遠征をした。

今年はこういう連作応募の賞は 

6月には

第27回伝統俳句協会賞の佳作も頂いているので

当たりの年である。

IMG_0188何年も応募していて

このようなことは経験したことがなく 

とても嬉しい当たり年なのだが

どちらも佳作・・・

ということで 

惜しかった

残念だった 

という気持ちが混っている。

IMG_0187伝統俳句協会賞の時もそうだったように

正賞を取った方は

どんな人なのだろうか?

正賞を取った作品は

どんな作品群なのだろうか? 

という好奇心が先立つのだった。

今回の村上鬼城賞も全く同じ気持ちで

IMG_0191表彰式に出席し

正賞を受賞された方にお会いして

色々話をすることができた。

今回正賞を受賞された方は

菅家瑞正(かんけずいせい)さんという人で

師系は石田波郷の「泉」という結社に所属している俳人だった。

IMG_0201話をすると、とても気さくな面白い方で

受賞作品群の俳諧味が

この方から生まれていることを強く感じさせた。

伝統俳句協会賞の時もそうだったように

正賞を受賞された方は

作品も作者の人柄も

とても個性的で素晴らしいのだった。

IMG_0202そして今回も佳作だった私の作品が

なぜ佳作止まりなのか・・・

その理由や

その課題点が

表彰式の場に参加することによって

朧げながら見えてきたような気持ちになった。

IMG_0212私の俳句修行は

まだまだ足りないのだ・・・

足りないことは

よく解ったのだが

その不足を補うべく

課題を克服して行くのは

なかなか容易なことでは

なさそうである・・・


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第14回大とかち俳句賞全国俳句大会

9月17日は、

IMG_0175帯広駅前の十勝プラザで、

NPO十勝文化会議・十勝毎日新聞・主催の

「大とかち俳句賞全国俳句大会」が行われた。

私は、NPO十勝の文芸部員として

IMG_0177一昨年からこの大会の司会を仰せつかっている。

毎年、冷や汗をかきながらの進行なのだが

なんとか今年も無事に役目を果たすことが出来てホッとしている。

十勝管内にとどまらず北海道全体、あるいは道外まで

この大会への投句と参加を呼びかけてきて

IMG_0174それに応えていただいた皆様方には

心から感謝を申し上げたいと思う。

と同時に

また来年もどうか

IMG_0178投句の参加をどうぞよろしくお願いいたします!

大会の結果については

近々まとめた冊子が届くかと思いますが

この場では1つ

この大とかち俳句大会の名物になっている

中屋吟月「柏林」主宰による

入賞句の吟詠を

動画で楽しんでいただきたいと思う♪

受賞句

課題の部 「耕して女にかへる風呂沸かす    北野克誠」

雑詠の部  「オルガンのきこえる廊下昭和の日    石川惠子」


 

俳句をこのように吟詠できる人は

きっと

吟月先生しかいないのではないかと

私は思っている♪
 

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牛は放線菌症で採食困難になるのだろうか?

およそ3年ほど前に、

「牛の放線菌症に思うこと」

と題して、ブログの記事を書いたことがある。

それを抜粋してみる・・・

比較解剖学者の好著「ウシの動物学」(著者・遠藤秀紀)によれば
『ウシの採食メカニズムは、進化史上の最高傑作に映る。それは、まるでヒトの大脳皮質をみるときのような"神の創り給うた"究極の構造だ。』
『・・・けっきょく、ウシをして草地の覇者たらしめる一因をここにみることができる。』
などと書いてある。
そのウシの採食メカニズムの主役こそ
歯と舌である事は言うまでもない。
そんな、ウシにとっての重要な器官である歯と舌を
我々はあまり治療する事が無いというのは
それだけ牛の歯と舌というものが
強靭で故障の少ない最高傑作だ、ということなのだろう。
ただ・・・
ウシの歯や舌に直接の故障が無い反面
よく故障が出る場所がある。
顎(あご)である。
上顎も下顎も、どちらも
よく腫れるのである。
腫れの原因として最も良く知られているのは
放線菌の顎への感染である。
おそらくは強靭な歯の根元から
放線菌が顎の骨へと侵入して増殖し
炎症を起こして、硬い腫瘤を作り上げる。
その腫瘤は、バスケットポールくらいの大きさになるものさえ有る。
ここでもなお、驚くべき事は
そんな大きな顎の感染腫瘤ができて居ながらも
ほとんどの牛達は
食欲が落ちもせずに、歯と舌を
相変わらず毎日休み無く動かしては
採食と反芻を、一日中行っているのである。
歯の痛みは無いのか、心配になるのだが
巨大な腫瘤を抱えていても、特に痛くもなさそうに
草をムシャムシャ食べ続ける牛がほとんどなのである。
飼い主さんが心配して、電話をくれるのはそんな時だ。
「なんだか顎が腫れて来たんだけど、ちょっと診てくれる?、食欲は有るんだけど・・・」
放線菌症の時の稟告は
大抵、こういう内容である。
そして、その治療といえば
ただペニシリンの筋肉注射のみ、数日間
と相場が決まっていて
牛の口を開けて、歯や舌に直接治療を施すようなことは
まず、ほとんど無いのである。

BlogPaintそして今

牛の臨床獣医師を30年ほど続けて来て

あらためて放線菌症の治療経験を

振り返ってみて

思うのは

放線菌症で採食困難になった牛を診たことがあっただろうか?

ということだ。

BlogPaint教科書には

アゴの腫れを放置していると、いずれは採食困難になる

と書いてあるが

実際の私の経験に照らし合わせてみると 

アゴの腫れを放置している牛はかなりの数にのぼり

それらは皆、採食困難にはなっておらず

放線菌症の採食困難で死亡した牛や

放線菌症という病名で共済の3号廃用になった牛を

私は思い出すことができないのである。

放線菌症で

採食困難になって

死亡したり廃用になったりした症例を

ご存知の方は

ぜひ教えていただきたいと思う。


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ポニーの蕁麻疹

「皮膚にブツブツが出来てるんだけど・・・」

そんな稟告で往診した★さんのポニー。

「元気や食欲はあるんだけど・・・」

枠馬に入っていた馬は、

確かに皮膚にブツブツができていた。

蕁麻疹のようだった。

IMG_5830「これは蕁麻疹みたいですね。」

「というのは・・・?」 

「アレルギー。」

「・・・?」

「過敏症。」

「・・・?」

「ほら、人でもあるでしょ。」

「・・・。」

IMG_5831「痒くなったり、ブツブツできたり。」

「・・・うん。」

「何か刺激されて、それに必要以上に反応しちゃうやつ。」

「あー・・・。」

「何の刺激だかわからないけど。」

「変なもの食べたのかい・・・?」

「そういう可能性、ありますね。」

「何食べたんだか・・・?」

「食べた物だけじゃないかもしれない。」

IMG_5832「・・・?」

「虫に刺されたとか。」

「そんなことあるの・・・?」

「あるかもしれない。」

「・・・?」

「刺されたところを見たことはないけれど。」

「蜂とか・・・?」

「わからないけど、こういう蕁麻疹は夏から秋に多い。」

「あー・・・。」

「だいたい草や虫が元気のいい時に多い。」

IMG_5833「そうなんだ・・・。」

「痒がってないですか。」

「いやー、どうだべ・・・。」

「痒くて、あちこちに擦り付けて皮剥けちゃうのもいる。」

「それは・・・。」

「すりっぽ、ってきいたことあるでしょ。」

「あー・・・あるね。」

「それもアレルギーなんだけど、痒がってないですか。」

「いやー、あまり痒くはないみたいだけど・・・。」

「とりあえず、注射打っておきますね。」

「うん・・・お願いします。」

蕁麻疹のような過敏症の

原因を特定するのはなかなか難しいが

症状は間違いなく蕁麻疹のようなので

とりあえず

抗ヒスタミン剤を打って様子を見ることにした。

翌日

そのポニーの皮膚には

若干の模様が残っていたものの

その皮膚の変化はかなり軽減していた。

そのようなわけで、翌日は

そのまま何もせず様子を見ることにした。


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むしむし天国

例年になく湿っぽく、

長々と雨が降り、

たまに晴れても蒸し暑い、

そんな今年の夏がようやく終わりを告げつつあるような、

今日の晴天である。

爽やかな秋空をやっと仰ぐことができた。

そんな日の休日は、

歳時記とノートと俳句雑誌などを鞄に詰めて、

自宅の近所の公園などを徘徊し、

俳句を拾って歩く吟行をするのが

近頃の私の休日の過ごし方になっている。

公園の野外ベンチと机のある場所に

静かに座って俳句をまとめていると

心が癒されてくる。

IMG_0128野外でゆっくり本を読んだり俳句を書いたりできる日は

1年のうちでもなかなか遭遇しないものだ。

この日はまさにそんな日だ。

充実のひと時

と、思っていたら・・・

腕や首がなにやらチクチク・・・

そのあとがなにやら痒くなってきた・・・

・・・!

蚊がぷーんとやって来て

刺してゆくのだった。

よく見ると

腕にはすでに、3〜4箇所

首や顔も、痒くなってきた。

そうなるともうあちこちが痒く感じてきて

なんとも落ち着かない気分になってきた。

まいったナーこれは・・・

IMG_0129今年の夏は雨ばかりで

雨が上がって晴れたとしても

晴れの日が続かずに

再び雨が降る。

あちこちに水たまりが沢山できて

それが乾いてゆく暇もない。

そんな無数の水たまりに

蚊が卵を産み

ボウフラが湧き

かが発生するのは

自然の成り行きだろう。

今年は例年になく

あちこちでよく蚊にお目にかかる。

そういえば我が家でも

今年は例年になく

妻が頻繁に蚊取り線香を焚いている。

「ぼうふら」や「蚊」は夏の季題である。

鬱陶しく、憎たらしい存在だが

私は、そんな蚊の出現に

本州の夏の

子供時代を思い出して

懐かしさも感じる。

蒸し暑く湿っぽい本州のようにになってしまったような

今年の北海道の気候は

昆虫たちにとっては

願ってもない

繁殖を謳歌できる

良い気候なのだろう。


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嵐の中の子宮捻転

当直ではない普通の日の深夜に、

私の携帯電話が鳴った。

その日の夜当番をしている先輩獣医師Sさんからだった。

「帝王切開、手伝ってくれる?」

「はい・・・。」 

「子宮捻転で、直らないのさ。」

「わかりました。」 

当直以外の日の夜中に、

往診や手術の応援に出かけて行くことは、

年に必ず数回はある。

その内訳で最近もっとも多いのは

牛の帝王切開手術の助手である。

帝王切開に踏み切る理由はいろいろあるが

その中でも、子宮捻転というのは

理由として最も多いものの一つである。 

この日の夜は

子宮捻転星からのレーザービームがS獣医師を捕らえ

その反射光が、家で寝ていた私の顔を照らしたのだった。

診療所に牛が運ばれて来たのは0時を回っていた。

IMG_0130それからSさんと

飼主の〓さんにも手伝ってもらいながら

大きな♂の仔牛を摘出。

仔牛は無事だった♪

IMG_0132〓さんの家畜車の荷台には

懐かしいリヤカーがあった。

そのリヤカーを手術室に入れて

大きな仔牛を積んで帰って行った。

IMG_0133前回の記事で

最近、子宮脱が立て続けに3件発生したと書いたが

じつは、子宮捻転もこれで2件目。

8月末から台風が何度も襲来し

荒れに荒れているの十勝の空の

雨雲の遥か向こうには

子宮脱星と

子宮捻転星が

不気味な輝きを

増しているように思える。

皆さんのところはいかがですか・・・?


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嵐の前の子宮脱

台風10号は十勝地方に大きな爪痕を残し、

1週間近く経った現在でも、

行方不明者が見つからず、

交通機関は寸断されたままで、

大変な事態が続いている。

それでも私の身の回りは、

幸いにも甚大な被害は至らず、

普段の生活を送ることができている。

そんな、特大の嵐が十勝地方にやってくる頃の

8月末から9月初めにかけての数日間に

我が診療地区の牛達に

子宮脱が3頭も発生した。

そのうちの1頭は、私が遭遇した。

朝の往診を振り分け

獣医師達が皆準備を終えて出発し始めた頃

「今朝産んだ牛の子宮が出てきた!」

という電話が酪農家の▼さんから掛かってきた。

それが、たまたま私の回る予定の地区だったので

私が ▼さんに行くことになった。

IMG_0026子宮脱星の大魔王は

私のことをなかなか解放してくれないようだ・・・

とりあえず牛舎に行くと

産んだ後で、子宮の脱出した牛が座っていた。

最近私はこういう場合

すぐに子宮脱整復に取り掛からず

血液を採取して

カルシウム剤500mlを1本投与することにしている。

そうしながら、お湯や板や踏み台やらの

整復の準備を飼主さんにしてもらいながら

IMG_0028牛の状態をよく観察する。

カルシウム剤を打ち終わってから

おもむろにカッパを着て手袋を履いて

自分の整復準備に取り掛かる。

このブログで何度も繰り返し書いている通り

子宮脱になっている牛は

私の調べている限りでは

全ての牛で血中カルシウム濃度が低くなっている。

今回もそれを予想し

まずは牛の全身症状を改善してから

牛を吊起して起立させて 

その後、子宮の整復に取り掛かった。

IMG_0029子宮は意外に簡単に

腹腔へ納めることができた。

子宮内感染を抑えるために抗生物質を投与し

整復した後は怒責による再脱出を予防するために

ビューナー針と包帯を用いて

外陰部の巾着縫合をした。

翌日

血液検査の結果かが送られてきた。

BlogPaint血中Ca濃度は

5.0 mg/dl

予想通りの低値だった。

8月末の

大きな台風がやってくる頃の

およそ1週間くらいの間に

立て続けに3頭

我が診療地区の牛が子宮脱を起こした。

子宮脱の発生要因として

低カルシウム血症もさることながら

台風の接近

あるいは低気圧の接近も

その要因として考えられる

と感じている獣医師は

きっと

私ばかりではないだろうと思う。

皆さんのところの牛達は

いかがでしたか?


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出張中止!

「この雨はヤバいな・・・」

そんなことを思いながら、

8月31日の朝、

私は旭川出張の荷物をカバンに詰め込んで、

早めの朝食を食べ、

よそ行きの服に着替えて待機していた。

そこへ、所長から電話が入った。

旭川行きのバスが出ないので、出張は明日に延期。

今日(31日)は、通常に出勤することになった。

早めに家を出ると、

夜一度通行止めとなったという国道の札内橋方面からは

通勤の車が沢山来ていたので

私は野次馬根性を出して国道を札内橋方面へ走らせた。

札内橋を渡る車は普通に流れていたが

橋の下を流れる札内川の姿は

今まで見たこともない驚きの姿だった。

IMG_0057川幅は堤防いっぱいに膨らみ

轟音と濁流が

堤外上流のテニスコート、サッカー場ソフトポールと野球場を

堤外下流のパークゴルフ場、ゴルフの練習場を

IMG_0062全て飲み込んで

そこに生えている楡や槐や柳の大木だけが

濁流の中で必死に立っている姿だった。

あまりの凄さに、

IMG_0070言葉を失った。

札内橋を往復してから

通常の通勤ルートに戻り

診療所へ向かうと

IMG_0079途中の旧国道で通行止めに遭った。

旧国道が通れないときは国道へ

といういつものバターンで国道へ出ると

国道が渋滞して長い車の列ができていた。

そこで所長からの携帯が鳴った。

IMG_0086国道の猿別川を渡る止若橋の西側が冠水し

通行止めになったという。

幕別市内の診療所へ行くためには

大きく迂回しなければならなくなった。

止む無く引き返し

南方の高台の山道を大きく迂回して

下流から数えて3番目の橋で猿別川を渡り

ようやく診療所にたどり着いたときは

出勤時間を15分ほど遅刻していた。

その日はほぼ普通に仕事をこなし

夕方、カルテを書いていると

本所から所長に電話が入った。

「出張は中止だそうです・・・。」

なんと!

バスもJRも高速道路も

十勝管内から札幌や旭川方面へ行くルートは

全て寸断されたという。

今までの北海道獣医師大会と三学会でも

季節柄、台風の襲来に何度も見舞われて

交通手段に影響が出たことはよくあった。

だがその度になんとか手段を変更したりして

目的地までたどり着けたのだったが

今回の出張中止は

そんな前例を覆す異常なものだった。

旭川で会おうと思っていた友人に

中止で行けなくなった事を伝え

IMG_0095落胆して帰宅し

郵便受けに刺さっていた十勝毎日新聞を

広げてみて驚いた。

想像以上の被害の写真が

IMG_0097紙面を埋め尽くしていた。

避難者は数千人を超えたようだ。

車ごと流された行方不明者が3名も出たようだ。

「これではとても・・・一晩待ったくらいでは復旧しないな。」

IMG_0098JR石勝線は1ヶ月以上不通になるらしい。

これではどうしようもない。

翌日

いつもの旧国道を通って出勤しようとしたが

旧国道はまだ通行止めだったので、国道へ

ところが国道はまた大渋滞。

そこでまた南方の山道を迂回して診療所に着いた。

その日の仕事内容もほぼ通常だったが

交わす会話は台風被害の事ばかりだった。

あちらこちらで数えきれぬほど

崖が崩れ、木が倒れ、畑が冠水していた。

未だに道路や家が冠水している地域へ

ようやく車で近づけるようになっていた。

IMG_0111その日の夕方

国道の札内橋を渡った。

警戒水域を超える増水と濁流が

丸1日続いた札内川の水位も

IMG_0114ようやく下がって

堤外の広大な平地が姿を見せていた。

しかし、その姿は・・・

見るも無残な

テニスコート、サッカー場、野球場、パークゴルフ場

IMG_0122などの姿があった。

跡形もなく流され、崩され

その上に大きな倒木が流れ着き

その倒木が、生き残った立木に凭れ掛かり

そこに中小の流木が引っかかって止まっていた。

IMG_0123芝生はいたるところで裂けて土がむき出し

大量の砂利と、大量の土が

運び込まれて、流れの姿を残し

あちこちに大きな穴と裂け目が出来

泥水を貯めていた。

IMG_0124札内川堤外の憩いの場である

運動公園の施設は

全て破壊され

札内川は

太古の時代の

河原の姿に戻りつつあった。


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旭川出張

8月31から9月3日まで、

IMG_0043旭川へ出張します。

平成28年度北海道地区学会と、第67回北海道獣医師大会に、

出席参加します。

8月31日(水)は昼から、プロダクションメディスン研究フォーラム2016にも参加し傾聴します。

IMG_00429月1日(木)は、地区学会を傾聴します。

同日の夕方には獣医師大会に出席し、そこで私は、

我が町内の犬猫病院長のO橋先生の代わりに、

代理で表彰状を受け取る役目をおおせつかってしまいました。

IMG_0037これは全く初めての経験なので、正直照れ臭いです(笑)。

その後のパーティーには、もちろん出席します。

パーティー会場で豆作を見つけたら、

どうぞ気軽にお声を掛けてください!

IMG_00389月2日(金)は産業動物部門の第2会場で、

私は本名で(当たり前か・・・)発表をします。

エントリーNoは78番なので、時間は11時20分頃になる予定です。

久しぶりの発表なので、照れと緊張と懐かしさを今から感じています。

IMG_0039演題は「腹腔洗浄によって回復したミニチュアホースの腹膜炎の1症例」

興味のある方は、どうぞ聴きに来てください。

そして、遠慮なくガンガン質問していただけると嬉しいです。

馬の研究発表の会場に組み込まれたので

IMG_0040我が敬愛する同窓のドクターhig先生の発表なども同じ会場で

興味深い発表が沢山拝聴できそうで、楽しみです。

その夜もまた旭川市内のホテルに宿泊し

9月3日(土)の朝出発するノースライナー(都市間バス)で帰る予定です。

できるだけ多くの学術情報を吸収し

できるだけ沢山の人との出会いを求め

充実した楽しい3泊4日の出張の旅をしてこようと思っています。

IMG_0044ただ・・・

非常に気がかりなのは・・・

今、家の外で荒れ狂っている風と雨・・・

台風10号による暴風雨が十勝地方を襲っている・・・

半端ではない、すごい音がしている・・・

我が街を流れる札内川の上流の雨量がヤバく・・・

札内川の水位は警戒水域を超えたらしい・・・

札内川の河川敷に近い町内会には避難勧告が出されたようだ・・・

うちの町内会はまだ大丈夫だが・・・

明日(31日)の朝、無事に

旭川行きのバスが出てくれるといいのだが・・・


※十勝毎日新聞電子版からの情報

台風10号の接近に伴う大雨の影響で、帯広市は31日午前2時20分、災害対策本部を設置。同2時半、十勝川と札内川に氾濫の恐れがあるとして約1万6730世帯、約3万2110人に避難勧告を出した。

帯広開発建設部と釧路地方気象台は31日午前3時20分、十勝川に氾濫危険情報を発表した。氾濫危険水位に達し、氾濫の恐れが高まっている。

 浸水想定地区は、帯広、清水、芽室、音更、幕別、池田、豊頃、浦幌


これは、もうダメだな・・・(泣)


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素晴らしくおいしい牛乳

私のブログを読んでいただいて、

たびたびコメントも寄せていただいている、

酪農家の⌘さんという方がいる。

その⌘さんのおすすめの牛乳を、

思いがけず、先日贈っていただいた♪

この牛乳をご存知の方も多いかもしれないが、

Creamery農夢(クリーマリー・ノーム)という

旭川の農場で生産している牛乳である。

IMG_2137この牛乳は、

飼い方にこだわった少数の乳牛から搾乳された

素晴らしい牛乳だった。

この牛乳とともに同封されている一文を

ここにちょっと抜粋してみる。

「最近、家畜たちは産業動物と呼ばれるようになってしまいました。農畜産物を工業製品と同じように大量生産すれば、生産コストを下げることはできるでしょう。でも、『生き物を機械と同じように扱っていいのかな?』と思うのです。例えば、一生牛舎に繋がれたまま年1回のお産を強制され、乳量を増やすために高蛋白質の飼料を給与され、元来持って生まれた寿命を全うできない生活を強いられています。ちょっと休ませてあげればまたお産をしたり乳を出せるのに、現状の採算ペースからはずれた牛はすぐに廃用牛として屠殺されてしまいます。私達は、そのようなストレスの多い産業動物から生まれる食べ物と、ストレスの少ない可愛がられた家畜から生まれる食べ物とは違うと考えています。」

この牛乳はもちろん

ストレスの少ない可愛がられた牛から搾られた牛乳である。

その牛たちは実際

5〜6頭の少頭数で、できるだけ繋がずに飼育され

搾乳も一頭一頭専用の搾乳室に入れて温水シャワーで乳房を洗浄し

仕上げに消毒した布巾を使って乳頭を拭いて搾乳しているという。

理想的なことを口で言うのは簡単だが

実際にそれを実践して

その理想的な牛乳を毎日生産し

それを我々の目の前に製品として提供するというのは

なかなかできるものではない。

そんな素晴らしい牛乳を

実際に飲む機会を作っていただいた⌘さんには

心から感謝を申し上げたいと思う。

では

実際にこの牛乳を飲んでみて

どうだったか、というと

これが、素晴らしくおいしい牛乳だった♪

低温殺菌(65℃・30分)の生乳なので

最初の口当たりはあっさりとした感じ

口に含んでいるとじわーっと味が出て

ゴクリと飲み込んだ後には

深いコクがいつまでも口の中に残った

それは生クリームを舐めた後のような

なんともいえない暖かさと優しさがあった。

IMG_2136たまたま家には

市販の牛乳パックもあったので

それと飲み比べてみると

その違いは歴然としていた。

市販の牛乳の味は

飲み慣れているとはいえ

この、クリーマリー農夢の牛乳の

深い味わいとは全く違った

薄っぺらい味に感じた。

最も大きく違うと感じたところは

市販の牛乳が

「食事の脇役」に過ぎない味なのに対し

クリーマリー農夢の牛乳は

「食事の主役」の味がした

というところだ。

この牛乳を飲んでいると

他には何もいらない・・・

そんな感じがするのだ。

栄養分が壊されずに全てが揃っているような味

さらに乳牛の母性や愛情さえ感じる味

まさに完全な食品・・・

牛乳という飲み物は

本来そういうものである

ということを再認識させられた

素晴らしくおいしい牛乳だった。


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食料自給率1000%の十勝の「凶作」

今年初めて北海道を直撃した台風7号から始まって、

IMG_212610日間の間に、

台風11号と、台風9号と、

間髪入れずに、

北海道上空を通過していった。

IMG_2128台風が1年に3回も北海道に上陸するのは、

観測史上も非常に稀なことらしい。

北海道がこれだけ台風に好かれると、

土砂災害はもちろんのこと

IMG_2131農作物にとって

良いわけがない。

昨日の十勝毎日新聞の一面は

JAなどの農業団体が

気象災害の対策本部を立ち上げた

IMG_2135と報じていた。

十勝の農業団体が

このようなことをするのは

冷害だった1993年以来

ということは、24年ぶり 

という大災害によって

十勝地方の農作物が凶作になる恐れが出てきたということだ。 

十勝地方は我が国指折りの

大農業地帯である。

日本の食料の大供給基地である。

十勝地方の食料自給率は

カロリーベースで1000%を軽く越えると言われていて

それを我々十勝の人間は

自慢の種のひとつにしている。

1000%以上の自給率ということは

収穫した農作物の9割以上を

十勝以外の地域へ運んで消費していることになる。

十勝に住む人の9倍以上の他所の人たちが

十勝で収穫される農産物に頼って生活していることになる。

日本中、あるいは外国も含めて

十勝の農産物に頼って生活している人たちには

とても心配すべき事態になったと言えるだろう。 

天気予報は今日からまた雨が降るという予報のようだ

天気図を見ると

日本の南海上にずっと停滞していた

大型の台風10号の進路が

北東の方向を向き始めたようだ。 


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再び台風直撃か、と思いきや

台風7号の直撃を受けてから、

まだ1週間も経っていないのに、

北海道の十勝地方はまた、

台風の直撃を受けるのか!?

と、昨日の夕方は不安げに空を見上げていたのだが、

どうやらそれは回避できたらしい。

1611-00今は8月22日の早朝、

家の外は静かで

雨風の音は一切ない。

今度の台風11号は

襟裳岬には上陸せず

その東の海上を

釧路方面へ向かっていったようだ。

今度は釧路地方を直撃だ。

気象庁の台風情報を確認すると 

釧路に上陸し

そこから根室方面を北上して

網走からオホーツク海へ出たようだ。

今回の台風は十勝地方のわが町に

被害はもたらさなかったが

隣の釧路地方

さらに根室、網走地方の

雨風の害が心配だ。

なんとか無事であることを祈るしかない。

それに加えて

IR-FL_P3-600mまたまた今度は

台風9号がやって来た! 

情報を見ると

早くも関東地方に上陸をする模様。

気象衛星の写真を見ると

先にやってきた11号よりも

雲の渦巻きがずっと大きくて強い台風のようだ 。

今度は直撃は避けられたようだが

直撃を受ける関東、東海地方に

雨風の被害がないことを 

祈るしかない。 


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台風直撃!

日本にやってくる台風の進路は、

必ずと言っていいほど「く」の字型のカーブを描いて北上してくるので、

日本列島に上陸する台風のほとんどは、

まず、本州のどこかに上陸し、

いったん勢力を弱めてから北海道に再上陸する、

というパターンが多い。

ところが、昨日やってきた台風7号は、

関東地方に上陸するかと思っていたら、

房総沖で進路を変えて、福島沖、三陸海岸沿いを北上し、

狙い定めたように、襟裳岬を直撃した。

その後日高山脈南部から十勝平野を通り

オホーツク地方へ達したところで温帯低気圧に変わった。

IMG_5943私はその晩

ちょうど当直の夜間当番だった。

17日の夕方から

風雨が急に激しくなり 

普段とは明らかに違う、生ぬるい南東の風と雨が

事務所の駐車場にある私の診療車にうちつけるようになった。

IMG_5949事務所の窓や玄関のドアも

いつもとは違う隙間風によって変な音を立てるようになっていた。

東を向いている玄関のドアの隙間から

横殴りの雨が吹き込んでフロアーに水が侵入してきた。

モップでしばらく拭いていたがとても追いつかないので

そのまま諦めて二階に上がったら

二階のフロアーも同じように雨水が侵入していた。

これはやばいかなと思っていたら

風雨はその後数時間で、すーっとおさまり 

薄雲から夜空がのぞく程度になった。

台風はどうやら、速いスピードで

十勝地方を駆け抜けていったらしい。

その晩、夜中の往診依頼は

幸いなことに一軒もなかった。

IMG_5951翌朝は

青空が見えていた。

往診を何軒か持って

いつものように町内を巡っていると

あちらこちらに

IMG_5953台風の爪痕が残っていた。

土砂の流出や小さな崖崩れが

いつも通る道の様相を少し変えていた。

往診先の牧場では

大きな木が倒れていているところがあった。

よく見ると小さな木も結構倒れていた。

IMG_5955同僚の獣医師の往診には

倒れた木の下敷きになって

死んだ牛の検案が一軒あったようだ。

畑の作物では

台風に一番影響を受けやすい作物は

背の高いトウモロコシである。

その中でも、台風にやられ易いのが

牛の飼料に使われるデントコーンである。

往診途中のデントコーン畑を見ると

IMG_5960ほとんどの畑で倒伏が見られた。

デントコーンが倒伏すると

刈り取りに手間と燃料が多くかかるばかりでなく

深く刈り取らなければならないので

土や石ころが混入し

コーンサイレージの品質が低下してしまう。

台風の仕業だからどうしようもないことだが

刈り取りをする時期までに

もうこれ以上の倒伏がないように祈るしかない。

IMG_5952すべての往診を終えて

事務所に帰ってきて

カルテを書き終え

汚れた玄関を掃除して

車を片付けようと

車庫の方をふと見ると

なんと

車庫の裏の松の木が

IMG_5962一本倒れていた。

朝は気が付かなかったのだが

事務所の裏という身近なところでも

木が倒されていたのだった。

この松の木が

もし

車庫の向こうの道路側へ倒れていたら

電線を切断して停電していたかもしれないし

もし

車庫のある手前側へ倒れてきていたら

車庫と車がぐしゃりとつぶされていたかもしれない

危ないところだった・・・


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育成和牛の起立不能(5)

今回の記事の(1)〜(4)で、

神経麻痺の育成和牛の起立不能症を、

2ヶ月以上もに渡って治療し、

なんとか助けようと頑張った様子を書いてきた。

IMG_5802飼主の○さんは、毎日毎日

この立てない牛を

一生懸命に介護して

本当に頭の下がる思いだった。

私たち獣医師もその熱意を感じて

粘り強く治療に当たったのだった。

しかし

結局治癒させる事ができず、

廃用にして殺処分としてしまい、

飼主の○さんも我々獣医師も

大変悔しい思いをしたのだった。

ただ

ここに及んで

ちょっと冷めた目で

冷静に考えてみると

これだけ頑張って育成和牛の治療に励む事ができたという

その背景には

肉用牛の市場価格の高騰、という事情があったのは

間違いのない事だろうと思う。

もし治癒させることができたならば

共済廃用の保険金などよりも

はるかに高い金額で牛を売る事が出来るからだ。 

先日の北海道新聞の記事によれば

十勝産の肉用牛の価格はもう4年連続で過去最高を更新しているらしい。 

どうしてそんな事になっているかというと

肉用牛は依然として全国的に不足しているからなのだそうだ。

特に本州の肉用牛の生産が落ち込んでいるらしい。

肉用牛が全国的に不足している中で

十勝の肉用牛の生産はそれほど減ってはいないので

今や十勝の肉用牛の市場価格が高騰し続けているのだそうだ。

IMG_5899





その煽(あお)りを受けているのが

乳用牛のホルスタインである。

今や多くのホルスタインのメスのお腹の中には

ホルスタインではなく和牛やF1が受胎している。

ホルスタインの親からホルスタインの子牛を取るよりも

和牛やF1の子牛を取ったほうが断然高く売れるからだ。

そんな状況が長く続けば

ホルスタインの後継牛が不足してくるのは当然で

今や、日本全国で不足しているのは

肉用牛の和牛やF1ばかりではなく

乳用牛のホルスタインも不足し始めているのだ。

日本全国牛不足・・・である。

本州の肉用牛生産者や酪農家は

廃業に歯止めがかからないらしい。

牛の畜産家の戸数は、他の農業と同じく

急速に減っているらしい。

日本全国農業者不足・・・である。

さらに、戸数の減少に伴って

残った畜産家の規模の拡大化が進み

牛の多頭飼育化が進む。

政府はこういう多頭飼育化を推奨している・・・のである。

牛の多頭飼育化が進めば

牛1頭1頭に対する人の監視力が低下し

牛の健康状態は悪くなってくることは

以前に私は何度も書いている。

牛1頭1頭に対する人の監視力が低下し

牛の健康状態が悪化すれば

牛は早く死ぬようになり

牛の廃用も増える、すなわち

牛の寿命が短くなる。

牛の寿命が縮まれば

牛の数はますます減ってゆく。

牛の数が減れば

牛の価格はますます高騰する。

これから

日本の牛はどうなってしまうのだろう・・・

(このシリーズ終わり)


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育成和牛の起立不能(4)

78日という日数が経過していた、

育成和牛の起立不能症。

治療を開始してから42診目の朝、

飼主の○さんが重い口を開いた。

IMG_5801「あの・・・」

「・・・。」

「昨日までは、尻尾を持ちあげて手伝ってやると立ったんだけど、今日はもうそれをやっても・・・」

「どうやっても、立てなくなっちゃいましたか。」 

「うん・・・」 

「そうですか。」 

「立つことさえできれば、水や餌のところへ行っていたんだけど・・・」

「立てないんじゃ、行けないですよね。」

「だんだん、食わなくなってきたんだよね・・・」

「そうですか。」

「水もあんまり飲まなくなっちゃって・・・」 

「そうですか。」

「もう、ちよっとこれは・・・」

IMG_5802「・・・うーん、そうですね。」

「・・・。」

「・・・諦めますか?・・・。」 

「うん・・・そうしてもらえるかな・・・」 

 42回も診療に通っていると

飼主の○さん夫婦はもちろんのこと

我々獣医師の方も

この牛に情が移っていて

この牛の廃用処分決定を下すのは

とても辛いものがある。

しかしここまで来て

好転せずに、むしろ少しづつ

症状が悪化をしているのであれば

致し方ないのだった。

IMG_5800「やるだけやったから・・・」

と○さん。

「頑張ったんだけどね・・・」

と奥さん。

「じゃあ、連合会に電話して、廃用の認定してもらいますね。」

回復に向けての治療という方針から

頭の中を180度切り替えて

廃用すなわち殺処分という方針へ向けて

私は粛々と手続きを始めた。

病名は坐骨神経麻痺。

この牛は治療の間ずっと食欲旺盛だった。

それを飼主の○さん夫婦はずっとサポートし介護していた。

最後は、食欲が落ちてきたといっても

それは内臓に疾患があったわけではなく

足腰が立てなくて食べに行けないだけだった。

最後まで鼻は濡れ

目は普通に輝いていた。

合掌

・・・

ちなみに、この牛の

筋肉の損傷を示すと言われるCK値は 

初診時は 1520  U/L

終診時は 983  U/L

数値だけ見た限りでは

筋肉の悪化はしていなかったようだ。

(この記事もう少し続く)


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育成和牛の起立不能(3)

「立てるようになっていたあの牛なんだけど、また立てなくなってしまって・・・」

そんな電話が○さんからかかってきたのは、

その牛が治癒したと判断して治療を中止してから

19日が経過した日の朝だった。

往診してみると、

立つ気持ちはあるのだが、

起立することができない。

「市場の日だったんだけど、帰ってきて見たら、背中が汚れてて立てなくなって・・・」

「他の牛に乗られたんですかね。」

「一緒にしたんで、きっとそうなんでないかな・・・」 

「それまでは、隔離してたんですか。」 

「うん・・しばらくそうしてたんだけど・・・」

「弱いから、やられちやったんですかね。」

「うん・・・元の場所に戻すのが早かったのか・・・」

「手伝ってやれば立てるんですか。」

「そう、尻尾を持ってやればね・・・でも前足が踏ん張れなくなってて・・・」 

「右の前足、ちょっと曲がってますね。」 

「そう。そこが踏ん張らなくて、コロッと転けてしまって・・・」

「うーん。また電気針やってみますか。」

「それで良くなるのであれば・・・」

「やってみないと判らないけど、ここまできたら、頑張ってやってみましょうか。」

「はい・・・お願いします・・・」

IMG_5728かくして、再びこの牛の電新針治療が始まった。

毎日、天平ー百会、左右気門、20分

27診目から32診目まで通電。

尻尾を持ち上げる介助をすればなんとか立てる。

しかし

右前肢の踏ん張りが、うまく利かないので

33診目の電針治療からは

IMG_5732左右気門の経穴から

右肩関節周囲の経穴へ変更して20分通電した。

また、このころから

体の腕節や飛節や大腿部に

褥創ができ始めたので 

IMG_5733感染症を恐れて

抗生物質(ペニシリン)と解熱鎮痛剤(スルピリン)の併用を始めた。

そして、37診目 。

「右の前肢は、踏ん張りが効くようになってきたみたい・・・」

「そうですか。」

「でも、やっぱり後肢が上がらないんで・・・」

「尻尾を持って、手伝わないと立ないですか。」

「そうなんだよね・・・」

そこで、 38診目からは

再び、通電する経穴を天平ー百会、左右気門、へ戻し

20分通電を続けることにした。

抗生物質し解熱鎮痛剤は相変わらず毎日継続投与した。

そして

IMG_579942診目・・・

治療を開始してから

実に

78日という日数が経過していた。

「あの・・・」

「どうしました・・・?」


(この記事続く)



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育成和牛の起立不能(2)

前回の記事の起立不能の和牛は、

昨年の7月15日生まれだった。

初診は今年の4月26日で、

不慮の事故で起立不能となった。

生後約8ヶ月齢での出来事だった。

補液や消炎鎮痛剤や神経賦活剤といった薬剤による内科治療を、

10診続けたが効果はほとんど見られなかった。

11診目から治療方針を変えて

理学療法、すなわち経穴への針治療に切り替えた。

IMG_5428経穴に刺入した針にパルスの通電を施し

それを毎日20分程度続けた。

経穴に刺入した電針の通電治療を始めて

1週間目の17診療日に

なんとなく自力での起立意欲の高まりと

後肢の筋力の回復が明らかになり

翌日の18診目には

飼主の⚪︎さんが少し尻尾を持ち上げて介護すると

IMG_5431立ち上がる様になった。

こうなると、⚪︎さんの介護の意欲も当然高まってくる。

それからは毎日、起立補助と

歩行の訓練が開始された。

毎日、経穴への電針治療を続けながら

IMG_5694起立介助を施し続けていると

牛の起立時間は少しずつ伸びていった。

後肢の球節にナックルは残るものの

起立姿勢も改善し

とうとう自力で立てるようになった。

歩様も、蹌踉ながら一歩一歩進む様になった。

IMG_5520自力でなんとか水場と飼槽へ

たどり着ける様になったところで

一旦治療を中止して

様子を見ることにした。

様子を見ることにした日は、6月3日。

IMG_5696初診からじつに1ヶ月以上経過していたのだった。

今回の症例は

四肢の神経麻痺の起立不能症に対して

経穴への電針治療の効果を確認できた症例と言える。

それから約20日間 

畜主の⚪︎さんからは何の連絡もなく

この育成和牛は

めでたく治癒となった・・・

と・・・

思われたのだが・・・


(この記事続く) 


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育成和牛の起立不能(1)

初診時(第1病日)、

稟告、「昨日、除角をした後、転倒した。その後起立するも、後肢の運びが悪く跛行を示していた。 本日朝、立てなくなった。」

上診時、起立不能。

T38.5  P90  R 20、食欲不振、起立意思あるも立てず。

筋炎および神経麻痺を疑い、

リンゲル等補液、ビタミンV1剤、解熱鎮痛剤、副腎質ホルモン剤、などを投与。

 第2診目

起立不能。吊起するも崩壊する。食欲は回復傾向。

リンゲル、ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第3診目

起立不能。吊起するも後肢に力が入らず。食欲あり。 

リンゲル、ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第4診目

起立不能。吊起するも後肢に力が入らず。食欲あり。 

リンゲル、ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第5診目

起立不能。起立意思あるも、這いずり回るのみ。食欲あり。 

ビタミンB1、解熱鎮痛剤投与。 

第6診目

起立不能。後肢麻痺。食欲あり。 

ビタミンB1、解熱鎮痛剤、投与。 

第7目〜10診目

起立不能。症状変わらず。 

ビタミンB1、解熱鎮痛剤、投与。 

第11診目

IMG_5427起立不能。症状変わらず。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)を開始する。

ビタミンB1、解熱鎮痛剤、投与。

第12診目〜17診目

IMG_5429
起立不能。症状変わらず。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。



第18診目

IMG_5430起立不能も

畜主の介助により後肢を踏ん張るようになる。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 

第19診目

IMG_5431畜主の介助によって起立したとのこと。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 



第20診目

畜主の介助によって起立。両後肢ナックル。歩行不可。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 

第21診目〜24診目

IMG_5519畜主の介助によって起立。両後肢ナックル。

歩行不可も、起立時間延長する。 

電針治療(天平ー百会ー左右気門、20分通電)。 

第25診目

往診時、自力で起立。歩行は困難。経過観察。


(この記事続く)

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