北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

処女作

自分の俳句を、毛筆で、短冊に書くなどということは

一度もやったことがなかった。

そんなことは、名の通った大先生のすることだと思っていた。

ところが・・・このたび11日から始まる「第8回とかち文化まつり」の、俳句の部に、私も作品を出品することになってしまった。

習字などは中学校の授業以来やったことがないので、まるで自信がない。
 
十勝の俳句界のベテランの人たちに混ざって、私の拙い作品が展示されると思うと、なんだか大きなプレッシャーを感じる。

でもまぁこれも、俳句の修行のひとつだと思って、半ばヤケのやんぱち。

開き直って暴挙に出ることにした。

処女作与えられたテーマは「水」。

メインテーマである「地貌往還〜花鳥水石」の中の、水の部だそうだ。

このテーマで出す予定の、他の俳人は、みんなベテランばかり・・・

私一人が初心者のようなものだ。

句の内容については、活字にしてもらったことがある俳句ばかりだから

ギリギリ恥ずかしくはないレベルのものだとは思うが

毛筆の文字のほうはがまるで初心者・下の下・・・である。

こんなのでいいのかなと思うけと゜、もう書いてしまったし(笑)

あとはもう明後日、これをとかちプラザへもっていくだけだ。

11日から15日まで、展示しますので、暇をもてあましている方がいらっしゃれば、どうぞ、見に来てください。

スクレーパー

「安田さん、蹄病の治療に、ドライバー使ってるんですか?」

朝の往診準備をしていると、新人獣医師のK君がそう聞いてきた。

「うん。そうだけど・・・」

「ドライバーより、もっと使いやすいやつ、あるんですよ。」

そう言って、K君は自分の道具の中から、こんなものを取り出した。

スクレーパー「スクレーパーなんですけどね。普通の平べったいヘラみたいなヤツじゃなくて、こんな形してるんですよ。」

「・・・へー。スクレーパー・・・ね。」

「A町の友達が使ってて、いいぞって言ってたんで、このあいだ買ったんですよ。600円くらいで買えますよ。」

「ドライバーよりいい?」

「いいですね。幅が広いところで大きく取れるし、尖がってるところで穿れるし、安田さんも使ってみたらどーですか。」

「へー。そんなんで買えるんなら、買おっかなー。」

ありがたいことである。

蹄病の治療道具は、ここ5〜6年、新しいタイプの道具を採用したことがなかった。

蹄にこびりついた牛糞をはがす道具は、もっぱらマイナスドライバーでやっていて

自分の頭も手も、それに慣れてしまっていた。

スクレーパー1早速ホームセンターでこのスクレーパーを買い

昨日の蹄病治療でデビューさせてみた。

これがまた、使い勝手がとてもよかった。

蹄の外壁にこびりついた糞を落とすのは

まさにこの道具の、本来の機能であり

その幅広い頭の部分でメリメリと剥がせる。

スクレーパー2さらに

先端の一部が尖っていることにより

広い刃が入りづらいところの糞に

先端を差し入れて割り

パカッとはがすこともできる。

どういう考えがあって、このような形にしたのか知らないが
スクレーパー3
まるで、蹄病治療をする人の意見を聞いて作ったのではないかと思うほどの使い心地である。

趾間部分の掻き出しも

幅が広くて一気に取れるのが嬉しい。

今まで使っていたマイナスドライバーには

たいへん気の毒だが

戦力外通告・・・を出さざるを得ないかな(笑)

十勝かろやかしぼり

軽やかしぼり今、町のスーパーの乳製品コーナーで一番売れている牛乳がコレだ。

「十勝軽(かろ)やかしぼり」

名称は単に『牛乳』とはいわず、いわゆる『成分調整牛乳』と呼ばれるものだ。

普通の牛乳200ml中の脂肪分が8.5gなのに対し

成分調整牛乳200ml中の脂肪分は5.2gである。

しかし、いわゆる低脂肪乳とも違っていて、コクがあってうまい。

まさに、軽やかな味なのだ。

乳製品コーナーしかも、値段のほうもご覧のごとく

普通の牛乳よりも安くなっている。

今年の4月に、牛乳の生産者価格が上がった。

しかし、スーパーの乳製品コーナーを注目してみていると

小売店頭の値段は、特売日などを設けて、独自の値段で売る努力をしているようだ。

下の写真は軽やか売れ筋同じ系列の別店舗の特売日。

ご覧のように、「軽やかしぼり」ばかりが、なんと売り切れになっていた!

いつもの値段より20円安く売り出す特売日には、従来の牛乳と、成分調整牛乳にはこれだけの差が出る。

この差は、10円の価格差だけなのだろうか。

「軽やかしぼり」の「うまさ」も加味された人気のような気がするがどうだろう。

加工技術の勝利なのだろうか。

「軽やかしぼり」人気の影で、バターの在庫がだぶつき始めているらしいけど・・・

     *    *    *

コーラと・・・
コンビニに行ったら、コカコーラの1リットルサイズが店頭に並んでいた。

値段は・・・1本、199円だった。

一方の「軽やかしぼり」。

値段は・・・1本、178円だ。

コカコーラの製造過程を私はよく知らない。

一方、「軽やかしぼり」ができるまでには、酪農家が牧草などの餌を作りながら、子牛を育て、種付けをして、育成し、牛糞にまみれないように寝床を毎日きれいにし、分娩させて、毎朝毎晩ミルカーを装着して生乳を絞り、それを業者が専用ローリーで集荷し、成分調整の工程を経て、1リットルのパックとして出来上がる。

コカコーラは、それに比べてどんな生産工程で作られるのだろうか。

本当に199円で売るくらいの価値が、コカコーラにあるのだろうか?


繁殖放談・時事検診

「若牛(未経産)も何頭かスタンチョンに入れてるんだね。」

私は▲さんの牛の直検(繁殖検診)をしながら言った。

▲さんは経産牛30頭に満たない身軽な経営である。

「うん。まぁ、たまたま空いちゃったもんだからね。こっちに入れちゃったのよ・・・搾りの牛買ってきたら高いでしょ。こうやって自然に増やすの、これが一番金がかかんなくていいい・・・でもね、農協はいいこと言わないんだなこれが。」

「もっと沢山搾れ、って?」

「そう。金貸すから、もっと買って搾れって言う。やつらは金貸しなんだ。・・・牛屋にたくさん搾らせて、手数料稼ぐことばっかり・・・」

「銀行と同じだね。・・・はい、これ妊娠プラス。」

「デカイ銀行なんてさ、パンクしても国が公的資金を注入して助けてもらって、いいよなー。今度は銀行じゃなくて、JALもそうなる、いいよなー。JAL退職したOBのために公的資金なんてね。」

「まぁ、JALつぶれたらまずいからね、帯広から東京飛ばなくなったら困るし・・・」

「このあいだ、東京便乗ったら、スチュワーデスがえらく年増の不細工でさ、それがシートベルト以外にもテーブルだ背もたれだなんだかんだって、こうるさくて、参ったんだよな。宝石は売りにくるし、なんかスチュワーデスも質落としてんじゃねーのかな。キャビンアッテンダントとか何とか言いやがって。」

「(笑)、・・・はい、これもプラス。」

「国営化に逆戻りもどーなのかね。郵政だって俺は、民営化されてよかったと思ってるよ。あのガマガエルみたいな顔した亀井大臣はどーするつもりなんだか・・・」

「民営化で、郵便局員の挨拶はよくなったね。」

「そうでしょ。オらの部落のあんな小さい所に局長と部下2人もいたんだから。民営化前なら3人ともロクな挨拶しなくて、何様よって感じだった。臨時に雇われてた■の爺さんなんて午前中1軒配達して、あとは家の畑起こしてたからね、それで給料もらってんだから、どーもならん・・・」

「・・・うーんと、これは嚢腫。LH(-RH)打つからね。」

「次は・・・と、これも若牛。未経産。」

「生産調整してるわけじゃないんでしょ(笑)。」

「ははは。今年は年度途中の緊急対策は、まだないよ。」

「2年前にあった、AタイプとかBタイプとか言うアレね。」

「あんなの、オらに言わせたら、まったくけしからんね。」

「・・・はい、これはプラス。」

「生産過剰になったのはさ、年度枠の実績無視のデカイ牧場に自由に搾らせたからなのよ。いきなりどーんとでっかくして参入して、ガンガン搾って。」

「・・・はい、これもプラス。」

「余っちゃったのは奴らのせいなんだから、まずはそいつらを出荷停止にすべきだったんだ。」

「・・・これは、・・・排卵した後みたいだね。」

「農協は金貸したいもんだからさ、デカイ所にやれやれって規模拡大やらせといて、乳余ったらさ、組合員あまねく均等に生産調整・・・そんなのあるかって。」

「うーん・・・たしかに・・・。」

「そういう生産調整のところだけ『協同組合』なのよ(笑)。堅実にやってるところは馬鹿を見る、強者の味方の『金貸し』なんだから。」

「なるほど(笑)・・・はい、これもプラス。」

「えっと、・・・これで終わりだね、以上です。」

久しぶりに、▲節を聞きながらの、楽しい時事放談・・・じゃなくて繁殖検診だった。

 直検は手ですべし、頭でするべからず。

 牛の過去を信じて、未来を疑え。

というのが私の繁殖検診のモットーだ。

ちなみに

放談の内容についてはすべて▲さんのご意見。

私はすべて聞き役なんで、あしからず(笑)

二桁手術数

先日は、午後からの手術が10頭あった。

それもすべて、乳牛の第四胃変位ばかり。

久しぶりの二桁手術だったが、それほど珍しいことではなく、仕事は淡々と進んだ。

手術室には述べ6人の獣医師が、それぞれの手術の担当をしたり

助手をやったり、入れ替わり立ち代り・・・

手術台は2台を同時に稼動させるので、1頭に思わぬ時間がかかっても、隣の台のもう1頭が終われば、その後に入れるので、時間の無駄が少ない。

しかし、この数になると主治医が誰で、畜主が誰で、術者は誰で、どんな症状で、どういう目的の手術かということが、こんがらがってくることがある。

今回は四変ばかりだったから、術創は傍正中切開でよかったけれど

「この牛は、ほんとはケン部切開からアプローチしてほしかったんだけど・・・」、などと後で言われたことがかつてあった(汗)。

主治医が居らず、どこを切っていいのかわからず、電話で問い合わせたりすることもあった。

手術10頭切った後の、道具の洗浄や滅菌もひと仕事である。

洗浄した四変用の、山のような手術器具を

写真のように分配して、青いタオルでくるんで

さらにそれを専用シートで封をし

オートクレーブに入れて滅菌する。

ちゃんと確認をして、ワンセットずつ包むのだが

この前術者をやって、包みを開けたとき

メスの柄が入ってなかったゾ・・・

ばんえい競馬の診療所

もう5年以上も前になるだろうか。

音更町にある独立行政法人・十勝牧場で、重輓馬生産者を対象にした勉強会があり

帯広競馬場内にある診療所の先生による、重輓馬の消化器病についての話を聞いたことがあった。

私は若いころ、年配の大ベテランの競馬場の先生からいろいろ重輓馬の診療について教えてもらったことがあったので

この時の話もそんなイメージがあり、てっきりベテランの大先生の講義かな、と思っていた。

ところが、当日壇上に立ったのは、背のスラッと高い若い獣医師だった。

講義の内容も、私たちにはとても新しく、馬の消化器疾患について競馬場での診療の実際が、海外の文献などを沢山読みこなしたと思われる知識に結びつけられた、大変興味深くためになるものだった。

「ばんばの競馬場の診療所もこれで変わるな・・・」と、予感させるものがあった。

その、若い先生(drafthorse先生)が去年からブログを書いている。

「世界でひとつ」ばんえい競馬の診療所

以前から、私のブログにもリンクを張らせていただきたいと思っていて

今日、ようやく初めて書き込みをしたところ、有難いことに早速快諾していただいた。

私自身は、最近馬を診る機会がすっかり減ってしまい、寂しい思いをしているが

同じ十勝の中で、重輓馬を診療する獣医師として

このブログはたいへん羨ましく、また貴重なものだと思う。

と同時に、大変心強いリンクが出来たと感じている。

drafthorse先生、これからいろいろ情報交換など、どうぞよろしくお願いいたします。

メイク‐ドラマ

妻が好きなせいか、我が家のテレビにはいつも時代劇やら連続ドラマやらが映っている。

私はスポーツ中継のほうがいいのだが、残念ながら私にはチャンネル権が無い・・・。

最近気になるのは、民放で医療関係のドラマの放映が多いことだ。

ドクターヘリ、チームバチスタ、救急医療最前線などなど・・・そして10月からは、産婦人科医のドラマが始まったようだ。

現実の医療の現場を反映してか、超多忙極まる医師たちが病院内を駆け回り活躍するといった内容が多い。

テレビは現実社会を映し出すわけだが、ちょっとうがった見方をすると

ロケが少ない・・・。

不況が続いているのは、テレビ局とて例外ではないのだろう。

制作費を安くあげて高い視聴率を獲得するために、医療系ドラマの連発リリース、という現実が見え隠れする。

手術室や病室のセットも、一度使っただけではモッタイナイだろうしね。

さて

医療系ドラマに対して畜産獣医系ドラマ(?!)はどうだろうか。

是非とも作っていただきたいものだが

畜産獣医系ものは、動物を使わねばならないのが最大のネックだろうと思われる。

演技のうまい犬や猿、イルカなどが過去にはいたが、育成・調教・管理が大変だろう。

親子白牛ましてや、馬や牛など・・・制作費から考えても、まったく話にもならないことが想像できる。

動物が登場する畜産獣医系の

名作テレビドラマの誕生する可能性は

残念ながら

極めて低いだろう、と言わざるを得ない。

アイスホッケー

ホッケー1帯広の森アイスアリーナで、高校アイスホッケー北北海道大会・十勝地区予選の決勝を観戦した。

息子の同級生たちが出場するS学園高校の応援である。

ホッケー2ひんやりとしたアリーナの中で、熱い戦いが繰り広げられた。

とにかくすごいスピードだ。

ゴール付近の透明の防護ボード越しに、携帯のカメラを構えていると
ホッケー3
向こうの相手ゴール付近にいたかと思った選手たちが、パックと共に一気にこちらの方へ押寄せてくる。

素早いパス回しの中から一人が強烈なシュート。

ホッケー4パックはキーパーのグラブとゴールの上をかすめて、私の頭上の透明ボードに割れんばかりの衝撃で当たって、落ちた。

落ちたパックに、数人の選手が殺到する。

選手同士が激しくもみ合って、そのまま私のすぐそばの壁にドーンと体当たりした。

そしてホイッスル、フェイスオフをくりかえす。

すごい振動が何度も私の体にも伝わってきて、迫力満点だ。

我が息子らの応援団はメガホンで声を合わせ、選手たちを鼓舞していた。

結果は、S学園がS高校を6対3で下して優勝。

北海道の高校生のレベルは、日本のトップレベルだそうだ。

この日の試合に出た選手の中にも、実業団入りや有力大学入りが決まっている子がいる。

いずれは全日本選手になりそうな有望株もいる、と息子は言っていた。


子牛の頚静脈怒張法

腸炎などの急性感染症で、子牛が起立不能になると

その子牛の頚静脈に留置針を差し込んで、点滴治療を施す。

臨床獣医師ならば、誰でもやっている手技である。

ところが、この留置針がなかなか血管に入らないときがある。

脱水で子牛の血圧・血流量が極端に低下しているのだろう。

横臥している子牛の頚部を指で駆血しても、いつまでたっても静脈が膨らんでこないことがある。

こういう時は、子牛の下(後)半身を頚部より高くしてやると、静脈が膨らみやすくなる。

先日のμさんの子牛もそうだった。

ホルスタインの生後約一週の急性下痢で起立不能、眼球陥没、体温低下、虚脱状態。

頚静脈がまったくわからない。

μさんに子牛の足を持ってもらって、後半身を高くした・・・しかし、頚を駆血してもまったく怒張しない。

数分繰り返しても、カスリもしない・・・時間がどんどん経つ。

「トラクターで吊り上げるか。」

瀕死の点滴1最近学習したこの方法。

人力で持ち上げてもらう程度では、不十分な場合が多く

飼主の体力的にも限界があるので

こういう時は早々、トラクターなどの機械で、子牛を逆さ吊りにしてしまうほうがよい。

肩が完全に持ち上がるまで吊り上げる。

飼主も、手馴れた作業で楽である。

瀕死の点滴2こうすれば

どんなに血圧の下がった牛でも、頚静脈は怒張する。

指で駆血してもまったく膨らまなかった頚静脈がウソのように怒張し、留置針の挿入完了。
 
瀕死の点滴3子牛をゆっくりと下ろして、点滴開始。

あとは、抜けないように保定し

次の仕事へ向かう。

ところで・・・

頚静脈が膨らまず、留置針を入れづらくなるのは

和牛よりも、圧倒的にホルスタインのほうが多いような気がするのですが

皆さんはどうですか?


早や産まれ

ちび4このちびちゃん子牛は、9月11日に生まれた。

今日で、生後約1ヶ月目の写真。

じつは、出生予定日が、本当は今日だったのだ!

母親の受精月日は1月5日。

3を引いて10を足せば、だいたい今日あたりになる。

ちび2ちびちゃんが生まれた次の日の9月12日、τさんの往診に行った私は

この未熟児を診察した。

起立不能、哺乳欲ゼロ、体温低下、排便無し。

浣腸と、栄養剤の点滴をして

「ウンチがでて、飲む力が出てくれれば、あとは、この子の生命力かな・・・」

と言って帰ってきたことを覚えている。

その後がんばって育てていたのが、τさんの奥さんだった。

毎日少しづつ何回も、保育用の管でミルクを強制授乳し、1週間ほどそれでがんばった。

そのうちに、乳首自力で吸う力がだんだん出てきた、が

いきなり普通の授乳乳首では大きすぎたので

τさんは、農協の資材へ行って、ヤギ用の乳首を見つけてきた。

これが、未熟児君の口にピッタリ会ったのだという。

なるほど、こんなものがあるんですね。

私は以前ヒト用の哺乳瓶の乳首で、子馬を育てているおじさんを知っていたが

ヤギ用の乳首で未熟子牛を育てるのを見たのは初めてだった。

とにかくこの子牛を何とか生かしたい、育てたい、というτさんの奥さん気持ちが、このヤギ用乳首を発見し、

試行錯誤の結果、新しい知恵となったのだ。

それが素晴らしい。

「ものになるのかどうか・・・」

と、τさんは笑っていたが

この牛が『ものになるかどうか』も大事だけど

『この子牛を育てたという事実』は

それ以上の価値のあること、なのだと思う。

デントコーン収穫間近

09bd5b3f.jpg生育が心配されたデントコーンも

いよいよ、収穫間近となった。

私の家のあるM町S地区では

もうとっくに刈り終わっているのだが
デントコーン
我が診療地区の方は

海に近いせいもあり、気温が上がらず

生育も遅く、小さい。

デントコーン5さらに、写真を撮っている圃場のコーンは

周りの手入れをされている畑のものと比べて

ひときわ雑草が多かったものだから

勝手に心配をしていた。
DVC00004
だが

10月の収穫時期を間近に控え

何とかそれなりに、伸びてくるものだな

と、感心しながら、4枚目の写真のシャッターを押した。

よく見ると、かなり余計な物が畝からのぞいてますが(笑)

切り込んで、コーンサイレージとしてうまく醗酵してくれることを願っている。

生育のよいものと比べて、味がどれだけ違うのか、違わないのか・・・

きっと、微妙に複雑な味が混ざったコーンサイレージになるだろう

肝心な嗜好性はどうなのかな。

こればっかりは、牛に食わせてみないとわかりませんね(笑)

        *      *      *

サンマ昨日の夕食は

帯広の回転寿司に行って来た。

サンマが旬である。

サンマの刺身や寿司は

道東では、当たり前にうまい。

サーモンもうひとつ

旬の寿司でうまいのが

定番のサーモン。

シャケとは呼ばない。

アキアジというと一本丸ごとというイメージ。

回転寿司屋ではサーモンと呼ぶのが定着しつつあるようだ。

写真のような基本形以外に、大とろサーモン、炙りサーモン、軍艦巻き、いくらとの親子巻き、漬け味サーモン、オニオンマヨネーズサーモンなど・・・

サーモンにはいろいろなバージョンがあり、そのシリーズだけで満腹になってしまうのだ。


血清蛋白分画と臨床症状

牛の血液検査でよく調べる値の中に、「血清蛋白分画」がある。

血清の蛋白質を電気泳動して、成分構成をグラフ化したものだ。

波形の微妙な変化を読み取るためというより

γ(ガンマ)グロブリンがどれくらいの割合で血中に存在するかを知るために

この検査をする獣医師が多いと思う。

7d29a282.jpgたとえば、写真のような波形を見たら

牛の獣医師は、普通

「あーこれは・・・ひどいねぇ」

と言うだろう。

右端の山が異常に高い、つまり

γ(ガンマ)-グロブリンが異常に多い

いわゆる「慢性炎症型」の波形である。

そして

「これはもう、牛がもたない・・・」

と思うだろう。

γグロブリン、すなわち免疫抗体の成分が血液に異常に増えているのは

感染が長引いて、体内の免疫反応が慢性化し、泥沼の戦場と化している事が想像できる。

体のどこかに、決定的な感染病巣があるに違いない。

肺炎、肝膿瘍、創傷性胃炎、脾炎、心内膜炎、関節炎・・・?

分画のパーセンテージから、実際の濃度を計算してみると

総蛋白      10.9 (mg/dl)   正常値は 約7.2(mg/dl)
 アルブミン     2.3 (mg/dl)   正常値は 約3.5(mg/dl)
 α-グロブリン    1.3 (mg/dl)   正常値は 約0.9(mg/dl)
 β-グロブリン    1.2 (mg/dl)   正常値は 約0.6(mg/dl)
γ-グロブリン    6.2 (mg/dl)   正常値は 約2.0(mg/dl)
 A/G   0.26 正常値は  約 1

だから

これは大変な高グロブリン血症である。

総蛋白質濃度が高いのは、おそらく、脱水のせいだと思われる。

さて、この牛は

どんな臨床症状だったのかというと

稟告は、朝から起立不能。 分娩は約2ヶ月前。

T38.6 P88 R20  

上診時、牛舎の通路で立てずに横臥。

BCSは2.75程度。臀部と肘に褥創があり、飛節が腫れている。

診断病名は「関節炎」とした。

おそらく、歩くのが痛くて水も十分飲めていなかったのだろう。

リンゲルなどの補液と、抗生物質を投与した。

牛床はコンクリートで、麦稈の敷き藁だが、量が少ない。

関節炎の多発農場は牛床に問題があることが多い。

そして、牛の運動不足、密飼い・・・

牛の関節は悲鳴を上げているのだ。

(これはダメかな・・・)

この牛を初診したとき、そう思った。

ところが翌日、あっさりと立って餌を食いだしたという。

しかし翌日、「血清蛋白分画」の波形を見てまた

(やっぱりダメかな・・・)

と思った。

ところが翌々日も、牛は立ち上がって餌をさらに食い、乳の生産を始めたという。

血液所見はひどくても、ケロッとしている牛もいるのだ。

何事も例外なく、という事の無いのが、臨床の現場。

しかし、一見ケロッと治ったように見えても

牛っていうのは、我慢に我慢を重ねて、痛みに耐える動物だから

限界が来て、そのうち忘れた頃に

また電話がかかってくるんだろうなー

「例の牛やっぱり立てなくなったんだけど・・・」 と。

そのときは、迷わず廃用宣告をしようと思っている。

めすばら

DVC00003
Пさんの繁殖検診を終えて

繁殖台帳へ結果を記録していたら

この牛、むむ・・・なかなかの好成績なのだ。

1産目が平成16年6月20日♀。

つづいて翌年から、ほぼ1年1産で今年の7月21日まで無事に産んでいる。

そして、見事に

産子のすべてが♀。

しかも

平成20年は、♀♀の双子を無事に取っている!

写真がボケてしまって恐縮だが、こんな成績を残している牛は、家宝者である。

こういう牛は♀を産みやすい体質を持っているのではないか・・・

いわゆる、雌腹(メスばら)というやつ。

人でも、女系家族というのがあるけれど、牛には遺伝的なそういうものはないのだろうか?

それとも、ただの偶然に過ぎないのだろうか。

最近はX精液(X染色体を持ついわゆるメス精液)が普及してきたが、それでもまだオスが生まれることがある。

現場というのは確実ではないのだ。

繁殖学・遺伝学の教科書に従えば

卵子のほうには、性の決定権はない。

しかし、雌腹がもし本当にあるのだとすれば

それはもしかすると、卵子にX精液を受精させさせやすい卵管内環境や子宮内環境があるのかと思われる。

それとメス精液が組めば、鬼に金棒である。

メス卵管!?、メス子宮!?というのだろうか。

      *    *    *

DVC00001ピンボケ写真、ついでにもう一枚・・・

後の子供にピントが合ってしまった。

左下にいるのは

キリギリスなんですが・・・

キリギリスが鳴くのは雄のみらしい。

雌のキリギリスは、きっと蟻のように働きのもなのだろう(笑)

      草色の弦と弓もつキリギリス

 

ドナドナの現在

「ある晴れた 昼下がり 市場へつづく道」

というところは、現在も昔もあまり変わらないと思う。

ただし、当時の道は、土か砂利の道だっただろうけれど

今はアスファルトの舗装道路だ。

「荷馬車がゴトゴト 子牛を乗せてゆく」

というところは、昔と今では大きく違っている。

a4028b0d.jpg今はもちろん荷馬車ではなく

立派な家畜車である。

昔は子牛をどうやって荷馬車に積んだのだろう。

結構苦労して積んだのではなかろうか。

今では、写真のようにゴムの腹帯のついたロープで子牛を吊り上げる。

fecc4b6a.jpgロープの上にはバネ秤がついていて

体重が一発でわかるようになっている。

吊り上げた子牛を、家畜車荷台の横に取り付けた扉を開けて誘導して積み込む。

写真の子牛の体重は、40kgを指していた。

ホルスタインの子牛にしてはかなり小さめである。

この牛は実は、フリーマーチンだった。

「かわいい子牛 売られてゆくよ 悲しそうな瞳で 見ているよ」

このような情緒は、今の多頭数の飼養形態ではなかなか生まれないのかもしれない。

子牛を毎日のように売っていたら、いちいち感傷に浸っては入られない

というのが普通だろう。

でも

時々、そんなんでいいのかな?と思うこともある。

牛1頭1頭に対する、人の視線や思い入れが、ずいぶん減ってしまった。

牛と人との関係が、薄っぺらくなってしまったのではないだろうか?

さらに

荷馬車がトラックに変わってしまったことも、大きく情緒を殺いでしまった。

写真を撮ったこの子牛は

なかなか可愛いらしい顔をしていた。

「ドナドナドーナドーナ 子牛を乗せて ドナドナドーナドーナ 荷馬車が揺れる」

荷馬車を引く馬の、静かな優しそうな表情が

見たこともないのに、目の前に浮かんでくる。

この哀愁たっぷりの曲と、悲しげな歌詞

これは、迫害されたユダヤ人の歴史を表わしているという説もあるらしい。

一度聞いたら忘れられない。

名曲だと思う。





馬回虫

初診は当歳馬たちに虫下しを飲ませた日の夕方だったという。

疝痛・・・にて上診、T38.3 P66、フルニキシン製剤注。

翌日の早朝、疝痛は治まってきたものの元気がないとのことで再び上診。

症状はほとんど変わらず、排便は僅かに数百グラムのみ。

補液と下剤を投与した・・・。

ここまでが、当番の獣医師からの伝言だった。

この日の昼は飼主の∵さんは病院へ治療と検査に行かねばならず、どうしても不在になってしまうという・・・

が、気になるので様子を見てきてほしいということで

私は、飼主不在の牧場へ、この当歳馬を診にいった。

パドックに放されているので、捕まえようとしても逃げてしまう。

何とか捕まえて、聴診器を当ててみた。

蠕動は弱く、食欲がほとんどない・・・T38.4 P70

直腸内には宿便が百グラム程度のみ。

目にいまいち活気がなく、時々後を振り返るような仕草をした

しかし何かしようとするとすぐ暴れて逃げようとした。

嫌な予感がした。

飼主の∵さんには連絡が取れないので、息子さんの携帯に連絡を入れた。

「なんだか余り良くなっていないようなんだけど・・・お父さんが帰ってきたらまた連絡してくれますか?、私、今夜当番ですから。」

と、息子さんに言っておいて、牧場を後にした。

夕方5時過ぎに、父さんから電話がかかってきた。

「全然食べないんだけど、診てくんないべか・・・」

日が落ちて暗くなった牧場に着いて、症状を診た。

T39.3 P106 R50 全く元気がなく、宿便は百グラム程度。

直腸へさらに深く手を入れてみると・・・

自転車のチューブのような腸管が、所狭しと膨らんでいた

嗚呼・・・これは・・・完全な通過障害・・・だ。

飼主夫婦と息子さんの前で、状況を説明するのが辛かった。

私たちの技術ではもう助ける事が出来ないことを告げた。

ダメもとで開腹手術をしてみるかとも言ったが、∵さんの同意は消極的だった。

私もここで開腹手術へ踏み切る気力がなかった。

「たぶん死ぬ、から・・・運び出しやすい所へ移しておいたほうがいいよ。」

こう言った時の、敗北感、情けなさ・・・

うーん・・まいった。

診療所に帰り、残業していた後輩獣医師の顔を見た。

・・・やっぱりダメでも、後輩達の経験のために開腹手術をしたほうが良かったかなぁ・・・

と、繰り返し繰り返し、思った。

考えていると、隣の地区の当番獣医師から電話が来た。

これから牛の帝王切開をするから、助手を頼む、と。

∵さんの馬の事は、牛の手術中にようやく吹っ切れた。

翌朝、電話が鳴った。

「あ、もし。あの当歳馬、死んだわ・・・」

∵さんの父さんからだった。

昼から、処理場で解剖をして、結果を教えることを約束して、電話を切った。

昼からの往診を少なくしてもらって、処理場へ向かった。

解剖の結果は・・・

馬回虫による腸閉塞。

場所は、回腸の遠位端と盲腸への開口部

駆虫剤でやられた回虫が殺到した所見だった。

∵さんの当歳馬たちは、いつもの年ならば

春の放牧前に、エクイバランペーストを飲ませるのだが

今年は∵さんの父さんが入院してしまいそれが出来ず

やむを得ず、秋の離乳時に、初めて駆虫をしたのだという。

その結果、こういう事故が起きてしまったのだった。

(※ 開腹手術の成功例をhig先生が記事にしてくれましたので、そちらも是非読んでもらって、馬回虫の腸閉塞についての知識を深めてもらいたいと思います。
http://drhig.blogzine.jp/equine/2009/10/post_b539.html?cid=23085468#comment-23085468
技術レベルが非常に高くて、私もたいへん勉強になりました。)

さて

解剖所見の写真は・・・

非常にショッキングなので、続きのページにアップしました。

勇気のある方は、どうぞご覧下さい。

          続きを読む

49歳

3日前に誕生日を過ぎた。

いつの間にやら、49歳になった。

「四苦八苦」という言葉がある。

ウィキペディアによると

四苦八苦は、苦しみの分類だそうだ。

四苦八苦の四苦は、ご存知の通り

「生」。「老」。「病」。「死」。

「老、病、死」が苦しいのは、誰でもわかる。

しかし、「生」が苦しいものであることは、気付かなかった。

四苦八苦の筆頭が、「生」だなんてね・・・

たしかに生きる事は大変だし

生かす事もなかなか難しい。

生きていても、「死に体」になっていることもある。

気付いてみると、思い当たることがたくさん出てくるのだ。

49歳になって、あらためてこの分類が、奥深いものであるな、と感じた。

また、4×9=36 8×9=72 ・・・、で 36+72=108

108の煩悩の数になる・・・というのも、なんだか語呂遊びのようだが

うまく出来てるな、と思った。

若い人は

「早」「漏」「秒」「死」

に苦しむ人もいる?

これも煩悩ゆえなのか(笑)

 

子牛に供花

「生まれたばかりの子牛が、臍から腸が出てしまっていて、苦しそうなんですけど・・・すぐ来てもらえませんか!」

と、酪農家のдさんから電話が入ったのは、ちょうど朝の受付時間だった。

この時間に入る緊急往診は、バタバタしていてかえって出動が遅れてしまうことが多い。

行き先を素早く振り分けて、さあ子牛を診に行こう、と思った矢先にまた電話が入った。

「あのー、さっきの子牛、死んじゃいました・・・。今日出かける用事があっていなくなるんで・・・子牛を牛舎の前に置いておきますから、確認しといてください・・・」

残念ながら、出生後直死してしまったようだ。腸管がどれほど脱出しているのかはわからないが、死んでしまった原因を特定するのは、非常に難しく、おそらくはっきりした事は解からないだろう。

普段通りに、死亡子牛の確認をするためにд農場へ向かった。

死んだ子牛はどこかな、と探す。

普通、死んでしまった子牛はビニールシートなどを被せて置いてあることが多い。

DVC00002目当ての子牛はビニールシートではなく

飼料を入れる袋が被せてあった。

風にあおられないように、石で押さえてある。

と、その上を良く見ると、何かが乗せてある。

「!。」

なんと、アジサイの花と、名前はわからないが野の草が・・・

供花・・・だった。

死んだ子牛を数え切れないほど見てきた私だが

今日のように、花を添えてあるのを見たのは初めてのこと。

дさんの、優しい気持が伝わってくる出来事だった。

架空手術のとばっちり

先月末まで私や同僚の獣医師達は、少々ストレスの溜まる仕事をさせられていた。

「ここに過去半年間に手術をした牛のリストがある。往診の合間に、手術歴のある牛の手術痕を確認して、本当に手術をしたかどうか確かめよ。」

という命令だった。

何でそんな事をしなければならなくなったのかというと

ある事件が発端になっていた。

関東地方の某県の某開業獣医師が、某牧場の牛の第四胃変位の手術をした。

その牛は共済に加入していたので、保険の診療代を請求をした。

ところが後になって、実際は手術をしていなかった事がわかった、というのだ。

すなわち、架空診療(カラ手術)が発覚したのだ。

これに対して、農水省は黙ってはいなかった(のだろう、きっと)。

日本全国の、保険で手術をした牛に対して、架空診療をしていないかどうかをチェックすることになった(のだろう、たぶん)。

で、そのお達しが、下々の診療所まで降りてきて、手術料の請求と実際の手術の有無を、確かめることになった。

保険金は半分が加入農家負担、残りの半分は国民の税金である。

不正請求がないかどうか確かめなければならないのは当然だし

カラ手術で架空請求をした開業獣医師を許すことは出来ない。

で結局、こんな獣医師がいるおかげで、真面目に手術をしている我々さえも、お上から疑いをかけられてしまったのだ。

獣医師として、全く遺憾なことであるが

しかし、同じような仕事をしている以上、同じ疑いをかけられるのも仕方がなく、情けないと言わざるを得ない。

ただ・・・

ストレスを感じるのはその先なのである。

手術の有無をチェックするのも、我々がやることなのか?

不正の疑いをかけた獣医師(我々)に対して、「お前の請求は信用できない」と言うのならば

その本人にチェックをさせてどうするの?そんなぬるいチェックでいいのか?

農水省自身か、あるいは第三者を派遣してチェックしなければ、このような不正を摘発する事は出来ないのではないだろうか。

ただでさえ診療で忙しく農家回りをしているのに、さらに時間を使って自分達でした手術の手術の痕を、自分達で確認して回るなどという仕事は

馬鹿馬鹿しくもあり、まったく余計なストレスの溜まる仕事以外の何物でもない。

手術リストにある牛を、飼主に捕まえてもらうだけでも、大変な仕事なのである。

おまけに、牛の腹を覗き込んだだけでは手術痕が判りづらく、危険を冒して腹の下にもぐり込み、手で触れてみて初めて判る手術痕も多い。

そんな現場の状況を、お上はわかっているのだろうか?

我々がイヤな思いをしてチェックし、ようやく出来上がった確認シートを

タダで受け取って、右から左へ提出し

「不正はありませんでした。」と、報告するお役人の顔を想像すると、またストレスがたまってくる。

     *    *    *

鳩山内閣になって、農水相も赤松さんとやらに変わった。

官僚主導から政権主導の政治へという流れが動き出したようだ。

FTAなどの大きな問題に対して、難しい舵取りを強いられそうな農水省。

大変ではあると思うが

小さなことでも、現場の声に耳を傾ける事を

忘れないでほしいと思う。

歳時記のすすめ

歳時記を読んでいると、じつに様々な物・現象・行事・動植物が季語として存在し、そこから無数の俳句が生まれていることがわかる。

俳句とは、季語に託した叙情詩である、と我が俳句の師原田青児先生は仰っている。

そんな叙情詩のエッセンスが満載の歳時記というものは、世界に誇れる書物ではないかと思う。

日本人の精神世界がこの書物に凝縮されているのだ。

四季がはっきりと、そして豊かに繰り返す中で

天体や気象現象の意思を畏れ

鳥獣や魚や昆虫の命を憐み

樹木や草花の心を感じ

そして人事の哀れを詠う

そこには、天体も鳥獣も草花も人間もはっきりとした境界線なく存在している。

それら全てに同様な意思と命と心が宿っているのだ。

全てが自然の一部であり、全てが同様に生きていて、区別なく尊いのだ。

歳時記を読めば読むほど

私はそんな世界観を感じるようになった。

植物愛護そんな視点で周りを見ると

たとえば、某動物愛護団体・・・

ある種類の動物ばかりを特別に保護しようとする行為などは

全く偏狭なものに見えてくる。

植物愛護者には過激な人はいない。

またたとえば、ベジタリアン・・・

植物は食べるが動物は食べないという行為も

同じ命なのにどうしてなのか

全く理由がわからない。

もし、我々人間に似通って赤い血が流れる生き物だから殺して食すのは可愛そうだ、という発想があるのなら

それは幼稚な発想だろうと思う。

植物に対して失礼ではないか。

もちろん、自分だけそうしているならかまわないけれど・・・

そんな人たちに、歳時記を読んでもらいたい、と思った。


PGF2αの効果(乳牛と重輓馬の比較)・(3)

くどいようだがもう一度、乳牛の平成18年度のデーターを見ると

 PG投与件数              9,001
 投与後7日以内授精件数      5,656
 授精率                 62.8(%)
  受胎率                 44.0(%)〔2,491/5,656〕
 妊娠率                 27.7(%)〔2,941/9,001〕
 授精した日のピーク          投与後3日目


釧路地区NOSAIの先生方がまとめられたものだ。

PGF2αを日々使っているものとして、この数字はとても参考になる。

この論文にはさらにつづきがあり

酪農家別の数字が出されている。

 農家   投与頭数  授精率(%)  受胎率(%)  妊娠率(%)

   A           310             66.8             37.7             25.2
   
    C             221             67.9             50.7             34.4

    H             157             78.3             28.5             22.3

    L              132             37.1             65.3             24.2

総投与数は9001頭となっているから、上記4件はその一部なのだろう。

多くの酪農家の中で、特徴的な家の数字をピックアップして出しているのかもしれない。

Cさんの妊娠率は素晴らしい。

PGF2αの投与効果が最も上がっている家といえる。

Hさんは、とにかくPGF2αを打った牛には何が何でも授精するようにしているようだ。

しかし授精するわりには受胎率が低く、PGF2αの効果が上がっていない。

想像するに、Hさんは自分で精液を持っていて、自分で授精している酪農家ではないだろうか?

自家授精している家では、Hさんのような数字になりやすいと私は思っている。

Hさんは授精の方法やタイミングをもう少し見直してみる必要がありそうだ。

一方、Lさんの授精率は、Hさんの半分以下である。

こういう家は発情発見の方法に問題があるかもしれない。

しかし、Lさんの牛の受胎率は非常に良い。

これは、発情の発見はしても、授精に慎重になっている姿が想像できる。

授精の適期は掴んでいるようだ。

しかし、PGF2α投与の適期を掴んでいるとは言い難い。

Lさんの牛にPGF2αを打つときは、もう少し黄体の確認をきちんとやる必要がありそうだ。

さて

私の重輓馬でのデーターは、例数が少なくて、農家ごとの数字は出していなかった。

だが、乳牛のデーターと同じように、農家ごとの効果の違いは感じていた。

パーセンテージや確率といった数字は

各々の事象が、コインの表裏ややサイコロの目ように、同じように起こることが大前提となっている。

『同様に確からしい。』という懐かしい言葉(笑)を思い出す。

しかし

その数字について、ものを言う場合

畜産の現場では、牛や馬、そして飼主はみんな個体差や個性があり

『同様に確からし』くはないのである。

いろいろな数字を出しても、数字の遊びに終ってしまう恐れが出てくるのである。

今回のデーターでは

PGF2αのワンショットで、およそ4頭に1頭が受胎する、という数字が出ているが

その効果を、今後より上げてゆくための対策事項は

それぞれの農家で全然違ってくる。

私のデーターも、もう少し役立つものにするには

各農家ごとの数字までちゃんと出しておくべきだったのだ。

今回のデーターの比較をしてみて

このことを付け加えておきたかった。


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