北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

和牛の中足骨遠位成長板骨折(1)

「2日前に突然後ろ足が痛くなって、今日も痛みがひどい・・・」

という連絡を受けて、

往診した14ヶ月齢の雌の和牛。

IMG_1784左の後肢を

非常に痛がって歩いていた。

飼主のUさんは、

先日仔牛の足の骨折を診たばかりの和牛繁殖農家である。

「今度も、また骨折でしょうか・・・」

外見では

左後肢の球節が腫れていて

一見しただけでは

IMG_1774感染によって腫れているのか

外力によって腫れているのか

判断がつかなかった。

そして

跛行がなかなか治らない

という情報だけでは

感染による関節の炎症なのか

外力による関節の異常なのか

判断がつかなかった。

「骨に異常がないかどうか、レントゲンを撮って欲しいのですが・・・」

IMG_1775飼主のUさんの

自らの希望で

X線の撮影をすることになった。

飼主さんからのリクエストで

X線撮影するというのは

以前の仔牛の時と同様だった。

その時は

私は骨折はきっとないだろう

とタカをくくっていて

撮影を先延ばしにしていて

いざ

撮影してみたら

見事に骨折をしていて

恥ずかしい思いをしていた。

「・・・わかりました、そうしましょう。昼からレントゲンを撮りましょう。」

私は当然のように

この14ヶ月齢の牛の患肢を

X選撮影することにした。

その日の午後

撮影したX線画像が以下の2枚である。

IMG_17801枚目の画像が

前方から撮影したもの。

2枚目の画像が

後方から撮影したもの。

X線画像を最初に見た時

IMG_1781私は

どこがどのように異常なのかが

よく解らなかった。

要するに私は

X線画像による診断に

まだ慣れていなかったのである。


(この記事続く)


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コラボ展示という「化学反応」

「面白そうだ」と思うと、

つい、

首を突っ込んでしまう私。

そのお陰で、

思わぬ方々との交流が生まれるのは、

良いことだと思っている。

NPO十勝文化会議・写真部会の

有志の方からお声がかかり

撮った写真から発想を飛ばして

俳句を詠むことになった。

その俳句が以下の8句

 
 ひまわりの向き定まらぬ木蔭かな


 地平線その先涼し水平線


 万緑の底に朽ちてはよみがへり


 刻々と夏の山肌刻む水


 逆流の中梅花藻の返り咲き


 うつろへる池面を夏の日の巡る


 木漏日の中や微かな虫の声


 滝落ちて深山の香り放ちけり


そして

IMG_1918この俳句と写真を

書道家の有志の方

との協力で

コラボレーション展示

をすることになった。

一昨日と昨日

その展示作品の

IMG_1926作成を行った。

コラボ展示会というのは

展示作品もさることながら

それを作ってゆく過程で

自由な発想を巡らせながら

IMG_1921未知なものがだんだんと

形になってゆく過程に

この上もない魅力がある。

独りで活動していてるだけでは

絶対にありえない

発想の交流

IMG_1920いわゆる

「化学反応」

が起こるのが

コラボ展示の

最大の魅力である。

どんな展示会になるのか

IMG_1925いつものことながら

はっきり分からぬまま

(?)(笑)

以下の日程で開催する。


 開催日は

 令和3年4月15日(木)〜20日(火)

 午前10時〜午後6時

 場所は

 おびひろ市民ギャラリー(駅地下)


お時間のある方は

どうぞ足を運んでいただいて

IMG_1924コラボ展示の

「化学反応」

をぜひ

ご観覧ください。


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川柳と俳句、共存のラジオ局

このブログでも何度か紹介させてもらっている、

地元十勝のFMラジオ放送局、

IMG_1915FMウイングの、

「金曜ポコペン」という番組の中で、

2年ほど前から、

川柳の審査員をさせていただいている。

さらに

1年前からは、

豆作の「のったり俳句ひねもーす」という、

俳句の番組のMCをさせていただいている。

ひとつのコミュニティーFM放送局の中で

IMG_1412川柳と俳句

という似たような

2つの文芸のコーナーを

両立させているラジオ局は

日本全国を探しても

なかなか無いのではないかと思う。

AM放送局の大御所のNHKさんには

さすがに両方あるようだが

それ以外の放送局では

無いようである。

普通の放送局は

俳句の番組があれば川柳の番組は無く

川柳の番組があれば俳句の番組は無い

という所が多いようである。

しかし

我が国の文芸には

川柳と俳句が

立派に共存している。

その証拠に

新聞などの活字メディアでは

それがちゃんと実現していて

大手の新聞をはじめとして

どこの新聞にも

川柳の欄と

俳句の欄が

共存している。

そう考えれば

我が地元の

小さなラジオ局であるFMウイングに

川柳の番組と

俳句の番組が

共存しているというのは

「大手放送局か大手新聞社並みの文化活動」

ができている?!

ということになる。

これは

自慢できることではないだろうか・・・


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数年に一度の「重種馬の帝王切開」(2)

「餌を全く食わなくて、体を震わせてるんだけど、大丈夫だべか・・・」

帝王切開をしたその晩、

約7時間後、

飼主の◯さんから電話がかかってきた。

「・・・わかりました、診に行きます。」

当番だった私は、

◯さんの要望にお応えして夜道を走った。

過去に帝王切開をした重種馬の中には

その晩に術創部が開いてしまった馬や

起立不能になってしまった馬や

出血多量で死んでしまった馬など

色々いたので

それを思い出すと

今回の馬も心配になってくる。

◯さんの家に到着して診察した。

T 38.5   P 82  R16

食欲廃絶、全身小さく震戦していた。

左後肢が腫れていた(これは術前から)。

「・・・とりあえず、点滴(輸液)しておきますね。」

「あーそうしてもらうと、安心だわ・・・」

「・・・後産残ってるけど、それは明日取ることにして、子宮洗浄もするから、明日のお昼頃また来ますね。」

「わかったよ、お願いします・・・」

リンゲルの輸液4リットルにオキシトシンを入れたものをセットし

私は帰路に着いた。

翌日

馬を枠に入れ

再び診察した。

T 39.9  P 80  R 20

熱発していた。

食欲なく、小刻みに震えているのは変わらず。

まず消炎剤を入れた輸液をセットし

尻尾をあげて

胎盤の用手除去を試みた。

まだ子宮壁に付着している箇所が多く

それをゆっくり剥がしながら全域を除去することができた。

その後、生理食塩水よりも高張に作った洗浄液で

子宮内を還流洗浄し

抗生物質を投与。

「・・・明日は俺、休みだから、誰か獣医が来ることにしておきますね。」

「わかったよ、頼んます・・・」

翌日

往診したT獣医師のカルテを見ると

「T 38.4  P 72  R 16

食欲漸増、術創やや腫脹も良好。」 

IMG_1890とあった。

その翌日

私は再び子宮洗浄のタンクを持って

◯さん宅へ向かった。

馬は牧場へ放されていた。

IMG_1892馬を捕まえて枠に入れて診察すると

T 37.9  P 72  R 14

食欲はさらに回復

子宮洗浄をすると

膣に茶褐色の粘稠な悪露があり

IMG_1889子宮は収縮しつつあり

内膜の状態はほぼ正常な手触りだった。

抗生物質を投与し

さらに3日間の抗生物質を薬治して

この馬の診療をいったん終えることにした。

IMG_1891術創の抜糸は

1週間以上後にして

その時に

この馬の子宮の状態も

再び診察することにして

◯さん宅を後にした。


(この記事とりあえず終わり)


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数年に一度の「重種馬の帝王切開」(1)

馬のお産のシーズンになった。

3月の末にもなれば、

かつては我が町でも毎日どこかで、

仔馬が誕生していたものだ。

私が就職した頃の我が町は、

重種の繁殖牝馬が300頭近くいた。

ところが

繁殖牝馬の頭数激減で、

いまや我が町の重種馬の、

今年の出産予定頭数は、

たったの10頭ほどである。

それでも

300頭近くもいた頃と同じか

それ以上の診療技術を

我が診療所内で維持し続けなければならない。

頭数減による診療機会の減少は

診療技術を若い世代へ引き継いでゆく

大きな障害になっている。

だが、それでも

引き継いでゆかねばならない。

これは我々老年?!の世代の獣医師に突きつけられた

重要な課題である。

先日の朝方

当番のT獣医師から連絡を受けた馬の難産は

「産道に足が一本しか来ていない。」

というものだった。

応援にかけつけて確認すると

どんなに手を奥に入れても

胎児の足は1本しか触れなかった。

その足を触診すると途中に飛節があり

後肢であることが判明した。

「逆子で、一本しか来ていないね。二本来てたら引き出せるんだけど、これは無理。」

「・・・ですよね。」

「帝王切開だね。」

「・・・そうですね。」

急遽、馬を診療所に運ぶことになった。

この日は土曜日で

出勤している獣医師の数は2.5人。

帝王切開をするとなれば

術者1人、助手1人、麻酔1人、の3人が必要である。

T獣医師はこの日休みの2名の獣医師に電話を入れて

手術要員獣医師3人を確保し

この日の手術以外の往診は

残りの獣医師2名で回ってもらうことにした。

IMG_1873馬が診療所に運ばれ

麻酔薬が準備された。

手術台に馬を横付けにし

ドミトールとケタミンを静注。

意識が朦朧として来たところで

手術台を倒して馬を寝かせ

IMG_1874アームに肢を固定。

その後は、生食+ドミトール+GGE+ケタミン

の点滴で全身麻酔を維持。

いわゆるトリプルドリップ法である。

術野は基本的に左の下けん部で

手で押して胎児にコツンと当たるところを選ぶ。

IMG_1875そこを約50兩擲して

腹腔に達したら

そこに子宮があり

胎児の頭部があり

その横に前肢もあった。

子宮を約40兩擲して

前肢と頭部を創口外へ

この作業が牛と違って馬の場合

足も頭部も非常に長いので苦労するのだが

今回は胎児の位置が良かったので

すんなりと露出させることができた。

前肢2本に産科チェーンをかけて

チェーンブロックで胎児を引き上げる。

IMG_1878「・・・生きてるか・・・」

緊張する一瞬だが

今回は残念ながら

胎児は既に死亡していた。

子宮を吸収糸で縫合し

抗生物質の入った生食でよく洗い

IMG_1876腹腔に収めて

腹膜を吸収糸で連続で縫い

筋層を吸収糸で連続で縫い

皮下織を吸収糸で連続で縫い

皮膚をナイロン糸で結節縫合した。

馬は縫合の途中で麻酔が覚めかけて

嘶き始めたので

トリプルドリップを新たに作って追注。

IMG_1877手術を終えたときは

馬はまだ意識がなかった。

それから次第に

麻酔が覚めて

約1時間後に頭を上げた。

その反動で創部から出血があった。

それから数10分後に

IMG_1879馬は立ち上がった。

心配した創部からの出血は

皮下織の浅い血管からだったので

縫合糸で簡単に止めることができた。

立ち上がった馬は

足元がふらついて非常に危険なので

注意して興奮させずにしばらく見守り

見守っている間にリンゲルなどの輸液をした。

輸液が終わる頃には

足元もしっかりして

目や耳の表情も普通に戻って

嘶きがうるさくなって来たので

ゆっくりと歩かせながら

家畜車の荷台へ誘導。

家畜車に無事に乗ったので

とりあえず

明日の再診を飼い主さんに約束して

手術を全て終了した。

朝の9時半に馬を運び入れ

馬が帰ったのは14時。

手術室の片付けが終わったのは

14時30分過ぎだった。


(この記事続く)


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「きくりんの・金曜ポコペン縦読み川柳集」登場!

私が毎週金曜日、

午後2時15分過ぎから、

地元のFMウイングの「ポコペン川柳合戦」で、

川柳の審査をさせていただいている。

そのコーナーには毎週のテーマに沿ったお題の川柳が

今では約20句程度寄せられるようになって

なかなかの盛況になっている。

そこに寄せられる川柳の作者さんの中で

ひときは異彩を放っている作家さんがいる。

「きくりんさん」というリスナーさんである。

きくりんさんから送られてくる川柳は

必ず、毎週のテーマの言葉を

「縦読み」に読み込んである

技アリの川柳なのである。

例えば

お題が「マスク」の週には


  まえ見えぬ
  す(吸)おうが吐こうが
  くもる視野


といった具合に

テーマが縦読みになった川柳が

毎週必ず送られてくる。

すごいのは

どれだけ長くて難しいテーマであっても

必ずそれを入れた縦読み川柳にしてくることで

それが毎週毎週

繰り返されて

いまや名物になっているのである。

そして

毎週それを楽しみにしてくれるリスナーさんがいて

川柳合戦をさらに盛り上げてくれている。

そして先日

さらにすごいことが起こった。

それは、なんと

きくりんさんの自費出版本が

登場したのである!

IMG_1808題して

「きくりんの・金曜ポコペン縦読み川柳集」(第1巻)

というもの♪

毎週毎週

縦読み川柳を考案して

送っていただけるだけでもすごいのに

それを冊子にまとめて

出版してしまうと言う

スゴ技である。

IMG_1809しかも

「第1巻」

と書いてあるので

今後さらに

第2巻、第3巻、が登場することを予告している。

私は金曜ポコペン川柳の審査員を

何の気なしに引き受けて

約2年間

川柳番組を続けさせていただいているが

きくりんさんのような作家さんのおかげで

IMG_1810このコーナーは

まだまだ発展してゆくことができそうである。

それはまさに

ラジオ番組を通した

「575文化」の発展であると言えるだろう。

「きくりんの・金曜ポコペン縦読み川柳集」(第1巻)

を、手にとって

読んでみたい方は

「帯広市民ラジオ・FMウイング」の

HPやメールなどから

どうぞ問い合わせてみてください。


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「仲畑流万能川柳」

ちまたに飛び交う「575文芸」、

その中で「川柳」は最も身軽で自由で気まま。

IMG_1329「俳句」や、

「標語」とともに、

私の愛してやまない文芸である。

そんな川柳の中でも、

これぞ川柳の王道!

と、私が思っているのは

IMG_1816毎日新聞に

毎日掲載されている

「仲畑流万能川柳」

である。

ちまたの新聞や雑誌

あるいは会社や団体のキャンペーン

などで

川柳を募集しているところは

無数にあるけれども

今我が国の

現在の

募集川柳の集団の中で

最も輝いているのは

IMG_1815この

毎日新聞の

「仲畑流万能川柳」

なのではないかと

私は思っている。

何と言っても

その募集句数の「規模」(年間62万句!)

そして選ばれる川柳の

「軽妙」

「可笑し」

「風刺」の鋭さ

のレベルが抜群に高い

と、私は思っている。

曲がりなりに

私も

地元のFM放送局(FMウイング)で

募集川柳(金曜ポコペン川柳合戦)の

審査員などさせていただいて

かれこれ2年になるのだが

川柳という文芸の

鑑賞や選にあたって

最も大きな影響を受け

最も多く参考にして

最大の目標にもしているのが

この「仲畑流万能川柳」である。

読めば

一目瞭然

それ以上言うことがない。

私の川柳活動も

こうありたいと思っている。


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「イボとり」(おまけ)

「首にできたイボを取ってほしい・・・」

先日の朝、そんな往診依頼が、

和牛繁殖の◎さんから来た。

(またか・・・最近ずいぶん、イボとりの仕事が多いな)

IMG_1828昨年の暮れから

‰さんの超大規模な

全身にまとった

イボとり大作戦を終えたばかりの私は

イボとり星人になってしまったようだ。

(もうあんなイボはたくさんだ・・・)

と思いながら到着した◎さんの牛舎の

レンスタに繋がれていたのは

5ヶ月齢ほどの育成和牛だった。

IMG_1829「イボはどこかな?」

「この左の首のところなんですけど」

「あぁ、これね」

見ると

ピンポン球程度の

くびれのある腫瘤が

IMG_1831たったひとつだけあるのを確認した。

(これはカワイイもんだ・・・)

先日まで格闘していた

超絶なイボ軍団とは違って

たったひとつのイボが

ポツンと可愛らしく出ているだけだった。

IMG_1832「これならゴムリングをかければ取れるね。」

「そうですか。」

「昼から、道具持って来てやってみるね。」

「お願いします。」

ということで

昼から

イージーカットを持って

再び◎牧場に来て

イボにゴムリングを装着した。

IMG_1833イボの大きさは

ゴムリングを開いた中に

ちょうどスッポリと入る大きさだった。

ゴムリングにイボをくぐらせて

器具を外して

装着終了。

「後は自然に落ちるから、このまま放っておけばいい。」

「わかりました。」

今回のイボとり仕事は

実に楽だった。

これも

前回の

前代未聞のイボとり大作戦の

直ぐ後の仕事だったので

なおさら楽だった。


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「イボとり」(5)

12月の年末の市場に出荷する予定だった、

体中イボ(乳頭腫)で覆われた、

‰さんの去勢♂和牛。

11月から

約1ヶ月間

内科的治療と

外科的治療を

併せて行っていたが

イボの規模が予想外に大きく

除去治療に日数がかかり

12月の市場に出荷することは

時間切れで叶わなかった。

IMG_1629その後

‰さんは

腰を据えて

この牛の手当を続けていた。

大きなイボの外科的な除去は

ほぼ年内に終えた。

しかし

除去した後の出血は

直ぐには止まらず

除去後の傷や瘢痕は

直ぐには消えず

そこからの細菌感染などにも

気を配らねばならなかった。

もともと

丁寧で几帳面な‰さんは

この牛の手当を怠ることなく

年が明けてからも

細かい部分の外科的処置や

ヨクイニンを毎日飲ませる内科的処置を

欠かすことなく続けていたようだ。

それでも

年明け早々の市場には

まだ出荷できるほどの

外見にはならなかったらしく

1月の末になっても

たまたま診療所にやってきては

ヨクイニンとメナドンの追加購入をしていた。

そして

3月に入ったある日

別件で‰さん宅を訪れた私は

その牛のことを聞いてみた。

「・・・ところで、あのイボの牛、どうしたの?」

「あぁ、あれな・・・売ったぞ・・・」

「・・・売れたんだ、それは良かったね・・・値段はどう?」

「そこそこ良かったぞ・・・」

「・・・そうなんだ。」

「暮れの相場よりも上がってたみたいだし、返って良かったかもな・・・」

‰さんの顔は、まんざらでもなさそうだった。

「・・・それはそれは、イボとった後、一生懸命やった甲斐があった?」

「まぁな・・・」

噂では

もともと血統の良いこの牛は

その日の平均価格以上の高値で売れたそうだ。


(この記事終わり)


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「イボとり」(4)

市場の日の約1ヶ月前に、

内科的治療と外科的治療を、

ほぼ同時に始めたこの牛の、

イボの数と大きさ。

その規模はあまりにも大きく、

飼主の‰さんの思惑通りに、

綺麗に取って市場へ持って行くことは、

できそうにない状況になっていた。

先日、ハサミで

かなりの数のイボを

外科的に除去した後

数日経って

‰さんが事務所にやってきた。

「血止め・・・打ってもらったけど・・・」

「・・・出血ひどかったの?」

「あぁ、しばらく血が止まらなくて・・・また打ってもらおうかと思ったけど・・・」

翌日には

なんとか

血まみれ状態は治まってくれたらしかった。

「よく見ると・・・まだまだ、デカいやつがいっぱいなのよ・・・」

「・・・手術室に連れて来てくれるの、いつにします?」

「市場が近いから、すぐやってもらおうかと思ったけど・・・」

「・・・?」

「今月の市場は、もう、あきらめるわ・・・」

「・・・うん、そうでしょう。」

「来週の末に、牛持って来るから、腹の下のデカい親玉のイボとってもらうかな・・・」

「・・・うん、了解、そうしましょう。」

‰さんも

私も

先日ハサミでイボを外科的に切除した時

IMG_1603あまりにも多いイボと

牛の嫌がりようと

出血の多さに

直近の市場に出すのは

無理ではなかろうかという

考えが浮かんでいたのだった。

これだけ規模の大きいイボ(乳頭腫)の治療の場合

IMG_1604私の乏しい経験を振り返ると

外科的治療だけでは難しく

内科的治療すなわち

ヨクイニンの経口投与がメインになり

最低でも1ヶ月以上の投与が

絶対に必要だと思っていた。

IMG_1605今回

治療のスタートが

市場の1ヶ月前だったということで

私は最初から

直近の市場に出すのは難しく

時間切れになるだろうという気がしていた。

IMG_1607しかし

飼主の‰さんは

そう思っておらず

自分なりに市場に間に合わせるための

治療プランを考えていたようだった。

IMG_1608私と‰さんとの間に

治療プランに対する考え方に

齟齬があったまま治療がスタートしていた。

私の考えは

内科治療を中心にして

時間をかけてゆっくりとするべきだと思っていた。

IMG_1609‰さんの考えは

外科的治療をすることで

予定の市場に間に合わせようと思っていた。

そのせいで

‰さんは

IMG_1610最初はヨクイニンを

ちゃんと必要量を毎日飲ませていなかったようだった。

その後、2回の外科的治療をすることで

だんだんと、この牛のイボ(乳頭腫)の多さに気づき始め

ついに

直近の市場に出荷することをあきらめて

じっくりと治療に専念することへ

IMG_1611考え方を変えてくれたようだった。

私は私で

これだけの規模のイボ(乳頭腫)の

外科的治療は初めての事だったので

初診の時に

内科治療でゆっくりやるしかないとは感じつつも

IMG_1612その場でいきなり

「1ヶ月後の市場は諦めた方が良い。」

とは言えなかった。

‰さんとの考えに齟齬がありながら

そのまま共同作業をして

約2週間の時間が経過して

IMG_1614ようやく

‰さんと私の

この牛に対する治療方針が

同じ方向を向いて来たのだった。

かくして

今回の一連の写真は

IMG_1616この牛を

手術台に寝かせて

一つ一つ

除去して行った時のものである。

かなりの数のイボが

腹部に出来ていた。

いちばん大きな

IMG_1617臍帯部分のイボを取るときは

皮下に局所麻酔を打ち

疼痛と出血を抑えつつ

慎重にやらなければならないほどの

大きなイボだった。

IMG_1618頭部に残っていたイボも

立位では非常に嫌がって

取りづらかったものを

じっくりと取り除くことができた。

市場に出荷するのは

1ヶ月以上

先延ばし

という事になった。


(この記事つづく)


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「イボとり」(3)

飼主の‰さんは、

‰さんなりに、

あと3週間後に迫った市場の日までに、

なんとかこの牛の「イボとり」を完了し、

何事もなかったかのような外見に仕上げて、

この牛を市場に連れてゆきたいと考えているようだった。

最初の外科的処置は、

手でむしり取る用手法だけを行っていたので、

むしり取る事が難しい

根の深く大きいイボや

根がくびれていないイボが

よく見ると

まだまだかなりたくさん

残っているのだった。

「今日は、そいつらをちょっと・・・ハサミかなんかで、切ってくれないべか・・・」

「・・・うん、・・・やってみますか。」

‰さんは牛をきつく繋いで待っていた。

76269E3C-FCCB-4525-8C62-C42C45C8F963私は毛刈りバサミを手に持って

先週手だけでむしり取れなかった

手強そうなやつに

毛刈りバサミを当てて

切り取っていった。

A98E483E-532C-46A5-B95B-65BA1767B119切り取るたびに

牛は頭を振ったり

体を揺すったり

痛みがあることを訴えて来たが

飼主さんの要望でもあるし

776829A1-3B99-4E19-930F-5F9308031A5Aここは心を鬼にして

スパッスパッと

イボの根っこの皮下組織に

ハサミを入れていった。

切り口からの出血は

DC66ABD8-C96B-4E88-9DFA-C42B5C75B4E1当然のように

手でむしり取る時より多くなり

切るときに走る痛みも

当然手でむしり取る時より強いはずで

それは

写真を見るとわかるように

0A316284-641C-4A4C-943C-8601851CB9B8牛の目の表情が

全てを物語っている。

牛は息を荒げて

血まみれの顔をして

私が手に持っているハサミの行方を

目で追っていた。

IMG_1499「顔や頭の方はだいぶ取れたな・・・」

「・・・そうだね。」

「でも腹の下の方や内股に、まだ残ってるなぁ・・・、切れるかい・・・」

「・・・いやー、そこらへんにハサミ当てたら・・・足が飛んで来て危ないよ。」

「だよなぁ・・・」

「・・・体の下の方は、診療所に連れていって手術台に乗せてやらないと危ないよ。」
IMG_1500
「んだなぁ、そうしてもらうかな・・・」

ということで

今回のハサミによる外科的処置は

頭部と背側部にとどめ

腹部や鼠径部周辺の外科的処置は

来週に診療所の手術台を使って

ちゃんとした保定と鎮静の下で

牛を寝かせて行うことにした。

今回もまた

牛の顔や体は

血が滲んで血まみれなったので

トラネキサム酸を投与した。

「・・・ヨクイニンも、ちゃんと毎日飲ませてね!」

「あぁ、分かってる、ちゃんと飲ませてるよ・・・」

‰さん宅からの帰り際

私は

内科療法の継続を

だめ押しして

帰路についた。

この牛を出荷する予定の

市場の日まで

あと3週間を切っていた。


(この記事つづく)


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早朝往診の「空気」

先日の早朝、

仔牛の調子が悪いとのことで、

往診した〆ファームは、

高台にある牧場である。

その朝は気温が比較的高く、

氷点下でも一桁台の温かさだったが、

IMG_1791朝靄(あさもや)が激しく

視界が悪かった。

気象学用語では

「靄」よりも視界が悪く

水平方向の視界が100メートル以下になると

「霧」と呼ばれるようになる。

IMG_1789したがってこの日は

朝霧(あさぎり)の中の往診ということになる。

しかし

俳句の歳時記的には

「霧」は秋の季題であるから

いまの季節にふさわしい言葉ではない。

IMG_1788俳句的にいうならば

この日の状況は

朝霞(あさがすみ)

あるいは

朧(おぼろ)の中の往診

ということになる。

IMG_1787まぁ・・・

なんでも良いのだが・・・

春のこの時期の

朝の状況を表す言葉として

「靄」「霧」「霞」「朧」

という四種類の個性のある言葉が

日本語には存在しているということと

それぞれ少しづつ意味が違っていて

微妙なところを使い分けることができる

というのは

とても繊細で

奥ゆかしいことで

日本語の美しさであり

日本人の感性であり

このことは

世界に誇って良い

素晴らしいことではないかと思う。

気象学的に間違いだから

使ってはいけないのではなく

俳句的に間違いだから

使ってはいけないのではなく

IMG_1817どちらも理解して

使い分けることが大切なのだ。

ちなみに

今朝また

同じ〆ファームから

IMG_1818仔牛の調子が悪いとのことで

往診に行って来たが

今朝は

有明の月が空にかかり

天気は快晴で

IMG_1819靄も霞もかからずに

東の空は

次第に

茜色に染まりはじめていた。


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「イボとり」(2)

「あの牛のイボ、むしって取ってくれないべか・・・」

ヨクイニンとメナドンを渡してから、

1週間ほど経った頃‰さんが診療所にやってきた。

「・・・それは、できないことはないんだけど。」

「来月の市場に間に合わないよ・・・」

「・・・あと1ヶ月先か・・・もう少し我慢して・・・飲み薬ちゃんとやってるかい?」

「ああ、つけ薬もやってるよ、でも変わらない・・・」

「・・・まだ1週間じゃ変わってこないから、とにかく1ヶ月間、飲ませて。」

「来週、もう一度見に来てくれないべか、そこで取れるやつは取って欲しいんだ・・・」

「・・・わかりました、来週ね。」

‰さんは‰さんなりに

この牛を市場へ出すための

イボの治療計画を考えているようだった。

それは外科的に切って取り除く方法を

主に考えているようだった。

話を聞いていると

メナドンは毎日必ず塗布しているようだが

ヨクイニンを指示通りちゃんと飲ませいてるのかどうか疑問だった。

私が初めてこの牛の状態を診た時

あの乳頭腫の規模と数では

いきなりの外科的処置は到底無理だろうという直感があった。

私はヨクイニンによる内科療法をメインにしたかった。

しかし

‰さんは外科的な療法をメインに考えているようだった。

私の診断と説明と

‰さんの考え方との間に

溝があることが分かってきた。

市場の日も1ヶ月後に迫っていた。

こういう時は

飼い主さんとのコミュニケーションを

いつも以上に頻繁に行ってゆく必要がある。

1週間が経ち

‰さんの牛の状態を診た。

ほとんど変わっていなかった。

IMG_1427「デカいやつだけでも、むしり取ってくれないべか・・・」

「・・・うん、やってみましよう。」

牛を簡易枠場に繋ぎ

一番目立つものから

IMG_1430一つ一つ

むしり取っていった。

根元が直径数ミリ程度であれば

簡単にむしり取れるものだが

根元が数センチ以上あるものは

IMG_1429爪を立てて

強い力で取らねばならず

次第に手の握力がなくなってきた。

「・・・たくさんあって、とりきれないよ。」

「血も出てきたな・・・」

「・・・もう少し、薬を飲ませて、柔らかくしてからの方がいいよ。」

IMG_1434「頭や首だけでなくて、腹の下や内股にもたくさんついてるな・・・」

「・・・腹の下のやつをここで取るのは、足が飛んできて危ないね。」

「ああ、もう少し後にするか・・・」

「・・・うん、その方がいいと思うよ。」

IMG_1433‰さん宅で

‰さんの希望する外科的処置をしながら

私はこの牛の治療はかなり手強いと感じていた。

そして

1週間後にまた再診をすることにした。

IMG_1431「・・・飲ませ薬(ヨクイニン)は、毎日、いった通りに、ちゃんと飲ませてね!」

「ああ、分かってるよ、やってるよ・・・」

私は‰さんに

ちゃんと内科療法を続けるように

しつこく言って

その日の治療を終えた。

市場の日までは

あと1ヶ月を切っていた。


(この記事つづく)


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「イボとり」(1)

「来月、市場に出したいんだけど、イボがひどくて、取ってくれないべか・・・」    

ということで診に行った‰さんの♂の和牛は、

立派な体格だった。

「血統もいいんだよ・・・」

IMG_1290というこの牛の

顔のイボは

写真の通り

なかなか派手なものだった。

「取ってくれないべか・・・」

「・・・うーん、これは・・・」

イボ(乳頭腫)は顔面ばかりではなく

IMG_1292首や脇腹や下腹部

鼠径部にも大きなものが点在し

全身を覆っていた。

その多くが

根元が太く

しっかりとしていて

生々しく

元気の良い乳頭腫だった。

「むしって取れるべか・・・」

「・・・いやー、これは、そう簡単にはいかないねー。」

いきなり外科的処置として

むしって取るには

あまりにも数が多く

全てが生々しく元気な乳頭腫なので

むしり取った後の出血や

創部からの細菌感染のリスクが

かなり高くなる思った私は

IMG_1238「・・・まずは飲み薬だね。」

「むしって取れないの・・・」

「・・・まずはこの飲み薬を毎日5グラムで1ヶ月間。」

「市場に間に合うべか・・・」

「・・・市場は微妙だけど、きれいに治すには、飲み薬から始めた方がいい。」

「やってみるけど・・・塗る薬とかないの?・・・」

「・・・それも併用したらいい、でも飲み薬をきちんとやるのが大事。」

「わかったよ、やってみるわ・・・」

ちょっと不満そうな‰さんに

私はヨクイニン(飲み薬)とメナドン(塗り薬)を手渡しして

この牛の膨大な数の乳頭腫の

外科的な除去は

後回しにすることにした。

「イボとり」作戦の

始まりだった。

(この記事つづく)


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「こぶとり」

「股の間にコブがぶら下がってる・・・」

という稟告で診に行った、

和牛繁殖の∂さんの若牛。

「だんだんデカくなって来たみたいなんだ・・・」

「・・・お乳の乳頭の間にぶら下がってる、ちょっと触って診たいんだけど・・・」

「嫌がって蹴るかもしらんぞ・・・」

「・・・蹴られたらやだから、枠場に入れて・・・」

「じゃあ、今度来るときまでに枠場出しておくわ・・・」

∂さんの家の枠場は

深い雪の中に埋まっていた。

その枠場が先日

使えるようになったということで

私は再び∂さん宅へその若牛を診に行った。

その時

必殺腫瘤切断道具「イージーカット」

を持って行くことを忘れなかった。

イージーカットは

直径5冂度の腫れものであれば

その威力を遺憾なく発揮してくれる。

∂さん宅に着くと

IMG_1751例の若牛は

既に枠場の中に入れられていた。

下腹部を覗いて

乳棒付近にぶら下がっている腫瘤物に

手を伸ばそうかと思ったが

「嫌がって蹴るかもしらんぞ・・・」

という∂さんの言葉を思い出し

IMG_1752「・・・足一本、縛ってからだね。」

右の後肢を縛り上げて

蹴りが来ないようにしてから

おもむろに腫瘤物に触ると

硬くもなく

波動感もなく

IMG_1754痛みもなく

生あたたかな

腫瘤物だった。

おそらく乳頭腫の一種に違いなかった。

必殺腫瘤物切断道具「イージーカット」に

ゴムリングを装着して

道具を手で目一杯握ると

IMG_1755ゴムリングが目一杯開く

そのゴムの輪の中に

こり腫瘤物は

ギリギリ入るか入らぬかという大きさだった。

手を添えて

少しづつ

腫瘤物の縁を

ゴムの輪の中にくぐらせてゆき

IMG_1756数分でようやく

ゴムリングを

腫瘤物の根元のくびれの部分まで

持って行くことができた。

ここまでくれば

あとは握っていた器具を外し

腫瘤物の根元に

ゴムリングが取り付けられた。

IMG_1757「・・・ゴム輪に通ってくれてよかった。」

「これでもういいんかい・・・」

「・・・いいよ、あとはもう知らないうちに取れて落ちるから。」

「そうかい、わかったよ・・・」

かくして

未経産の繁殖和牛の

こぶとり作業が終了した。


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洞内(ほらない)由紀子さんの「絵本」

今から約4ヶ月前の北海道新聞と十勝毎日新聞に、

IMG_1109揃って記事になっていた、

十勝清水町の洞内由紀子(ほらないゆきこ)さんの、

「乳牛の物語展」。

その展示会に

展示されている絵と写真は

洞内さんご自身で手作りをした

「絵本」に使った原画である。

IMG_1749私はその展示会に

足を運ぶことはできなかったのだが

「絵本」の存在がどうしても気になったので

新聞記事の中の連絡先のメールアドレスに

「絵本」を購入したいというメールを入れていた。

そして先日

その願いが叶って

洞内さんの手作り絵本「ざりり」が

IMG_1703手元に届いた。

「ざりり」という題名は

牛の舌がざらざらしていることから思いついたという

そのセンスが素敵である。

本をまず手に取って見ると

非常にしっかりした作りの絵本で

いわゆる既製品の絵本よりも

IMG_1704ずっと存在感のある本格的な絵本だった。

私の部屋に雑然と置いてある既成の本たちの中に

一緒に置いておくのは申し訳ないほど

心のこもった素敵な絵本だった。

さらにその内容がまた

じつにいいのだ。

IMG_1705牛を飼う牧場で働きながら

その経験をもとにしたというストーリーは

実際に牛と関わる仕事をしていなければ

絶対に書くことのできないもので

しかも

牛という生き物を

IMG_1706ここまでよく観察して

その内面への深い洞察と

愛情豊かなストーリーに仕上げる感性に

私は痺れてしまった。

読み終わった時

私の目から涙が止まらなくなっていた。

洞内さんは現在

清水町の牧場の従業員として

牛の世話をしながら

牛の絵を描き続け

「絵本」をコツコツと作り続けている。

今回の「ざりり」という絵本は

すでに6冊目だというからすごい。

今までの5冊も

ぜひ読んでみたいと思っている。

ここに挙げた写真は

その絵本の中の一部だが

あまりここに挙げると

ネタバレになりそうなので

このくらいにしておきたい。

この新聞記事を読んで

洞内さんの「絵本」を

読んでみたいと思う人が

もっと

増えてくれれば

嬉しいと思う。


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第9回「北海道支部賞」作品募集・開始!

日本伝統俳句協会・北海道支部では、

IMG_1731毎年「北海道支部賞」という、

郵便で俳句を募集する俳句大会を開いている。 

今年は第9回目。

私がその事務を引き継いでからは

2回目の大会となった。

「開催要項」

         雁信(98号).pdf

「応募用紙」の 

         第9回「北海道支部賞」俳句応募用紙.pdf       

pdfファイルを

IMG_1738このページにも貼り付けてたので

俳句などやったことがない方や

少し俳句に興味がある方など

ぜひpdfファイルをご覧になって

IMG_1739よろしければブリントアウトをして

応募用紙に俳句を書いて

私宛に送っていただきたいと思う。

この紙上・俳句大会「北海道支部賞」は

IMG_1740北海道における「伝統俳句」

北海道における「花鳥諷詠」

の普及と研鑽 を目的としている。

こう書くと

なんだかお固い感じがするけれども

そんなことはなく

俳句の基本中の基本である「伝統俳句」 

すなわち「季節を詠む五七五」の文芸

の広場を開いて 

IMG_1730北海道を舞台にして

一人でも多くの方々と一緒に

作品を出し合って

作品を競い合って

楽しみましょう!

という紙上イベントである。

作品をジャッジする選者は

全国的に活躍している伝統俳句協会員の道外特別選者が11人

北海道在住の伝統俳句協会員の道内選者が14人

計25人である。


どんな作品が集まって

どんな俳句が上位に選ばれるのか

今から楽しみである。

応募の締め切りは

3月15日まで。

この記事をお読みの

全ての皆さんに

俳句作品の応募を

ぜひお勧めしたいと思う。 


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ポニーの高脂血症(3)

ポニーの診療機会はさほど多くはないが、

今までに何度か、

高脂血症に遭遇してきた。

ポニー以外の馬では、

ドサンコ(北海道和種)にも、

それらしい症状が出たものがあったが、

それはポニーほどではなく

治療に反応して立ち直ってくれた。

今回のポニーの症例のように

血清の中世脂肪が著しく増加し

治療に殆んど反応なく死に至ってしまう

という症例は

いままでの記憶を辿ると

全てがポニーだった。

今回の死亡例は

昨年の春に他所から導入し

$さん宅で交配して受胎し

夏と秋と冬を$さん宅で過ごし

冬の終わり頃に発症した。

$さんの話によると

死亡した馬は元気がよく

他馬を押しのけて草を食べ

さらに草の良いところを選り好みして

ガツガツ食べるポニーだったらしい。

他所からの導入による

飼養環境の変化と

とりわけ旺盛な食欲が

仇になったようだ。

IMG_3424私の以前の経験だと

ポニーは太りやすいから

低栄養の質の悪い草をやっていれば良い


という世間の言い伝えを真に受けて

低栄養の草で冬季を養い

春の分娩の時期に

生まれた仔馬がことごとく不調で

親も感染症にかかりやすくなる

IMG_3422ということが多くあった。

その時も

他所から導入された個体が死亡する

という症例があった。

今回の件と合わせて考えると

質の良い高栄養な草を与えていると

高脂血症が多発し

質の悪い低栄養な草を与えていると

感染症が多発する


ということが見えてくる。

さらに重要なことは

質が良くても悪くても

高栄養でも低栄養でも

そのエサに長年慣れているポニーは

高脂血症にも感染症にもなりづらく

また

質が良くても悪くても

高栄養でも低栄養でも


他所から導入された馬は

高脂血症や感染症にかかりやすくなる。

ということが見えてきたことだ。

IMG_3421すなわち

飼養環境の変化

が引き金になっている

ということが見えてきたのである。

ポニーのような小型馬は

根強い人気があり

新しく導入した牧場や

導入を検討している牧場が

私の診療地区にも少なからずある。

「ポニーは粗食に耐える」

という世間一般の常識は間違いではない。

IMG_0173ただ

その常識によって

ポニーの飼養環境が

牧場ごとにまちまちで

与えているエサの栄養価が

数値化もされずに

大きく異なっている

というのが現状である。

したがって

飼養される牧場が変わる時

ポニーは大きなエサの変化に見舞われて

体調を崩すのである。

ポニーを自分の牧場に導入するにあたっては

導入前のエサと

導入後のエサとの

ギャップが激しくならぬように

十分注意しなければならないだろう。

ポニーのような

食欲旺盛な品種においては

「良い草から悪い草へ変わるギャップ」

が良くないのはもちろんだが

それに加えて

「悪い草から良い草へ変わるギャップ」

ということにも

十分注意しなければならないなのである。


(この記事終わり)


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ポニーの高脂血症(2)

食欲は不振ながらわずかにあり、

食べた物を飲み込めなくなったという稟告があり、

診察したら食道にも口腔にも異常が認められず、

体温38.2℃  心拍数60  呼吸数20以下で、

E977E7ED-B4C1-4C32-80C2-2C7E5E3D4E6F可視粘膜がやや暗色。

血液検査のための採血をしたら

血清が肉眼でも明らかに異常に

黄白色に濁っていた。

検査センターから送られてきた数値の中で

驚いた項目は

 GOT   10,078 U/L    (正常値の約30倍↑)

    TG(中性脂肪)    2293 mg/dl   (正常値の約20倍↑) 


IMG_1678だった。

その他にも

 総ビリルビン 4.1 mg/dl  ↑

    血糖  47 mg/dl ↓

など

肝機能の破綻を示唆する値が並んでいた。 

高脂血症による脂肪肝

肝機能障害と診断して

この日から連日

糖分の輸液や経口投与などの治療を開始した。

しかし

症状は改善せず

食欲は全くなくなり

横臥することが増え

20210206 及川恵子 馬 (002)発病の6日後には

起立不能となり

翌日の朝
20210206 及川恵子 馬 (002)
あっさりと死んでしまった。

病畜処理場の解剖の所見には

IMG_1721写真とともに

山田純三先生の筆で

「脂肪肝、腸間膜や腎周囲に多量の脂肪あり」

という記述があった。

アヒルやガチョウではなく

ポニーのフォアグラだった。  


(この記事もう少し続く)


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ポニーの高脂血症(1)

「餌をこぼして、食べることができない。食道が詰まってないだろうか?」

そんな電話で呼ばれた$牧場、

診たのは9才のポニー、

妊娠9ヶ月だった。

いつもより元気が無く

食べたものを吐き出してしまうらしい。

枠に入れて

鼻から食道へカテーテルを入れると

カテーテルの先端はは途中で止まることなく

胃の中に入った。

「・・・食道が詰まっていることはないですね。」

「そうかい。でも、なんだか匂いが臭くないかい?」

確かに、私もそう思ったが

とりあえず、食道梗塞ではないことで安心し

せっかくカテーテルを入れたので

それを使って胃腸薬を投与して

その日の診療を終えた。

カルテの病名は

とりあえず「胃腸炎」にしておいた。

翌日

「やっぱり口や舌がうまく動かないみたいで、食えないし、昨日より元気がない。」

という連絡で再び$牧場へ。

「歯は悪くないと思うんだけど、舌べらが麻痺してるんでないべか?」

と$さんが言うので

再び枠に入れて口を開けて

口の中の異常を探索したが

歯の異常な摩滅は確認できず

舌の異常も特に確認できなかった。

ただ、やはり食べたものを

ちゃんと飲み込めない嚥下障害があるらしく

口の中には咀嚼した草が溜まっていた。

「・・・口は何ともないみたいですね。血液を採って調べてみますか。」

「お願いします。」

口の中を診たとき

口腔の粘膜の色がなんとなく

暗い色をしていたように感じた。

採血をして

食欲がないので

栄養の補給の意味と

便が少なく鹿のような糞をしていたので

脱水の改善の意味をこめて

リンゲルとブドウ糖の補液をして

その日の診療を終えた。

E977E7ED-B4C1-4C32-80C2-2C7E5E3D4E6F事務所に戻って

採った血液を見ると

写真のごとく

血清が黄白色で

不透明に濁っていた。

・・・これは・・・

私はここではじめて

高脂血症を強く疑った。


(この記事つづく)

 
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