北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

バレンタイン・ミート

バレンタインデーから、

2日も経ってしまえば、

世間のチョコレート熱もとっくに冷めている。

今後はさらに、

バレンタインデーの話題などは、

どんどんと時季外れになるから、

ここらで書いておいたほうが良いかなと思って、

記事にすることにした。

大したことではないのだが

先日の日本農業新聞に

バレンタインデーにちなんだ

ハート形の牛肉の写真が掲載されていた。

1C8CDEAA-CA35-40F2-B18C-B1F2D5AD1DFD霜降りのたくさん入った

すばらしい牛肉だ。

もちろんこういうものは

たくさん作って売ろうとするものではなく

話のタネとして

少しだけ作って

ウケを狙うものであるのだろう。

ただ

それが

1200セットも売れたというのは

ちょっと驚きだ。

面白い試みであると思う。

そう思うのであるが

私としては

ちょっと物足りないかな

とも思った。

この肉の部位は

特Aの霜降りのロースだという。

それもいいとは思うのであるが

ハート形の肉というのであれば

私としては

ここはやはり「ハツ」

すなわち

「心臓の肉」を使ってほしかった!?

霜降りのロースに比べて

味はだいぶ淡泊だろう

だが

何よりもリアリティーが違う。

話題づくりのために

やるのであるならば

そこまでやってほしかったかな

と思った。

本物のハートであれば

ハート形に切ることもなく

無駄もなく

心臓は内臓肉だから

値段も安い。

話題になることは間違いない!?

でも

かなり悪趣味だな・・・


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井口寿美子さん

天塩町の酪農家、

井口寿美子さんが、

このたび新設された北海道文学館俳句賞の、

IMG_5079最優秀賞に輝いた。

1人20句の未発表の俳句を募集し、

第1回目にあたる今回は、

応募者数は北海道内外から325人にもなった。

その中から

井口寿美子さんの20句が最優秀賞に選ばれたのだ。

その作品タイトルは「牛を飼ふ」というもので

20句のほとんどが

牛のことを詠んだ句になっている。

いくつか挙げてみると

 
 産声といふも牛の仔クリスマス   寿美子

 
 名を呼べばかほ出す仔牛息白く   同


 咳一つもらし仔牛の売られゆく   同


など

仔牛に対する目が優しい。

また


 初日さす盆暮のなき牛飼に   寿美子


 病む牛を寝返りさせて寒の水   同


 風花や尼僧のやうな搾乳帽    同


 搾乳の窓に氷柱の影ならぶ    同


 海二つかち会ふ岬寒波来る    同


など

天塩町の厳しくも美しい環境の中で

酪農家の母さんの毎日の暮らしが

読み手にストレートに伝わってくる。

IMG_5088これらの作品群が

私を含めた7名の選考委員の間で

最高の評価を受けて大賞に選ばれた。

私はこの作品を初めて読んだ時

その内容から

酪農家の母さんであることは容易に想像できたので

IMG_5093作者に是非会ってみたいと思って

この作品を第1位に推した。

もちろん私1人だけが推薦しただけでは

最優秀賞には届かないのだが

今回は、私以外にも第1位に推した人を含め

選考委員の皆さんの評価が高く

IMG_5099見事に最優秀賞に選ばれたのだった。

2月2日の授賞式の当日

はたして

ご本人にお会いすることができた。

井口寿美子さんは私とほとんど同世代だった。

いろいろ話をしていたら

IMG_5094数日前に

牛のお産があり

なんと三つ子の仔牛が生まれだのだという。

残念ながらその仔牛は死産だったらしいが

それがもし全て生きていたら

今頃は仔牛の世話に追われて

授賞式には出席できなかったかもしれない

とおっしゃっていた。

まさしく

現役の酪農家の母さんの話だった(笑)

2月13日の

道新の夕刊のコラムに

IMG_5142この賞の選考委員の代表である

五十嵐秀彦さんが

井口寿美子さんの受賞作品を取り上げて

「・・・1次産業の現場からの俳句が持つ強さ・・・」

と書いている。

私も

まさしくその通りだと思った。

井口寿美子さんには

これからも

酪農現場からの俳句を

たくさん詠んでいただきたいと思う。


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マルちゃんVSペヤング(7)

アメリカの日本向けの食料戦略は、

あまりにもひどく、

即刻に止めてもらいたいものだが、

ペヤングソースやきそばの、

北海道向けの食料戦略は、

なかなかユニークで、

これからも続けて欲しいものばかりである。

北関東に拠点を持つペヤング(まるか食品)

VS

北海道に王国を築いているマルちゃん(東洋水産)

という構図は

日本の食文化の豊かさのあらわれなのだ。

その過去の戦いを振り返ってみると、

 先陣は2年前の衝撃的な「納豆やきそば」

 「基本バージョン」の大手スーパー店頭での大量売り込み

 数ヶ月前に見られた前代未聞の「カレー+納豆バージョン」

 巨大なペヤング「ソースやきそば」の「超大盛」バージョン

 エビ好きの日本人の心をくすぐる「海老」バージョン

「たらこ」の戦い

あっと驚く前代未聞の「スカルプD」やきそば

という

過去に何回もの

激しい衝突を繰り返してきた。

IMG_5077そして今回

またまたペヤング側からの

新たな攻撃が来た。 

その名は

「北海道ジンギスカン風やきそば」!!

である。

ジンギスカンといえば

北海道民の誰もが

心から愛しているソウルフードである。

IMG_5124そんな北海道民の胃袋を

鷲掴みにしようとする

大胆不敵な作戦である。

パッケージには 札幌時計台の写真

その上に「ジンギスカン」の文字

IMG_5065その横になぜか「風」の文字が

小さく添えられているが

これがまた何か意味ありげで

笑ってしまう。

早速試食してみる。

一見普通のインスタントやきそばである

IMG_5120しかし

ソースの袋を切って

麺に絡めていると

そこから漂う香りは

いつものソースとは全く違う

あのジンギスカンのタレの香りがするではないか。

IMG_5121さらにそれをひと口含めば

甘いジンギスカンのタレの味が

麺にからまって

絶妙な食べ心地を味わうことができた。

これは全く新しい

ジンギスカン風味のやきそばに仕上がっている。

IMG_5122北海道民はよく

ジンギスカンをした時に

途中でうどんを入れて

それをタレに絡めて食べることがある。

あのうどんの味こそまさに

北海道のソウルフードであるが

その味を

インスタントやきそばで再現してしまったのが

今回のペヤング「北海道ジンギスカン風」やきそばなのだ。

IMG_5123これはもう

一度食べてみないと

これ以上のことは説明しづらい。

こんな面白いやきそばを作り出して

北海道に攻撃を仕掛けてくる

ペヤングのまるか食品に敬意を表したい。

そして今

マルちゃんの東洋水産陣営の

心中はきっと

穏やかではないだろう

と想像されるのである。


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「食料」は「武器」

「食料は武器であって、日本が標的だ。直接食べる食料だけでなく、畜産用のエサとなる穀物をアメリカが全部供給すれば、日本を完全にコントロールできる。これがうまくいけば、さらに世界に広げてゆくのが、アメリカの食料戦略なのだ。君たちはそのために頑張って生産してほしい」

これは

アメリカの名門公立大学である

ウイスコンシン大学の

農家の子弟の多い講義を担当する教授の発言だそうである。

今年の1月4日の

十勝毎日新聞の1面のコラム(編集余禄)に

畑作農家で歌人の時田則雄さんが書いているものを抜粋した。

IMG_4945







すぐに読めるので

ぜひクリックして全文を読んで頂きたいと思う。

その内容は

十勝の畑作農家の親父さんの言い分である

と同時に

一流歌人の発言でもある。

歌人の眼は鋭い。

この一文を

我々農畜産業の関係者ばかりではなく

全ての日本人が

心に刻むべきだろう。

アメリカで作った

日本向けの「食料」は

「武器」なのである。


アメリカの名門公立大学である

ウイスコンシン大学では

農家の子弟の多い講義で

毎年こういう教えをしているわけである。

では

日本の名門公立大学である

北海道大学や帯広畜産大学の

農家の子弟の多い講義では

どのような教えをしているのだろうか?

「・・・、君達はそのために頑張って生産してほしい」

と教える講義はあるのだろうか?

日本の大学で同様の講義がもしあるとすれば

「・・・、」

の部分には何が入るのだろう?

日本でも食料は武器だと教えるのだろうか?

食料は命の糧であり

安心かつ安全であるべき物である。

安心かつ安全な「食料」はあっても

安心かつ安全な「武器」などあろうはずがない。


「食料」を「武器」と考えたときから

それは危険物になる。


「食料」は「武器」だと言い放つ

アメリカの大学教育と食料戦略の中身を

見抜かなければならない。

今、我が国の

家畜用のエサの穀物は

もうすでに

ほとんどが

アメリカ産である。


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「第三の手」初産の和牛の子宮脱

朝の往診先の振り分けがおわり、

Σ牧場の仔牛の治療の準備をしていると、

Σ牧場から再び電話がかかってきた。

「さっき分娩した初産の和牛が子宮脱なんで、すぐ来てください!」

これは直ちに行かなければならない。

それにしても、

この間も朝イチで和牛の子宮脱があったばかりだ。

私は今、どうも

あの忌まわしい子宮脱星の支配下に入ってしまい

子宮脱星人になっているようである。

Σ牧場へ着くと

Σさん兄弟が分娩房で

悪戦苦闘していた。

しかし、子宮脱の経験は過去に何度かあったようで

脱出した子宮の下に清潔なマットを敷いて

EB55BF5E-D4A2-437E-8FF6-106A7FCB54A0ぬるま湯を用意して

手袋をはいて

Σさんはすで自分の手で

子宮を約半分押し込んでいるところだった。

「この牛、立てないの?」

「ええ、さっき産んだばかりで、仔牛が大きくて結構キツかったんで・・・」

「これなら、そのまま残りを押し込めそうかな?」

「はい、出ている部分はあと半分くらいなんで、なんとか・・・」

「わかった、じゃあ一緒にやりましょう。」

私はΣさんと場所を交代し

押している子宮をそのまま引き受けた。

F2B3CFFD-084A-4505-B880-3AAE090EFABAその時

両手で子宮を押しながら

Σさんに

子宮脱整復棒で一緒に押してもらうように頼んだ。

この棒は

本来であれば

子宮を完納した後

腹腔の中の子宮の反転を直すために使う道具なのだが

12570983_948233651925150_1223774235_n[1]今回とっさに思いついたのは

飼主さんの手が空いているので

この棒によって

自分の両手に加えて

「第三の手」として飼主さんにも子宮を押してもらう

という方法だった。

親が立てず

腰も吊り上げないままに整復を始めて

そのまま半分まで押し込んだのならば

親牛の努責に負けずに

間髪入れずに

さらに子宮を押し込むのが最も早い方法である。

私の両手と

Σさんの整復棒よる「第三の手」が協力して

間もなく子宮は腹腔内に完納された。

そしてその後は

子宮脱整復棒の本来の使い方で

腹腔内の子宮の反転を取り除き

陰部をビューナー針と包帯で巾着縫合し

D6B8D977-AD1C-4211-96DF-95752291B622抗生物質とリンゲルの補液と

念のためのカルシウム剤を投与した。

親牛は横臥したままだったが

努責は治まっているようだった。

私は明日また来ることを告げて

そそくさと、次の往診に向かった。

翌日

血液検査の結果が来た。

BlogPaintこの牛の血中カルシウム値は

8.3 /dl

だった・・・

今回の子宮脱のおもな原因は

低カルシウム血症とは考えにくく

強い努責が有り余った物理的なものだったのだろうか?

相変わらず

子宮脱というのはナゾの多い疾病である(笑)

Σ牧場に行ってみると

120F1FB1-7993-4E7E-AA5F-B5A0D23C6550昨日の牛は

昨日のうちに立ちあがり

今朝からは食欲も正常に回復していた。

生まれた子牛も元気だった。

それを確認した私は

陰部の縫合部を抜糸し

抗生物質を投与し

治療を終了した。


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帯広市民劇場運営委員会・新年交礼会

十勝の中心である帯広市には、

帯広市民劇場運営委員会という会がある。

その目的は、

「演ずるものとこれを鑑賞する人々との交流の広場を創り、市内芸術文化団体ならびに個人の育成と連携を図り、帯広市および十勝の芸術文化の向上発展に寄与する」

である。

先日

帯広駅前のホテル日航ノースランドで

その運営委員会の新年交礼会というものがあり

初めて参加してきた。

たまたま去年の5月の市民芸術祭に

能の仕舞で参加したのがきっかけで

「今年もよろしく」と

運営委員会からお声がかかったので 

軽〜い気持ちで一杯やるかぐらいの

いい加減な乗りで足を運んだのだが

それが

何とまぁ立派な新年会で

運営委員長さんの挨拶から始まり

帯広市長さんの挨拶

帯広市議会議員の皆さんが勢揃い

総勢300人はいるだろうという

とても大きな会だった。

そして

帯広市民劇場賞の受賞者の表彰式

さらに

各受賞者のスピーチと

各受賞者の作品の展示や

各受賞者の演舞や演奏のアトラクションと

それはそれは華やかな催しだった。

帯広市民劇場賞の受賞者の皆さんというのが

これまた多方面で活躍されている方ばかりで

IMG_5030今回は

写真家、郷土史研究家、バレエ劇団、ピアノ奏者、尺八奏者、画家

という6人の方々だった。

交礼会の出席者の名簿を見ると

さらに色々な

ありとあらゆる文化芸術活動を行ってなっている人達の名前があり

こんなに広いジャンルの方々が

一堂に集まって交流を深めるという

IMG_5031一地方都市の新年の交礼会は

日本全国どこを探しても

そうあるものではないらしい。

北海道という

一つの島国のような

まとまりのある特殊な土地柄の中で

IMG_5032さらに

十勝という

連帯意識の強い特殊な土地柄の中で生まれた

とてもユニークな文化活動であるそうだ。

私は今まで

獣医師会以外の大きな会合には

ほとんど参加した事がなかったのだが

今回は

獣医師とはかなり雰囲気の違う人達の会合で

「十勝の文化・芸術の力」

を生で感じる事ができた。

とても新鮮な気持ちで

新年のお酒を楽しむ事ができたのは

大きな収穫だった。


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削蹄後の跛行(4)

削蹄の次の日から右後肢の跛行を呈し、

飛節から蹄冠までの腫れが引かず、

X線検査によって近位趾関節の亜脱臼が疑われた、

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3初産のホルスタイン。

患部にキャストを巻いて、

暫くは痛みが和らいだかに見えたものの、

その後幹部のキャストずれの傷から細菌感染を起こし、

患部が化膿して大きく腫れてしまった。

IMG_4694その後、

キャストを外し、

抗生物質の投与を再開して、

痛みと跛行は小康を得たようだった。

しかし、

IMG_4890腫れは変わらず

その1週間後

食欲が無くなったと言うことで往診したら

第四胃変位になってしまっていた。

第四胃変位になったと同時に

66820447-4AD0-43B0-8AA5-C197EA4EB607泌乳量はほぼゼロになってしまった。

普通は乳牛が第四胃変位になったら

即刻開腹手術を実施するのだが

この牛の場合

足が悪く歩行や起立が困難な事と

泌乳量が全くないことで

開腹手術をしたところで

この牛の飼養価値はあるのだろうか

と言う考えが

飼主のΛさんの脳裏にはあったのだろう。

結局手術は延期され

内科治療が施された。

内科治療を数日施したら

8D8762EC-5AC2-4949-9371-AD12E9A06465元気が出現し食欲も回復して来た。

しかし

泌乳量はゼロのままだった。

すなわち、お乳はもう上がってしまったのだった。

Λさんはそのままこの牛を、足場のよい乾乳牛の群へ移動させた。

そこに入れると、起立や歩行が楽になると言う事だった。

Λさんはこの牛の即刻の自家淘汰を考えたが

起立や歩行が楽そうなので

そのまま飼い続けて

うまく行けば肉をつけて

屠場へ肉として出荷する予定にした。

それから2週間近く

この牛はΛさん宅の乾乳牛舎で飼われ続けた。

しかし

牛の状態は思ったほど良くならなかったらしい。

先日、往診に行った同僚獣医師の話によると

この牛は、残念ながら

食肉にすることもできず

病畜処理場へ運ばれて

処分されてしまったそうだ。

泌乳量はゼロで

共済保険の適用も難しく

肉にもなれず

残念な結果になってしまった。

乳用牛が思わぬ事故にあい

ひとたびその飼養目的に叶わなくなり

理想の飼養目的から外れざるを得なくなると

このような結果になってしまう。

家畜という牛の

運命は

哀れである。


(この記事終わり)


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削蹄後の跛行(3)

右後肢の外側蹄の、

基節骨と中節骨との関節、

すなわち「近位趾関節」に外力が加わって、

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3ズレ(亜脱臼)を起こし、

痛みと腫れが治らないという 、

今回の初産のホルスタイン。

困った末に 

苦しまぎれの治療法として

24F75BAD-CB34-476A-9163-79FAD8DD3D4F患部をキャストで巻くという

普段やっている単純なナックルの整復法を試みた。

キャストを巻いた後の数日間は

寝起きもスムーズで

うまく行ったように思われた。

ところが

IMG_4827キャストを巻いてから4日目の朝

飼主のΛさんから電話がかかってきた。

「また痛くなってきたので、痛み止めでも打ってもらえないだろうか・・・」 

そこで、痛み止めとしてスルピリンをしばらく打ってもらうように指示した。

その後、10日間は音沙汰がなかったが

11日目に電話がかかってきた。

「やっぱり痛がるんで、キャストはもう外してもらえないだろうか・・・」

再びΛさんの牛舎に行って

キャストを外しはじめると

なにやら嫌な匂いが立ちこめてきた。

キャストの上端の辺りの皮膚が擦れて

そこから細菌が感染し

IMG_4828化膿していた。

化膿の範囲は思ったより広く

キャストを巻いた部分の

上半部の傷から

大量(約200ml)の膿が出てきた。

「・・・抗生物質を使わないと」

「痛み止めだけじゃだめだったか・・・」

「・・・キャストを巻いたことで蹄の負担は軽くなってよかったんだけど」

「体重が今度は足の上の方にかかって擦れちやった・・・」

「・・・もっと早くから抗生物質打っておけば良かったかもしれないね」

私は、キャストを外し終えた後

IMG_4829化膿して自壊している箇所を洗い

イソジンゲルを塗布したガーゼを当てて

その上からバンデージを巻いた。

「・・・これから毎日抗生物質を続けて、来週包帯の交換に来ますね」

「お願いします・・・」

IMG_4889そして翌週

包帯を交換し、抗生物質を続け

そのまた翌週も

包帯を交換し、抗生物質を続け

そのまた翌週

IMG_4890包帯を外して

そのまま包帯は装着せずに様子を見ることにした。

それからまた1週間が経ち

再び、Λさんから電話がかかってきた。 

「あの牛、食欲がなくなってきたんだけど・・・」

その日Λさんに往診に行ったのは

同僚のK獣医師だった。

K獣医師が往診から戻って来て言った。

「あの牛、四ぺん(第四胃左方変位)だよ・・・」 


 (この記事、もう少し続く)


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削蹄後の跛行(2)

簡単におさらいすると、

今回の初産のホルスタインの、

削蹄の次の日から始まった右後肢の跛行。

初診から毎日、

消炎剤の注射と塗布、

および抗生物質の注射を、

10日間続けたが、

治療には全くと言って良いほど反応がなく、

飛節から蹄冠部までの腫脹も変化することがなかった。

24F75BAD-CB34-476A-9163-79FAD8DD3D4F10診目のX線検査によって、

外側蹄の近位趾関節のズレ、

亜脱臼らしき画像が得られた。

原因は定かではないが

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3何か尋常ではない外力が

牛の右後蹄にかかり

近位趾関節がダメージを受けたと思われる

そんなX線画像だった。

BlogPaintそれを参考にして

治療を考えなければならない。

私の技術レベルでゆくと

あと残された方法は

キャストによる外固定

それしかもう残されてはいなかった。

翌日さっそく

それを実行した。

IMG_4694写真のように

患部をキャストで巻くだけである。

この方法は

いわゆるナックル状態になっている球節を

外固定する方法と同じである。

IMG_4698しかし

いわゆるナックル状態(腱の異常)と

今回の近位趾関節脱臼(関節の異常)との

大きな違いは

患部が腫れている

ということである。

腫れて膨らんでいる患部を

キャスト固定したらどうなるのか

いろいろ想像されて

どれもあまりよろしくない姿が思い浮かぶのであるが

それでも

もう残された方法はこれしかないということで

やるだけやってみた

IMG_4699そんな

今回のキャスト固定だった。

だが

キャストを巻き終えた牛は

意外にも

患肢をすんなりと着地して

すくっと立ってくれた。


(この記事続く)



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削蹄後の跛行(1)

「削蹄した次の日、足が痛くなって腫れてきた・・・」

そんな稟告で診たΛさんのホルスタイン。

右後肢の飛節から球節にかけて腫脹し、

負重困難、水腫様の腫れも認められた。

打撲なのか、

関節炎なのか、

あるいはフレグモーネか、

とりあえず、考えられる処置として

消炎鎮痛剤と抗生物質の投与、

患部へ直接の消炎剤の塗布、

が続けられた。

普通このような治療を1週間程続ければ

ほとんどのケースで治癒に向かうものである。

122C074A-B552-4F5B-A891-47C43637744Aところが・・・

今回の牛の跛行は

一向に改善する気配がなかった。

抗生物質の種類を変えて

再び数日間の投与を続けてみた。

しかし・・・

それでも今回の跛行は

一向に改善する気配がなかった。

何やら難しい症例になりそうだったので

跛行を始めた日から数えて9日目に

患部のエックス線撮影をすることにした。

その画像がこれである。

6CCC241A-DA9D-4241-834D-2734A577CAF3相変わらず下手くそな写真であるが

よく見ると

外側の基節骨と中節骨の関節面が

ズレているように見える。

関節面のズレとともに

73E5E815-B47C-45D3-8A4F-F9C54A5B62C1関節が前方へ突出しているように見える。

骨折はないようだが

関節面がズレているということは

脱臼しているといっても良いのではなかろうか。

この牛の肢には

24F75BAD-CB34-476A-9163-79FAD8DD3D4Fいったいどんな外力が加わって

このような姿になったのだろうか。

そんなエックス線画像を

目の前に置いて

しばしの思案。

0E5FDF60-A635-4EAE-83BC-F972B629DAF8さて

これからこの牛に

どのような治療をすればよいかと< />
あれこれと

考えなければならなくなった。


(この記事続く)



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帝王切開部位・右派?・左派?

「これから帝王切開だそうです。」

夕方追加往診に行っていたS獣医師から連絡が入った。

診療所に残っていた私はそれを聞いて、

今日の超過勤務を覚悟した。

それから約20分後にS獣医師が戻って来た。

H獣医師らと手術室で帝王切開の準備をひと通り終えて、

さらに20分ほど経ったところで、

牛が運ばれてきた。

牛を手術台に保定するとき

私は手術台のアームがいつもとは逆の

向かって右側が伸びていることに気がついた。

「あれ、右の下けん部を切るんですか?」

「うん、いつもとは違うんだけど、やってみようかと思って。」

S獣医師からそんな答えが返ってきた。

最近の我が診療所で行われる帝王切開は

牛の頭部を向かって左側に結び

牛の左側を上側にする

いわゆる左横臥で寝かせて

左の下けん部を切開する術式がほとんどである。

その理由は

第四胃変位の手術の時と同じ保定なので慣れている。

切開部位のほぼ直下で胎児を摘出することができる。

などが挙げられるが

実は難点もある。

それは

子宮を操作している時

大きな第一胃が邪魔になるという点である。

第一胃にガスが溜まってくると

牛の陣痛に共なう怒責によって

まるで大きなエアバッグのような第一胃が

切開創から飛び出してくることがよくあり

それが手術の進行を遅らせるのだ。

それを防ぐために

私はいつも第一胃のガスを抜くための

インジェクターを用意して手術をしている。

それでもやはり第一胃の怒責は煩わしいものである。

IMG_4976「右側を切ったら、それがないからね。」

S獣医師が右横臥を試みたのはそういう理由らしい。

ただ、右下けん部切開にも難点がある。

それは

子宮を操作している時

円盤結腸の周りを走る空回腸が

怒責に伴ってニョロニョロと出てくるので

IMG_4980それを避けるのが煩わしいという点である。

右を切ったら空回腸

左を切ったら第一胃

どちらかが邪魔になる

という点では同じことなので

要はその対処法に差があるかということだが

IMG_4982それぞれ慣れてしまえば大差はないように思われる。

今回私は

助手のそのまた助手として

周辺をサポートするだけの簡単な仕事だったので

写真を撮らせてもらったが

いつもと左右が逆の手術は

IMG_4982なんとなく

鏡に映った映像のようで

撮っているだけでも不思議な気分になった。

過去を振り返ってみると

以前はよく右横臥で右下けん部切開で帝王切開をしたものだが

IMG_4985いつの間にやら

左横臥で左下けん部の帝王切開ばかりをするようになっていた。

それはなぜかというと

邪魔になる消化管云々がその理由ではなく

どうやらその理由は

第四胃変位の手術と同じ体位で横臥させる

IMG_4986ということに慣れてしまったからのようである。

牛を寝かせるまでに

何も考えずに

体が勝手に動くのは

やはり

IMG_4987第四胃変位の手術と同じ

左横臥なのである。

なんだ

そんなことか(笑)

さて

これをお読みの獣医師の方々

あなたは帝王切開の時

どんな体位でやっていますか?

IMG_4989枠場で立位ですか?

手術台で横臥位ですか?

横臥位の場合

右横臥ですか?

左横臥ですか?


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自力で分娩した牛の親子は要注意!

先日の宿直の、

18時30分頃に携帯電話が鳴った。

「今日産んだ親牛と、その仔が元気ないんですけど・・・診てもらえますか?」

酪農家の▽さんからだった。

牛舎に着くと、仔牛がいるカーフハッチに案内された。

「難産だったらしくて・・・でも親のほうは、さっき見たら餌食ってたんで、様子みることにします。仔牛のほうを診てください。」 

仔牛はカーフハッチの中でうずくまっていた。

体温35℃以下、心音が弱く、呼吸も弱かった。

「お産は、だいぶきつかったの?、いつ生まれたの?、親は初産?」

「朝5時頃だと思います。見つけた時はもう生まれてたんですけど・・・親は経産牛です。」

「自力で生まれてたのね。」 

「はい・・・」

よくある事だが

自力で分娩し終わっている牛を見つけた時は

もう事態の山場が過ぎているので

安心して仔牛を移動させて

普通に様子を見ている飼主さんが多い。

しかし

最近のホルスタインは

足腰が弱く踏ん張りがきかなくなっているので

相当な難産であったと想像するべきである。

飼主さんが介助するのが当たり前になっている中で

介助のない自力分娩をした牛の親子は

親子共々相当な体力を消耗をしている可能性が高い。

そういうお産の直後の牛の親子は

いつよりもまして注意を払っておかなければならない。

今回はまさにそういうケースだった。

時間は19時を過ぎ

夜の厳しい寒気が忍び寄って来た。

「仔牛の体温が下がりすぎてるね。外のハッチで治療するのは、ちょっとなー。」

「寒すぎますか?」 

「うん、ここじゃ寒すぎるから、どこか部屋の中に持って行こう。」 

「わかりました。」 

IMG_4973私と▽さんの息子は

冷たくなりかけている仔牛の四肢を持って

処理室の事務机の前に運び込んだ。

処理室の中はプラスの気温だったので

ここで点滴治療をすることにした。

仔牛は体温が下がっているばかりではなく

BlogPaint血圧もかなり下がっていて 

頚静脈がなかなか見つからなかった。

数分後ようやく頚静脈に留置針を差し入れることに成功し

点滴治療を開始して

明日また治療に来ると▽さんに告げて

その夜はそのまま帰路に着いた。

翌朝

事務所の外の温度計の気温は

−16℃を指していた。

診療業務が始まった頃

▽さんから電話がかかってきた。

「昨日の仔牛・・・死んでしまいました・・・」

残念な結果になってしまったが

今の時期にはよくある事だ。

繰り返しになるが

もう一度書いておく。

飼主さんが介助しないで

自力で分娩した牛の親子は

いつも以上に

体力を消耗しているので

要注意!


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巨乳の乳牛の四変手術

乳牛はみな巨乳である。

沢山の乳を搾るために、

そのように改良(改変)されて来たのだから、

仕方のないことであるが、

そのおかげで、

色々なところに支障が出る場合もある。

先日、

四胃変位の手術をするために連れて来られた牛は、

超・巨乳、だった。

手術台に寝かされて

仰臥姿勢にすると

巨大な乳房が

前方へはみ出して来て

四変手術の切開部位である

傍正中線付近が

すっぽりと覆われてしまった。

一部分だけ覆われて手術しづらい

という事は過去に何度もあったけれど

今回は手術予定部位がほぼ全域

超・巨大乳房によって覆われてしまう。

IMG_4830仕方がないので

この巨大乳房にロープをかけて

後方へ引っ張り

そのロープの先端を後方に固定することにした。

いつもは四肢を縛っているロープを

IMG_48311本余計に使って巨乳の固定をした。

こんなことをするのは初めてだった。

巨乳を固定した後は

写真のように普通に

バリカンで毛刈りをし

IMG_4832普通に手術を終えることができたが

こういう牛の共通項として

巨乳の割りには

体がやせ細って

腹囲が巻き上がっている。

IMG_4833そのために

巨乳が前方へはみ出して

手術の邪魔になるのである。

乳牛の体型の

遺伝的な改良が進むのは

良いことだと思うが

どれもこれも良くなるというものではなく

時には体型が崩れて

それが返ってあだになってしまう

という場合もある。

家畜の改良というのは

遺伝子ばかりを良くすることではなく 

飼われる環境も

同時に改良して行かなければ

本当の改良にはならないのだろう

と、つくづく思う症例だった。 


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回文の神!

私は毎年の年賀状に、

その年の干支を入れた回文575、

という作品を書添えることにしている。

全ての送り先の方々に読んでもらって、

楽しんでもらえば良いと思って

遊びの回文を作っている。

IMG_4950今年(亥年)の作品は、


 路イノシシ獲る牙切ると獅子の色  豆作

 (ろいのししとるきばきるとししのいろ) 


というもので、

路上の猪を捕獲して牙を切ったら切り口が祭獅子のような真っ赤な色に染まった

といったような意味の句になっている。

回文を完成させるために

あれこれと言葉を入れ替えたり繋いだりしたので

句の意味が解りにくくなってしまっているのは否めない。

ただ、まぁ私としてはそこそこの回文575に仕上がったかなと思って

この句を印刷した年賀状を多くの方々へ送ったのだった。

正月も1週間が経ち

年賀状のお返しの中にも

私の回文に対してお褒めの言葉などの反応を

添えていただいた方もいた。

その中で

1枚の年賀状の中に添えられた

すごい回文が返って来た。

その回文俳句が

IMG_4951こちら


 夜道の猪よ志士のいのち見よ  牛後

 (よみちのいのししよししのいのちみよ)


作者はご存知

私が回文の神と崇める

下川町の酪農家・鈴木牛後さんである。

完璧な回文に加えて

完璧な17音の俳句となっていて

句の意味も解りやすくて無駄がない。

夜道の猪がまるで暗躍する幕末の志士のように猪突猛進する様が描かれている。

さらに句のリズムが破調であることが

この句の場合はかえって力強さを増している。

何という回文俳句だろう!

私はこの一句を見て

完全に打ちのめされてしまった(◎_◎;)

まさに

神が降臨している!

と言って良いのではなかろうか。

牛後さんは

第64回角川俳句賞を受賞して

今や時の人だ。

乗ってる人の作品というのは

やはり

勢いが違うなー!



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ばんえいGI・第12回天馬賞馬に、あの馬が・・・

1月3日のばんえい競馬のメインレースは、

5歳重賞三冠レースの最終戦、

第12回天馬賞だった。

いつもの飲み友メンバーのH田さんと、

運転手をしてくれたS平君と3人で、

正月競馬ムードたっぷりの帯広競馬場に入った。

数レースの運試しで収支ややマイナスとなった後、

IMG_4910いよいよメインの第10レース

出走馬の表と競馬新聞の予想の印を見ると

7番のミノルシャープに人気が集まっている。

本命はどうやらこの馬のようだが

その相手がはっきりしない。

対抗馬の筆頭だった6番カネサスペシャル

病気で出走取消になってしまったので

1番メジロゴーリキ、2番ジェイワン、3番ゴールデンフウジン、8番マツカゼウンカイ

の4頭に印(人気)が分散している状態だった。

再び競馬新聞をよく見ると

IMG_49351番メジロゴーリキ

父はニシキダイジン、母はメジロルビー、とあり

生産者は我が町の§さんの生産馬だった。

そしてこの馬は5歳になる・・・

(この馬・・・もしかして・・・)

私は、5年前の§さんの仔馬の往診を思い出していた。

(メジロルビーの仔で・・・親馬の糞を食べ過ぎた・・・ということは・・・あの時の仔馬だ!)

食糞欲が旺盛で食道梗塞になり

飲んだミルクを飲み込めずに鼻から吐き出していた仔馬ではないか。

その時は日高のhig先生に相談して

絶食用の口籠を装着して

その後は事無きを得たが

何かと世話のやけるやんちゃな雄の仔馬だった・・・あの仔馬ではないか!

(色の付いている文章をクリックすると、その時のブログ記事が読めます。)

あの仔馬が

今はもうこんなに、たくましく成長して

メジロゴーリキという名前をもらって、大きなレースに出場しているのだった。

「あの仔馬、強くなったと聞いていたけど、GIの三冠レースに出るまでになったとはなー!」

私は、感慨無量だった。

パドックでは

重賞レースということで

多くのファンが集まって

馬達に声援を送ったり

カメラを向けたりしていた。

1番の馬から10番の馬まで

全ての馬がよく仕上がっていて

馬体はみんなピカピカで美しく逞しかった。

私は、1番メジロゴーリキの姿を

IMG_4917何度もカメラにおさめた。

そして

この馬のビックレース挑戦を祝福し

IMG_49191番メジロゴーリキを軸とした応援馬券を買うことにした。

先ずは1番の単勝 を1000円

そして有力馬への連複馬券のながし

 辞◆↓ 辞、 辞А△魍300円

さらに人気薄馬へのワイド馬券のながし

 辞ぁ↓ 辞ァ↓ 辞─↓ 辞、を200円

IMG_4929合計で2700円の応援馬券を買った。

1番メジロゴーリキが来なかったら

全ては紙切れとなる馬券。

この馬券をポケットの中で握りしめ

スタート地点へ向かった。

ファンファーレが鳴り

続いて「ガシャーン」とゲートが開いた。

馬たちはもうもうと砂煙を上げながら

200メートルのコースを重い橇を引いて走りはじめた。

IMG_49241番メジロゴーリキ

スタートダッシュよろしく

先頭争いをしながら辛うじて先頭に立ち

第二障害の勝負所に差し掛かった。

登坂能力が高いという評判のこの馬は

評判通りに第二障害をひと腰で登りきり

ここもほぼ先頭で

後半勝負に持ち込んだ。

IMG_4926相手の馬たちは皆差し足が鋭く

逃げる1番メジロゴーリキ

猛然と追い詰めてくる。

ゴール地点が近付いてきた。

1番メジロゴーリキ

後続馬の追撃を逃れるように

水分の少ない重い馬場を

必死に進んでゴールした。

その瞬間

3番ゴールデンフウジン

1番メジロゴーリキを僅かにかわしたかに見えた。

着順の発表がなかなか出なかった。

場内の人びとは皆モニターに注目した。

しばらくして

ようやく写し出された着順は

1着1番メジロゴーリキ、2着3番ゴールデンフウジン、3着8番マツカゼウンカイ

だった。

「払戻金額をお知らせいたします・・・」

というアナウンスのもと次つぎと金額が発表され

単勝   760円 、馬複  辞 1470円、ワイド   辞  380円

IMG_4931私の買った3種類の馬券が

的中してしまった♪

投資額を掛けるとそれぞれ

7600円 + 4410円 + 760円 = 12770円

となった♪

IMG_4932大した考えもせず

単純に応援馬券として買った

我が町の§牧場生産馬で

五年前の思い出深いメジロゴーリキ

の馬券だったが

応援で買った馬券が

こんな当たりをしたのは

IMG_4946全く初めてのことだった。

メジロゴーリキからの

思いがけないお年玉を

逆にもらってしまったような

嬉しさのこみ上げてくる

当たり馬券だった。


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今年最初の難産介助

今年の年末年始は、

元日から2日までが私の当番だった、

静かな朝日を浴びて診療所へ向かい、

大晦日から元日まで当番だったT獣医師と新年の挨拶を交わし、

元日はT獣医師と約半分づつ仕事を振り分けて、

それぞれの往診先へ出掛けた。

午前中の最後の往診先で仔牛の治療をしているとき、

ポケットの携帯電話が鳴った。

「お産なんですけど・・・仔牛が大きくてなかなか出ないみたいで・・・」

和牛繁殖農家の★さんからだった。

到着して分娩の予定日を聞いてみると

「12月14日なんですけど・・・2週間以上遅れてるんで・・・ちょっと心配で・・・」

産道に手を入れて診ると確かに肢が太い。

頭部はその奥で少し横を向いていた。

「・・・あー、これは頭にワイヤーをかけたほうがいいね。」

「お願いします・・・」

手持ちのループワイヤーで頭部を確保し

まず頭部だけをゆっくりと牽引する。

頭部は軽い抵抗感とともに産道に乗ってきた。

次に両前肢にロープをかけてそれをセットした滑車に接続する。

滑車につないだ前肢と

ワイヤーで確保した頭部を

交互に少しづつ牽引してゆく。

頭部が最もキツくなる膣をおでこが完全に通過して

後頭部まで出たところで

前肢につないだ滑車だけを強めに一気に牽引する。

胎児の骨盤が完全に通過して

ドサッと生まれてきた。

大きな♂だった。

IMG_4903「よかった・・・無事に生まれた・・・」

「・・・今年最初のお産の仕事は、無事でよかった。」

「ありがとうございます・・・」

新年早々、これは幸先の良いことかもしれない。

そして

その夜

午後6時半過ぎに当番の携帯電話が鳴った。

「また、お産なんですけど・・・仔牛向きが悪いのか・・・なかなか出なくて・・・」

なんと、また同じ和牛繁殖農家の★さんからだった。

到着して再びカッパを着ていると★さんが来て

「昼間の牛よりも簡単に出せるかと思って・・・色々やってみたんですけど・・・」

という。

産道に手を入れて診ると、昼間の産道よりも乾燥感が強く、胎児の頭部もより奥にあった。

「・・・あー、これも頭にワイヤーをかけないと駄目だね。」

「お願いします・・・」

私はふたたびループワイヤーで頭部を確保したが

昼間の牛の胎児よりも頭部が乾燥していた。

親の陣痛が強く羊水ばかりが先に出てしまっている様子だったので

胎児の頭部にワイヤーをかけるのに倍以上の時間がかかった。

なんとかワイヤーをかけて

まず頭部だけをゆっくりと牽引する。

頭部はかなりの抵抗感とともに産道に乗ってきた。

次にすでに両前肢にかけてあったロープを滑車に接続する。

滑車につないだ前肢と

ワイヤーで確保した頭部を

交互に少しづつ牽引してゆく。

頭部が最もキツくなる膣をおでこが完全に通過して

後頭部まで出たところで

前肢につないだ滑車だけを強めに一気に牽引する。

胎児の骨盤が完全に通過して

ドサッと生まれてきた。

今度は、大きな♀だった。

IMG_4907「よかった・・・無事に生まれた・・・」

「・・・羊水がかなり抜けてたみたいで、キツかったね。」

「でも無事に生まれて・・・よかった・・・」

「・・・元日に同じ家の牛のお産を2回手伝ったの、たぶん初めてかも。」

「そうですか・・・ありがとうございました・・・」

新年早々、これは重ねて

幸先の良いことかもしれない。

気温が下がり寒い夜だったが

この日の夜の往診はそれだけだった。

翌日は、ほぼ普通量の仕事をこなして

元日から2日にかけての当番を無事に終了させることが出来た。

さて

今日(3日)から6日まで

私の正月休みが始まる♪

3日の予定は、午前中に帯広神社へ初詣。

午後からは、帯広競馬場でばんえい競馬の観戦。

4日の夜は、旧友と焼鳥屋で一杯やってから夜のジャズライブ。

5日の午後は、帯広能楽同好会の初稽古。

6日は朝から札幌で、ホトトギスと伝統俳句協会の新年句会。

予定がびっしり(笑)

天気も良さそうだ。

正月休みを思いきり楽しもうと思う♪


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和牛難産後の子宮脱(2)

朝の往診の準備中に緊急で入った子宮脱の整復。

その日になんとか整復して、

翌日の往診の時は起立していてくれないかと、

淡い期待を抱いていた。

しかし、

翌日その牛は起立できなかった。

症状は全身の発汗が見られ、

相変わらず呆然として食欲不振だった。

血液検査の結果、血清カルシウムは

6.2 ml/dl だった。

その翌日の治療内容も

血液検査の結果を参考にしながら

カルシウム製剤とマグネシウム製剤と抗生物資の投与をした。

その翌日

牛の食欲が回復。

発汗もおさまり表情に活気が出てきた。

血中のミネラルその他の性状が好転したようだった。

しかしながら

起立することができなかった。

リンゲルなどの補液とVB1などの栄養剤と抗生物質を投与した。

その翌日

22C9DA86-8091-4391-AC14-2E4CFB32703B牛の食欲はほぼ正常化。

起立しようとする意志が感じられ

過肥で重い体を前肢だけで引きずり

這いずり回すようになった。

しかしながら

起立することができなかった。

這いずり回る牛の

下腹部に異常を発見した。

6605BCF1-5012-42A9-820C-DBE14519F586右の下腹部が大きく膨れ上がり

触ると波動感があった。

腹壁ヘルニアが強く疑われた。

更に

左後肢はほとんど動かすことができないことも

だんだん明らかになってきた。

骨盤腔内の神経麻痺が疑われた。

鎮痛剤と神経賦活のためのVB1剤が投与された。

その翌日

症状はそれ以上改善することはなかった。

B9962135-C07C-4162-B347-70336C6E8E32食欲はあるものの

腹壁ヘルニアの疑われる腹部の異常は顕著で

左後肢は全く動かすことができず

這いずり回る力が

昨日より少し衰えてきたように感じられた。

ここで私は

Θさんと相談し

この牛を廃用にすることにした。

その手続きをしている間

「・・・ああ・・・かわいそうな事をしちゃった・・・牛が気の毒で・・・ごめんなさいね・・・」

Θさんの母さんは

何度も何度も

この牛に話しかけていたのが

印象的だった。 


(この記事終わり)


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和牛難産後の子宮脱(1)

「お産した後、親牛が立てないないので診て下さい・・・」

和牛繁殖農家のΘさんの母さんからだった。

時間は午前8時40分を過ぎた頃で、

ちょうど診療所の受付の最中で、

出勤している獣医師の往診先を振り分けているところだった。

「じゃあ、俺行きます。」

Θさんは私が向かう地区だったので、

私は往診先にΘさんを加えて、

診療準備にとりかかった。

するとまた、Θさんの母さんから電話がかかってきた。

「なんだか、後産じゃないようなものが出てきて・・・」

私は子宮脱を疑い

往診準備にその治療の準備も加えながら

慌ただしく診療車と薬室を往復していた。

するとまた、Θさんの母さんから電話がかかってきた。

「先ほどの牛が苦しがって、お腹が張ってきて、唸っているんです・・・」

慌ただしく午前中の往診準備を終えた私は

真っ先にΘ農場へ向かった。

途中、安全運転のために備え付けられている

診療車のドライブレコーダーが

何度もスピード注意の警告を告げていた。

約20分かかってΘ牧場に着くと

母さんが心配そうな声で

「仔牛が死んでしまったんで、母親だけでも助からないかと・・・でもこれでは・・・」

牛は右横臥で頭を投げ出し

唸り声をあげて苦しがっていた。

腹囲は極度に膨隆してパンパンだった。

E5CE6BBD-123F-4009-913B-8903C3C093BE私は直ちに極太の套管針(とうかんしん)で

パンパンに膨れている腹壁の頂点部を穿胃した。

湯気のような第一胃ガスが勢いよく吹き出てきた。

ガスが噴き出ている間に

カルシウム剤の補液と採血をして

母牛の腹囲が萎むのをしばし待った。

03C9102E-AA73-46C8-BC18-D92C889766B7「少し親牛の目つきが良くなってきたわ・・・」

Θさんの顔さんは少しほっとしたように言った。

「これから、出ている子宮を元に戻すから、まず親牛を吊り上げましょう。」

私はΘさんの嫁さんに

吊るためのハンガーとトラクターを手配するよう告げた。

「今うちの息子がいないんで・・・隣のΔちゃんに来てもらったら?・・・」

「そうしてくれるとありがたいですね。」

BA5E3556-2584-493C-97D5-54086E39B1BBしばらくして

近所の酪農家のΔ君がやってきた。

ハンガーを腰に取り付けて親牛を吊り上げようと

トラクターのフロントアームを上げてゆくと

過肥状態の親牛の腰からハンガーが外れて

牛の体はまた横臥してしまった。

348A67B8-7CE3-43CB-9982-9ECC0C951B95親牛の腰の皮下脂肪が厚く

ハンガーがどうしてもしっかりと掛かってくれない。

吊っては外れ、吊っては外れ

そんなことを3回繰り返して

結局、吊起をあきらめ

座位のままで子宮脱の整復をすることにした。

F10722BA-46C6-4CCA-B950-D308B98FEB3F用意したビニール袋を子宮の下に敷き

袋の両端を嫁さんとΔ君に支えてもらいながら

私は子宮を押し込んでいった。

子宮はそれほど苦労せず

腹腔内に納めることができた。

BEFA78F2-E4B3-46FA-8E4D-E6F16BFF218B反転整復棒を挿入して反転を直し

外陰部をビューナー針と包帯で巾着縫合し

抗生物質を投与した。

「とりあえず、これで様子を見てください。」

「わかりました・・・」

25BB41C8-5E53-4CC4-B90B-C75984BA464F「明日また来るようにしておきますね。」

「よろしくお願いします・・・この牛、立てるといいんですけど・・・」

「ですね。まぁ、立っても立たなくてもまた診ますから。」

「わかりました・・・あー昨日から息子がいないから・・・」

「でも、Δ君が来てくれて助かりました。」

「もっと早くお産に気付いていれば・・・こんな事にならなかったのに・・・」

B2BC52E3-012B-41DB-BB25-65C672F43641寝ている母牛を前にして

Θさんの母さんはしきりに悔しがるのだった。

往診の一件目で

立てない牛の子宮脱整復というのは

時間のロスが気になる仕事である。

私はΘさんの嫁さんとΔ君への挨拶もそこそこに

慌ただしく

次の往診先へ向かった。


(この記事つづく)



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恒例の餅つき大会・2018

昨日の23日は、

ご近所の飲み友達のH田さん宅で、

恒例になっている餅つき大会だった。

午前中からもち米を蒸かし、

8529456A-2050-41D1-A3E4-66B36663D41B昼までに数回、

昼からもまた数回、

暗くなってからもまた数回、

石臼と杵で餅を搗く。

H田さん夫婦が中心となり、

それに私を含めたいつもの飲み友メンバーが加わって

1AF5ACEA-6D4D-45B5-9957-BBD9A26A03B0かなりの量の餅を搗くことになる。

この餅つき大会の目的は

もちろん餅を搗いて

正月用の伸し餅を作ることにあるのだが

メンバーがメンバーなだけに

当然のように

43407799-A800-4026-B8CA-D79CD54B1618アルコールの力を借りつつ

各自の力を十二分に発揮しながらの作業になる。

寒い空の下で

燗をつけた日本酒は

餅を搗くためになくてはならない

重要なエネルギーなのだ(笑)

E5DA0C3D-80A0-475B-908B-31A42B6A4C6F寒空の下での餅つきなのだが

それがかえって開放的な雰囲気を呼び

H田さん夫妻の明るさと相まって

いろいろな人が出入りする

じつに楽しい餅つきなのである。

今回この餅つきに顔を見せてくれた方々は

304F1A85-8DA7-4101-84DA-E72D90ED86ECざっと思い出しても

20人を超えたのではないかと思われる。

毎年この餅つき大会だけにお会いする方もいて

懐かしいような思いもするのは

毎年欠かさず行われているからだろう。

私はその中で

8B4A9CE3-02A7-46B1-AD18-EBF5A8F7F4EB任されている仕事が一つある。

それは、お雑煮の汁を作る役。

出汁をたっぷりと取り

そこへH田さんの奥さんが切ってくれた具を投入し

沸騰してから火を弱めて

酒・みりん・醤油で味をつけてゆく。

20F195C2-6A7E-471E-90FF-B457384C874E毎年やっていると

だんだんと要領を得て

今では誰からもクレームの来ない

おいしい雑煮の汁をつくることができるようになった。

つきたての餅は

お雑煮以外にも

豆餅や納豆餅やあんこ餅

さらにはピザなどにも使えて

バリエーション豊かなお皿が満載になる。

持ち寄ったアルコール類は

8FC2DC73-FA61-4E6C-AD86-D61887B64B03いつも、最初は

こんなに飲めないだろ!

と思うのだが

それが、餅つきが終わって

H田家の居間に上がらせてもらう頃には

8割方飲み干されてしまっているのだった。

我々の飲み友仲間のうち

酒に一番弱いのは

おそらく私だろう。

私は餅つき大会の時はいつも

47069AA5-0447-46F4-8D6F-3CD1E9248692途中で一度潰れてしまう。

午前中から日本酒を飲み続けると

必ず夕方にはいったん潰れてしまうのだ。

今年こそはそれをやめようと思って

水を途中で飲みながら

抑え気味に飲んで行ったのだが

0EFE9F4C-170D-4212-8F2F-C799CB0E4059それでも今年

またまた宵の口頃に

潰れて寝てしまい

そんな私の姿を

を飲み友の1人のF野さんに

写真に撮られてしまうのだ。

EC0EDB31-06B1-4B64-94AD-3BB24E9DCD39これも毎年のことで

この餅つき大会の副産物として

私が潰れて寝ている写真が

毎年、毎年

意味もなく溜まってゆくのだった。


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マルちゃんVSペヤング(6)

暮れも押し迫り、

年末商戦の中で、

マルちゃんVSベヤングの戦いも、

活発化しているようだ。

まず、過去の戦いを振り返ってみると、

 その先陣は2年前の衝撃的な「納豆やきそば」

 「基本バージョン」の大手スーパー店頭での大量売り込み

 数ヶ月前に見られた前代未聞の「カレー+納豆バージョン」

 巨大なペヤング「ソースやきそば」の「超大盛」バージョン

 エビ好きの日本人の心をくすぐる「海老」バージョン

「たらこ」の戦い

という

過去に何回かの

大きな動きがあった。

「たらこ」の戦いは

今でも続いている。 

そのような中で

IMG_4707先日

またまた

近所のスーパーマーケットの

インスタント焼きそばコーナーに

とんでもない商品を発見してしまった。 

IMG_4729その名は

ペヤングやきそば「スカルプD」!

「海藻MAX、ヌルヌル塩味」

という副題とともに

さらにその下に

「男たちよ、立ち上がれ!!」

の文字。

私はこのキャッチコピーに

秒殺されてしまった。

即買いして

IMG_4731わくわくしながら

蓋を開けてお湯を注ぎ

3分間の待機の後

ソースを掛けてかき混ぜて

それを口に運んだ。

「・・・うーん、これは、なかなか・・・美味い!」

IMG_4734海藻がこれでもかという程に入っている。

再びパッケージを見ると

「わかめ、こんぶ、ひじき、」の三種類の海藻に加えて

なんと「びわ葉エキスパウダー」

までが入っていると書いてある。

IMG_4735食べ進むうちに

麺と海藻のヌルヌル感が心地よく

あっという間に完食してしまった。

それにしても

こんな度肝を抜く焼きそばは

前代未聞であることはもちろん

その味といい食感といい

まったく新しく

かつ完成度も高く

衝撃的な

たいへんな焼きそばであった。

今回のペヤング側の

驚きの「スカルプD」「男たちよ、立ち上がれ!!」作戦

は、受けて立つマルちゃん側としては

きっと、意表をつかれたに違いない。

ここに至って

私はペヤング側の北海道上陸作戦が

いよいよ本格化して来たことを

感じざるを得ない。


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