北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

牛は泣き虫

牛は泣き虫である。

特にホルスタインは泣き虫である。

酪農家へ往診に行き、

健康を損ねた搾乳牛を診て、

点滴治療をすることになり、

その牛にモクシをかけて、

近くの柱に頭を縛りつけ、

長い首を引き伸ばして、

その頸静脈に、

太い針を刺そうとしたその瞬間、

針を持った手の上に、

温かい雫が、

ぽとり

と落ちてきた。

牛の涙だった。

体調が悪くて

ややくぼんだ目に

透明な涙を溜めて

E15EC11F-575F-434C-AD35-0146C12BE6F8その涙が

ぽろりぽろり

と落ちてくる

牛が泣いているのだ。

声はほとんど出さず

45F3E6B6-5AC3-4BAE-BE7A-24F00C2908A8不安げに

悲しげに

私の方を

じっと見ながら

牛が

静かに

泣いているのだ。


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診療車のクラクション

昨日の往診で、

酪農家の◯さんの牛舎の前に到着し、

誰も近くにいる気配がなかったので、

診療車のクラクションを鳴らして、

あたりを伺っていたら、

「あ、やっぱり安田さんだ。」

と言いながら◯さんの息子がやってきた。

「え?、俺って判ったの?」

「うん。」

「どうして?」

「クラクション鳴らす獣医さんは安田さんしかいないから。」

「え?、そうなんだ。」

「うん。」

「それは知らなかった。」

「クラクション鳴らす人は、むかしの幕別の先生たちだけ。」

「へー、そうなんだ。」

「他の人はみんな鳴らさないですよ。」

「そういえば、どこかの獣医で、往診に来てクラクション鳴らしたら、親方に怒られたっていう話聞いたことある。」

「そういう家があるんでしょうね。」

「やっぱりクラクション鳴らされたら、うるさいの?」

「僕は牛舎の奥に居て、気づかなかったりするから、鳴らしてもらったほうがいいですけどね。」

「今の獣医は、クラクション鳴らしたらダメ、って教わってるのかな?」

「みんな鳴らさないですから、そうかも。」

「俺はクラクション鳴らして、一度も怒られたことはないけど。」

「怒る家もあるから、鳴らさなくなったんでしょうね。」

「そっかぁー、そういえば俺も、怒られはしなかったけど・・・」

実は一度だけ

怒られこそしなかったが

記憶に残っていることがある。

それは転勤したT町で働き始めた頃の

夜間当番のとき

搾乳の時間帯にある酪農家に往診にゆき

つい、いつもの癖で

到着の合図のクラクションを鳴らしてしまったことがあった。

そして牛舎に入って行ったら

中で搾乳していた親方から

「搾乳してんだから、中にいるに決まってるでしょ!」

と、ちょっと不快そうに言われたことがあった。

私の不注意だった。

それ以来

私は搾乳時間中だけは

決してクラクションを鳴らさないように注意している。

それはちょっと考えれば当たり前のことであり

全く私の不注意であった。

しかし

搾乳時間以外の昼間の往診では

牛舎に到着してあたりを伺って

誰も居ないようであれば

クラクションを鳴らすことはよくある。

そのほうが早く気づいてもらえると思っている。

IMG_2161でも

やっぱりそれは

うるさいと思われているのかもしれない・・・

なんだか

心配になって来た。

これをお読みの皆さんは

どう思っているのだろうか?

診療車のクラクションを鳴らされたら

嫌ですか・・・?


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「とかち文化まつり」開催中!

毎年「とかちプラザ」で行われる、

NPO十勝文化会議主催の「とかち文化まつり」が、

IMG_2151只今開催中で、

作品展示は11月15日まで、

また舞台芸術や講演会などは、

今日の12日にメイン会場のレインボーホールにて行われる。

IMG_2155お時間のある方はぜひ、

気軽に立ち寄っていただきたいと思う。

もちろん無料です(笑)

私も毎年

文芸部の俳句部門の一員として

展示会の方へ作品を出している。

IMG_2154今年の一句は

写真の通り・・・

「スピンにはスピンで応へみづすまし」

バックの黒い紙が

展示スペースからはみ出してしまって

なんともブサイクな感じだった。

IMG_2152昨日

私が展示会場の受付番をしている時

たまたま

書道の大家である八重柏冬雷先生が通りかかり

私の作品をご覧になっていたので

「なんとかなりませんか・・・」

と質問したところ

「後ろの黒い所だけ縦にしたらいいですよ、そうすると掛け軸風になる。」

とアドバイスしてくれた。

IMG_2157早速、その通りにしたのが

この写真・・・

なるほどスッキリと掛け軸風になった。

展示法を少し変えるだけで

随分違うものである。

書道の大先生からアドバイスをもらって

大変勉強になった。

内容はどうしようもないけれど(笑)

そんな作品でも

展示したからこそ

勉強することができたわけで

思わぬ収穫だった。

さて今日の12日は

舞台芸術部門の発表がある。

展示作品ばかりではなく

様々な文化活動を一堂に

「オールとかち」という括りの中で

参加したり鑑賞したりすることができるのが

この「総合芸術祭・とかち文化まつり」の

大きな魅力だ。

興味のある方はぜひ

立ち寄っていただきたいと思う。

パンフレットだけでも

読んで頂けたら嬉しいです。


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馬文化を支える会、10周年。

「とかち馬文化を支える会」というNPO法人があり、

D6ACC0C5-06F0-4256-80E5-2C855DFE1F27今年で10周年を迎えた。

北海道のばんえい競馬が廃止の危機に立たされた時、

帯広市単独でなんとか存続することが決まり、

それを支えようと有志が立ち上げたものである。

私はその当時の有志の皆さんの熱意に賛同し

AD53FF3D-1F0C-4C7B-AAF3-C03B83549839ささやかながらこの会に参加させてもらっている。

中央競馬(JRA)には馬事文化財団という

立派な団体がある。

ばんえい競馬も立派な馬文化の一つであるから

それを啓蒙してゆくための

5CC17CAF-C314-4DDD-BEE1-6F015BD7F401同じような団体があって良い。

JRAの財団とは比べ物にならないほど小さな団体だが

その志は大きい。

北海道開拓の主役だった農耕馬(重種馬)たちが

トラクターにその役を奪われて久しい。

もし、ばんえい競馬がなくなってしまったら

重種馬たちは食用だけの存在になってしまう。

「北海道の原野を開拓してくれた馬たちに対し

 それでは、あまりにも礼儀が無いのではないか。」

C31E0630-F109-4CA1-B9FC-ABC6233C135Dとは、この会のパンフレットに載っている

対談の中での佐々木啓文理事の言葉である。

佐々木氏はまた

「人も家畜も、能力を極めることが生きている価値。」

であるとして

単に、重種馬を保護する

という考え方に疑問を投げかけている。

また、三宅陽一理事長も

「動物園で数頭飼えばいいということになれば、

 馬が人間の生活から離れていってしまう。」


9BF4F9E7-514D-4BE2-9337-D86051647C87と、ばんえい競馬をはじめとする

十勝の馬文化存続の重要性を語っている。

私も、もちろん

このお二方の考えに100%賛同する者である。

重種馬と人との関係が

単に、保護するというのではなく

この地に共に生きる、という関係を保ちながら

それをいつまでも続けてゆくための

力になりたいと、私はいつも思っている。

私が重種馬の診療をすることも

微力ながらその一つである。

それに加えて

NPOとかち馬文化を支える会に参加することも

微力ながらその一つである。

今このブログを読んでいる方で

この考えに賛同していただけるのならば

ぜひ

当会の会員になっていただきたいと思う。

詳しくは

ホームページを御覧ください。


1人でも多くの方の力で

馬文化を支えてゆきたいのです。


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「牛の俳句を、もっと読みたい。」

今年の第63回角川俳句賞の、

未発表作品50句を、

今年も私は応募したのだが、

またもや予選落ちをしてしまった。

D74DD529-C20B-4390-9DC1-0C029258ED24しかし、

私の敬愛して止まぬ下川町の酪農家、

鈴木牛後さんが見事に予選を通過して、

さらに選考委員の1人の岸本尚毅さんから高評価を受け、

角川「俳句」誌に10句が掲載された。

牛後さんは昨年にひき続きの予選通過で

まことに素晴らしいことである。

牛後さんは今や全国に名の知れた俳人として

確固たる実力を証明していることに

C03153BC-53E4-4D71-9B7E-69D5D0546C43私はとても羨ましく

また嬉しく思っている。

掲載されている牛後さんの10句を

ここに転載させてもらうと


 この先に我棲む電柱に根開け

 土の春角になりたき牛の皮膚

 初蝶は音なく猫に食はれけり

 さへづりや牛の尿の黄金色

 芋虫踏む破裂音われに摩擦音

 鬼灯や人の死に村若がへる

 秋蝶あかるしトラックの下を出て

 一頭の病みて夜寒の牛の群

 雪晴や北を指す手の真直ぐなる

 凍砂に糞まる猫やちよつと震へ


以上10句の中で

私が特にすごいなと思ったのは

 初蝶は音なく猫に食はれけり

これは、芭蕉の

 道のべの木槿は馬に食はれけり

と同じような趣向で

実際に見た景を

ありのままに句している。

こんな猫の句は初めてだ。

また

 さへづりや牛の尿(ゆばり)の黄金色(こがねいろ)

という句は

鳥が囀る春の牧場で

牛が気持よく尿をしている姿が

リアルに描かれて居て

とても心惹かれる句だ。

やはり牛後さんが詠む牛の俳句は

すすごいな、とつくづく思う。

4人の選考委員のうちの1人である正木ゆう子さんが

「自分の強みをうんと前に出していってほしいです。

この人が自分で詠んでつまらないと思った句でも

牛の句ならいいんですよ。牛の句をもう少し増やしたらいい。

もっと読みたい。」

と、座談会でエールを送っている。

これは私も同感で

牛後さんにはもっと牛の俳句を詠んでもらいたい。

私もそれをもっと読んでみたいし

牛の俳句を全国に発信していただきたいと思う。

花や鳥の俳句が多くの俳人に詠まれているように

牛の俳句ももっと多くの俳人に詠まれてほしい。

そして私も負けずに

もっとたくさん牛の俳句を詠み

世の中へ発信したいと思っている。

牛の俳句を発信し続けることによって

人と牛の関係を

深めてゆきたい

それが私の願いである。

酪農家の牛後さんには

それができる俳人として

私は大きな期待を寄せている。


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動物の交通事故死

一昨日の往診の途中、

路上にエゾリスが横たわっていた。

CEED1FE3-B6BB-407D-B6D3-922A5899C282道路を横断中に、

車にはねられて死んでしまったらしい。

エゾリスの交通事故死を見るのは、

これで何度目だろう。

エゾリスに限らず、

90F664EA-7259-47A1-9C61-E58081B75939道路を横断中に、

車にはねられて死亡した動物を、

見つけることは少なくない。

最も多い動物は

私の記憶では

猫である。

その次に記憶が多いのは

狐だろうか。

その次に多いのが

エゾリスかもしれない。

狸も何度か見たことがある。

ハトやカラスなどの

鳥が死んでいることを見ることもあるが

車にはねられたのかどうかは定かではない。

不思議と犬は見たことがない。

放し飼いの犬は少ないせいなのか

犬が車にはねられて死んでいるのを見たことはない。

聞くところによれば

鹿や熊なども車にはねられて死亡することがあるようだが

私には目撃の経験はない。

馬や牛も車にはねられて死亡することがあるようだが

IMG_2150私には目撃の経験はない。

馬や牛は野生動物と違うので

はねた自動車の責任よりも

はねられた牛馬の管理責任を

飼主が負わされる

と聞いたことがある。

ともあれ

動物の交通事故死は

悲しい出来事である。

交通事故で死んでしまうのは

人間ばかりではないのは

いうまでもないが

その実態は

よくわかっていないようだ。

専門的に調査している人は

いるのだろうか?

統計はあるのだろうか?

知っている方がいたら

教えていただきたいと思う。

703D082D-98C9-4F4F-9B5D-70A948C09ACBちなみに

道路上で

動物の死体を発見したら

勝手に処理をするのではなく

役場に電話をして

処理をしてもらうべきで

私も猫や狐が斃れている時は

役場に通報するようにしている。

野鳥の場合も

勝手に処理をするのは危険である。

大きな動物の時は

なおさらであろう。

しかし今回のエゾリスは

いろいろ考えたが

結局

役場には電話せずに

路肩によけておくだけにした。

それで良かったのかどうか

未だに少し心残りがあるのだが・・・

(合掌)


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微研学術セミナーin帯広(2)

「新生子牛へワクチン接種した場合、

ワクチンブレイクという現象によって、

その病原体に対する抗体価は上がらないけれども、

抗体価が上がらないからといって、

免疫力も上がらないのではなく、

細胞性免疫はしっかりと獲得され

免疫力が増強される。

したがって、

新生子牛へワクチンを接種する時、

ワクチンブレイクを気にして、

接種を遅らせる(生後3ヶ月〜)必要はなく、

新生子牛へ早期からのワクチン接種が、

有効である。」

今回のセミナーで

私が教わった新知見である。

講師の大塚先生は

この説を唱えるきっかけになったのが

人医療における小児のワクチン接種法だったという。

人の新生児には母親の胎盤を介して

IMG_2552IgGが移行しているにもかかわらず

できるだけ早く

数種類のワクチンを接種することが推奨されているという。

その理由は当然

ワクチン接種の効果が期待できるからである。

IMG_2553その効果とは

発症率の低下という形で現われたり

発症した後の症状の軽減という形でも現われるもので

血中抗体価の高低とは必ずしも一致しないものだった。

講演時間の関係で詳しいデーターの解説は省かれたが

結論として、前回の記事に書いた通り

ワクチンブレイクによって出来た抗原と抗体の結合物は

マクロファージに貪食され

その抗原情報がTリンパ球に記憶され

細胞性の免疫機能が準備される

という新知見が示された。

したがってワクチンブレイクを気にして

新生児へのワクチン接種の時期を遅らせる必要はなく

むしろ生後の早い時期に積極的にワクチンを接種すべきである

というのである。

この理論を裏付けるものとして

実際の現場のワクチネーションの

実例で示したのが

次の講師の加藤先生だった。

加藤先生のデーターの1つは

なかなか衝撃的だった。

それは

サルモネラ症によって

新生子牛が生後数日で次々と重篤な症状を示し

高い確率で死亡してゆくある農場で

サルモネラ症不活化ワクチンを

出生直後に接種し始めた時の

死亡率の変化を示したものだった。

詳しい数字は省略するが

IMG_25552ワクチン接種を開始した時点で

サルモネラ症による子牛の死亡率が

有意に低下している。

その劇的な変化に私は驚いてしまった。

ちよっと読みづらいが

IMG_2532プレゼンテーションの写真に示されているのが

そのワクチネーションプログラムである。

是非参考にしていただきたいと思う。

ちなみに

このサルモネラ症不活化ワクチンは

主催者の京都微研の製品ではなく

他社の製品だった。

ともあれ

サルモネラ症以外の

他の細菌やウイルス感染症においても

新生子牛への早期のワクチン接種で

同じような効果が期待できる

と考えるのが自然ではなかろうか。


(この記事終わり)


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微研学術セミナーin帯広(1)

第6回微研学術セミナーという講演会が、

ホテルグランテラス帯広で開催された。

IMG_2524そのテーマは、

「若齢牛における感染症コントロールの最新知見」

として、

 講演1「子牛の免疫とワクチンに対する新しい考え方」

            酪農学園大学  大塚浩道 先生

 講演2「生産現場から見た子牛の疾病対策と課題」

            酪農学園大学  加藤敏英 先生

IMG_2528という二つの講演を聴く機会に恵まれた。

大塚先生は北里大学から酪農学園大学へ招かれた気鋭の獣医学者。

加藤先生はNOSAI山形の臨床家から酪農学園大学へ転身した気鋭の先生。

どちらも大変興味深く役に立つ情報が満載の話だった。

IMG_2521その中で、特に

私がここで書いておきたいと思った新知見

二人の先生にのそれぞれ講演に

共通する一つの新知見、があった。

それは

新生子牛へのワクチン接種についての新知見だった。

新生子牛というのは

生後1〜2ヶ月間は母乳からの移行抗体を持っているから

その時期にワクチン接種をしても

移行抗体によってワクチンの抗原物質は中和され

その時期の子牛の抗体価は上昇しない、という現象

いわゆるワクチンブレイクという現象が起こることが知られている。

抗体価が上がらないのだから

その間の子牛の免疫力は上がらないだろう

そう考えて

子牛にワクチンを接種するのは

母乳の移行抗体が消失する

生後3ヶ月程度まで待ってからの方が良い

という常識のようなものがあった。

今までのワクチン接種法の常識的なこととして

広く知られていたことだった。

ところが両先生の講演は

その常識をくつがえすものだった。

例えば

新生子牛へBVD-MDのワクチン接種をすると

ワクチンブレイクが起こり

新生子牛のBVD-MDに対する抗体価は思うように上がらない。

今までの常識では

抗体価が上がらないということは

免疫力が上がらないということである

と理解されて来た。

ところが、両先生の話はそうではなかった。

ワクチンブレイクという現象によって

抗体価は上がらないけれども

その子牛が持っている母牛からの移行抗体と

BVD-MDワクチンの抗原物質との結合物が多数生産される。

その後、その結合物が

マクロファージに貪食されて

その結果、BVD-MDの抗原情報がTリンパ球に伝達されて記憶され

その子牛はTリンパ系の細胞性免疫を獲得する

というのである。

つまり

新生子牛にワクチンを接種すれば

ワクチンブレイクによって抗体価は上昇しないけれども

細胞性免疫のほうはしっかりと準備ができるから

いざ本物の病原体の攻撃を受けた時

症状は軽度で済み

ワクチン接種の効果は

十分に現われるのだという。

二人の先生の講演内容は

ワクチンブレイクを気にして

新生子牛にワクチンを打たないという

今までの常識を

くつがえすものだった。

出生後(10日後〜)にはもうワクチンを接種してよい。

その時起こるワクチンブレイクを気にしなくてよい。

むしろ積極的にワクチンを接種すべきである。

ということを

我々に示すものだった。


(この記事つづく)


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「自防」の予防注射

毎年10月は、

我が町の牛達の予防注射のシーズンである。

牛の予防注射にも色々あるが、

我が町で毎年行われるこの仕事は

主に気道感染症(IBR、BVD-MD、など)のワクチンを、

町役場が事務局になっている自衛防疫組合(略して自防)の事業として、

我が町の牛達のほぼ全頭を対象に、

一斉注射をして回るというものである。

本格的にこの一斉注射が始まったのは、

今からもう10年以上も前だった。

当時はIBR(牛伝染性鼻気管炎)が

酪農家の間でポツポツと集団発生をして

我々を悩ませていた。

その対策として

町内の牛のIBRの予防接種を徹底しよう

ということがそもそもの動機であった。

当時はIBR単味の生ワクチンを

12ヶ月齢以上の全ての牛に接種し

それより若くて3ヶ月齢以上の牛には

BVD-MD(牛ウイルス性下痢粘膜病)をはじめとする

5種混合生ワクチンを接種していた。

その後、6種混合不活化ワクチンになり

一昨年までは全頭を対象に接種をしていた。

そのおかげで

IBRの発生はピタリと鎮まり

町内の牛群の抗体価も上昇し

一定の効果を得ることができた。

ところが、ここ数年

BVD-MDの蔓延が問題視され

予防接種の重点がIBRからBVD-MDへと移行してきた。

予防ワクチン製品の種類も

6種混合不活化ワクチンに加えて6種混合生ワクチンや

その他BVD-MDを主なターゲットとする多彩なワクチンが開発されてきた。

我が町の自防としても

その流れに乗って、新しいワクチンを使うようになった。

しかし、新しいワクチンになればなるほど

免疫効果は高められるのだが

薬価も高くなり

飼主さんの負担が増える

という現実に直面する。

そこで

一昨年からは

町内の牛全頭へのIBR単味の生ワクチン接種をやめて

若齢牛の6種混合生ワクチンの接種を重点的に行い

飼主さんの経済的負担の軽減と

予防体制の効率化をはかった。

現在は

3ヶ月齢以上で約12ヶ月以下の若齢牛に

まず6種混合生ワクチンを接種し

その後の補強として2回の不活化ワクチンを接種する

というL-K-K(生-不活化-不活化)方式を採用している。

すなわちこれは

町内の全ての牛が

生涯に3回のワクチン接種を受ければ良い

という方法である。

これによって

IBRの免疫だけは若干手薄になるかもしれないが

その他の牛の気道感染症に対しては

特に最近問題視されているBVD-MDに対しては手厚い方法であり

とりあえず今のところは

ベストの予防対策になっているのではないかと思う。

EDE2AF49-BDEB-4524-976D-C9404DE0987E一連の写真は

先日、私が担当した

巡回予防接種のひとコマ。

この日は役場の事務局のK野氏と

JAの窓口のN岡氏と

26914A90-6F96-47EC-B5C6-E0E263A52CE0NOSAIの獣医師の私とで

3人の予防接種チームを組み

町内の牛を注射して回った。

このワクチン接種チームのメンバーが

交代交代で

IMG_2495約7日間にわたって

巡回接種が繰り返される。

ちなみに

写真に写っている

役場の事務局のK野氏というのは

1049368A-AB4A-41E2-8E64-E081F225ABBA我が「俳句」仲間の

「俳人」のK野K典さんである・・・。

また、ちなみに

この農家さんの

処理室の扉には

「ねこにげ注意」

という張り紙がしてあった・・・。


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分娩後6日目の子宮脱!(3)

分娩後6日目という珍しい時期の子宮脱、

その初診で整復棒を深く差し込んで、

とりあえず整復したものの、

その後の食欲廃絶、

起立不能となり、

これは子宮穿孔から腹膜炎にでもなってしまったかと、

心配しながらの治療が1週間続いた。

そして7診目、

Рさん宅に行くと、

牛舎のタイストールには、

牛の姿はなかった。

昨日のРさんの話だと、

自力で立った時に外へ出す

ということだったので

私は牛舎の外のパドックへ目をやった。

そこへРさんの奥さんがやって来た。

「牛、外に出したの?」

「はい、そこにいますよ。」

見ると

治療していた牛がパドックの雑草の中にポツンと立っていた。

診察しようと近寄ると

牛はにげまわるよにスタスタと歩いた。

1231B3B1-DE26-4BE6-8134-13F7C813EB53T38.8  P100  起立自由 食欲回復傾向。

「胃の動きもよくなってるし、大丈夫だね。今日で終わりにしましょう。」

「はい。」

私はこの牛に最後の抗生物質を筋注して、

治療を終了した。

その後、現在まで約2週間

この牛は元気にしているようだ。

腹膜炎はおそらく無いと思われる。

ただ、どうして

分娩後6日も経って子宮脱になったのか?

6BEE0D15-4DD0-4B73-B258-AC58AFD1A884その原因として考えられるのは

分娩直後から子宮の反転があり

それがいつまでも治らずに残っていたのではないだろうか?

さらに、この牛はストールで立つのが下手なので

普通の牛よりも子宮が押し出される腹圧が強かったのではないだろうか?

それに加えて、やはり低カルシウム血症があったのではないか?

すなわち

「子宮の反転」

「腹圧」

「子宮の軟化」


という3つの特殊な事情の重なりを考えた。

そして

今回の珍しい子宮脱から

一般的な分娩直後の子宮脱の原因にまで

想像を巡らせてみると

まず

胎児や胎盤の娩出に伴って生じる

「子宮の反転」

という第1の現象があって

怒責や横臥(起立困難)によって生じる

「腹圧」

という外力と

低カルシウムなどによって起こる

「子宮の軟化」

という現象

この3つが重なって

子宮脱が誘発されるのではないだろうか?

この3つの現象は

子宮脱の三要素(!?)

とでも言えるのではないか?

この三要素の重なりが

ある限界を超えた時

子宮脱が発生する(!?)

そんな子宮脱の発生機序を

おぼろげながら

想像させるような

今回の症例だった。


(この記事終り)



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分娩後6日目の子宮脱!(2)

分娩後6日も経過した乳牛の子宮脱に、

CB007284-036E-4787-8E93-35BFE9A8F1291.2mほどある子宮脱整復棒を押し込み、

反転を整復し治癒させることができた、

と、思っていた翌日、

飼主のРさんからその牛の診療依頼の電話がかかってきた。

「昨日の牛の、食欲が全くない・・・」

とのことだった。

私はそれを聞いて、

嫌な予感がした。

そして、最悪な状況、すなわち

長い整復棒を根元まで押し込んだことによる

子宮穿孔・・・

腹腔内出血・・・

さらにその後の腹膜炎・・・

が頭の中をよぎった。

この日からしばらく、私は

往診へ行けない用事が続いたので

Рさんの牛を見に行った同僚獣医師から

後で、話を聞くと

「ただボーッとして、立ってました・・・」

とのことだった。

そしてカルテには

T38.6  P84   食欲不振、呆然起立、被毛粗、子宮脱の影響か?

とあり

抗生物質とブドウ糖等の輸液が施されていた。

さらに、その翌日のカルテには

T38.3  P100   食欲廃絶、起立不能、直検にて子宮輪郭不明瞭

とあった。

牛が起立不能になってしまった・・・

これはまずいことになっている・・・

やはり、子宮穿孔からの

腹腔内出血、腹膜炎になってしまったのではないか・・・

私は、暗澹たる気持ちで

カルテをさらに見ると

血液検査の所見があり

その中で目立った異常値があった。

BlogPaintCa 4.7m/dl・・・

これはかなりの低カルシウム血症だ。

そして、その日から

抗生物質と輸液の治療に

カルシウム剤が加わっていた。

それからさらに2日間の治療が施されたが

牛の食欲は回復せず・・・

自力では起立することができず・・・

腹膜炎の疑いを

拭い去ることができなかった。

「でも、熱発しないし・・・腹膜炎ではなさそうなんですけどねぇ・・・」

5診目にこの牛を治療した同僚獣医師が

そんな感想を言った。

そして、第6病日目

私はようやくРさんの牛を

自分の目で診て

治療する機会が巡ってきた。

牛の目の前に立って

顔の表情を観察すると

眼の輝きは悪くはなかった。

食欲もそこそこで、便もかなりの量を排泄していた。

T39.1  P90  

腹膜炎・・・ではなさうに見えた。

しかし、自力で立つことができなかった。

「この牛、お産してからずっと、立つのが下手になってしまって・・・」

飼主のРさんから、さらに話を聞くと

「前脚がうまく踏ん張れなくて、前の方に行っちゃうんです。」

「・・・吊起すれば立てる?」

「吊起までしなくても、牛を後ろにずらしてやると、いつのまにか立ってるんです。」

「・・・今日はずっと寝てるようだけど。」

「今朝は立ってたので、搾乳したんです。」

「・・・今はうまく立てないし、この牛舎と天井では吊るのは面倒?」

Рさんの牛舎の天井は、吊起をする手がかりがなくて、狭かった。

80D69910-C61D-461B-8371-F671A3FB9A4B「はい、ここではちよっと・・・」

「・・・なんとか吊起できるようにしたいよね。」

「はい、今朝立っている時、外へ出せばよかったんですけど・・・」

「・・・じゃあ、明日までには。」

「はい、外の広くて足場のよい所に出しておきます。」

「・・・じゃあ、今日はまた注射しておきますね。」

私はこの牛に抗生物質を投与し

リンゲル液とブドウ糖とカルシウム剤をセットして

明日また来ることを告げた。

この牛が立てないのは

どうやら

腹膜炎によるものではなさそうだった。

そして

分娩後6日目という珍しい時期の子宮脱の

原因も少し見えた(?!)ような気がした。


(この記事つづく)



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分娩後6日目の子宮脱!(1)

「今夜の当番、安田さんですよね、往診入ったんですけど。」

終業間近の事務所の掃除をしていると、

同僚のT獣医師がそう言いながらやってきた。

「Рさんの牛が子宮脱だそうです。」

「はい・・・」

「それが、お産して6日目・・・の子宮脱だそうです。」

「・・・えっ?・・・何それ・・・、」

私は耳を疑ったが、

それを隣で聞いていた同僚のベテラン獣医師数人は、

産後数日経過してからの子宮脱を治療した経験があると言った。

しかし、私は30年以上牛の臨床をやっているが、

産後6日目の子宮脱を治療するのは始めての経験であった。

Рさんへ向かう途中

(きっと膣脱なんじゃないのかな・・・)

という疑いをずっと持って

Рさん宅に到着して

牛の後ろに立つと

牛の陰部からは何も露出していなかった。

「立つと見えないんですけど、寝てるときに出るのが、子宮みたいなんで・・・」

Рさんの言葉を聞きながら

膣内へ手を挿入してみると

膣内には、膣壁ばかりではなく

硬くしまりかけている肉塊に触れた。

3D751B9A-EF29-4E88-AE87-2FC372E4ED5Cそれを手で掴んで

膣外に引っ張り出してみると

写真のような

小さな宮埠がいくつか付いた

明らかな子宮の内壁だった。

「・・・こりゃ、ほんとに子宮だ・・・」

6BEE0D15-4DD0-4B73-B258-AC58AFD1A884私は驚きつつ

この小さな子宮脱部分の反転を直そうと

押したり引いたりしてみたが

反転した子宮に固定感と支点がないので

私の手の動きと一緒に子宮もただ前後に動くだけで

反転部分は一向に戻る気配はなかった。

「・・・こりゃ、手だけじゃ直せないな・・・ちょっと待ってて・・・」

7786E1F0-6499-464D-A964-8EF1642D3BEE私はいったん診療車に戻り

子宮脱整復捧をもって牛の後に戻った。

そして、1.2mほどある子宮脱整復捧を

膣の中へと押し込んでいった。

途中50cmほど入れたところでかなり強い抵抗が有ったが

819AAD7E-6659-4DE6-A37C-5405FD52E098さらに強く力を入れて押し込んだら

ぐぐぐっという感触から

ずぼっという感触に変わったと思ったら

整復捧がほぼ根元近くまで一気に入ってしまった。

こんなに深く入ってしまって大丈夫だろうか・・・と思い

CB007284-036E-4787-8E93-35BFE9A8F129あわてて整復捧を抜き出し

また手で膣内を触診すると

子宮の肉塊は消えてなくなっていた。

子宮頚管が普通の産後の牛のように閉じ気味にこちらを向いていた。

「とりあえず、子宮脱は治ったみたい、後はその中に抗生物質を入れときますね・・・」

3815B564-1177-477E-AB00-FEE573401729私はそう言って、言ったとおりの治療を施して

帰路についた。

うまく子宮が整復できていれば

明日はあえて診察に来なくてもいいと思った。

そう思っていた私の頭の中から

Рさんの牛の事は

かなりのスピードで消え去ろうとしていた。

ところが

翌日の朝

Рさんから

電話がかかって来た・・・


(この記事つづく)


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第36回北の年尾忌句会in小樽

26BE398A-6619-4F76-8756-E19613E80A9710月の第2月曜日は、

毎年小樽ホトトギス会主催の、

北の年尾忌句会が開催され、

今年で36回目を迎える。

年尾忌というのは正確には、

高浜虚子の長男の高浜年尾の亡くなった10月26日であり、

その日には鎌倉の寿福寺で句会が行われる。

しかし道内のホトトギス俳人にとっては、

そこへ馳せ参じることも難しく、

その前の体育の日が祭日ということで

毎年この日に年尾忌句会が小樽で行われるようになった。

高浜年尾はご存知の通り

小樽商大(当時は小樽高商)時代に4年間小樽に暮らし

数年下の伊藤整や小林多喜二などとも交流があり

当時の北海道文学を盛り上げた小樽ゆかりの俳人である。

私は4年前にこの大会に初めて参加してから

以来毎年欠かさず出席するようになった。

その理由はいろいろ有るけれども

94C28CDE-6F3B-4032-B35B-A786C649D501やはり

ホトトギスを中心とした伝統系の俳人たちが

高浜年尾先生を偲びながら真摯な気持ちで集い

句会の場を設けて句を詠みあうという

身の引き締まる句会であるからだと思う。

「ホトトギスの俳句」

「高浜年尾の忌」

という旗印を堂々と掲げて開催する句会は

北海道ではこの句会だけである。

正直、私は

ホトトギスの俳句とはどういうものであるか

高浜年尾先生とはどういう人だったのか

まだまだ良くわかっていない。

しかし、だからこそ

北の年尾忌句会に毎年参加して

ホトトギス俳句とはどういうものかを

高浜年尾先生はどういう人だったのかを

勉強したいのである。

この句会に参加すると

高浜年尾の生前にお会いしたことのある人もまだ多くいて

年尾のいろいろなエピソードを聞くことができる。

そういう方たちの詠む句は

私にはとても詠めない心のこもった句である。

会場にはいつも遺影とお花が供えられ

その和やかな遺影の表情からは

年尾先生の人柄が偲ばれる。

99BD4F5D-3C2F-49F1-8396-3B0016F36FC7私は今年から

この句会の選者を仰せつかってしまった。

今年の選者は私の他には

荒舩青嶺、岡本清、工藤牧村、桂せい久、辻井靖之(大会長)、

というバリバリの「ホトトギス俳句」の選者の方々であり

私は初めてで大変緊張したが

なぜか

年尾先生の柔和な遺影を見たら気持ちが楽になり

気持ち良く選と句評をすることができた♪

9971EB44-FE1D-467F-82B8-2234B8CDE776今年は参加者58名で5句の投句

総句数290句から15句を選び

さらにその中の5句を特選として

句評をさせていただいた。

参加者の中には

ホトトギス系の俳人ばかりではなく

私のよく知る道内の俳人が幅広く集まり

年齢も20代から80代までと

幅広い層の参加者による句会であり

忌日の句会としてはおそらく道内最大規模

920E8B1A-DF82-4CB8-847E-AE7C9E490B0Eその伝統は今なお盛んに引き継がれている。

私もこの句会のために

微力ながら今後も精一杯

お手伝いさせていただきたいと思っている。


 小樽のみ晴れて年尾の忌のふしぎ   豆作



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町民文芸「まくべつ」33号

町民文芸誌「まくべつ」33号が届いた。

もうかれこれ20年以上、

私は、地元の図書館が発行しているこの文芸誌に、

IMG_2402俳句と川柳を投稿している。

かつては漢詩やエッセイなども投稿したことがあった。

地元の文芸誌は、

何物にも替え難い、

特別なものという思いが私にはある。

それはまるで自分の家族や町内会のご近所さんが有志で作った雑誌、

というようなアットホームな雰囲気がある。

編集委員の方々や執筆者の顔ぶれを拝見すると

近所へ買い物した時によくお目にかかる人や

仕事や子供のつながり等で知っている人などがいて

実に身近な雑誌なのである。

そういう人たちが意外な作品や文章を寄せていたりして

新鮮で誇らしく

また、ちょっと照れくさいような

独特の感興を覚えながら読む雑誌である。

今回の特集は「幕別台風災害2016」だった。

それに関連する記事は

将来貴重な記録として残ることだろう。

その他いろいろバラエティーに富む記事の中で

私の俳句と川柳も

毎度お粗末ながら掲載させていただいた。


まずは俳句


IMG_2403  孕みたる牛のよく飲む日永かな  

  牛の首撫でれば春の日の匂ひ

  助産せし牛に我が身に寒の湯気

  往診の夜道しばれる雨上がり

  純心な牛涼しげや放牧地


俳句の方はいつも

仕事中に詠んでいるものを

5句投句した。

最近、仕事中に詠む俳句は

変わり映えのしないワンパターになっているのかもしれない。

しかし、それでも

仕事中の出来事を詠みたいという気持ちは変わらない。

そんな気持ちがある以上は

ずっと詠み続けることになるだろう。

そのまま詠み続けているうちに

いつかまた新しいものが出てくるだろうと

たかをくくっている。

意識して新しみを求めて

自分の句風を変えてゆこうなどとは

思わない方が良いと思っている。

自分の句風というものは

変わる時には勝手に変わってゆくものだろう

と私は思っている。


つぎに川柳


IMG_2404 酒気帯びを逮捕したらばウチの部下

 過労死の牛にも欲しい労基法

 農協が農競となるFTA

 使えない豊洲に入れよ核のゴミ

 原発の上も飛びますオスプレイ



20代の頃

私は

川柳ばかり作っていた。

しかし

川柳ばかり作っていると心が荒んでしまうので

今の私は

川柳を作ることには全く力を入れていない。

それでも

世の中には腹立たしいことが起こるもので

そういう時は、つい

川柳を作ってしまう(苦笑)。

今回投句した川柳は

そんな作品である。

ヒマつぶしに読んでいただけれは

幸いである。


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難産介助の強い味方

夜間当番の終了時間の間際、

◇牧場の従業員のS君から電話が入った。

「子宮捻転なんですけど・・・」

私は朝の診療所の通常の受付時間までには、

帰って来れないことを覚悟して、

◇牧場へ車を走らせた。

着いて手を入れてみると、

S君の言うとおりの子宮捻転ではあったものの

捻れはそれほど強くはなく

胎児の足と頭部には何とか触れることが出来た。

2次破水は終わっているようだった。

こういう場合も、まずは

用手整復法を試みる。

胎児の前肢を反捻れ転方向へ押す

胎児の頭部を反捻れ転方向へ押す

子宮の内壁を反捻れ転方向に押す

などの技を繰り出していると

胎児があるタイミングで

ぐるっと動いた。

子宮の捻れが解消されたようだった。

その拍子に胎水もあふれ出てきた。

そして

胎児の前肢が2本

産道へ押されて進入してきた

さらに頭部も押されて産道へ

進入してくる

はず

なのに・・・

「あれ?、頭はどこだ?」

頭部がうまく触れなくなった。

先ほど胎児が自分で動いたとき

胎児の頭部が前肢の陰に回り

そのまま子宮の奥のほうへ行ってしまったようだ。

ここで、頭部をキープしないとまずいことになる。

私はとっさに前肢2本を産道深く押し込み

スペースの空いたところで腕を奥に入れて

胎児の頭部を探った。

「あー、あったあった、頭が、でも、鼻先と下顎は触れるんだけど、その先が・・・」

鼻先や下顎に指先が触れるだけでは不十分であった。

頭部をキープするには、耳から後頭部にかけて

ワイヤーをまわすのがベストであり

それが出来なければ

せめて眼窩(眼の窪み)に指がとどかなければならない。

眼窩に指がとどけば

12D9EF2C-6433-4A83-9A41-9D6304704911そこに

難産介助の強い味方である

鈍鈎(どんこう)を引っ掛けて

胎児の頭部をキープすることが出来る。

ところが今

私の指先は、眼窩まではとどかず

下顎さえも、指で掴むことが出来なかった。

「・・・ちよっとS君・・・手袋はいて・・・手を入れてみてくれる?・・・」

「はいー」

「・・・S君なら、頭の下顎を掴めるだろ?・・・」

「どうかわかんないですけどー」

S君は身長183cmの大男で

手足も非常に長く

◇牧場のちょっとしたお産なら

簡単に介助できる腕を持っている。 

私は産道から手をぬいて

S君にバトンタッチをした。

「・・・頭のどこでもいいんだけど・・・手で掴める?・・・」

「はいー、なんとかー、」

「・・・掴めたら・・・少し揺さぶって・・・」

「こーですかー、あー、」

「・・・少し引っ張れる?・・・」

「こーですか、あー、なんとかー、」

「・・・よし、替わって!・・・」

S君から交代した私は

再び産道に手を入れた。

すると

胎児の眼窩が

私の手にとどく位置来ていた。

「おー、頭が来てるよ、さすがS君!。」

私は直ちに

鈍鈎を眼窩に引っ掛けて

胎児の頭部をキープした。

キープしてから

胎児の前肢2本に産科ロープを装着。

前肢2本をまだ引かずにそのままにして

キープした頭部の眼窩にかかっている紐を

7101953F-5ADA-4BAD-BD35-566198B7B283ゆっくりと牽引するよう指示。

すると

胎児の頭部が

ぐぐぐと、産道に乗ってきた。

「よし。これから先は、普通のお産と一緒。」

63B7E9D9-B48E-44D7-B08C-2E236E1168BE私はS君と共に

胎児を無事に介助娩出させた。

おおきなF1の♀の胎児だった。

産後の一通りの仕事を終えてから

私はS君と肩をくっつけ合わせて

BF0B3993-A4DE-4315-A6D5-27289406EF1B自分の腕とS君の腕の

長さを比べてみた。

写真のとおり

S君の腕はとても長く

私よりも

3688FD43-CC42-4C5A-BF88-EEA9EFB84ADC5cm近く長かった。

このS君の腕は

鈍鈎とともに

難産介助の強い味方

であった。

予想よりも早く仕事が終わり

帰路についた。

診療所の朝の始業時間までには

帰って来れないことを覚悟していたが

S君の腕のおかげで

遅刻せずに間に合うことがてきた。


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和牛の乳頭先端の腫瘤

「親牛の乳頭が腫れている、イボだろうか?」、

黒毛和種の繁殖をしている★さんからの往診以来だった。

乳頭の腫瘤や損傷の治療は、

乳牛では頻繁にある事だが、

肉牛ではそう滅多にあるものではないというのが、

我々十勝の酪農地帯で仕事をする獣医師たちの、

普通の感覚ではないかと思う。

和牛の乳頭には

ミルカーが装着されることもなく

IMG_2311仔牛の口以外のものに吸われることはない。

乳牛の乳頭のように

遺伝的に改良をされたり

酷使されることが全くない

IMG_2313自然な器官のままの乳頭である。

そんな和牛の乳頭が

今回は

異常な様相を見せていた。

IMG_2315先端に白くコリコリした腫瘤物があり

乳頭の二倍ほどの直径に肥大していた。

「だんだん大きくなってきたみたいなんだよね。」

「この牛、経産牛ですよね。妊娠してる?」

IMG_2318「そう。あと2ヶ月で産むんだけど、こんな乳頭じゃ・・・(笑)」

「仔牛も吸いづらいですよね。先っぼを切り落としますか?」

「お願いします。」

牛を枠場に保定して

IMG_2323鋏で切断。

切り口からポタポタと出血があったので

輪ゴムで止血処置。

輪ゴムは夕方外してもらい

IMG_2317抗生物質をあと3日間打つよう指示。

切り取った腫瘤物を

鋏で割ってみると

その中身は

IMG_2326均一な白い組織だった。

脂肪組織の塊のようだった。

和牛の体にはこのような

脂肪代謝に異常を来す部分が

IMG_2325多いのかもしれない。

それにしても

その場所が乳頭の先端とは

治療するには簡単な場所で

まことに有り難かった(笑)


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乳房からの出血(五たび!)

先日の往診の1件目は、

♯牧場の乳房炎の牛の乳汁サンプルを回収し、

乳房炎軟膏を薬治するという仕事。

訪問した獣医師が1人で勝手にできる、

非常に簡単な仕事からのスタート、

のはずだった、

ところが、

♯牧場に着くと、

従業員のK君が、

私の車を見つけてやって来た。

「・・・あの、安田さん。」

「どうかした?」

「・・・牛がまた、カラスにやられたみたいで・・・」

「え?、また?」

「・・・乳房から出血してるんすよ。」

「またかい!」

「・・・はい、全く同じところから・・・縫って欲しいんすけど。」

「わかったよ、でもこれで何回目?」

「・・・春に3回たて続けにやって・・・」

「♯牧場さんは、これで4回目かな(笑)」

「・・・そーっすね。」

「それも、何でいつも、俺が来た時なの?」

「・・・4回とも全部、安田さんすよね(笑)・・・」

簡易パーラーへ牛を診に行くと

IMG_2207またしても乳房の

外側に走る乳静脈から

血液が吹き出して

牛の右の飛節と床を

赤く染めていた。

全く同じ所からの出血。

これはまたカラスの仕業に間違いはなかった。

「・・・春先に鉄砲で追い払ってから、しばらくなかったんすけど・・・」

「この間、またカラスの軍団がこの辺を飛び回ってたよね。」

「・・・そうなんすよ。」

「また鉄砲で、やってもらわないと、また繰り返すよ。」

「・・・はい。」

「俺の時ばっかり、もう勘弁してほしい・・・」

「・・・(笑)」

私は自分の引きの良さ(?!)に呆れながら

乳房の縫合の準備を始めた。

過去4回の経験から

こういう出血を止血するには

IMG_2216写真のようなサイズの角針と吸収糸が

縫いやすいことを学習した私は

出血部位をまず鉗子で挟み

ビルコン溶液で洗い

IMG_2209巾着縫合で止血した。

出血した直後だったらしく

牛はいたって元気。

貧血も全くなし。

IMG_2210縫合処置以外のことは何もせず

この牛の治療を終えた。

それにしても

うちの診療所には

IMG_2213現在7人の獣医師が交代で勤務しているが

今年度の半年間で

カラスによる牛の乳房からの出血の

治療をしたのは

IMG_2214すべて私。

私以外の6名の獣医師はこの症例に当たっていないのだ。

なぜ私ばかりがこんなに当たるのだろうか???

その確率をざっと計算してみると

IMG_22157分の1の確率が5回連続だから

35分の1という確率になる。

35年に1度訪れる当たり年(?!)

ここにまた

過去の4回の乳房出血の記録を

この記事に貼り付けておこう。


 2月24日の乳房からの出血(♯牧場にて)


 3月8日の乳房からの出血(♯牧場にて)


 3月17日の乳房からの出血(♯牧場にて) 


 8月20日の乳房からの出血(∩牧場にて)



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第15回大とかち俳句賞全国俳句大会

NPO十勝文化会議と十勝毎日新聞社主催の、

第15回大とかち俳句賞全国俳句大会が、

IMG_2381先日の9月23日に開催された。 

全国大会と名乗っている以上、

全国的に著名な選者による選がなされる大会であり、

前回の第14回大会では、道外の特別選者として

金子兜太、水原春郎、嶋田一歩、の三氏が選をしていた。

しかし今年の道外の特別選者は

嶋田一歩氏1人だけとなった。

また、道内の選者も、前回選をした

佐藤冬彦、杉野一博、深谷雄大、依田明倫、各氏が引退した。

その代わりに、新たな選者として

竹内直治、石川青狼、十河宣洋、五十嵐秀彦、辻脇系一、の各氏が加わった。

今回の大会は

いつになく選者の世代交代が進んだ大会となった。

選者が変わって新しくなるということは

その大会に選ばれる俳句の傾向も

変わって新しくなるということである。

大とかち俳句大会も15回目を迎えて

転換期を迎えたようである。

主催者のNPOとかち文化会議の文芸部事務局の方もまた

今年からメンバーが変わり

全てが新しく生まれ変わったような大会だった。

事務局のスタッフが新しくなったのは

とても良いことではあるのだが

新しくなったスタッフの方と

地元の俳人の方々との「連携」が

若干薄くなってしまった感があることは否めない。

その表れとして

司会者の勝毎スタッフの方の

選者や俳人の名前(俳号)の読み誤りが多かった。

また、今回新たな選者になった方の中で

辻脇系一、五十嵐秀彦、の両氏が

本大会にわざわざ足を運び、出席してくれたのだが

その両氏の選の講評の場を設けていなかったのは

まことに惜しく、残念なことだった。

これは来年に向けての課題だと思った。

せっかく選者に迎えた著名な俳人が

遠路はるばる来ていただいているのだから

その選句の講評を生で聞き

今後の大とかち俳句賞の選の傾向を知るきっかけにしたかった。

その選の傾向というか、方向性が

本大会の特色や行く末に影響を与えるものだと思うからである。

大会の後は

十勝の俳人の各結社や

各自気の合うグループの方々が

とかちプラザの一階の喫茶店などで

アフター句会を楽しんでいた。

以前は主催者のNPO十勝文化会議のスタッフの音頭で

大きな懇親会があったのだが

それは数年前に無くなってしまった。

やはり、アフター句会はあった方が楽しい。

私の所属する俳句結社「柏林」の方々は7〜8人出席していたので

私はまずそのグループでお茶会をした。

さらにその後

札幌から来てくれた青山酔鳴、五十嵐秀彦、両氏を囲んで

十勝の若手俳人(!)である

三品吏紀、金野克典、鹿野英岳、吉岡簫子、そして私の7人が

帯広市のとある店に集合して食事会を楽しんだ。

IMG_2382やはり、お茶だけではなく飲み会があった方が良い(笑)。

その席ではなんと

この日が私の誕生日だったということで

バースディケーキのプレゼントをいただいた。

IMG_2384全く思いもよらぬサプライズだったので

とても嬉しかった♪

皆さんありがとうございました!

さらにその後

IMG_2385二次会は最近おきまりの

俳人マスター山下敦氏のジャズバー「PAGE1」へ。

ここでもまた最近おきまりになりつつある

袋回し句会が行われた。

IMG_2386朝から晩まで

俳句漬けの一日。

俳句大会の日は

こうあるべきなのだ(笑)


 秋分の句会となりし誕生日  豆作



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新生子牛の中手骨骨折・再び(4)

8月3日に生まれたこの仔牛は、

その日のうちに右中手骨を骨折し、

即日、

キャストを巻いて固定し、

その後、

8月23日にキャストを巻きなおし、

BlogPaintさらにその後、

9月4日に再びキャストを外し、

その日の患肢の状態を見て治癒と判断して

治療をめでたく終了した・・・

はずだったのだが・・・

翌日に

♯さんからまた電話がかかって来た。

その往診依頼の内容は

「昨日キャストを外した前肢が太く腫れている。」

というものだった。

もしや

まだ骨折部位がしっかりと融合しておらず

再び骨折してしまってのではないか

という不安が一瞬よぎったが

まずは実物を見なけれ始まらない。

♯さん宅へ、図らずも

昨日に引き続いて今日もまた

この仔牛の治療に来た私は

IMG_2203恐る恐る

仔牛の右前肢を覗いてみた。

体重は支えているが

肘付近から蹄冠まで太く腫れあがっていた。

「・・・これは・・・ずいぶん、腫れちゃったねぇ・・・」

「だいじょうぶでなんですか?」

私は子牛の前肢をつかんで

骨折部位を触診した。

IMG_2206「・・・これは・・・骨はきっと大丈夫だと思うけど・・・」

「こんなに腫れてるのは?」

「・・・昨日キャストを外すとき、傷つけたのかな・・・」

「傷ですか?」

「・・・うん、ギブスカッターで傷つけたのか、それともキャストの擦り傷なのか・・・」

「わからない?」

「・・・ばい菌が入ったみたい・・・」

「菌?」

「・・・だろうね、一晩でこんなに腫れたんだから、細菌感染だと思う・・・」

「注射か何か打ちます?」

「・・・うん、しばらく抗生物質(マイシリン)を毎日打って欲しいんだけど・・・」

私はこの仔牛にマイシリンを打ち

その後1週間♯さんに打ち続けてもらうように指示した。

それから1週間後の

9月13日には

BlogPaint左の写真のように

患肢の背側面からは腫れも引いた様に見えるが

掌側のちょうど骨折癒合の部分には

赤いびらんが残っているのが認められた。

さらにそれから10日経った

9月22日には

IMG_2376写真のような掌側のびらんは

少し縮まったが

そのやや遠位内側の位置にも

小さなびらんが見られた。

この部分のびらんは

ギブスカッターで傷つけられたとは考えにくいので

IMG_2377これはやはり

キャスト擦れによって細かい傷が出来

そこに細菌が感染して

前肢が腫れ上がった物と思われた。

という事は

キャストの巻き方に

あるいは

下巻きの材質などに

まだまだ問題があると

言えるのではないかと思った。



(この記事終わり)



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左の写真の道具を使う


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新生仔牛の中手骨骨折・再び(3)

今回の中手骨骨折の治療は成功しそうだ、

ようやくそんな気持になれたのは、

治療から2週間が経った時に撮った、

X線画像を見た時だった。

そしてその翌日、

早速私は、

♯さん宅へ往診に向かい、

キャストを巻き直すことにした。

IMG_2078前回のように

キャストを外して行くにしたがって

異臭が漂ってきたり

患肢が冷たくなっていたり

IMG_2079していないだろうかという不安は

今回は

昨日見たX線画像によってほぼ払拭されており

確実に治癒に向かっているという

IMG_2080安堵の心持ちでキャストを外すことができた。

キャストを外すと

蹄の先まで暖かく血が通い

骨折部位が癒合を始めている前肢が現われた。

化膿したり壊死していたりしていないことを確認し

IMG_2081私は再び患肢に

伸縮包帯と

アルミホイルと

キャストを

IMG_2084順に巻いて行った。

今のところ、私が行っている骨折の外固定は

こういう方法なのであるが

前回の記事のhig先生のコメントにあるように

IMG_2085もっと良く、もっと相応しい材質の下巻き

ストッキネット、エバーウールシート等、があるようなので

これをお読みの現役の獣医師の皆さんは

ぜひこれからは

IMG_2087hig先生のコメントを参考にして

より良い材質の下巻きを診療所に常備して

それを使えるよう努力して頂きたいと思う。

さて

2回目のキャスト固定が終わり

その日からまた

2週間が経過した。

IMG_2194私は再び♯牧場へ赴き

この仔牛の最後の治療をすべく

ギブスカッターで

キャストを外した。

BlogPaint患肢はほぼ完全に

骨融合をして

仔牛の中手骨骨折の治療は

これをもって終了の宣言をして

♯牧場を後にした。

ところが・・・

翌日

♯さんから

電話がかかってきた。



(この記事続く)



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