北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

重種1才馬の鼻梁の外傷(1)

「・・・共進会に出す馬が、顔に怪我をした・・・」

そんな電話が、

馬産家の@さんからかかって来たのは、

夜間当番の早朝だった。

IMG_1866馬を枠場に入れて顔を診ると、

馬の長い鼻梁に約15cm程度の切り傷があった。

よくみると、ヨードチンキを塗布した後の色が付いており、

傷口からは出血と漿(しょう)液が垂れた後のような汚れがあった。

「これは・・・何時頃、怪我したの?」

「・・・きのうの晩。」

「ヨーチン付けてあるね。」

「・・・ああ。でも治りそうもないから、縫ってくれ。」

「たしかこの馬、共進会に出すやつだったよね。」

IMG_1862「・・・そう。」

「共進会は何日だっけ?」

「・・・あと2週間。」

「そっかー、うーん。」

「・・・縫って治してくれ。」

「まぁ、やれるだけやってみるか。」

「・・・きれいに治してくれよ。」

「うーん、まぁやってみるか。」

IMG_1869馬に鎮静剤を投与し

鼻捻をかけて保定し

傷の周囲を

ビルコン液を染み込ませたスポンジで

ジャブジャブと洗い

汚れを落として

再び傷を良く見ると

何か鋭利なもので

鼻梁をザクッと切ってしまったような傷だった。

IMG_1876長さは上下に15cm程度

頭部に近いところの傷がもっとも深く

その深さは2cmほどあった。

出血は無く

薄いピンク色の創の断面は

皮下組織がほとんどで

奥のほうは骨に達しているようだった。

私は過去に

こういう筋肉の無い鼻梁の切創を縫合した経験を

思い出せなかったので

行き当たりばったりの処置となった。

IMG_1877洗浄した創口の頭側の深い部分に

角針を刺して、吸収糸をかけて

そこを起点に連続で皮内縫合をしてゆく。

この方法は

牛の開腹手術の最後の

皮膚を皮内縫合する方法と同じだった。

熟慮してそういう縫合法を選択したのではなく

とっさに思い浮かんだのが、この縫合方法だった。

しかし、いつも牛の手術で慣れている方法なので

スムーズに縫いすすみ

縫合処置は数分で終わった。

IMG_1879縫合処置をした切創は

手で広げようとしても広がらないように

針の縫い目もわからないように

皮内縫合された。

この縫合処置によって

なんとかこの1才馬を

十勝共進会に出品させたいという

@さんの願いが叶えられるかどうか。

私は、きっとこれで何とかなるだろうと

抗生物質を投与し

あと三日間の抗生物質の投与を指示して

帰路についた。


(この記事続く)


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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大忙しの星の下(2)

帝王切開によって、

側頭位の胎児を無事に摘出したまでは良かったが、

IMG_1949親牛の状態がどうも良くなかった。

それは、手術中に輸液をしようと、

頸静脈に針を刺した時、

留置針がなかなか血管に入らず

結局乳静脈に切り替えたことからも感じていた。

IMG_1950親牛は血圧が下がっているようだった。

血圧が下がっているから

頸静脈を圧迫してもなかなか血管が浮き出ず

針を血管に入れることが難しかったのだ。

IMG_1951その理由はよくわからないが

そのために

前肢の血流も弱くなり

手術台で下になっていた右肩付近の圧迫により

右前肢の神経麻痺が生じてしまったものと思われた。

IMG_1952麻痺によって右腕節(前膝)に力が入らず

カックン、と曲がってしまう。

「キャスト・・・しますか・・・。」

とにかく、この牛には

ちゃんと4本足で立って

IMG_1953家畜車の荷台に乗ってもらわないと困るので

応急的な処置として

右前肢の腕節がカックンとならぬようにキャストを巻くことにした。

キャストを巻き終わった牛は

ぎこちなくも、なんとか歩行して

IMG_1955家畜車の荷台に乗ることができた。

家畜車を見送り

手術室を片付けていると

診療所の職員達が

次々と出勤してくる時刻になっていた。

翌日

この牛が無事でいるかどうか

ちゃんと自力で起立できているかどうか

心配だった。

この牛の飼主さんは

搾乳牛たちを昼夜

繋ぎっぱなしで飼っている酪農家で

敷きわらをたっぷりと敷いた独房というものがない。

そういう独房がないところで飼われている牛は

足腰が弱ると、立ちたくてもうまく立てずに

そのままダメになってしまうリスクが高い。

さらに

牛の前肢にかかる体重というのは

後肢にかかる体重よりもはるかに大きく

特性樹脂のキャストを厚く巻いても

割れてしまうことがあり

この牛に巻いたキャストも簡単に割れて

キャストの効果が無くなってしまうのではないかという

心配があった。

しかし

IMG_1957往診した同僚獣医師の話によれば

牛の前脚の状態は良く

神経麻痺は消失し

寝起きは普通で食欲もあるということだった。

その翌日

IMG_1956牛の状態はさらに改善して

寝起きも食欲も良好だということで

キャストを外すことにした。

この日のキャストは

案の定、腕節から近位の部分が

IMG_1960割れてしまっていた。

しかしそれは

この牛の前肢の神経麻痺が完全に消失し

寝起きが自由にできるようになり

右前肢の機能が

完全に回復した証拠でもあった。

(この記事終わり)


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大忙しの星の下(1)

複数の獣医師がチームを組んで、

仕事についているNOSAIの家畜診療所では、

夜間の当番はその人数によって、

均等に割り振られて、

仕事量の偏りがないようにしているのが普通である。

夜間の往診の数は、

1年間の平均件数を計算してみると、

診療所チーム内のどの獣医師も、

だいたい1件〜2件の間に均等に収まるものらしい。

ところが

1ヶ月程度の短い期間でこれをみると

それぞれの獣医師によって

夜間往診の数が極端に偏ることがある。

ある獣医師は、往診が全くない0件の夜が何回も続くのに

ある獣医師は、毎回深夜まで何件もの往診に呼ばれて睡眠不足になる

という現象が起こる。

夜の往診の忙しさには波があるのだ。

その波は、診療所内の獣医師の仕事内容を

支配下に置く「大忙しの星」の気まぐれなパワーの現れのようである。

先日の

早朝5時頃

私の個人携帯に

その日の夜間当番用の携帯から

電話がかかって来た。

最近、夜間当番で大当たりが続いているS獣医師からだった。

乳牛のお産で、胎児の頭が後ろを向いた側頭位らしい。

緊急の帝王切開をすることになり

私は手術の助手をするべく診療所へ向かった。

診療所へ着くと

手術室にはすでに帝王切開の準備がされていた。

「最近よく当たるね。」

「そうですねー(笑)」

S獣医師は、前回の夜間当番の時も

深夜に乳牛の帝王切開と、早朝の和牛の難産介助をしていた。

その後数日、別の獣医師が当番をした夜は

特に難産や深夜の往診はなかったのだが

昨夜からのS獣医師の当番でまた難産が発生した。

(大忙しの星の下に完全に入っているのだ・・・)

親牛を手術台に寝かせて

術野の毛刈りと洗浄消毒を終えて

さぁこれからメスを入れて

帝王切開を始めようとした時

当番用の携帯電話が鳴った。

和牛の難産で逆子のようなので来てほしい、という往診の依頼だった。

手術に取り掛かろうとしていた私たちは

その往診依頼に対して、事情を説明し

手術をある程度終えるまで、今しばらく待ってもらうように伝えた。

IMG_1947そしてまた帝王切開に取り掛かった。

ホルスタインの母親の子宮の中で側頭位になっていた大きな♂ホル仔牛を

無事に生きて出すことができた。

「あとは、縫うだけなんで、安田さん和牛の往診に行ってください。」

「わかりました、じゃ、後はよろしく。」

私は手術から離れ

診療車に乗って和牛の難産介助に向かった。

(大忙しの星の下に私も入ってしまった・・・)

和牛繁殖農家の◯さん宅は診療所から車で5分程度の近い家だった。

手を入れてみると

確かに逆子だったが

その胎児の後肢の隣に前肢があり

その前肢の隣に頭が来ているという状態

すなわちそれは双子の難産だった。

後肢を押し戻すと

もう片方の前肢がその奥に現れたので

前肢2本と頭が同じ胎児のものであることを確認して

IMG_1946まず正常位の1仔目の胎児を牽引娩出

次に尾位の2仔目の胎児を牽引娩出

無事に介助が終わり

私は再び診療所へと車を走らせた。

診療所の手術室では

S獣医師が術創の最後の皮膚を縫い始めたところだった。

IMG_1948術野の縫合が終わり

牛が手術台から降ろされた。

ところが

この母牛が、今度は

IMG_1949なかなか立つことができない。

カルシウム剤を注射して

気合を入れて起立を促しても

立てなくなってしまったので

仕方なくハンガーで吊起することにした。

IMG_1950ハンガーにてなんとか吊り上げて

立たせたものの

右の前肢の負重ができず

3本足でようやく体を支えるのみ。

どうやら

右前肢の橈骨神経が麻痺してしまったようだ。

これでは歩行することもままならず

家畜車の荷台までどうやって歩かせるのか

(大忙しの星のバワーは容赦がない・・・)

さて、どうするか・・・

(この記事続く)

 

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コラボ展・Freedom of Expression(表現の自由)(4)

コラボ展・Freedom of Expression(表現の自由)は、

8月1日(火)をもって無事終了した。

7日間にわたる展示と、

数十分のパフォーマンス、

それを見るために会場へ足を運んでくれた人は、

600人以上になったようだ。 

会場の職員の方によれば、

コラボ作品ばかりの展示会は、 

帯広市民ギャラリーの催しとしては、

とても異色でユニークなものだったそうだ。 

私個人としては

「俳句」ばかりではなく

発表の場がなかなか得られなかった「漢詩」について

このような発表機会を得ることができたのが

とても嬉しい事だった。 

北海道獣医師会の会員の方ならばご存知かもしれないが

毎月会誌に載る、あのような漢詩が

地元十勝の書家の皆さんの筆と

写真家と美術家の手によって

こんなにも素晴らしい作品になって

展示させていただけることは

漢詩たちにとっても、私にとっても

大変幸せなことだった。

その作品を、いくつか

ここに記録しておきたい。

クリックして大きくして見ていただければ幸い♪



           
IMG_1984   地産乃幸

  細断玉葱挽肉炒
  茹芋練混球状整
  塗粉溶卵衣付揚
  狐色熱々大皿盛


 「窓」 高橋朴宗×安田豆作×古川こずえ





 IMG_1983IMG_1982  通過法案

 平和農村広尾道
 踏切注意鳴警報
 左右見切幸福発
 危険加速愛国行


  「通過法案」 白石弥生×安田豆作×古川こずえ
 




IMG_1980IMG_1988  放置国家

 現在戦争禁止国
 改憲戦争可能国
 加担戦争常習国
 将来戦争依存国


  「放置国家」 阿部安伸×安田豆作×古川こずえ





IMG_1986IMG_1987   素舞布

  以後僕達何信来
  夜空向側明日待
                   由君伝達握手返
                   我心軟所絞現在


 「素舞布(SMAP)の歌」 八重柏冬雷×安田豆作×古川こずえ





IMG_1991前列左から

古川さん(写真家)

阿部さん(美術家)

後列左から

IMG_1992

八重柏さん(書家)

白石さん(書家)

(高橋さん(書家)は、お仕事で不在)

皆さん

どうもありがとうございました!

(このシリーズ記事終わり)


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コラボ展・Freedom of Expression(表現の自由)(3)

コラボ展のヤマ場は、

7月30日の午後から行われたデモンストレーション、

そのテーマの1つが「扉(とびら)」。

大きな和紙に、出品者6名が、

公開の場で、それぞれの書の仕上げを行なった。

6名の出品者のうち3人が書家だった今回は、

八重柏さんはじめ書家の方々のみごとな筆で、

斬新な作品が仕上がった。

私はその端くれとして

漢詩を1首書き留めた。



ご覧いただけましたでしょうか(笑)

IMG_1985






それに引き続いて

もう1つのテーマである「生まれくる光」。

その象徴としての「卵」のパフォーマンスを

私が行うことになった。

当初はただ

配られた卵に何か文字を書くだけの予定だったが

そこに何を書こうかと思案しているうちに

「謡曲・高砂」の台詞を書くことを思いついた。

IMG_1965その台詞を書いているうちに

書くだけでは何となく物足りないので

その台詞を謡ってみることを思いついた。

その後、会場の準備でたまたま

その謡いの練習をしようとしていた時

帯広能楽同好会の土田さんが居合わせて

「地謡のお手伝いしましょうか、藤田さんにも声かけてみますよ。」

という心強いお言葉をもらってしまった。

そのようなわけで、話は急遽盛り上がり

当日は、「謡曲・高砂」風アレンジによる

卵のパフォーマンスを披露することなになった。



ご覧いただけましたでしょうか・・・。

念のために書いておくと

このパフォーマンスはあくまでもコラボであり

本物のお能(謡曲・高砂)とはかけ離れた素人パフォーマンスである

ということで見て頂きたいと思う。

したがつて、今こうして自分の舞う姿を見ると

顔から火が出るほど恥ずかしいが

コラボ展ならではの自由な雰囲気の中で

皆さんと一緒に楽しませていただく事ができた。

私の思いつきで突然に

謡と舞の場所を設けていだだいた

コラボ展出品者代表の古川さんには

心から感謝を申し上げたい。

IMG_1971また、私の拙い舞を

地謡で盛り上げていただいた

帯広能楽同好会の

土田さんと藤田さん

どうもありがとうございました。


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コラボ展・Freedom of Expression(表現の自由)(2)

コラボ展・Freedom of Expression(表現の自由)の、

IMG_1966前半の3日間が終了した。

3日目の7月29日には、

私は展示会場の受け付をしていた。

帯広駅の地下1階のギャラリーというのは、

やはり人通りが多い所なので、

じつに色々な人たちが、

IMG_1967展示会場に訪れて、

作品を見てくれる。

私が案内ハガキを配った人たちからの反応も上々で

受付のテーブルの上の花も

IMG_1963何と私の同僚の獣医師が

思いがけなく贈ってくれた花で

私はとても嬉しかった。

また

私の俳句仲間の1人からも

IMG_1944美しい生花を頂き

それもまた大変嬉しかった。

この展示会にはもちろん

一緒にコラボに参加した私以外の

5人方々も

それぞれの知り合いの方が訪れて来ては

IMG_1962作品を興味深く覗き込んだり

作品の解説を聞いたりしていた。

私にとっては

同僚の獣医師や俳句仲間の訪れが嬉しいのは言うまでもないことだが

さらに私以外のメンバーのお知り合いの方々

すなわち書道、写真、美術、の関係の方々と

お話ができるチャンスが沢山できて

普段はなかなか話をする機会のない方々との

新しい出会いが沢山あった。

IMG_1961コラボに参加すると

ジヤンルの違う方々との交流が

一気に広がるということを

昨日1日で実感したのだった。

これは素晴らしいことだと思った。

コラボ展は今日から後半の3日間となる。

IMG_1964本日7月30日は

コラボ参加者6名全員が

ギャラリーに集う日でもある。

そして13時00分から

デモンストレーションを行う。

初めは6人の合作の

壁一面を飾る大きな書の

仕上げをするというパフォーマンス。

そのテーマは「扉(とびら)」

そのあとには

もう一つのテーマでもある「生まれくる光」

という言葉を象徴する「卵」のパフォーマンス。

書のパフォーマンスは

主に書家の3人の方がメインだと思うが

卵のパフォーマンスは

主に私がメイン(⁉︎)である。

どんなものになるのか

今でもよくわからない。

IMG_1965最後の写真は

卵のパフォーマンスに

私が使おうとしている道具である。

拡大して見ていただくと

何ーんとなく

どんなものか

想像できるでしょうか?(笑)


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コラボ展・Freedom of Expression(表現の自由)(1)

最初の写真は今年の4月の末に、

IMG_1402何をするのかわからないままに、

私が自分の顔の形を金網に取っているところ。

その日から昨日の作品搬入まで 、

私はこのたびの、

Freedom of Expression(表現の自由)、

IMG_1935というコラボ展に、

参加をしているにもかかわらず、

この顔型の金網がどんな展示物になるものやら、

さっぱりわからなかったのだが、

IMG_19372昨日ようやく

それが

展示会場の天井から

布を被ってこちらを向くように

IMG_1939飾られることになるのがわかった・・・ 

メンバーは6人。

仕掛け人は写真家の、古川さん

書家の、八重柏さん、白石さん、高橋さん

IMG_1940美術家の、阿部さん

そして、俳句と漢詩作家(⁉︎)の私。

昨日の午後
とうとう

IMG_1941その展示準備が完了した。

完了した日の夕方

勝毎と道新の

2人の新聞記者が取材にやって来た。

IMG_1943場所は、帯広駅地下1階の

帯広市民ギャラリー。

7月27(木)から8月1日(火)までの6日間の開催。

人通りの多いところなので

IMG_1945ちょっと時間のある方は

駅地下1階へふらっと立ち寄って

作品展示をご覧いただけるととても嬉しいです。

また、7月30日(日)の午後1時からは

出品者6人が全員揃って

それぞれがパフォーマンスを行う予定です。

何をするかはお楽しみに(⁉︎)

このパフォーマンスを見に来ていただけると

さらに嬉しいです♩



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感動の「帯広能」

7月21日、22日、の二日間に渡って上演された、

IMG_1653「帯広能」は素晴らしかった。

仕舞い(しまい)や舞囃子(まいばやし)の数々と、

その間に入る狂言がとても面白く、

能と狂言は、

まさに一体のものなのだと感じた。

IMG_1914その中でも、

特に凄いと思ったのは、

最後に上演された「八島」(やしま)という能。

平家物語の「屋島の戦い」を題材としたもので、

主人公すなわち「シテ」は源義経(よしつね)である。

IMG_1656義経が主役の能というのは

数百ある能の中で

この「八島」ただ一曲のみという。

西方に旅をする一人の僧侶が

讃岐国(香川県)の屋島の浦で

IMG_1655年老いた漁師と出会う。

その漁師が実は義経の霊で

屋島の戦いの様子を語り始める。

語っているうちに

漁師はいつのまにか義経そのそものになり

IMG_1915だんだんと激しく舞いながら

ついには刀を抜いて

その舞と囃子は最高潮に達する。

その時はまるで

本物の源義経が目の前に現れたようだった。

31歳の若さで亡くなった義経には

色々な伝説が多く残っているが

今回は伝説として聞くのではなく

ついに

源義経本人と

直接会うことができたような

そんな不思議な感動を

体験することができた。

リアルの能舞台は

テレビや映画とは全然違う

本物の霊と対面することができる場所だった。

その義経の霊を呼ぶ「シテ」を務めた人は

IMG_193032歳の若き能楽師

塩津圭介氏だった。

31歳で無念の死を遂げた義経を演じるには

最もふさわしい人だったのではないだろうか。

だからこそ、まるで義経本人が

目の前に来たように感じることができたのかもしれない。

IMG_1929塩津圭介さんには

去年発足した「帯広能楽同好会」の講師をしていただいている。

そんな能楽の先生が

本物の舞台を見せてくれた。

私は何の気なしに習い始めた能だったが

IMG_1923謡にしても、舞にしても

色々なことを習う度に

その一つ一つに

思いもよらぬ

深い意味があり

いつも新鮮な驚きを感じて来た。

IMG_1913そして

先日は初めて

本格的な能を鑑賞することができた。

室町時代からの700年の歴史を持つ

我国の文化として

能というものは

本当に「凄い」と思う。

今回はその気持ちを

より強くしたのだった。


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新生子牛の「左右」中手骨骨折(3)

難産で牽引した直後に、

左右の中手骨遠位の骨折を確認し、

左右前肢にキャストを巻き、

その後、3日目にエックス線を撮影し、

それから、さらに11日が経過した。

骨折してから2週間目、

この子牛のキャストを交換する日がやってきた。

今回、私は

今まで経験してきた牛の新生児の

中手骨骨折の治療の中でも

もっとも

いろいろと気を配り

過去の失敗での反省点や

同僚獣医師の意見などを参考にして

自分の技術としては最もレベルの高い

最新の骨折整復法を施すことができたという自負があった。

そういうわけなので

この日が来るのをとても楽しみにしていた。

ギブスカッターと、エックス線装置と

撮影の防護服などを、そそくさと診療車に詰め込み

飼主の#さん宅に到着。

IMG_1837子牛はあいかわらず

非常に元気がよかったので

鎮静剤をかけて寝かせて

まずは

患部のエックス線の写真を

3方向から撮影した。

撮り終わってから

撮影装置をいったん片付けて

今度はギブスカッターによって

キャストを外してゆく

飼主の#さんと

手伝ってくれたS獣医師が

保定しながら見守る中で

私はまず左前肢のキャストを外していった。

ギブスカッターで

キャストを縦半分切り落としたとき

骨折部位の毛色が

なんとなく

暗赤色の滲みが付いているのを確認した。

その部分から遠位を手で触ってみると

なんとなく

温度が低く

子牛の体温ではないような

冷たさを感じた。

「・・・。」

私は、さらにキャストを外していった

「・・・。」

「・・・。」

#さんとS獣医師もまだ無言だった。

「・・・、あ・・・これは・・・」

「・・・。」

「・・・着いて・・・ない・・・のか。」

「・・・。」

「・・・全然・・・融合してない・・・。」

「・・・ダメですか・・・。」

「・・・ショックだぁ・・・。」

BlogPaintキャストを全て外し終わったとき

私たちは

ガックリと

失望感に包まれていた。

左右の中手骨は

両方とも、まったく骨融合しておらず

骨折部位は2週間前と全く同じように

IMG_1840クニャッと曲がってしまった。

骨折部位と外したキャストからは

ほんのりと厭な匂い(壊死臭)が漂ってきた。

治療は完全に失敗に終わった。

子牛は、残念ながら

病畜処理場へ搬入することになってしまった。

その後、私は

悔しい気持ちをずっしりと抱えたまま

隣町の診療センターへ行き

最後に撮影したエックス線画像を見た。

参考のために

IMG_1843IMG_1844






第3病日の画像を左に

第14病日の画像を右に

比較できるように並べてみた。

IMG_1845IMG_1846







骨折部位に望まれるはずの

白く濁ってゆく骨融合の変化は全く見られず

むしろ

3日目(左)よりも14日目(右)のほうが

骨折部位は黒っぽく変化し

壊死が進んでいるように見えた。

(この記事終わり)

と・・・

したいのだが・・・

私は今でも

悔しい気持ちが消えずに続いている。

今回なぜ

骨折整復がうまく行かなかったのか

ちゃんと検証して

何とか今後につながるヒントを得たいと思う。

この記事をお読みの皆さんの

ご指摘やご意見を

ぜひ伺いたいと思う。

どうか忌憚のないコメントを

よろしくお願い致します。


(この記事終わり)


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新生子牛の「左右」中手骨骨折(2)

助産の時に強く牽引し過ぎて、

中手骨を骨折してしまったホルスタインの新生児。

それも、今回は、

「左右」両方の中手骨の骨折だった。

緊急で呼ばれて、

キャストを巻き、

抗生物質を3日間打ってもらい、

今日は、その3日目だった。

「子牛の調子はどう?」

「・・・特に痛がるわけでもなく普通にしてますよ。」 

「お乳は飲んでる?」 

「・・・普通に飲んでます。」 

BlogPaint「下痢とかしてない?」

「・・・大丈夫です。」 

「立てる?」

「・・・ちょっと手伝ってやれば立ちますよ。」 

一般状態は悪くないようだった。

今日はこの牛の

骨折部位のX線写真を撮る日だった。

BlogPaintキャストを巻いたまま

X線装置を当てて

右斜め、左斜め、前方、の
3つの方向から撮影した。

撮影したカセットフィルムを

IMG_1784隣のT町にある診療センターの

デジタル現像装置に差し込んで

画像データーを映し出した。

私は今まで

キャストを巻いた時

骨折部位を真っ直ぐに整復していたつもりでも

X線画像を撮って見てみると

思っていたよりも大きくずれて(騎乗変位して)いたり

思っていたよりも曲がっていたり捻れていたり

IMG_1785していることが多かったので

今回もかなり心配だった。

しかし

画像を見る限り

過去の私の経験した症例に比べると

IMG_1786大きなズレやまがりや捻れはなく

まぁ、そこそこ

問題なく整復できているのではないか

と、自分なりには

ホッと胸を撫で下ろしたのだった。

IMG_1787飼主さんとも相談して

キャストを巻き直すことはせずに

そのままで様子を見て

2週間後に再び往診して

キャストを外して

巻き直すことにした。 

(この記事続く)



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新生子牛の「左右」中手骨骨折(1)

「お産がキツくて、強く引っ張ったら・・・」

前足が折れてしまった、

という稟告。

何度も経験している症例である。

せっかく生きて出せたのに、

前脚が折れてしまった子牛を見るのは辛い。

到着して、

子牛の前脚を触診するまでもなく

中手骨の遠位部が

ポッキリと折れているのを確認した。

IMG_1739「産科チェーン使ったの?」

「・・・そうなんです。」

「あれっ・・・これは両方の足が折れてる・・・」

「・・・やっぱり・・・実は最初に折れた後、マズイと思ってチェーンを外したんです。」

「それからどうしたの?」

「・・・その後、紐に付け替えて引っ張ったんだけど・・・」

「また折れちやった?」

「・・・そう、その時、親が急にバタンと倒れて、その拍子に・・」

「2本目の足も、折れちゃった?」

 「・・・そうなんです。」

IMG_1742我々は、早速

骨折の整復に取り掛かった。

子牛の中手骨骨折については

以前、このブログで

IMG_1749自分の整復方法について 

いろいろとコメントをいただき

自分の方法がかなり旧式な方法で

未熟であることを知らされていたので

IMG_1751今回はそれらのご意見を思い出しながら

できるだけ改善点を取り入れて

キャストを巻いてみた。

まず

患肢をしっかりと牽引する。

IMG_1752今回はとっさの判断で

包帯を患肢の繋ぎに巻いて牽引してもらいながら

持ち合わせの伸縮包帯を巻き

下に巻くものはそれだけで

綿による下巻きはせず

IMG_1753その上にキャストを巻いた。

左右両方の中手骨が折れているので

飼主さんに両方を

写真のように牽引してもらって

キャスト巻きの作業を

IMG_1754左右で繰り返し行った。

キャストは転がすように

腕節から蹄先まで巻いた。

巻き終えてから

患部の感染を予防するために

抗生物質を打ち

それを3日間打つよう指示した。

この日は、金曜日の午後遅くだったので

次回は、月曜日に

エックス線写真を撮ることを告げて

帰路についた。


(この記事続く)


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デントコーンに「マルチ」

一番牧草の収穫も、

早い組の酪農家から、

遅い組の肉牛・馬産農家まで、

とりあえず今年は、

皆さん無事に収穫を終える事ができたようで、

何よりだったのではないかと思う。

今年は、長雨にもならず、

良い天気が続いている。

一番牧草の作業が終わると

十勝地方では

牧草の次に重要な飼料作物である

デントコーンの発育状態も気になってくる。

昨年のデントコーンの発育は最悪だったようで

収穫時期にも天候が悪く

品質の良いデントコーンサイレージが収穫できなかった。

そのような事を踏まえ

今年の酪農家の※さんのデントコーン畑には

作物の早期成長を促す

マルチ(mulch)が張られていた。

IMG_1604



5月29日

IMG_1687



6月9日

IMG_1756



6月23日

IMG_1812



6月30日

IMG_1861



7月9日 

ご覧の通り

素晴らしい成長ぶりを見せている。

 ※さんによれば

去年の天候を考えると

また今年も同じような事になりかねないから 

その対策として何かしておかなければならない

と、思ったそうだ。

用意周到でアクティブな考え方だと思った。

それをすぐ実行に移す行動力もすごい。

お金は相当かかったらしいが・・・。

ちなみに

マルチ(mulch)とは英語で

「地面を覆う敷き藁」のことで

我々がよく使う「多い」を意味する接頭語の

マルチ(multi-)とは

スペルも発音も違う。

ところが

日本語にすると

「覆い」と「多い」

発音は「オオイ」

表記は「マルチ」

全く同じになってしまって

なんだか紛らわしい(笑)


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燕の子

酪農家の£さんの牛舎を歩いていたら、

天井の蛍光灯の一角に、

燕の巣を発見。

早速ポケットから携帯を取り出して、

IMG_1814シヤッターを切った。

「そこで一句!」、 

通路に居た£さんから、

すかさずツッコミが入った。

「・・・うーん・・・と、急にはなかなか・・・」

「ダメだねー、豆作。」

「・・・申し訳ない。」

「ちゃんと詠まないと、そろそろ居なくなっちゃうよ(笑)」

IMG_1815「・・・そろそろ・・・?」

「もうそろそろ、巣立つと思うんだ。」

「・・・来たのはもうだいぶ前なんでしょ・・・?」

「4月だったかな。まずパートナーを見つけて、それから巣作りして、来てからだいたい2ヶ月くらい経ったんでないべか。」

野鳥図鑑によれば

道東地区での燕の繁殖例はそれほど多くないらしいが

我が町で最も気温の下がるM川地区にも

燕の繁殖例はあるようだ。

IMG_1816また

俳句の歳時記によれば

単に「燕」といえば3月の季題。

「燕の巣」となると4月の季題。

「燕の子」となると6月の季題

に分類されているが

これは本州の燕を基準にしているので

北海道へやってくる燕の行動は

上記の季節から1ヶ月程度遅いと思って良いだろう。

いずれにせよ「燕」にまつわる季題は色々あって

「燕」は昔から、俳句によく詠まれてきたようだ。

£さんからの宿題が出て居たので

私もこの場を借りて

この季題で3句


 巣の上に頭並びて燕の子 


 つばさ閉ぢる間もなく去りぬ親燕


 燕の子顔を揃へて何見るや



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育成牛の中足骨骨折(2)

約15ヶ月齢の牛の中足骨の骨折の、

初診から1ヶ月経過したキャストを、

「治癒の見込みが有る」という理由で、

再度巻きなおしたのは、

私は初めてのことだった。

「これはきっと治ってくれるだろう」、

という思い込みがあったせいで、

私の巻いたキャストは、

初診でO獣医師の巻いたキャストよりも

大分薄く、やや短かった。

それで充分だろうと思っていたのだ。

ところが

その日に撮ったX線写真の骨折部位を見ると

思ったよりも骨融合が進んでいないように見え

骨折端の騎乗変位と軸ズレが明らかだったので

それから私は

2回目のキャストの巻き方が甘かったのではないだろうかと

しばらく落ち着かない日々を過ごしたのだった。

もし、2回目のキャストを巻いた後に

骨折の癒合部位に異変が生じたら

せっかくの骨融合が破綻して

この牛の治療は一巻の終わりになってしまう。

冷や汗をかきつつ、悶々とした日々を過ごしたが

飼主の〓さんからの、この牛に関する連絡は来なかった。

だが、便りの無いのは良い便り、だった。

その後は

異変の心配が、次第に治癒への確信へ、と変わってゆき

とうとう、2回目に巻いたキャストを外す日がやってきた。

初診から2ヶ月が経っていた。

体重350kgはゆうに超える育成牛を

IMG_1511鎮静剤で寝かせ

ギブスカッターでキャストをはずした。

キャストを外したところで

エックス線撮影をした。

IMG_1512その後、鎮静の拮抗剤を打って

牛はたちどころに目覚め

4本の肢を着いて

に歩き始めた。

IMG_1513初診は今年の3月12日

キャストを巻き直したのが4月10日

終診が5月8日だった。

もう一度

IMG_1364IMG_1525






4月10日のX線写真と

5月8日のX線写真とを

IMG_1363IMG_1522






左右に並べてみると

骨折部位の変位と軸ズレがあるものの

癒合が進んでいる様子がわかる。 


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育成牛の中足骨骨折(1)

初診は同僚のO獣医師、

当直明けの就業時間直前に、

「育成牛の足が折れている・・・」、

という連絡が入ったという。

右の中足骨骨体部で完全骨折、

鎮静下でキャスト固定し、抗生物質を投与、

と、カルテには書いてあった。

それから1ヶ月が経ち、

この牛のキャストを交換する日がやってきた。

何かと多忙なO獣医師に代わって、

私がこの牛の足の様子を見に行くことになった。

それは、今年の4月10日の事だった。

往診に行く前に、カルテを見直すと

この牛の生年月日は12月19日と書いてあった。

ということは

この牛が骨折をしたのは約3ヶ月齢か・・・

と、一瞬私はそう思い

その程度の月齢での中足骨ならば

よくあることで、何とかなるな・・・

と、思って

O獣医師に経過を聞こうと

もう1度カルテを見ると

この牛の生年月日は、なんと・・・

平成27年12月19日

と書いてあることに気づき

ちょっと驚いた。

「えっ!・・・おととしの12月生まれなの?」

「そう・・・。」

「デカいやつかい・・・。」

「そう・・・、15ヶ月齢の育成で・・・、どうなってるかわからないんですけど・・・。」

私はそう聞いて

恐る恐る

飼主の〓さん宅へ向かった。

「牛はどこ?」

「あー、あの牛かい・・・あそこの小屋の中にいるよ。」

〓さんの親父さんは、何気なくそう言って私を案内した。

IMG_1353「今日は、何か、するのかい?」

「うん。キャストを交換する日なんだけど・・・様子はどう?」

「どーなんだべ・・・」

「歩いてる?」

「うーん、1週間前くらいまでは痛くて全然つけなかったんだけどな・・・」

「・・・。」

「それが、この間から、なんだか、足をつくようになってきたのよ・・・」

「ほんとに?」

「あぁ、ほんとだよ。だいぶん歩けるようになったんでないかな・・・」

「そうなんだ。とりあえず牛を寝かせて、キャストを外したいんだけど。」

「おぅ、わかった・・・息子呼んでくるわ。」

私は、〓さんの息子が来るのを待って

それから鎮静剤を打って牛を寝かせ

ギブスカッターでキャストを外した。

IMG_1355骨折部位は化骨が始まっているようで

周囲の軟部組織には損傷もなく

細菌感染もしていなかった。

キャストを巻き直し

IMG_1359そのあと

この足の骨折部分の

エックス線写真を撮った。

鎮静剤の拮抗剤を打ち

IMG_1361牛はその後

すっと立ち上がって

スタスタと歩き始めた。

私はその後

隣町の診療センターへ

撮影したカセットフィルムを持ち込み

現像した画像データーを

画面に映し出し

IMG_1363さらにそのデーターを

我が診療所でも見られるように

共通フォルダに入れて

帰路についた。

IMG_136415ヶ月齢の育成牛が

中足骨の骨折をして

キャストによる外固定をし

それから約1ヶ月後の状態が

この2枚のX線写真だった。


(この記事続く)


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初舞台

牛屋さん達は、牧草の収穫の仕上げに、

馬屋さん達は、繁殖牝馬の種付けに、

それぞれ多忙なこの時期。

畜産家の皆さんのお忙しい中、

大変恐縮なのだが、

私は丸2日休みをいただいて、

帯広第七中学校へ向かった。

IMG_1794そこでは

プロの能楽師の方々が

東京からやってきて

小中学生達の

「能楽」の「体験教室」が開かれていた。

IMG_1807先日紹介した

帯広市教育委員会と

帯広市民劇場運営委員会が主催の

「帯広能」のイベント。

そのイベントで演じられる予定の

能楽の曲の一つ「船弁慶」の舞囃子(まいばやし)が

IMG_1802プロの能楽師によって

第七中学校の体育館で演じられた。

プロの能楽師の皆さんの演奏と演技は

迫力満点

受講した小中学生はもちろん

IMG_1803その周りで見て居る保護者まで

全員を魅了した。

その後

生徒達の体験教室が始まり

笛、小鼓、大鼓、太鼓、の四つの楽器体験と

面(おもて)の試着体験が

IMG_1804それぞれのグループに分かれて行われた。

難しくて近寄りがたいイメージだった

能面や楽器が

こういう形で実際に触れることで

とても身近なものとなってゆく。

IMG_1806子供達の歓声や笑顔が

それを物語っていた。

そして

その日の夜

帯広市民文化ホールの小ホールで 

今度は一般市民に向けて

「帯広能への誘い」という催しが行われた。

その前座の部分で

昨年の秋に結成したばかりの

帯広の能楽同好会のメンバーが

「謡」と「仕舞い」を披露した。

IMG_1809私もその一員として

とうとう初舞台を踏んだのだった。

演じて居る時の気分は

緊張感というよりは

高揚感がそれに勝り

ハイな気分で楽しく

舞台を踏むことができた。

帯広市民劇場のM井さんをはじめ

同好会の他のメンバーの方々や

プロの能楽師の皆さんに

心から

感謝を申し上げたい。


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音羽紅子さんの俳句

道新・北のうた暦、

私の担当である6月26日(月)に、

登場してもらった俳人は、

IMG_1766音羽紅子(おとわべにこ)さん。 

掲載句は


 好きな木の切り倒されし夏野かな  紅子


好きだった木が

いつの間にやら伐採されて

この世から消えてしまう寂しさ。

実は、私も

同じような経験をしている

IMG_0342例えば

2014年に伐採されてしまった

幕別町錦町のハルニレ。

あるいは、また

IMG_59282016年に跡形もなく消えてしまった

帯広市のプラタナス。

私は

この句に出会ったとき

あのとき感じた寂しさと同じ寂しさを

作者もきっと感じていたに違いない

と思い

これは「うた暦」にぜひ取り上げたい一句だと思ったのだ。

IMG_1767紅子さんは北見市在住で、

「ゆきしづく」という俳句誌を主宰し

毎年発行されている。

子育ての忙しい時期にもかかわらず

IMG_1338このような立派な冊子を発行し続けていて

俳句に対する情熱が半端ではないのだ。

早大文学部時代には

北原白秋の研究をしていたという

紅子さんは筋金入りの本格俳人だ。

私と同じ日本伝統俳句協会の会員で

何度かお会いしているが

その俳句に対する熱い思いを聞いて

私はいつも感動し

私ももっと頑張ろう

という気にさせてくれる。

紅子さんは

これからの北海道の俳句界の

いや

これからの日本の俳句界の

若き担い手であることは

間違いがない。


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重種繁殖牝馬の回腸捻転(3)

この馬の、

その後の対処を当直の獣医師に任せて、

私はその日の用事と、

翌日の用事をこなしたが、

その間中ずっとこの馬のことが頭に浮んできては、

ため息が出てくるのだった。

そして、月曜日の朝、

事務所に出勤して、

同僚のH獣医師と挨拶を交わしたとき

H獣医師が言った。

「◆さんの馬、昨日死んだそうです。」

「・・・そう・・・やっぱり、ダメだったか・・・。」

「腸捻転だったそうですね。」

「・・・そう・・・やっぱり・・・。」

「だいぶ、ひどかったんですか?」

「・・・うーん。フル二キシン打つと(症状が)よくなったんだけど・・・。」

そして

事務所には、馬のその後を託したK獣医師がいた。

「あの日の午後に、◆さんからすぐ電話が来ましてね・・・もう、立てなくなってて・・・」

以下

カルテから抜粋して経過を記載すると

同日午後

体温36.2℃ 心拍数84   呼吸数36

起立不能、意識朦朧、苦悶、眼結膜充血、心悸亢進不正、排便少。

リンゲル等補液、フルニキシン、投与。

K獣医師も

この馬はもう今夜、死んでしまうだろうと思ったそうだ。

そして、翌日の朝

体温38.2℃ 心拍数86 

自力起立し飲水する。

疝痛症状、心悸亢進、腸蠕動(+)、排便不明、加療後放牧地へ。

K獣医師は、この時点で

この馬はもしかすると、持ち直すかもしれないと思ったそうだ。

そして、その日の昼頃

再診にて上診する。

しかし、その時は放牧地の奥で横臥

死亡を確認した。

と、いうことで

万事休すとなった。

残念な結果になってしまったが

現在の我々の技術と

◆さんの抱えている家の事情と

を、考慮すれば

恥ずかしながら

これが精一杯の対処だったのではないか

と、これは自己弁護なのかもしれないが

そう思われた。

書いて居ながら

なかなか筆が進まない。

しかし、これも私の遭遇した一つの症例であり

症例は「一期一会」

それを書き留めて将来の糧にしようという

このブログの趣旨を

貫いておきたいと思う。

BlogPaintちなみに

初診と2診目の、この馬の

血液検査の結果の写真を添付しておこうと思う。

初診と2診目の、間の時間は

BlogPaintおよそ5時間。

その間に

目立った変化が見られたと思われるのは

WBC  9980  /μL   → 12240 /μL

Ht         37.0 %  → 38.7%

BUN    16.7 mg/dl → 20.3 mg/dl

CL       94 mEg/L    → 92  mEg/L

など、だろうか。

BlogPaint最後に

十勝化成場での解剖所見を添付しておく。

解剖に当たった先生のコメントは

「回腸にに捻転あり、一部に出血・壊死あり(写真3枚)」

 馬(回腸捻転)  馬(回腸捻転)  馬(回腸捻転)

ということだった。


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重種繁殖牝馬の回腸捻転(2)

1度事務所に戻って往診の受付をして、

その日の午前中の、

牛の往診をひと回りした後 、

再び◆さんの馬の様子を見に行った。

疝痛で、寝たままで、

きっと苦しんでいるのだろう・・・、

もうそのままあの世へ行ってしまったかもしれない・・・、

そんな暗い気持ちを抱いて、

馬の寝ていた場所をのぞいてみると、

そこには馬がいなかった。

「あれ?・・・立ってどこかへ行ったな・・・牧場のほうだべか・・・」

家から出てきた◆さんが言った。

◆さんと私は、放牧場の奥の方へ馬を探しに行った。

馬は、放牧場の最も奥の森との境界線に立っていた。

前足で土を掻く仕草などをして

やはりどこか腹の調子が悪そうだったが

足取りはしつかりとしていた。

牧場から連れ戻して

枠場に入れて診察した。

体温37.8 心拍数50 呼吸数約16

腸の蠕動は左側で短く聴こえるのみだった。

直腸検査では、宿便わずかで

直腸内はほぼ空虚だった。

「どうだい先生・・・。」

「・・・。」

馬の症状は改善したとは言い難かった。

しかし

今朝のような、横臥して苦悶している症状よりは

だいぶマシになったので

これはもしかすると

通過障害が改善する可能性があるのではないか

(腸捻転ではないかもしれない・・・)

という考えも

僅かばかり

脳裏に浮かんだのだった。

IMG_1699この馬に付いている仔馬は

立っている母の乳房をしきりに突いて

あまり泌乳しない乳首を何度も吸っていた。

いま・・・

パソコンに向かって

この記事を書いている私が思うには

この時点で

一か八かの開腹手術による外科的整復を

どこかの施設で実施することができたならば

この馬の命を救うことができたのかもしれない

と思うのである。

だが・・・

実際には

我々十勝NOSAI「東部」事業所の獣医師が

重種の繁殖牝馬の腸捻転を

開腹手術によって治癒させた症例は未だになかった。

また・・・

十勝NOSAI「北部」のA町では数例の治癒例があったと聞いていたが

今年は、たまたまタイミングが悪く

麻酔機器の更新準備をしているらしく

また、麻酔のできるスタッフの転勤や退職などもあり

対応が難しい状態であるとも聞いていた。

また・・・

飼主の◆さん側にも

色々な気の毒な、家庭内の事情があり

治癒の確率の低い開腹手術に踏み切るには

高いハードルがいくつも立ちはだかっている

という状況だった。

「・・・先生・・・注射と薬で、できること、やってくれや。」

「・・・うん・・・」

IMG_1701私は

押し寄せてくる無力感を振り払いながら

この馬に補液をはじめた。

そして

迷った挙句

流動パラフィンと整腸剤の経鼻投薬をした。

「・・・便が通じてくれるといいんだけれど・・・」

補液と経鼻投薬の治療を終えて

私は祈るような気持ちで

◆さんの家を後にした。

週末のこの日の

午後から、私は

どうしても抜けられない用事があり

この馬の

これから先のことは

同僚のK獣医師に託して

事務所でカルテを書き終えて

ずっと祈るような気持ちのまま

帰宅した。

(この記事続く)


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重種繁殖牝馬の回腸捻転(1)

先日の当直、

午後10時半過ぎに携帯電話が鳴った。

「親馬が腹イタなのですぐ来てくれ。」

という◆さんからの往診依頼だった。

到着すると、

馬はなるほどかなり痛がっていた。

唇に力が入らぬつらそうな表情で、

前屈みになったかと思ったら、

バッタリと倒れこんで、

仰向けになって中空を蹴り上げる、

IMG_1689疝痛である。

「とりあえず痛み止めの注射をしましょう。」

私は馬がごろりと寝転んでいる合い間に馬に近づき

採血と同時にフルニキシンの注射を打った。

数分すると

疝痛症状が治まってきた。

IMG_1692馬がおもむろに立ち上がると

傍にいたこの仔馬がすかさず

母馬の乳を探りに来て

乳房を鼻で突いて乳をせがんだ。

体温37.5℃ 心拍数60 呼吸数約20

聴診器を(けん)部に当てると、

弱く短い腸の蠕動音が聴こえた。

疝痛がほぼ消失したので

この馬を枠場に入れて直腸検査をし

直腸内部には馬糞の形にならない柔らかな宿便を認めた。

IMG_1695その量は約5〜6kgだった。

さらに直腸から内臓の触診をするが

手の届く範囲では

これといった異常な所見は触知できなかった。

馬の症状が落ち着いてきたので

◆さんと私はひと安心して

念のためにこの馬にリンゲルの補液と

整腸剤(ミヤリ菌製剤)をカテーテルで投与して

今夜はこれで

様子を診ることにして

私は帰路に付いた。

事務所の当直室に戻ったのは

午前1時を過ぎたところだった。

翌朝

午前5時半頃に携帯電話が鳴った。

「馬がまた痛がってるからすぐ来てくれ。」

という◆さんがらの電話だった。

到着しすると

IMG_1696馬は牧場の片隅の泥のある土の上で

首を横たえたかと思うと

また首を上げて

疝痛症状を示していた。

「やっぱり痛いんだな。糞はいちおう今朝一回出たけど。」

◆さんの示した馬の便は

正常な馬の便の量には程遠い

少量の宿便だった。

「馬をちよっと立たせてみてくれる?」

◆さんはこの馬に何度も気合を入れては

立たせようと試みたが

馬は立つ気はあるものの

立ち上がることが出来なかった。

「・・・。」

私はここで初めて

この馬は間違いなく通過障害を起こしている、と思い

暗澹たる気持ちになった。

(腸捻転かもしれない・・・)

いやな時間が流れ始めた。

IMG_1697傍にいる仔馬は

立てない母親の腹部へ鼻をこすりつけて

乳を探しては、前掻きを繰り返した。

疝痛で馬が立てないというのは

もうよっぽどのことであり

馬はもちろん、飼主さんも

大変な心身の苦しみと

経済的損失を被る事になる。

この時点で

体温37.5℃ 心拍数60 呼吸約20(伸吟)

いやな時間の中で

私はこの馬の再びの採血と

フルニキシンと補液と抗生物質を投与し

◆さんには

また昼前に来ると約束して

一度事務所へ戻ることにした。


(この記事続く)


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