北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

今年の死亡牛、廃用牛。

今年の1年間で、

私はどれだけの家畜の死亡を確認し、

どれだけの家畜の廃用に立ち会い、

その処理のために、

どれだけの診断書を書いて来ただろうか。

事務所でカルテを書き終わって、

ふと、そんな思いが湧いて来たので、

今年度の私が書いた、

死亡・廃用・の診断書の数を数えてみた。

今年度なので、

平成28年の4月から12月までの、

9ヶ月間に、私が書いた診断書の数である。

IMG_0864それらはほぼ全部

牛だった。

それは

103枚あった。

9ヶ月間に103枚ということは

103 ÷ 9 = 11.5

1ヶ月に約12頭の死亡診断書を書いている計算になる。

これを1年に換算すれば

103 ÷ 9 × 12  =  137.3

1年間で約137頭の牛たちの

死亡を確認し

廃用のに立ち会って

診断書を書いて来たことになる。

こんなことをわざわざ集計してみたのは

今年が初めてのことで

去年や一昨年は

そのようなことは考えもしなかった。

しかし、今年は

どういうわけか

死亡を確認した牛

あるいは廃用にした牛の

BlogPaint数が気になって仕方がなかった。

なぜかというと

その数が

年々増えているのではないかという感じがするからだ。

今年はこの、年間約137頭の死亡廃用という数が

どういう意味を持つのかということを考えてしまうのだった。

たとえば、人の医療現場の場合

年間137人の死人を扱う臨床医師など、いないと思う。

3日に1度のご臨終に立ち会う臨床医師など、いないと思う。

しかし牛の臨床獣医療の現場では

多くの臨床獣医師が、私とそれほど変わらない数の

死亡・廃用の診断書を書いていると思われる。

繰り返すが、「臨床」獣医師が、である。

牛の命を救うために

牛が健康を取り戻すために

働いているはずの「臨床」の獣医師が、である。

死亡・廃用野診断書を書いた牛というのは

屠殺場で食肉にすることさえ出来ない

哀れな死に方をした牛たちである。

「臨床」の獣医師が

これほどの数の牛の

「ご臨終」に立ち会っているのである。

今年の締めくくりの記事として

なんとも湿っぽい話ではあるが

これを書かずにはいられない

そんな思いが私にはある。

この記事をお読みの

獣医師諸君!

あなたは今年

何頭の牛の死亡を確認し

何頭の牛の廃用に立ち会いましたか?

教えていただけると嬉しいです。

では皆様

どうぞ良いお年をお迎え下さい。


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雪を掻いて、餅を搗いて

先日の雪は、

北海道全体を覆う大雪になった。

十勝地方も、約50cmの雪が積もった。

我が家の前も、

もちろん50cm程度の雪が積もったのだが、

実はこの日は、

午前中から、

飲み友達のH田さん宅で、

恒例の野外餅つきをすることになっていた。

毎年、朝10時過ぎから餅を搗き始めることになっていた。

ところが今年は、

その時間はまだ家の雪掻きをしていた。

雪掻きをなかなか終わらせることが出来ず、

やっとの思いで玄関前と駐車場の雪を掻き終えたときには

昼の12時を回っていた。

私はちょっと不安になった。

こんな状態で、今日は餅つきなんてできるのだろうか

雪掻きを終えた私は

H田さんにラインを書き入れた。

「これから行きますが・・・」

すると即刻返事が来た。

「お疲れ様です(^O^)待ってます。」

我ら呑ん兵衛仲間のH田さんは

大雪にもめげずに

IMG_0853薪ストーブに火を入れて

石臼と杵を所定の位置に据えて

恒例の餅つき会場を

完璧にセットして

我々の訪れを待っていてくれたのだった。

一晩水に浸したもち米と

ゆでた黒豆と

餡子にした小豆と

酒一升を抱えて

私がH田家に到着したときは

同じ呑み仲間のF野さんとI君と

さらに、若者2名の餅の搗き手が

すでに餅つきを開始しているところだった。

IMG_0848私は毎年の恒例の餅つきに

なんとか今年も無事に参加することが出来たのだった。

用意されていた熱燗を一杯

ぐいっと飲み込んだら

午前中の雪掻きの疲れが

すーっと消えてゆくような心地になった。

IMG_0851私は自分の役目である

雑煮の汁の調理に取り掛かった。

雑煮の汁を作っている間に

若者たちが威勢よく餅を搗いて

それに納豆や黒豆を絡めたものが

目の前に出される。

IMG_0839それを酒のつまみとして食べるのも

これがまた格別な味で

熱燗がさらに進んでしまうのだった。

あー今年も

いよいよ年の暮れになったのだなぁー

IMG_0852そんなことを実感しつつ

今年一年なんとか無事に過ごせたことを

感謝しつつ

また酒のぐい呑みに手を伸ばす

楽しく幸せな

野外餅つきなのであった。


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成長ホルモン

近所のどこのスーパーマーケットも、

ここ数ヶ月の間に、

外国産肉の占める割合が、

急に増えたような気がする。

特に、

アメリカ産の豚肉の占める割合が急増した。

アメリカの豚肉が、

以前よりずっと多く輸入され始めたようだ。 

何か大きな変化が、

どこかであったような気がしてならない。

IMG_0771アメリカ産の豚肉は、

ご覧のように

国産よりもずいぶん安い。

牛肉は以前からそうだったけれど

豚肉についても

アメリカ産の肉が

激しく攻勢をかけて来たように感じるのは

きっと、私だけではないと思う。

こうしてだんだんと

静かに

アメリカの豚肉が

スーパーマーケットの肉コーナー増えて

それが知らず識らずのうちに

当たり前になってしまうのだろう。

そうして

日本の養豚が

衰退してしまうのだろう。

十勝には

豚丼という名物がある。

十勝のご当地グルメである。

その名物の豚丼の肉が

アメリカ産の豚肉になってしまうとしたら

興ざめ、だよなー。 


 〽︎アメリカの

   成長ホルモン

    豚肉焼けば

     これが本当の

      ホルモン焼〽︎ 



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難産介助(側頭位の整復)

「前足は来ているのに、頭が全く触れないんですが・・・」

そんな電話が来て向かった、〓牧場の牛の難産。

手を入れてみると・・・

なるほど前足ばかりが産道へ侵入していて、

頭には全く触ることができない。

完全な側頭位になっていた。

強い陣痛の隙を狙って、

腕を手一杯挿入して、

その奥を探ってみると、

胎児の耳の先端と後頭部に、

辛うじて指先が触れた。 

胎児の頭は、完全に向こうを向いてしまっていた。

胎児は自らは全く動かなかった。

「直せますか?」

「やってみましょう。」 

私は側頭位の整復を試みることにした。

そのままでは陣痛(怒責)がきついので

IMG_0801子宮内の収縮がを抑えるために

プラニパート(塩酸クレンブテロール)を注射。

羊水が減っていたので

プロサポ(粘滑剤)を約10リットル注入。

IMG_0797そうしておいてから

用手整復に取り掛かった。

今回の難産介助の

ポイントはいうまでもなく

胎児の頭である。

まず胎児の前足を目一杯押し戻したが

胎児の頭の向きは変わらず

IMG_0799手掛かりが耳の先端のみ

というのは変わらなかった。

そこで産科器具のショットラーを使って

胎児の頸を挟むこと数回試みた。

ところが、私はショットラーを1つしか持っていなかったので

2本使った組み合わせ技(たぐり寄せ)ができなかった。

しばらく胎児をゆするなどしたが進展がなかった。

IMG_0795そこで登場させたのが

この産科器具

名前はなんというのかは知らない。

器具の中央には

IMG_0794HAUPTNER

という印字が彫られている。

この器具に

産科チェーンを取り付け

この器具を胎児の頸と胴体の隙間に差し入れる。

IMG_0794胎児の頸の背側から差し入れた器具の先が

胎児の頸の腹側から差し入れた手に辛うじて触れた。

それをたぐり寄せることで

胎児の首に産科チェーンを掛けることができた。

そのチェーンを引きながら

しばらく胎児を強くゆすり

再び手を入れてみると

耳の先端しか触ることのできなかった胎児の頭部の

額と眼窩に手が届くようになった。

眼窩に手が届けばしめたものである。

眼窩に指を掛けることができれば

IMG_0800そこへ今度は

産科鈎(こう)を掛けて

掛けたロープをそのまま保持し

胎児の足を強く押し込む。

と、胎児の頭が

上を向くように

反転し始めて

ついに

こちら向きになった。

これで胎児の頭部の整復が完了した。

次に

押し込むことで屈折してしまった前足2本を

整復した頭部の横に揃えて戻し伸ばして

ようやく

産道の上に

胎児の頭と前足2本が揃った。

「よし、これであとは、普通のお産だね。」

〓牧場のスタッフといっしよに

滑車を使って胎児を牽引した。

IMG_0792大きなメスだった。

しかし

残念ながらすでに死亡していた。

親牛は疲れて寝ていたので

カルシウム剤などの補液をセットして

IMG_0793産科道具を片付けて

次の往診先へと向かった。

朝1番目の診療だったが

時計を見ると

午前11時を回っていた。


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客を呼ぶ客

我が町のM別家畜診療所と、

隣町のI田家畜診療所とは、

互いに何かと色々お世話になったりなられたりの関係にある。

診療の人員不足の時の応援、

予防注射や採血の応援、

手術室が使えない時に貸したり借りたりもする。

ただ最近は、

うちの診療所の方が、

人員の手薄な状態が続いており、

こちらからお願いすることばかり多くなっている。

十勝NOSAIという大きな組織の中では

そういう場面は想定内のことで 

これからもそれはずっと続いてゆくだろうと思われる。

かつて各町村が合併てし十勝NOSAIになった時

獣医診療技術の「高位平準化」

などという言葉が飛び交わされたが

あれから15年以上経った今

それが実現しているのかどうか・・・

その当事者の1人である私自身にも

課題はたくさん残っているように思われる。

ただ、十勝NOSAIという大きな括りの中で

獣医師同志の交流の輪は

間違いなく広がっていると思う。

もっともそれは

各々の獣医師の個性に依るところが大きいと思うが・・・

そんな状況の中で

IMG_0779一昨日の晩

隣町のI田診療所のK獣医師が

うちの妻の店に飲みに来てくれた♪

K獣医師は2年前にS追診療所から転勤して来た人だが

当時の同僚だったT獣医師とH獣医師も一緒に連れて来てくれた♪

うちの妻の店は毎日は営業しておらず

予約を受けて開けるシステムなので

IMG_0781お客はきっと3人だけで

ゆっくりと話をしながら飲めるだろう

と思っていたら

灯っている看板を見たのか

予期せぬ通りすがりのお客さんが

1人、またしばらくして1人、また1人・・・

とお客さんが店に入って来て

ちょっとビックリしてしまった。

「私、お客を呼ぶ人なんですよ。」

K獣医師は

そう言って笑っていた。

IMG_0782客を呼ぶお客さんはいるものだと

妻も以前から言っていたが

こういう事実を目の当たりにすると

忘年会シーズンとはいえ

私もそれを信じざるを得なかった。

獣医師の同僚が3人も飲みに来てくれたのに

別のお客さんの相手もしながらの飲み会になってしまって

ちょっと申し訳なかったけれど

K獣医師をはじめ皆さんには

これからもまた

是非とも

うちの店に飲みに来てください。

妻の売り上げのためにも、ね(笑)


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初産牛の子宮脱(2)

子宮脱星を支配するナゾの巨人、

子宮脱大魔王の正体を暴くために取り組んできた(?!)、

子宮脱最中の牛の、

血中カルシウム濃度の測定。

先日ようやく、

最も気になっていた初産の牛の、

子宮脱時におけるカルシウム濃度を測定する機会を得た。

これまで私がカルシウム濃度を測定してきた子宮脱の牛たちは

たしか7〜8頭だと思ったが

全て経産の牛であった。

それらの血中カルシウム濃度は

ことごとく低値で

ことごとく 3〜4 mg/dl 前後の

強い低カルシウム血症を示していた。

そこで

私は

「牛の子宮脱の必要条件の一つは、低カルシウムである。」

という仮説を立ててみた。

この仮説を実証するためには

経産牛子宮脱の血液ばかりではなく

どうしても、未経産牛

すなわち、初産の子宮脱の牛の

血中カルシウム濃度も測定して

それが、経産牛と同様に

低カルシウムであることを示さなければならなかった。

IMG_0507そして先日、とうとう

その機会がやってきたわけである。

もし、臨床検査センターに出した

初産の子宮脱の牛の血液が

低カルシウムであったならば

私の仮説は

俄然、現実味を帯びてくることになる。

私は、その結果が

臨床検査センターのWEB上に出されるのを

楽しみに待っていた。

そして

先日ついにその結果を見た。

それは以下の写真の通りだった。

BlogPaint











クリックして拡大して見ていただければわかるが

血中カルシウム濃度は

9.7 mg/dl 

・・・ということは

正常値。

・・・ということは

私の立てた

「牛の子宮脱の必要条件の一つは、低カルシウムである。」

・・・という仮説は

見事に否定されてしまった。

低カルシウム血症は牛の子宮脱の必要条件ではなかったのだ・・・

経産牛の子宮脱には

必ずといってよいほど見られる低カルシウム血症が

初産牛の子宮脱では

見られなかった。

私の推理は根底から崩れ去ってしまった。

子宮脱という病態と

低カルシウム血症という病態が

私の頭の中では強くリンクしていたのに

今回の血液検査で

その両者が一気に

遠く離れて

どこかへ飛んで行ってしまった。

窓の外を見ると

遥か夜空の銀河の淵の

子宮脱星のある方角から

私をあざ笑うような

子宮脱大魔王の

不気味な声が

微かに

聞こえてくるのだった・・・


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初産牛の子宮脱(1)

先日のまだ暗い早朝、

子宮脱の往診依頼が入った。

子宮脱の治療は約3ヶ月ぶりか、

子宮脱星を支配する子宮脱大魔王は、

当直の私にビーム照射することを忘れてはいなかったようだ(泣)。

「昨日の夜お産して、今朝来たら子宮が・・・」

「何産目?」

「初産です。」

初産・・・

初産の子宮脱だった。

私はとうとう、初産の子宮脱に遭遇した。

じつは、初産の子宮脱に遭遇することを

私はここ数年

密かに待ち望んでいたのだった。

なぜかというと

それは

血中カルシウム濃度を測ってみたかったからだった。

ここ数年

私は牛の子宮脱に遭遇するたびに

治療の前にまず採血をして

血中カルシウム濃度を測るようにしている。

そして

ここ数年

それらの牛たちの血中カルシウム濃度は

ことごとく、全て、低値だった!

その事実に基づいて

私はある仮説を立てている。

それは

「牛の子宮脱の必要条件の一つは、低カルシウムである。」

というものだ。

但し

ここ数年、私が遭遇した子宮脱の牛は

全て、経産牛だった。

したがって

測定した血中カルシウム濃度は

全て、経産牛のデーターだった。

さて

牛の臨床獣医師であれば

誰もが当然

経産牛の分娩時の血中カルシウム濃度は下がっているものが多いが

初産牛の分娩時の血中カルシウム濃度は下がっていないものが多い

という事を知っている。

今回

ここで、もし

初産牛の子宮脱時の血中カルシウム濃度が

低値になっている事を確認することができたら

私の「牛の子宮脱の必要条件の一つは、低カルシウムである。」という仮説は

仮説から真実へと大きく前進することになる。

私は

IMG_0504初産の子宮脱の牛を目の前にして

内心少しワクワクしながら

採血をして

カルシウム剤を投与してから

IMG_0505子宮脱整復の治療に取り掛かった。

牛は自力では立つことができなかったので

カウハンガーを装着し

吊起しながら

IMG_0508子宮を押し込み、整復した。

整復棒を挿入し、子宮を完納し

外陰部を巾着縫合した頃

牛はようやく立つことができた。

IMG_0511全ての応急処置を終え

事務所に戻り

カルテを書き

臨床検査センターへ

血液検査の依頼書を書いた。

はたして

今回の

初産牛の子宮脱の

血中カルシウム濃度はいかに・・・


(つづく)


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食品安全基本法!(2)

「食品安全基本法」という法律について、

私が5年前のこのブログに書いたことを、

ここでもう一度繰り返して書いてみたいと思う。

それは・・・

この法律は平成15年(2003年)に制定された法律で

日本の食品衛生の根幹となる法律である。

この法律の画期的なのは、その目的、基本理念だといわれている。

それは、すなわち

国民の生命及び健康の保護」

IMG_0580である。。

今となっては当たり前の考え方のようだが

制定当時、存在していた古い食品衛生法の

食品に対する法律の基本理念というのは、そうではなく

その文言というのは

「・・・もって、公衆衛生の向上及び増進に寄与する。」

という、健康よりも産業発展の重視とも取れるような

曖昧な表現によって結ばれていた。

それが

この「食品安全基本法」では

「・・・もって、国民の健康の保護を図る。」

という、国民の健康をまもる

という文言がはっきりと入ったものになったのだ。

法律の目的が

産業保護から健康保護へ

生産者保護から消費者保護へ

と大転換したのである。

しかも、この「食品安全基本法」は

諸々の法律の中でも位の高い「基本法」であり

その所管も、農水省や厚労省ではなく

内閣総理府の消費者庁にある。

わが国の食品に関する考え方は、この7〜8年の間に大きく変わったのである。

その理由は・・・

「食品安全基本法」の制定のころは

ガット・ウルグアイラウンド合意を発端として

わが国の食品の流通はタガが切れたように増大している。

それにつれて、大規模な食中毒(平成8年のカイワレ菜のO−157、平成12年雪印大樹工場ブドウ球菌)

あるいは、平成13年の肉骨粉によるBSE、平成14年牛肉の偽装事件、など

食品の安全性を脅かす事件が相次いで発生するようになる。

そんな背景から誕生したのが

平成15年の「食品安全基本法」、というわけである。

その理念の第二項には

「食品の供給に関する一連の行程の各段階における安全性の確保」

という文言も明記されている。

これはどういうことかというと

食品が誕生する最初の段階から

最後の国民(消費者)の口に入るまで

一貫した、安全性の確保がなされなければならない、ということなのである。

と・・・

まぁ、およそこういう事を

私は5年前に書き

「食品安全基本法」という法律を

自分なりに理解していた。

あれから5年ほど経った今年

また再び「食品安全基本法」についての講習を受けた。

再びの講習を受けている最中に

突然私の頭の中に

ある思いがこみ上げてきた。

それは単なる思い付きに過ぎないものだが

それが消えずにどんどん膨らんできて

どうしようもなくなってしまった。

その思い、とは何かというと

国民の健康を護る」という言葉を

IMG_0580さらに拡大できないのか

という思いである。

わが国で食品を消費しているのは

われわれ国民である事は言うまでもない。

IMG_0581しかし、わが国で

食品を消費しているのは国民(ヒト)だけではない。

わが国の家畜(ヒト以外の飼育動物)たちも

餌という食品を消費しているではないか。

IMG_0595国民が食品を食べる構図と

家畜が餌という食品を食べる構図に

どれほどの違いがあるのだろう。

我々と同じ気候風土の中で生きている家畜たちである。

我々が食べる食品と、家畜たちが食べる食品(餌)

IMG_0596そのどちらもが

消費する者の知らぬところで生産され

年々流通量が増大している。

「食品安全基本法」は

「食品の供給に関する一連の行程の各段階における安全性」

を監視することによって

国民の生命および健康を護る」

を実現しようとするものである。

IMG_0601私は

獣医師として

この法律の理念を

もう一つ拡大させて

「家畜の食品(餌)の供給に関する一連の行程の各段階における安全性」

を監視する

「家畜食品安全基本法」

というものが制定されることを期待する。

その目的は

もちろん

家畜の生命及び健康を護る」

である。


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食品安全基本法!(1)

私の妻が経営している、

「カフェ・モッキンバード」という名の店は、

実際は、いわゆるカフェなどではなく、

単なる「場末の飲み屋」であることは、

地元の皆さんにはすっかり知られるようになった。 

しかし、そんな店であっても、

一応はまぁ、一つの飲食店であり、

飲食店という所には、必ず

IMG_0768「食品衛生責任者」

という者を置かなければならない事になっている。

私の妻の店の場合

その、食品衛生責任者は本人ではなく

開店当初から、私がその責務を担っている。

獣医師であると、講習をせずとも

食品衛生責任者になれたからだった。

ところが、平成15年に

食品安全基本法という法律が制定されてからは

獣医師であろうが誰であろうが

食品衛生責任者になるためには

必ず講習を受講しなければならないという事になった。

その第1回は、今から5年前の平成22年に行われた。

その時の様子は、過去の私の記事にも書いた通りである。

それから約5年が経過して

IMG_0539今年の11月、再び

食品衛生責任者の講習会が開かれ

それを受講せよとの通知が我が家にも届いたので

先日の月曜日に

私が受講しに行く事になった。

IMG_05405年前の前回

この講習会を初めて受講した時

意外にも

非常に面白い内容だったので

今回も期待して、私は講習会に足を運んだ。

IMG_0541聴いてみると、今年も期待通りの

とても面白く、ためになる内容だった。

例えば、食中毒の話。

食品衛生に関する話のメインといえば

やはり食中毒の話なのだが

IMG_0551病原性大腸菌O157、腸炎ビブリオ、サルモネラ・・・

ノロウイルス、アニサキス・・・などなど・・・

話を拝聴していると

ヒトの食中毒とはなんと恐ろしく

現代社会を浮き彫りにする、集団病理なのか

というのが、よくわかった。

IMG_0546過去の事例を何例か紹介してもらいながら

我が国の食中毒事故の発生から収束、予防法まで

懇切丁寧な話を聴くことができた。

思えばこの5〜6年間

我々はいろいろな食中毒のニュースを耳にしてきた。

IMG_0585また食中毒事件に発展しなくとも

「食品安全基本法」「違反」したことで

マスコミに取り上げられて

大騒ぎになったニュースがたくさんあった。

それらの多くが

食品というものを大量に生産

食品というものを大量に売買

食品というものを大量に運搬

食品というものを大量に消費する。

そんな現代社会が生み出した

社会病理のような一面を持っている。

ここでいう「食品」というものは

我々人間が食べる品物であることは言うまでもないが

私はそこで、ちょっと考えた。

食べ物を食べると言う行為をするのは

我々人間だけではない・・・

ヒト以外の動物達もまた

食べ物を食べている・・・

特に、家畜たちは

飼料という名の食品を

毎日大量に食べているではないか・・・

そして

それらの飼料は

毎日毎日、大量に生産され

毎日毎日、大量に売買され

毎日毎日、大量に運搬され

毎日毎日、大量に消費されている。

そんな畜産業界にも

飼料にまつわる様々な事故が起こっている。

それは人間社会の食品衛生業界と

全く同じような

瓜二つの社会病理的な一面があるのではなかろうか・・・

そして、そのメインは、やはり

食中毒ではなかろうか・・・


(この記事続く)


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hig先生・来帯(5)

「骨が折れようが、腸が捻れようが、産道に穴が開こうが、治す方法はあります。」

IMG_0491hig先生は講演会の最後を、

こんな言葉で締めくくった。

死亡原因の上位を占める難しい症例でも、

治す方法は「ある」、

というメッセージである。

多くの難しい症例に立ち向かって来たhig先生の言葉には重みがある。

それは、長年培ってきたサラブレッドの個体診療技術に対する

hig先生の経験と自信に裏付けられた言葉だと思われる。

IMG_0501では、これに対して

我々十勝の

あるいは牛の診療の多い地区全ての

獣医師たちの個体診療技術は

自らどれだけの経験と自信を持っているだろうか。

目の前の馬が、目の前の牛が、

骨が折れたら・・・本気で治療せず(できず)に・・・廃用・・・

腸が捻れたら・・・本気で治療せず(できず)に・・・廃用・・・

産道に穴が開いたら・・・本気で治療せず(できず)に・・・廃用・・・

我々は、そんなことを繰り返してきたのではないだろうか。

死亡原因の上位を占める難しい症例を前にして

我々牛の診療主体の地域の獣医師は

それらの牛や馬を廃用にすることで終りとし

その症例の詳しい記録を残さず

未来の症例治療に役立たせるデータの蓄積もせず

繰り返し襲ってくるそれらの症例を

繰り返し右から左に

同じ様に廃用にするばかりで

治癒に向けて本気で個体診療をするのを怠ってきたのではないだろうか。

我々牛の診療が主体の獣医師たちは

ある時期から・・・

病牛を治療をすることよりも、病牛の発生を予防をすることに重点を置くようになり

病牛の個体を診ることよりも、病牛の少ない牛群を管理することに重点を置くようになり

そのような牛群のなかで

不幸にして病気になってしまう個々の牛に対しては

個体診療技術を駆使して治癒させる方法を選ばず

生産性、コスト低減、群管理、などという大義名分の下に

病気の個体を安易に抹殺処分にしてきたのではないだろうか。

ある時期から・・・

その「ある時期」とは

いつ頃からなのか、といえば

プロダクションメディスン(生産獣医療)という考え方や

ハードヘルスマネジメント(牛群健康管理)といった考え方が

わが国の酪農業界に入ってきた時期と

一致するのではないかと

私は考えている。

当時はこの新しい考え方が業界内を席巻し

予防獣医学・生産獣医療こそ

これからの新しくて輝かしい獣医療であり

個体診療をしている獣医師というのは「火消し屋」に過ぎない

などと揶揄されたものである。

しかし、今

慢性的な牛不足による

牛の個体価格の高騰がつづく酪農業界の中で

我々牛の獣医師が求められるようになってきたのは

かつて「火消し」と揶揄されていた

個体診療の技術なのである。

個体診療というものは

薬物や医療施設や医療器具を駆使した

獣医師でなければできない

獣医師本来の仕事といえるだろう。

それに対して

生産獣医療や疾病予防というものは

薬物や医療施設や医療機器などはほとんど使わない管理技術であり

本来は畜産経営者や経営コンサルタントがするべきもので

獣医師が本来すべき仕事とは違うものなのではないかと思われる。

牛の診療が主体の獣医師たちは、今

獣医師本来の仕事である

個体診療の技術に

もう一度立ち返って

個体診療の技術を

真剣に学び直す時期に来たのではないだろうか。

主にサラブレッドを診療する獣医師である

hig先生の講演を拝聴して

私は

そういう思いを強くした。


(このシリーズ終わり)


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hig先生・来帯(4)

hig先生の講演の三番目の山場は、

骨折の話だった。 

馬の三大死亡原因の一つに数えられる骨折は

四肢をよく動かす馬に非常に多い外傷事故であり

特にサラブレッドのような気性の激しい競走馬では

職業病的な大怪我と言えるだろう。

そんな骨折に立ち向かい

数々の難しい症例を治癒させてきた

hig先生の骨折治療の話は

たいへん説得力があるが

一方で

サラブレッドをほとんど診ることのない我々十勝の獣医師たちにとっては

雲の上の存在かもしれない。

しかし、そんなレベルのhig先生が

IMG_0488今回は

雲の下まで降りてきて

重種馬の骨折の治療

さらには

牛の骨折の治療について

IMG_0498非常に丁寧に

解説してくれた。

我々が骨折の治療をするといえば

今現在は、キャストを巻く外固定ばかりである。

そのキャストの巻き方にはまだまだ間違いが多いとhig先生は言う。

「下巻きの綿は不要。」

綿をグルグルと厚く巻き

それからキャストをぎゅうぎゅう圧迫して巻くのは間違いで

骨折部が固定されず、かえって骨癒合の妨げになる。

「下巻きはストッキネットで薄く、キャストはコロコロと転がすように」

巻いてゆくのがよいと言う。

それは、重種馬や牛でも同じことで

馬や牛の四肢は解剖学的に言うと

「足ではなく指である」

からである、とhig先生は言う。

ただし

そのようなキャスト巻きによる外固定が成功するのは

筋層の薄い、中手骨や中足骨の骨折である。

筋層の厚い、橈骨や脛骨さらに上腕骨や大腿骨は

「キャストによる外固定では限界が」

あり

たとえ骨癒合しても、変形して癒合するなど

きちんと治癒しない確率が高い。

そこで登場するのが

プレートによる内固定の技術である。

hig先生は、Bovine orthopedics(牛の整形外科)という本の中から

「牛では、プレート固定が通常もっとも安定した内固定を提供する。」

「内固定は、経済的に高価な牛の骨折だけでなく、いくつものタイプの骨折において、外科手術による、速く、問題のない治癒が達成される。」

IMG_0503という言葉を引用して

我々十勝の獣医師たちに

プレートによる内固定技術の習得を

強く勧めている。

「牛の骨折で、今までは治せなかった骨折が治せるようになる」

という技術。

それが

IMG_0502プレートによる内固定の技術である

と、hig先生は明言しているのだ。

その詳しい内容は、ここでは書ききれないが

hig先生が、今回の講習会でもっとも言いたかったことの一つが

これだったことは間違いないと思う。

IMG_0495それは

今回の講習会のために

hig先生はわざわざ、和牛子牛の後ろ足を一本と

必要最小限のプレート固定の道具を持ってきて

我々の目の前で、プレート固定を実際に披露してくれた

ということでもよくわかる。

この時

私と、後輩のS本獣医師が

子牛の足を保定・保持する役目をやったのだが

私が全く初めての経験だったせいで、要領を得ず

骨折部位の仮止めまでの時間をかなり長引かせてしまった(汗)

NEC_0034ただ、そのおかげで

私はこの歳で初めて

牛の内固定術の実習をすることができ

なんとなくこんな感じで進めてゆくものなのだ

ということを、身を以て体験することができた♪

会場にいた獣医師のの中でも、私と同じように

牛の内固定技術を実際に見るのは

全く初めてだったという獣医師が

きっと

多くいたに違いない。


(この記事もう少し続く)


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hig先生・来帯(3)

馬の3大死亡原因の中の、

IMG_0488「分娩事故」は、

我々十勝の獣医師をはじめ、

どこの獣医師でも経験することがあるだろうと思う。

それは、飼主さんが馬をなぜ飼っているかといえば、

その多くが、仔馬の生産のために飼っているからである。

重種馬を飼う農家さんも、その例外ではない。

我々は、重種馬の生産地で働いているのである。

ところが今・・・

その重種馬の生産が大きな転機を迎えつつある。

重種馬を生産する農家さんが

いよいよ居なくなってしまったのである。

多くが高齢で廃業してしまった、

おきまりの後継者不足である。

その理由はいろいろだが

最も大きな理由は、おそらく

生産した重種馬の値段がずっと安く低迷し

重種馬を飼っていても利益が出なかった事だと思う。

そんな状態が10年以上も続いていた。

重種馬農家の後継者たちは

多くが馬の生産をやめ

安定収入を得るために、和牛の生産に切り替える家も多かった。

重種馬生産の辛抱も限界を超えていたのだ。

ところが、去年あたりから

重種馬の値段が、一気に上昇してきたのである。

重種馬の供給が、とうとう需要に追いつかなくなったのである。

詳しい理由は省略するが

数年前の倍以上の値段で重種馬が取引されるようになった。

とうとう値段が底を打ったのだ。

今後は、きっと

我々獣医師にも、重種馬の診療依頼が増えて来るに違いない。

IMG_0532そのような状況の中で

hig先生の「馬の分娩事故」への獣医療についての

さまざまな言葉には

我々重種馬の生産現場の獣医師にとって

とても重要な事が含まれていると思った。

まずは

「正常な分娩について知る必要がある。」

これは全く当たり前のことである。

異常なお産の時ばかり呼ばれていては

どこか異常なお産で、どこが正常なお産なのか

認識できないのでは、話にならない。

ところが、今の若い獣医師たちの実際は

馬の正常な分娩にさえ、立ちあう機会が激減してしまっている。

いちいち獣医師を呼ぶほどではない、馬の正常なお産を

若い獣医師諸君は、自ら積極的に

体験できるような働きかけが重要であると思う。

臨床獣医師として、何事もそうであるが

特にお産については

いくら本を読んで勉強しても

いくらビデオを見て勉強しても

それでは不十分なのである。

とにかくまずは、1人でも多くの獣医師が

馬の正常なお産を、実際の現場で体験してほしいと思う。

これが、「分娩事故」に対応できる獣医師になるための

最初の一歩であると思う。

それができてから、ようやく

難産介助、帝王切開、などの技術を

習得してゆくのが良いと思う。

難産介助については、hig先生曰く

「2人以上で行う。」

「20分で進展がなければ全身麻酔を考える。」

また、帝王切開については

「止血をしっかりする、胎盤は剥がさない!」

これについては

私も痛い経験があったので

全くその通りだと、身に沁みて思った。

馬の全身麻酔をする機会は

我々十勝の獣医師にはそれほど多くない。

しかし

全身麻酔の話の時に、hig先生から

「麻薬施用者の免許を取っている方はどれだけいますか?」

と、問われて

その場で手を挙げたのは

なんと、私1人だった・・・

ということは

麻薬に指定されている麻酔薬(主にケタミン)を取り扱える獣医師が

今回の聴衆の中では、私だけ、ということ。

BlogPaintこれにはちょっと、私が驚いてしまった。

十勝の獣医師全員が、麻薬施用者になる必要はないけれども

少なくとも、1診療所に1人くらいは

麻薬施用者を配置しておくべきではないかと

私は思った。


(この記事続く)


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hig先生・来帯(2)

「馬はどういう病気で死亡するのか?」

IMG_0488という問いに、

hig先生は過去のデーターに基づいて、

「腸捻転」、「分娩事故」、「骨折」、

の3つを挙げ、

それを馬の3大死亡原因であるとしている。

まず第1の、腸捻転の部の解説の中で

私の印象深かったhig先生の言葉のひとつは

腸捻転・変位の中で

最も多い、結腸の捻転・変位は、

「ほとんどが前回りである。」

というものだった。

つまり、結腸捻転の馬が立っているとしたら

その結腸は「前回り」にでんぐり返るように捻転している、ということである。

これはとても役に立つ言葉だと思われる。

実際に馬の結腸捻転に遭遇した時

この言葉を頭に入れておけば

万が一、開腹手術することになっても

腹腔内を無駄に掻き回してしまう事がないように思えるのだ。

さらに手術中の注意点として、曰く

「周囲を汚染させない、すなわち、病巣部をできるかぎり術創から離す。」

「疑わしきは、切除する。」

「血行を確保する。」

「漏れないように吻合する。」

「狭窄しないように吻合する。」

これはすべて、hig先生の長年の経験から発せられた言葉であろうと思う。

我々が万が一、馬を開腹して腸管手術をせざるを得なくなってしまった時

この言葉は覚えておけばきっと役に立つだろうと思う。

しかも、これらの注意点は

牛の腸管手術においてもまったく同じことが言えるので

我々のような牛を主に診る獣医師にとっても

大いに役に立つ言葉であると思う。

また

IMG_0499さらに

馬の疝痛の

脱水時の

内科的治療においては

「補液ではなく大量の輸液を、持続点滴すべし。」

あるいはまた

盲腸や結腸の便秘において

「従来のさまざま下剤は、流動パラフィン以外はみな疑問。」

「ヒマシ油が診療所にあったら、すぐ捨てなさい。」

「便秘には、経口の等張電解質液を1時間に5リットル、自然落下で投与。」

IMG_0489などという言葉は

我々重種馬の診療現場で

内科治療する場面があれば

もう明日からでもすぐに役立つ言葉であろう。

そしてhig先生は

疝痛の部の解説の最後を

こんな言葉で締めくくった。

「Who can save the colic horse ?」

すなわち

「誰が、その馬を、助けるのか?」

そして、曰く

「我々獣医師が助けなければ、その馬は、苦しみ抜いて死ぬだけだ。」


(この記事続く)


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hig先生・来帯(1)

私が敬愛してやまない獣医師&同窓の朋友、

NOSAI日高家畜診療センターの、

ドクターhig先生が、

十勝獣医師会の講習会の講師として招かれ、

十勝NOSAIの本所で講演をしてくれた。

hig先生は、この季節にはもう何年もの間

あちらこちらの講習会や学会で講演に飛び回り

今や日本の、馬の臨床獣医師の第一人者であることは

誰もが認めているところだと思う。

帯広畜産大学や駒場の十勝牧場などには何度か来られているようだが

十勝獣医師会の講習会の講師として十勝NOSAI に来てもらったのは

今回が初めてではないかと思う。 

演題は「サラブレッドの生産地のMadicine&Surgery」

日高地区の馬の多くがサラブレツドであり

十勝地区の馬の多くが重種馬であるという事情は違うが

だからこそ

日高地区の馬の診療技術は大きく進歩して来たのであり

hig先生はその牽引役を長年努めているのだ。

その内容は

馬の臨床の先進国(主に欧米)の技術を日本に取り入れて実践した30数年間だった

とhig先生は言う。

NOSAI日高の診療センターという性質上

最初の診療(一次診療)では手に負えない

酷い怪我や重い病気にかかった馬たちが

放っておいたら死んでしまう・・・

という状態で運ばれてくる。

そういう診療所で積み重ねたデーターによれば

IMG_0488馬が死亡する原因となる病気は、主に

「腸捻転」、「分娩事故」、「骨折」

の3つ、であるという。

これが、馬の三大死亡原因、というわけだ。

この三大死亡原因の病気に対して

果敢に立ち向かって来たhig先生の

IMG_0499豊富な臨床経験と

そこで培われて来た

高度な診療技術を

我々十勝の臨床獣医師達のために

実に解りやすく披露してくれた。

IMG_0498hig先生が30数年もの長い間に

実際に手がけて来た症例の披露であり

しかもそれが、学術データーとしても

しっかりとまとめられ、考察が加えられているので

単なる症例の披露に終わる事なく

また単なるデーターの羅列に終わる事もなく

我々聴衆の頭の中にすーっと入ってくるのだった。

その詳しい内容を全てこの場に書くことは到底できないが

hig先生のブログ「馬医者修行日記」

書いている先生本人の解説付きで

ゆっくりと読ませてもらったような講義だった。

その講義の、節目節目には

hig先生の人柄がにじみ出るような

名言、格言、引用文、が織り交ぜられていた。

その全てを私が受けとめる事ができたかどうかは全く自信がないが

私なりに感銘を受けたhig先生の「名言」がいくつかあったので

それを少し書いておきたいと思う。

先ずは・・・

(この記事続く)


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初冬のピンクアイ(牛伝染性角結膜炎)

「ピンクアイみたいな牛が3頭もいるんですけど。」

〓牧場の従業員の◉君が 言った。

「育成の牛なの・・・?」

「いえ、経産牛ばかりです。」 

「まぁ・・・経産牛でも出るからねぇ・・・」 

「はい。でも今頃に出るんですか?」

「まぁ・・・冬にも治療したことは・・あったと思うけどねぇ・・・」

「ピンクアイになるのは、ふつうは夏の牧場の牛ですよね。」 

「うーんまぁ・・・そうだねぇ・・・」 

私は曖昧な返事を繰り返し

BlogPaint◉君が示す牛の目を診た。

牛は右眼だけから涙を流し

角膜の中心は白濁し

黒目(角膜)と白目(強膜)の境目が赤変し

さらにその周囲の結膜は赤く腫れていた。

IMG_0479「食欲はある?」 

「ふつうです。」

「元気良さそうだね。」

「はい。」 

体温は平熱。

食欲も元気もあった。

細菌が感染して、目が充血して赤くなるピンクアイは

ウイルスが感染して、目が充血するIBRとの鑑別が必要である。

ピンクアイは

多くが片眼で、平熱で元気も食欲もあるが

IBRは

多くが両眼で、高熱の肺炎症状を併発し食欲が落ちることが多い。

今回の〓牧場の3頭の牛は

臨床症状は間違いなく前者であり

ピンクアイが強く疑われ

IBRである可能性はほぼ無かろうという症状だった。

BlogPaint私はピンクアイと診断して

抗生物質の結膜内注射という治療を選択した。

ただ

1つだけ気になったのは

従業員の◉君も言っていたように

発症した季節である。

ピンクアイの原因菌は

夏から秋にかけて、ハエなどの昆虫によって伝播する、と

教科書には書いてあるのだが

昨日診た〓牧場にはもうハエはほとんど姿を消し

冷たい冬の季節風が吹き荒れていた。

そんな季節に、1つの農場で

ピンクアイが3頭も同時に発症した。

ピンクアイの原因菌を運ぶ媒体は

夏から秋のハエばかりではないのではなかろうか・・・?

寒い冬には、一体何が、どのようにして

ピンクアイの原因菌を運ぶのだろうか・・・?


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十勝文化まつり・2016

11月11日〜16日まで、

IMG_0471NPO十勝文化会議の主催による、

「総合芸術祭・第14回十勝文化まつり 」、

が開催されている。

この団体の文芸部に所属している私は、

IMG_0466今年もまた、俳句作品を展示した。

帯広駅前の十勝プラザ1階展示会場に

俳句や短歌、詩や川柳、などの文芸に限らず、

写真、絵画、書道、華道、の作品や

IMG_0472それらのコラボレーションの作品なども展示されている。

展示作品ばかりではなく

総合芸術祭という名の通り

研究発表、舞台発表、などの部門もあり

IMG_0452幅広い文化・芸術の祭典となっている。

興味のある方は、

ぜひ見に来ていただきたいと思う。

開会前夜の、11月10日の開会式には

IMG_0457貴重な体験をすることができた。

アイヌ民族舞踊保存会の方達による

ムックリの生演奏と

民族舞踊が披露されたのだ。


十勝プラザ1階の大ホールに

アイヌの民族楽器ムックリの音が鳴り始めると

十勝平野の開拓以前の

地鳴りのような音が

会場に響き渡り

私は思わず

携帯を演奏者に向けて

動画のスイッチを入れた。


引き続き

今度はアイヌ民族舞踊の

狩の踊りが披露された。

開会式に

このようなデモンストレーションがあるとはつゆ知らず

思わぬ感動をいただいた。

そのあとは

各部会有志の交流会(懇親会)が

隣のレストランで開催された。

今年の交流会には

文芸部にも新しく、私より年の若い俳人が

2名参加してくれて

いつになく楽しい懇親会となった。

最後の2枚の写真は

私の今年の作品と

新しく今年から参加してくれた

30代の若い俳人

金野克典さんの作品♪

IMG_0450私の作品はいつものように

仕事の合間などに

十勝の四季風景を写真に撮って

俳句をつけたもの。

克典さんの作品は

おわかりでしょうか・・・?!

IMG_0451江戸怪談・七不思議

「置いてけ堀り」「送り提灯」「片葉の葦」

「灯り無し蕎麦」「足洗い邸」

「狸囃子」「送り拍子木」

をそれぞれイメージした

俳句7句だそうである♪

克典氏は高校生時代から俳句を作っていて

今は現代俳句系の句会や雑誌に

作品を発表し続けている

将来とても楽しみな

十勝の俳人である♪


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鈴木牛後さんの角川俳句賞候補作

今年の角川俳句賞の最終選考に残った作品の、

5つの中に、

鈴木牛後さんの「にれかめる」50句が選ばれた。

早速角川の「俳句」を買って読んでみた。

これはもう、さすが!、というべき作品群だった。 

4人の最終選考員の中の

正木ゆう子氏をして

「この人は受賞第1作を詠める人です。」

と言わしめた、牛後さんの実力は

もはや、日本全国の俳人の誰もが認めていると思う。

IMG_0434実は私も、3年前から

角川俳句賞に応募しているのだが

今年も又、予選落ちをしてしまった。

予選落ちした者が、最終選考に残った人の俳句を

ああだこうだ、と評するのは

IMG_0426大変おこがましい行為なのかもしれないが

俳句詠みというのは

良い作品を読んで勉強することが大切だ♪

ということで 

牛後さんの作品50句を鑑賞させてもらった。 


 除雪車が雪押してくる初明り

 白息の絞り滓めく小さく吐く

  よくはたらく我も毒餌を曳く蟻も

 農道の波打ってゐる西日かな

 啄木鳥と吾のあひだを古りゆく木



道北の下川町に入植して酪農を営んでいる牛後さんの

大地にしっかりと根を張った生活が見えてくる。 

私がいつも仕事中に感じることは

酪農家の人たちは

本当によく働く人たちだ

ということである。


 牛の腹しづかに満つる寒夜かな

 血の乳に変はる気配や雪催

 老牛の乳垂れてゐる鼓草

 にれかめる牛に春日のとどまれり

 クローバー十本ちぎり音ひとつ

 かうべ振る牛の歩みに黄落す

 


毎日毎日牛の世話をしつつ、牛の乳を絞り、出荷をする。

それだけですごい才能なのに

そういう自分の生活を

四季の季題を通して

俳句という文芸に一句一句したためてゆく

というもう一つの才能が牛後さんには備わっている。

ただ、上記の牛の句のような場面は

私も酪農家を巡る仕事中によく遭遇し

正直なところ、私でも

このくらいの牛の句は詠めるかな

という感想を抱いた。 

ところが・・・


 雑煮椀牛の乳房を揉みし手に

 満月を眼差し太き牛とゐる

 牛追つて我の残りし秋夕焼

 牛見送る軒より露の滴りぬ


というような句になってくると

往診先で他人様の飼っている牛の俳句を詠んでいる

獣医師の私などには詠むことのできない

酪農家ならではの牛の句である。

こういう句を前にすると

あらためて

牛後さんは、さすがだなぁ!

と思わずにはいられないのである。

さらに・・・


 風邪心地わが外側に誰かゐる

 亡き人の名刺を冬の木と思ふ

 対岸に対岸のある春日かな

 くものすのいつぽん春風が見える

 憲法記念日虫を支ふる草一本

 廃車より高き夏草やがてひらく



なんというか

独特の世界観を

これらの句から感じる。

訥々(とつとつ)とした詩情というか

派手さはなくて芯の強い詩情というか

うまく言えないが

牛後さんにお会いした時に感じるものが

これらの句の中にあるような気がする。

牛後さんならではの俳句の世界が

表れているように思う。

まさに

「鈴木牛後の俳句の世界」

をたっぷりと

鑑賞させていただいた♪

今後のさらなる活躍が期待されるのは

言うまでもないことだ。

角川「俳句」11月号に載っている50句と

選考委員の先生方の座談会を

何度も読み返してみて

そんな感想を抱いた。



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野幌出張(2)

家畜診療技術北海道地区発表会は、

乳牛7題、肉牛4題、馬1題、の計12演題の発表があった。

IMG_0443その中から、

優秀な発表と見做されたのは、

以下の2題、

「乳牛における分娩後子宮捻転の12症例に関する検討」

                         北海道ひがしNOSAI     風間 啓  氏

「国内で初めて確認された牛コレステロール代謝異常症の4症例」

           オホーツクNOSAI     鴇田 直子  氏

この2題は

来年の2月に東京で行われる

家畜診療技術全国発表会で講演されることが決まった。

詳しい内容は

いずれ、「家畜診療」誌に掲載されると思われるので

楽しみにしていて頂きたいが

どちらもすばらしい内容だった。

IMG_0419前者の発表は

「分娩『後』子宮捻転」、という

今までとは病態の違う珍しい子宮捻転の症例を

12例も収集し、学術的な検討を加えた報告だった。

また後者の発表は

2015年に世界で初めてドイツで報告された

「牛コレステロール代謝異常症」という新しい遺伝病を

早くも2016年に、国内で4例も確定診断したという報告だった。

どちらの先生の発表も

常日頃の症例に対して

異常を見逃さない鋭い観察力と

あくなき探究心と

新しい症例であることを裏付ける

獣医学術知見の広さとを

兼ね備えいてたたからこそできる

レベルの高い発表だった。

IMG_0420それ以外の演題発表も

さまざまな角度からの新知見

斬新な発想にあふれた内容で

とても楽しく拝聴させて頂いた。

演者の先生方のほとんどが

NOSAIに勤め始めて10年前後の新進気鋭な先生方だった。

その中に、20年勤めた先生が1人おり

さらに、私だけが

NOSAIに勤めて30年以上経っているロートル獣医師だった(笑)

しかし、私にはそれがとても心地よかった。

若い先生たちと同じ土俵に立って発表していると

自分も昔、どこかで学術発表をした時に感じた

緊張感のようなものが蘇って来て

新鮮な気持ちに成れたのだった。

IMG_0425発表会の合間の

休憩時間や

食事の時間などにも

若い獣医師の先生方に混じって

色々な質問や雑談を交わすことが出来たのは

今回の出張の大きな収穫だった。

発表会が終わった日の夜には

懇親会が設けられていた。

そこではさらに

参加者の先生方と

あまねく情報交換をすることか出来た。

若い先生方の中には

私のブログを読んでくれている方も意外に多く

そこでまた話が盛り上がることもしばしばだったのは

望外の喜びだった。

宴もたけなわな所で

とりあえずの締めという事になった。

M木先生から指名されていた私は、立ちあがって

今日の各症例発表との一期一会に感謝し

それから発表者の皆さんへ賛辞と

全国発表会へ駒を進めた2人の先生方の

発表の成功を祈念して万歳三唱!をして

この場をなんとか締めくくった。

懇親会には
 
北海道NOSAI連合会のH田家畜部長も

札幌からはるばる参加してくれていた。

H田家畜部長というのは、ご存知の通り

IMG_0421又の名を「頑黒之和」

あるいは又「頑黒和尚」

と名乗る人物である。

この人と私が

ひとたび隣り合わせて杯を乾せば

北海道獣医師会雑誌の文芸欄

果ては北海道の俳句界に話が及ぶのは

もう避けることが出来ない(笑)

締めの挨拶が終わった直後

隣の頑黒和尚曰く

「ここで一句、ってやらないの?」

「・・・余裕なかったよ」

「俺ならやるよ。」

「・・・そっかぁ(笑)」

頑黒和尚氏から

鋭く突っ込まれてしまった私。

いみじくも、俳人ならば

そこで一句は欲しかったわけだ(汗)

では、その代わり

今この記事で

その宿題に応えて一句・・・


 野幌の初雪解ける熱気かな   豆作



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野幌出張(1)

全国農業共済会が主催する、

家畜診療技術発表会の北海道地区予選会が、

野幌(のっぽろ)の北海道NOSAI研修所で、

毎年開かれている。

今回私は、その発表会に演題を持って行く事になった。

とはいっても

実は、最初からこの会に発表する予定だったのではなく

9月に旭川で行われた北海道獣医師会三学会の方へ出す予定だった

「腹腔洗浄によって回復したミニチュアホースの腹膜炎の1症例」

という発表が、十勝を襲った台風10号の被害で没になり

十勝NOSAI家畜部の計らいで

急遽こちらの発表会に参加させてもらう事になった。

職場命令の出張は、JRを使って移動することが原則になっている。

しかし、十勝地方の鉄道(JR)はまだ台風10号によって寸断されたままであり

IMG_0398札幌方面へ行くためには

未だに代行バスとJRを乗り継いで

4時間近くかけて行かなければならない。

しかも、JRの臨時特急は1日3往復しか運行していない。

そのおかげで今回の出張は

普段であれば1泊2日であるところを

2泊3日のプランに延長された。

これが、返って私にはとても有り難く

余裕の出張旅行を堪能できる事になった。

IMG_0403帯広からの代行バスは空席でガラガラだった。

そのバスでトマム駅まで行き

トマム駅からは臨時特急列車に乗り換えて札幌へ向かうのだが

その臨時特急列車もまたガラガラに空いていた。

道東から札幌方面へ行く人たちの交通手段は

現在、わざわざ高くて時間のかかるJRを使う人は

非常に少なくなっているようだった。

札幌駅に中途半端な時間に到着した私は

NOSAI研修所の研修課総括のM木先生にメールを打った。

「ご無沙汰してます!これからそちらへ伺います。」

しばらくすると返事が返ってきた。

「今日来るのは何時頃?、予定なかったら一杯やりますか。」

私の返信はもちろん、了解♪

M木先生はNOSAIの1年先輩で

十勝NOSAI時代からの長い付き合いの朋友である。

M木先生の勤務終了時刻を待ち

研修所の近くの居酒屋へ。

M木先生と飲むのは数年ぶり♪

ビールジョッキを傾けながら

ゆっくりと、色々な話をすることができた。 

IMG_0407はじめは、明日の発表会に備えて

軽〜く、飲むつもりだったのだが

話が弾んでくるに連れて

焼酎のお湯割りの注文が止まらなくなり

気が付いた時には

午後10時をとっくに回っていた(笑)

翌日

IMG_0408発表会は午後からだったので

少々飲み過ぎた頭をリフレッシュさせるべく

買い物がてら

研修所の周りを散歩することにした。

IMG_0414野幌市街の四番通り付近は

ナナカマドの並木が真っ赤に色づいていた。

消防大学校の側を通って

三番通り付近へ出ると

IMG_0415今度は銀杏並木の

明るい黄色一色の世界になった。

じつに広々とした

静かな街の佇まいだった。

私はそんな街をのんびりと徘徊しながら

午後からの発表会で

しゃべる内容などを反芻していた。


(この記事続く)


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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搾乳パーラーで起立不能(2)

乳牛が搾乳中に立っていられなくなり、

搾乳パーラーの中で倒れ、

人が搾乳作業をしている場所へ、

ずるずると転げ落ちてしまったという、

私にはちょっと想像のつかない事故が起こった〓ファーム。

しかし

大規模酪農家の多い地帯で働いている獣医師に

色々聞いてみると

そういうパーラー内での牛の起立不能による転落事故は

それほど珍しいことでもないらしい。

私にはそれがとても意外で

酪農もずいぶん変わったものだと驚いた。

IMG_0353と同時に

搾乳中に立っていられなくなるほど

乳を搾り取られ

酷使されて

疲れ果てている

牛達がとても哀れで

より一層かわいそうに思えてきた。

昨日の

搾乳パーラーのターンテーブルから転落した牛は

どうなったのだろうか。

翌日はいつもの時間に〓ファームへ往診に出かけた。

従業員がやってきたので

早速、昨日の牛のことを聞いてみた。

「・・・昨日の夕方、立てなくなってパーラーから転げ落ちた牛、どうした?」

「あー、あの牛は、あの後しばらくして立ちました。」

「・・・ほんとに。」

「はい、今はいつものホスピタルの中にいます。」

「・・・立ったんだね。」

「はい、立って自分でドアを通って外に出たようですね。」

「・・・ちゃんと歩けたかい。」

「歩いたみたいですよ、でも今はホスピタルで坐ったままですけど。」

IMG_0359私はとりあえず

良い知らせを聞き

ホッとした。

しかし

立って歩けるようになったからといって

またこれから、相も変わらぬ方法で搾乳をしていたら

またいつかどこかで起立不能になってしまうことは

十分想像がつく。

そんなことを考えながら

ホスピタルの牛舎に行き

例の牛を診察した。

IMG_0358牛は静かに敷き藁の中でうずくまっていた。

私が近づいて、触診をしても

立ち上がるようなそぶりは全く見せなかった。

やはり相当疲れているのだろう。

この牛は

関節炎と橈骨神経麻痺に加えて

乳房炎も患っていた。

再び補液と抗生物質を投与し

今後はこの場所でしばらく治療を続けることにした。

翌日

この牛の血液検査の結果が送られてきた。

BlogPaint低カルシウム血症ではなかった。

遊離脂肪酸の上昇がみられ、飢餓状態が示唆された。

血色素やヘマトクリットの低下が見られ、低栄養が示唆された。

ガンマグロブリンの上昇が見られ、慢性の四肢の炎症が示唆された。

また、心配された低血糖は見られず

むしろ血糖値は上昇し、強いストレスの下にあることが示唆された。

・・・なんとも

可哀相な牛だ・・・


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