北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

ホル仔牛の下顎の腫れ

またまた、先日、

下顎が腫れている牛の症例に遭遇した。

今度は、ホルスタインの仔牛だった。

IMG_0331仔牛の下顎の腫れは、

球形に近いものが多く、

まるで飴玉をしゃぶっているように腫れることが多く

どこか可愛らしい。

触診をすると、波動感があった。

IMG_0332穿刺をすると、化膿汁が吸引されてきた。

これまたよくある、おきまりの膿瘍であった。

ここからはもう、一本道である。

メスで切開をして

創口はできるだけ大きくして

IMG_0334排膿して、内部を洗浄。

そのまま閉じずに開放し

抗生物質の注射をして

治療を終えた。

最近たまたま、高い頻度で

IMG_0335牛の下顎を切開排膿する症例に遭遇しているが

やはり

牛という動物の下顎は腫れやすく

多くが臼歯の歯肉からの感染症であるようだ。

過去の私のブログ記事を検索していたら

IMG_0336似たような記事があった。

その反省の元

せっかく穿刺によって

膿汁を採取したのだから

せめて

細菌検査をして

データーを蓄積しておくべきだろう

BlogPaintということで

今回の膿汁の

細菌培養(好気培養)検査の結果は

α-Streptococcus(連鎖球菌)が(++)

Corynebacterium (コリネバクテリウム)が(++)

だった。


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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子牛の中手骨骨折(・・・顛末記)

当ブログの今年の記事の、

4月27日4月30日5月3日

の3回にわたって書いた「子牛の中手骨骨折(1)〜(3)」。

その後、

この骨折した子牛はどうなったのだろうか・・・?

そんな気がかりを、解消する機会が、

昨日やってきた。

久しぶりにε牧場へ親牛の治療に行った時だった。

「そういえば春に、産科チェーンの引っ張りすぎで骨折した子牛、どうなった?」

「・・・えーっと、どうだったかしら・・・」

「ギブスまいたやつ、憶えてる?」

「・・・あー、あのメスの子牛ですね・・・それだったら、あちらのパドックにいるはずです・・・」

ε牧場の奥さんは、思い出したようで

パドックへ案内してくれた。

BlogPaint「・・・確か、この牛だったような・・・」

「左の前足だったよね。」

「・・・台帳・・・見て来ますね・・・」

私は、それらしい牛の

左前足の球節から近位の中手骨付近を

じっと凝視した。

なんとなく、左のほうが

ごく僅かに太くなっているようにも見えた。

しかし

IMG_5199骨折の治療をしたときに撮ったエックス線画像のような

中心軸が前方へ反り返っているような

そういう変形は無く

歩様も左右のバランスよく

跛行は全く診られなかった。

IMG_2033骨折をしたのが4月下旬。

それから約半年が経過していた。

本当にこの牛が骨折した牛なのかどうか

疑わしくなるほどの姿だった。

そこへε牧場の奥さんが戻ってきた。

IMG_5333「・・・その牛で間違いないです。台帳に、骨折って書いてありましたよ・・・」

「そうか、じゃあ間違いないね。」

「・・・きれいに治っちゃいましたね・・・」

「そうだね、それは良かった。」

「・・・骨折れてるって聞いたときは、正直ダメかと思ったんですよ・・・」

「そうなの?(笑)」

この牛の骨折治療の経過を

3回に分けてブログにアップしたときは

色々なコメントが寄せられた。

その中には

私と比べてずっと高度な技術をお持ちの先生方からのコメントがあり

その中には大変厳しい内容のものもあった。

それを読んだ時、私は

自分の骨折整復の技術が実に未熟な低レベルの技術であることを知り

恥ずかしい気持ちになったことを憶えている。

IMG_0355しかし、今こうして

そんな私の、低レベルの技術でも

このように治癒してくれた牛の患肢を

目の前にしてみると

恥ずかしく思っていた自分の技術に対して

IMG_0356少し自信を取り戻したような気がした。

もちろん

今の低レベルな技術のままに甘んじているつもりはない。

ただ

この症例から現在までの半年間に

子牛の中手骨の骨折治療をする機会には

まったく遭遇していないので

技術のレベルアップをする機会がない

というのも

また事実である。

この先どれほどの

子牛の中手骨骨折の症例に出遭うことになるのか

ちょっと想像がつかないのである。

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育成和牛の下顎の腫れ

「育成の和牛のアゴからクビにかけて、腫れてるんですけど・・・」

先日追加で診せられた診療は、

そんな稟告(りんこく)だった。

BlogPaint牛の頭を保定してもらって、

触診をしてみると、

硬く膨らんでいる。

これは、どういうタイプの腫れ物だろうか。

常に超音波装置を携帯していれば、

直ぐに超音波検査が出来るのだが、

残念ながら、十勝NOSAIの獣医師はまだ

1人1台づつを携帯するまでには至っていない。

それでも、こういう症例では

穿刺検査が有力な診断方法である。

腫脹している部分の

なんとなくもっとも柔らかそうな部分を

IMG_0261注射針で穿刺した。

「・・・あー、これは・・・」

「膿瘍だね。切開しましょう。」

「・・・お願いします。」

一見して、かなり硬かったので

骨組織の腫れかも?・・・

と思ったのだが

実際は

下顎の深部の肉厚な膿瘍だった。

育成の和牛は売り物でもあるし

あまり長い時間を掛けて治療をしていると

増体に影響し

売るタイミングを逸することもあるので

ここは、即日の切開排膿を選択した。

IMG_0265メスで切開した創口からは

思ったよりも多くの

クリーム状の化膿汁が出てきた。

500mlはあっただろうか。

切開創が肉厚なので

出血がかなりあったが

ここで出血を気にしすぎて

切開創を小さいままにすると

創口がすぐ閉じてしまって

膿汁の出口が塞がって

再び膿瘍が形成されてしまう。

ここは、思い切って大きく切開するべきなのである。

IMG_0267切開創を7〜8センチ程度に開大し

膿瘍の中身を消毒液で洗浄し

抗生物質を投与し

創口は開放のままとして

治療を終えた。

後日

BlogPaint膿汁の

細菌培養の結果が来た。

グラム陽性球菌が検出された。

しかし

菌種の同定までは至らなかったようだ。

ブドウ球菌だったのだろうか?

連鎖球菌だったのだろうか?

それとも

コリネバクテリウムだったのだろうか?  

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十勝馬まつり

「十勝軽種馬農協」という組織がある。

文字通り、

十勝地方の軽種馬の生産者で構成する農協である。

ここで言う軽種馬とは 、

サラブレッドのことである。

すなわちこの農協は、

十勝地方のサラブレッドの生産者で構成する農協である。

その組合員の戸数は、

わずかに10数戸。

繁殖牝馬の数は、

わずかに数10頭の、

小さな生産者団体である。 

十勝地方の馬の生産と言えば

ペルシュロンやブルトンやベルジャン、といった重種馬が主体で

サラブレッドの生産は影が薄いけれど

JRAから補助を受けながら

頑張ってサラブレッドを生産し続けているのである。 

そんな十勝軽種馬農協の事務所と

IMG_0313種牡馬の繋留所(種場所)が

我が町にある。

ここの馬たちは、NOSAIには非加入であるけれども

我々獣医師は年に何回か

ここで繋留されているサラブレッドの種牡馬や

そこへ種付けにやってくる繁殖牝馬の

診療をする機会がある。

IMG_0314先日は

ここの種牡馬の最長老が老衰で亡くなった。

種牡馬といっても昭和63年生まれの爺様

28歳という高齢で

悠々と余生を過ごしていた。

その名は「リンドシェーバー」。

競馬ファンの人であれば

きっとご存知に違いない。

朝日杯3歳ステークスで

あの名馬マルゼンスキーの樹立した記録を塗り替えてレコード勝ちした馬である。

IMG_0306それから25年。

華やかな現役時代とはうって変わって

静かな最晩年を十勝で過ごし

先日、静かに息を引き取った。

IMG_0312私はその翌日

この馬の死亡診断書を届けに

十勝軽種馬農協の事務所へ行った。

とても良い天気だった。

IMG_0310そして、その日は折しも

十勝軽種馬農協が毎年主催する

十勝馬まつりが行われている日だった。

家族連れの一般客が多く訪れ

IMG_0309ポニー馬車や

乗馬体験などがあり

地元の生産関係者と

競馬ファンと

子供達で賑わっていた。

とても和やかな

秋晴れの一日だった。


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デントコーンの不作

今年の十勝地方の天候不順で、

デントコーンの収穫は大幅に遅れていたが

ようやく、ここ数日好天が続き、

収穫作業がはかどって、

やっと終りが見えてきたようだ。

IMG_0295しかし、

往診先の酪農家が

今年のデントコーンの出来について語る内容は

さえない事ばかりである。

「収量6割くらいかな。」

「いやー、ほとんど半作だね。」

「全然細くて、小さいっすよ。」

「ほとんど倒れてて、刈るのに時間もカネもかかる。」

「バンガー1本少ない。」

「もう根っこまで枯れちゃってますよ。」

・・・などと

ぼやく声ばかりである。

IMG_0294やはり

夏期の日照不足と

秋はじめの台風の直撃と

その後の長雨の影響が

思いのほかひどかったようだ。

今年の十勝の畑作物は

ほとんどの作物で出来が良くないらしいが

デントコーンもその例外ではなかったのだ。

私がいつも往診に巡るときに見かける

多くのデントコーン畑の全てが

IMG_0296今年は元気がなかった。

台風によって倒された。

長雨でいつまでも放置された。

そのまま

茎が細く

倒伏から曲がりつつ穂を出し

茎や葉が茶色や紅葉したまま

枯れてしまっているのも多く見られた。

IMG_0301そんなデントコーンを

サイレージにすれば

収量が少ないばかりではなく

品質も悪いであろう事は

容易に想像できる。

やっとの思いで収穫したデントコーンの

バンガーサイロの蓋が開く来年には

どんなコーンサイレージが出来ているのだろうか。

IMG_0299牛を診る獣医師として

そこは非常に気になるところである。

今年はデントコーンと同じく

二番牧草も

同様の理由で

収穫量は少なく

品質も悪いようなので

来年の牛たちが食べる餌は

いったいどうなってしまうのだろうかと心配になるのである。

デントコーンサイレージと二番牧草は

一番牧草と並んで

牛たちにとって非常に重要な粗飼料

すなわち主食になる。

それが不味く

たくさん食べられず

また、食べても栄養価が低い

ということになれば

来年の

牛たちの

健康状態は

今年よりもいっそう

悪化するのが

目に見えているではないか・・・


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「北の年尾忌句会」in小樽

高浜虚子の長男で、

俳句雑誌「ホトトギス」を継承した高浜年尾(たかはまとしお)は、

小樽商業高等学校(今の小樽商科大学)を卒業している。

その当時には、父の高浜虚子も何度か小樽を訪れており、

小樽の俳人の俳句熱は大いに高まった。

年尾は1979年10月26日に78歳で亡くなったが、

その後、

小樽を始め北海道の俳人達の間で、

高浜年尾を偲ぶ「北の年尾忌句会」が

毎年10月に小樽で開かれるようになった。

IMG_0280今年はその35回目。

私も参加するようになって

これで3回目となった。

総勢56名の俳人が

道新小樽支社の会場に集まった。

高浜年尾を偲び

皆でホトトギスの俳句を学び

俳人たちの親交を深める

という目的のはっきりした句会である。

句会の実行委員長は

去年までは小樽ホトトギス会の会長だった辻井卜童(ぼくどう)氏だったが

今年は世代交代し、その次男の辻井靖之氏が全てを後継し

新たな雰囲気の句会となった。

1人5句出し、5句互選、壇上選者5名は15句選。

56名×5=280句からの5句選だった。

各自が筆記した句稿を回し

IMG_0289互選をしながら

私の目にストレートに飛び込んで

心から離れることのない句が2句あった。

 
 年尾忌のまだ若者と呼ばれけり


 これからのことを話そう年尾の忌




この二つの句はとりわけ

私の気持ちと共鳴するものだった。

披講(俳句を読み上げて作者が名乗りをあげる)になり

私の選が読み上げられた。

名乗りを上げた作者は

上の一句目が、句会委員長の辻井靖之氏。

下の二句目が、苫小牧の桂せい久氏、だった。

辻井靖之氏は54歳。

桂せい久氏は60歳。

北海道ホトトギスの会員の中で

これからを担って行く世代の俳人である。

お二人とも

私と同世代。

お互いに、思いが同じであることを

つくづく噛み締めたのだった。


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「舌切り仔牛」の正念場

Ф牧場のスタッフのK君から相談を受けた。

「生まれる時に、舌を噛み切られた仔牛なんですけど・・・」 

「あーあれね。どうなった?」 

「ハッチ飼いから、育成の群に入れたんです・・・」 

「うん。どう?」 

「群に入ると・・・」 

「・・・。」

「元気がないんですよ・・・」

「・・・。」

「食い負けちゃうんですよ・・・」

「うーん、食べれないの?」 

「いえ、食べてはいるんですけど、遅いんで・・・」 

「競争に負けちゃう?」

「そうなんですね・・・ペースが合わないみたいで・・・」 

「ハッチで1頭にしたら、普通によく食べるんですけど・・・」

「そっかー、負けちゃうか。体格は、どう?」

「普通に大きくなっているんですけど、他のやつと一緒にすると・・・」

「見劣りする?」

「そっすねー、やっぱりちょっと小さいかなー・・・」

「今はどうしてるの?」

「しょうがないんで、またハッチに戻して1頭で飼ってるんです・・・」
 
「あーこの牛だね。」

「はい・・・こうしてれば、普通に食べるんですよ・・・」 

「ちょっと口の中、見せてくれる?」

IMG_0208「はい・・・」

舌切り仔牛の口の中には

切られて短くなった舌があった。

その舌の先の傷跡は

きれいに治っていたが

その舌は

仔牛の口の外にはまったく出てこないほど

短いものだった。

「でもよくこれで、食べてるよね。」 

「そうなんですよ、見た目は変わりなく、食べてるんですけど・・・」 

「でもどっかが違う食べ方、なんだろうね。」 

「なんですかね・・・」 

「もうしばらく1頭で飼うしかないか。」

「そうですね・・・もうちょっと大きくなればいいかなって・・・」

「なんとか、もう一回頑張って。」

BlogPaint「もう少し大きくなれば負けなくなると思うし・・・」 

「うん。」

「群に入れる時の頭数も・・・もっと少ないところから始めようかって・・・」

「そうだね。ぜひ、やってみて。」

IMG_0209「はい・・・」

私はФ牧場のスタッフのK君の

この牛に対する

あたたかな思いを感じた。 

育成の仔牛達は、ある日突然

1頭飼い、から

群飼い、へ

という
「競争社会」へ放り込まれる。

育成の仔牛達は

そこで、誰もが正念場を迎えるのだ。

そこでは、強い仔牛と弱い仔牛、という格差が生まれてくる。

そのなかでも特に、この舌切り仔牛は

どうしても、食い負けてしまう

いわば「社会的弱者」である。

そんな社会的弱者でも

ちゃんと育つことのできる牧場には

K君のような心優しいスタッフが

必要なのだと思った。


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すずかけの木よ、さようなら。

以前このブログで紹介した、

8fe81719帯広市内の一角に生えている、

大きな、すずかけの木(プラタナス) は、

私のお気に入りの木の一つだ。

ほどほどの背丈の割には、

幹が非常に太く、

98cf6ac0地面から力強くグイッと伸びていて、

私は、その太く力強い幹がとても好きだった。

特に、幹の太さの際立つ冬から春にけての

新芽の待ち遠しい季節には

この木の傍を通る度に

f401bd24その太い幹に触れては

トントンとたたいたりすると

不思議と心が癒された。

先日久しぶりに

すずかけの木に触れることの出来る

68084e39帯広市内の散歩コースを歩いて

その木の様子を伺ってみた

ところが・・・

「・・・?」

少し遠いところからでも

しっかりと見ることが出来る

いつものあの太い幹が

見当たらない。

「・・・。」

私はいやな予感がして

すずかけの木のある場所へ

歩みを急いだ。

すると・・・

IMG_5929「あぁ・・・、なんと・・・。」

悪い予感が的中した。

あの、お気に入りの木は

根本から伐られていた。

しかも

大きな木を伐った後には

切り株があってもよさそうなものだが

切り株さえもなく

完全に消えている。

よく地面を探してみると

IMG_5928平坦な地面に

大きなマンホールの蓋のような

木の伐り跡の丸い模様が残っていた。

「切り株さえも残らなかったのか・・・。」

私の好きだった

大きなすずかけの木は

この世から完全に

姿を消してしまったのだ。


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仔牛の臍帯炎

「仔牛のヘソが腫れている・・・」

という症例は日常茶飯事である。

仔牛のヘソの腫れ(いわゆるデベソ)で、先ず、

鑑別しなければならないのは 、

それが臍ヘルニアなのか?

それとも臍帯炎なのか?

である。

ヘルニアは先天的なもので

触診をすると、必ずどこかに

腸管が出てくる穴(ヘルニア輪)がある。

小さなもの(指2本以下の輪径)はそのまま放置しても治る。

大きなもの(指3本以上の輪径)は 圧迫処置をした方がよく

それ以上のものは外科手術の対象になる。

ヘルニアかどうかの診断は、触診の経験を積めば

それほど難しいものではない。

では

ヘルニアではないデベソの場合

すなわち臍帯炎は 

後天的な感染症である。

触診をすると

ヘルニアとは違って波動感がなく硬い。

ヘルニア輪は存在せず

軽く握ると必ず痛みがある。

感染症なので熱発や哺乳不振が見られる。

臍帯炎の初期段階は 

それで簡単に診断できる。

ところが

臍帯炎の症状が急性期を過ぎ

臍帯に膿瘍を形成してしまうと

臍ヘルニアとの鑑別が難しくなってくる。

外見はいずれも大きなデベソであり

触ると波動感がある。

熱も平熱に下がり、食欲もある。

IMG_0221こういう時は

デベソの部分の超音波検査をすればよい。

しかし

超音波装置は常に持ち歩いていないので

IMG_0223急に追加で診断をする時にはそれも使えない。

先日の〆さんの仔牛はそんな状況だった。

「急にデカくなってきたんだよね・・・」

〆さんのその言葉で私は大体見当がついた。

これは後天的な臍帯感染から

IMG_0224臍帯の膿瘍が形成され

それが急激に肥大化した可能性が高い。

触診をしてみると、波動感がある。

しかし、ヘルニア輪のような穴はない。

「針を刺してみるね。」

私は患部に、注射針を刺した。

IMG_0227注射器に膿汁が入ってきた。

「これは化膿してる、切って出した方がいい。」

私は早速

仔牛を鎮静剤で寝かせて

患部にメスを入れて切開排膿した。

IMG_0228切開創の中を消毒液で洗浄して

ヨーチンをスブレーして

抗生物質と鎮静剤の拮抗剤を打って

切開手術を終了した。

後日

IMG_0252膿汁の培養検査の結果が来た。

Proteus (3+)

E.coli (大腸菌)(3+)

ということだった。


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若牛のキック!(◎_◎;)

ここ半月のあいだに、

私は、若牛(ホル育成牛)のキックに見舞われた。

IMG_0237それも立て続けに、

先週は左足の太ももを、

昨日は右足の太ももを、

どちらも、

家は違うが、

ホルスタインの育成牛の、

繁殖検診をしている最中だった。

最初の左足の時は

妊娠マイナスの牛の治療のために

シダー(膣内貯留型黄体ホルモン剤)を挿入しようとして

後ろに近づいた途端

その牛が後ろ蹴りを放ち

IMG_0236私の左太ももをヒットした。

膝の皿の上の筋肉だったから良かったものの

しばらくは歩行困難に陥った。

その痛みと傷が癒えないうちに

昨日

別の家でホルスタインの育成牛の

繁殖検診をしようと

ある牛の肛門へ手を入れようとした瞬間に

その牛の右隣の牛が

左後ろ回し蹴りを放ち

IMG_0235私の右太ももをヒットした。

これもまた

膝の皿の上の筋肉だったから良かったものの

しばらくは歩行困難に陥った。

幸いにどちらも

軽い打撲で済んだようで

一夜明けた今朝は

普通に歩行ができるようになった。

牛から、立て続けに

こんなキックを連続で見舞ったことはなかったので

油断したというか

歳を感じるというか

情けない気持ちが先に立つ。

同僚の獣医師たちに迷惑をかけたらそれこそ大変だ。

私の注意不足が

最大の原因であり

ちゃんと保定をしてもらわないうちに

牛にちゃんと声もかけずに

不用意に近づいた私が悪く

弁解の余地はほとんどない。

しかし

一言だけ言わせてもらいたいことがある。

それは

最近のホルスタインの育成牛は

人に馴れていないのが

多くなったのではないだろうか。


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「酪農音頭」!

新聞をぱらぱらとめくっていたら、

「酪農音頭」という文字とともに、

「豊栄会」という文字が 、

私の目に飛び込んできた。

私が以前、診療に回っていた十勝南部広尾町の、

酪農婦人の皆さん方のグループ「豊栄会」が、

「酪農音頭」なるものを作詞作曲して

JAの感謝祭の場で披露した

という記事を見つけたのだ。 

IMG_0171「豊栄会」の皆さんは

相変わらず

とても元気で

またまた今回も

面白いことをやっているなー

と、記事を読みながら

思ったのだ。

記事からその「酪農音頭」の

歌詞の1番を抜粋してみると・・・


 〽︎ ギューっと搾った牛乳飲んで

   今日も1日元気良く

   モーって鳴いてるあの子にこの子

   のんびりと

   日高山脈見渡せば

   夢は広がる広尾町

   べーべーべー

   トンと十勝は

   べーべーべー


   サイロサイロサイロ

   広い緑のこの大地

   酪農音頭でべーべーべー 〽

 いやー

素晴らしい!

こんな感じで、何番も続くらしい。

IMG_0205歌詞を読んでいるだけで

なんだかウキウキして

元気が出て来るではないか!

でもじつは、私はまだ

この「酪農音頭」の歌詞を読んだだけであり

この「酪農音頭」の メロディーをまだ聞いていないし

また「酪農音頭」の振り付けもまだ見たことがない。

You Tube などで探してみたけれど

まだアップもされていないようだ。

いつかぜひ、CD版・・・

あるいは

振り付け入りのDVD版・・・

などが発売されることを期待している。

そして、この

「広尾町・酪農音頭」が

地元に根付き、愛され

十勝管内へ、全国へ、と

知名度を高めて行くことを

心から願っている。

豊栄会の皆さん

今回も存分に楽しんで

頑張ってくださいね。

久しぶりに「豊栄会」の名を聞いて

私は、とても嬉しくなりました♪

d19e2400今からちょうど5年前に

皆さんと一緒に撮った写真を

再び貼り付けて

豆作からの応援メッセージとしたいと思います♪ 


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第29回村上鬼城賞表彰式

9月19日は、

IMG_0185第29回村上鬼城賞の表彰式と、

第30回村上鬼城顕彰全国俳句大会が、

群馬の高崎ビューホテルで開催された。

私は今年も村上鬼城賞の、

既発表30句を応募したのだが、

それが思いもよらず佳作に選ばれた。

シルバーウイークの後半は、

高崎まではるばる俳句のために

IMG_0194仕事を休んで

飛行機に乗って高崎まで遠征をした。

今年はこういう連作応募の賞は 

6月には

第27回伝統俳句協会賞の佳作も頂いているので

当たりの年である。

IMG_0188何年も応募していて

このようなことは経験したことがなく 

とても嬉しい当たり年なのだが

どちらも佳作・・・

ということで 

惜しかった

残念だった 

という気持ちが混っている。

IMG_0187伝統俳句協会賞の時もそうだったように

正賞を取った方は

どんな人なのだろうか?

正賞を取った作品は

どんな作品群なのだろうか? 

という好奇心が先立つのだった。

今回の村上鬼城賞も全く同じ気持ちで

IMG_0191表彰式に出席し

正賞を受賞された方にお会いして

色々話をすることができた。

今回正賞を受賞された方は

菅家瑞正(かんけずいせい)さんという人で

師系は石田波郷の「泉」という結社に所属している俳人だった。

IMG_0201話をすると、とても気さくな面白い方で

受賞作品群の俳諧味が

この方から生まれていることを強く感じさせた。

伝統俳句協会賞の時もそうだったように

正賞を受賞された方は

作品も作者の人柄も

とても個性的で素晴らしいのだった。

IMG_0202そして今回も佳作だった私の作品が

なぜ佳作止まりなのか・・・

その理由や

その課題点が

表彰式の場に参加することによって

朧げながら見えてきたような気持ちになった。

IMG_0212私の俳句修行は

まだまだ足りないのだ・・・

足りないことは

よく解ったのだが

その不足を補うべく

課題を克服して行くのは

なかなか容易なことでは

なさそうである・・・


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第14回大とかち俳句賞全国俳句大会

9月17日は、

IMG_0175帯広駅前の十勝プラザで、

NPO十勝文化会議・十勝毎日新聞・主催の

「大とかち俳句賞全国俳句大会」が行われた。

私は、NPO十勝の文芸部員として

IMG_0177一昨年からこの大会の司会を仰せつかっている。

毎年、冷や汗をかきながらの進行なのだが

なんとか今年も無事に役目を果たすことが出来てホッとしている。

十勝管内にとどまらず北海道全体、あるいは道外まで

この大会への投句と参加を呼びかけてきて

IMG_0174それに応えていただいた皆様方には

心から感謝を申し上げたいと思う。

と同時に

また来年もどうか

IMG_0178投句の参加をどうぞよろしくお願いいたします!

大会の結果については

近々まとめた冊子が届くかと思いますが

この場では1つ

この大とかち俳句大会の名物になっている

中屋吟月「柏林」主宰による

入賞句の吟詠を

動画で楽しんでいただきたいと思う♪

受賞句

課題の部 「耕して女にかへる風呂沸かす    北野克誠」

雑詠の部  「オルガンのきこえる廊下昭和の日    石川惠子」


 

俳句をこのように吟詠できる人は

きっと

吟月先生しかいないのではないかと

私は思っている♪
 

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牛は放線菌症で採食困難になるのだろうか?

およそ3年ほど前に、

「牛の放線菌症に思うこと」

と題して、ブログの記事を書いたことがある。

それを抜粋してみる・・・

比較解剖学者の好著「ウシの動物学」(著者・遠藤秀紀)によれば
『ウシの採食メカニズムは、進化史上の最高傑作に映る。それは、まるでヒトの大脳皮質をみるときのような"神の創り給うた"究極の構造だ。』
『・・・けっきょく、ウシをして草地の覇者たらしめる一因をここにみることができる。』
などと書いてある。
そのウシの採食メカニズムの主役こそ
歯と舌である事は言うまでもない。
そんな、ウシにとっての重要な器官である歯と舌を
我々はあまり治療する事が無いというのは
それだけ牛の歯と舌というものが
強靭で故障の少ない最高傑作だ、ということなのだろう。
ただ・・・
ウシの歯や舌に直接の故障が無い反面
よく故障が出る場所がある。
顎(あご)である。
上顎も下顎も、どちらも
よく腫れるのである。
腫れの原因として最も良く知られているのは
放線菌の顎への感染である。
おそらくは強靭な歯の根元から
放線菌が顎の骨へと侵入して増殖し
炎症を起こして、硬い腫瘤を作り上げる。
その腫瘤は、バスケットポールくらいの大きさになるものさえ有る。
ここでもなお、驚くべき事は
そんな大きな顎の感染腫瘤ができて居ながらも
ほとんどの牛達は
食欲が落ちもせずに、歯と舌を
相変わらず毎日休み無く動かしては
採食と反芻を、一日中行っているのである。
歯の痛みは無いのか、心配になるのだが
巨大な腫瘤を抱えていても、特に痛くもなさそうに
草をムシャムシャ食べ続ける牛がほとんどなのである。
飼い主さんが心配して、電話をくれるのはそんな時だ。
「なんだか顎が腫れて来たんだけど、ちょっと診てくれる?、食欲は有るんだけど・・・」
放線菌症の時の稟告は
大抵、こういう内容である。
そして、その治療といえば
ただペニシリンの筋肉注射のみ、数日間
と相場が決まっていて
牛の口を開けて、歯や舌に直接治療を施すようなことは
まず、ほとんど無いのである。

BlogPaintそして今

牛の臨床獣医師を30年ほど続けて来て

あらためて放線菌症の治療経験を

振り返ってみて

思うのは

放線菌症で採食困難になった牛を診たことがあっただろうか?

ということだ。

BlogPaint教科書には

アゴの腫れを放置していると、いずれは採食困難になる

と書いてあるが

実際の私の経験に照らし合わせてみると 

アゴの腫れを放置している牛はかなりの数にのぼり

それらは皆、採食困難にはなっておらず

放線菌症の採食困難で死亡した牛や

放線菌症という病名で共済の3号廃用になった牛を

私は思い出すことができないのである。

放線菌症で

採食困難になって

死亡したり廃用になったりした症例を

ご存知の方は

ぜひ教えていただきたいと思う。


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ポニーの蕁麻疹

「皮膚にブツブツが出来てるんだけど・・・」

そんな稟告で往診した★さんのポニー。

「元気や食欲はあるんだけど・・・」

枠馬に入っていた馬は、

確かに皮膚にブツブツができていた。

蕁麻疹のようだった。

IMG_5830「これは蕁麻疹みたいですね。」

「というのは・・・?」 

「アレルギー。」

「・・・?」

「過敏症。」

「・・・?」

「ほら、人でもあるでしょ。」

「・・・。」

IMG_5831「痒くなったり、ブツブツできたり。」

「・・・うん。」

「何か刺激されて、それに必要以上に反応しちゃうやつ。」

「あー・・・。」

「何の刺激だかわからないけど。」

「変なもの食べたのかい・・・?」

「そういう可能性、ありますね。」

「何食べたんだか・・・?」

「食べた物だけじゃないかもしれない。」

IMG_5832「・・・?」

「虫に刺されたとか。」

「そんなことあるの・・・?」

「あるかもしれない。」

「・・・?」

「刺されたところを見たことはないけれど。」

「蜂とか・・・?」

「わからないけど、こういう蕁麻疹は夏から秋に多い。」

「あー・・・。」

「だいたい草や虫が元気のいい時に多い。」

IMG_5833「そうなんだ・・・。」

「痒がってないですか。」

「いやー、どうだべ・・・。」

「痒くて、あちこちに擦り付けて皮剥けちゃうのもいる。」

「それは・・・。」

「すりっぽ、ってきいたことあるでしょ。」

「あー・・・あるね。」

「それもアレルギーなんだけど、痒がってないですか。」

「いやー、あまり痒くはないみたいだけど・・・。」

「とりあえず、注射打っておきますね。」

「うん・・・お願いします。」

蕁麻疹のような過敏症の

原因を特定するのはなかなか難しいが

症状は間違いなく蕁麻疹のようなので

とりあえず

抗ヒスタミン剤を打って様子を見ることにした。

翌日

そのポニーの皮膚には

若干の模様が残っていたものの

その皮膚の変化はかなり軽減していた。

そのようなわけで、翌日は

そのまま何もせず様子を見ることにした。


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むしむし天国

例年になく湿っぽく、

長々と雨が降り、

たまに晴れても蒸し暑い、

そんな今年の夏がようやく終わりを告げつつあるような、

今日の晴天である。

爽やかな秋空をやっと仰ぐことができた。

そんな日の休日は、

歳時記とノートと俳句雑誌などを鞄に詰めて、

自宅の近所の公園などを徘徊し、

俳句を拾って歩く吟行をするのが

近頃の私の休日の過ごし方になっている。

公園の野外ベンチと机のある場所に

静かに座って俳句をまとめていると

心が癒されてくる。

IMG_0128野外でゆっくり本を読んだり俳句を書いたりできる日は

1年のうちでもなかなか遭遇しないものだ。

この日はまさにそんな日だ。

充実のひと時

と、思っていたら・・・

腕や首がなにやらチクチク・・・

そのあとがなにやら痒くなってきた・・・

・・・!

蚊がぷーんとやって来て

刺してゆくのだった。

よく見ると

腕にはすでに、3〜4箇所

首や顔も、痒くなってきた。

そうなるともうあちこちが痒く感じてきて

なんとも落ち着かない気分になってきた。

まいったナーこれは・・・

IMG_0129今年の夏は雨ばかりで

雨が上がって晴れたとしても

晴れの日が続かずに

再び雨が降る。

あちこちに水たまりが沢山できて

それが乾いてゆく暇もない。

そんな無数の水たまりに

蚊が卵を産み

ボウフラが湧き

かが発生するのは

自然の成り行きだろう。

今年は例年になく

あちこちでよく蚊にお目にかかる。

そういえば我が家でも

今年は例年になく

妻が頻繁に蚊取り線香を焚いている。

「ぼうふら」や「蚊」は夏の季題である。

鬱陶しく、憎たらしい存在だが

私は、そんな蚊の出現に

本州の夏の

子供時代を思い出して

懐かしさも感じる。

蒸し暑く湿っぽい本州のようにになってしまったような

今年の北海道の気候は

昆虫たちにとっては

願ってもない

繁殖を謳歌できる

良い気候なのだろう。


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嵐の中の子宮捻転

当直ではない普通の日の深夜に、

私の携帯電話が鳴った。

その日の夜当番をしている先輩獣医師Sさんからだった。

「帝王切開、手伝ってくれる?」

「はい・・・。」 

「子宮捻転で、直らないのさ。」

「わかりました。」 

当直以外の日の夜中に、

往診や手術の応援に出かけて行くことは、

年に必ず数回はある。

その内訳で最近もっとも多いのは

牛の帝王切開手術の助手である。

帝王切開に踏み切る理由はいろいろあるが

その中でも、子宮捻転というのは

理由として最も多いものの一つである。 

この日の夜は

子宮捻転星からのレーザービームがS獣医師を捕らえ

その反射光が、家で寝ていた私の顔を照らしたのだった。

診療所に牛が運ばれて来たのは0時を回っていた。

IMG_0130それからSさんと

飼主の〓さんにも手伝ってもらいながら

大きな♂の仔牛を摘出。

仔牛は無事だった♪

IMG_0132〓さんの家畜車の荷台には

懐かしいリヤカーがあった。

そのリヤカーを手術室に入れて

大きな仔牛を積んで帰って行った。

IMG_0133前回の記事で

最近、子宮脱が立て続けに3件発生したと書いたが

じつは、子宮捻転もこれで2件目。

8月末から台風が何度も襲来し

荒れに荒れているの十勝の空の

雨雲の遥か向こうには

子宮脱星と

子宮捻転星が

不気味な輝きを

増しているように思える。

皆さんのところはいかがですか・・・?


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嵐の前の子宮脱

台風10号は十勝地方に大きな爪痕を残し、

1週間近く経った現在でも、

行方不明者が見つからず、

交通機関は寸断されたままで、

大変な事態が続いている。

それでも私の身の回りは、

幸いにも甚大な被害は至らず、

普段の生活を送ることができている。

そんな、特大の嵐が十勝地方にやってくる頃の

8月末から9月初めにかけての数日間に

我が診療地区の牛達に

子宮脱が3頭も発生した。

そのうちの1頭は、私が遭遇した。

朝の往診を振り分け

獣医師達が皆準備を終えて出発し始めた頃

「今朝産んだ牛の子宮が出てきた!」

という電話が酪農家の▼さんから掛かってきた。

それが、たまたま私の回る予定の地区だったので

私が ▼さんに行くことになった。

IMG_0026子宮脱星の大魔王は

私のことをなかなか解放してくれないようだ・・・

とりあえず牛舎に行くと

産んだ後で、子宮の脱出した牛が座っていた。

最近私はこういう場合

すぐに子宮脱整復に取り掛からず

血液を採取して

カルシウム剤500mlを1本投与することにしている。

そうしながら、お湯や板や踏み台やらの

整復の準備を飼主さんにしてもらいながら

IMG_0028牛の状態をよく観察する。

カルシウム剤を打ち終わってから

おもむろにカッパを着て手袋を履いて

自分の整復準備に取り掛かる。

このブログで何度も繰り返し書いている通り

子宮脱になっている牛は

私の調べている限りでは

全ての牛で血中カルシウム濃度が低くなっている。

今回もそれを予想し

まずは牛の全身症状を改善してから

牛を吊起して起立させて 

その後、子宮の整復に取り掛かった。

IMG_0029子宮は意外に簡単に

腹腔へ納めることができた。

子宮内感染を抑えるために抗生物質を投与し

整復した後は怒責による再脱出を予防するために

ビューナー針と包帯を用いて

外陰部の巾着縫合をした。

翌日

血液検査の結果かが送られてきた。

BlogPaint血中Ca濃度は

5.0 mg/dl

予想通りの低値だった。

8月末の

大きな台風がやってくる頃の

およそ1週間くらいの間に

立て続けに3頭

我が診療地区の牛が子宮脱を起こした。

子宮脱の発生要因として

低カルシウム血症もさることながら

台風の接近

あるいは低気圧の接近も

その要因として考えられる

と感じている獣医師は

きっと

私ばかりではないだろうと思う。

皆さんのところの牛達は

いかがでしたか?


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出張中止!

「この雨はヤバいな・・・」

そんなことを思いながら、

8月31日の朝、

私は旭川出張の荷物をカバンに詰め込んで、

早めの朝食を食べ、

よそ行きの服に着替えて待機していた。

そこへ、所長から電話が入った。

旭川行きのバスが出ないので、出張は明日に延期。

今日(31日)は、通常に出勤することになった。

早めに家を出ると、

夜一度通行止めとなったという国道の札内橋方面からは

通勤の車が沢山来ていたので

私は野次馬根性を出して国道を札内橋方面へ走らせた。

札内橋を渡る車は普通に流れていたが

橋の下を流れる札内川の姿は

今まで見たこともない驚きの姿だった。

IMG_0057川幅は堤防いっぱいに膨らみ

轟音と濁流が

堤外上流のテニスコート、サッカー場ソフトポールと野球場を

堤外下流のパークゴルフ場、ゴルフの練習場を

IMG_0062全て飲み込んで

そこに生えている楡や槐や柳の大木だけが

濁流の中で必死に立っている姿だった。

あまりの凄さに、

IMG_0070言葉を失った。

札内橋を往復してから

通常の通勤ルートに戻り

診療所へ向かうと

IMG_0079途中の旧国道で通行止めに遭った。

旧国道が通れないときは国道へ

といういつものバターンで国道へ出ると

国道が渋滞して長い車の列ができていた。

そこで所長からの携帯が鳴った。

IMG_0086国道の猿別川を渡る止若橋の西側が冠水し

通行止めになったという。

幕別市内の診療所へ行くためには

大きく迂回しなければならなくなった。

止む無く引き返し

南方の高台の山道を大きく迂回して

下流から数えて3番目の橋で猿別川を渡り

ようやく診療所にたどり着いたときは

出勤時間を15分ほど遅刻していた。

その日はほぼ普通に仕事をこなし

夕方、カルテを書いていると

本所から所長に電話が入った。

「出張は中止だそうです・・・。」

なんと!

バスもJRも高速道路も

十勝管内から札幌や旭川方面へ行くルートは

全て寸断されたという。

今までの北海道獣医師大会と三学会でも

季節柄、台風の襲来に何度も見舞われて

交通手段に影響が出たことはよくあった。

だがその度になんとか手段を変更したりして

目的地までたどり着けたのだったが

今回の出張中止は

そんな前例を覆す異常なものだった。

旭川で会おうと思っていた友人に

中止で行けなくなった事を伝え

IMG_0095落胆して帰宅し

郵便受けに刺さっていた十勝毎日新聞を

広げてみて驚いた。

想像以上の被害の写真が

IMG_0097紙面を埋め尽くしていた。

避難者は数千人を超えたようだ。

車ごと流された行方不明者が3名も出たようだ。

「これではとても・・・一晩待ったくらいでは復旧しないな。」

IMG_0098JR石勝線は1ヶ月以上不通になるらしい。

これではどうしようもない。

翌日

いつもの旧国道を通って出勤しようとしたが

旧国道はまだ通行止めだったので、国道へ

ところが国道はまた大渋滞。

そこでまた南方の山道を迂回して診療所に着いた。

その日の仕事内容もほぼ通常だったが

交わす会話は台風被害の事ばかりだった。

あちらこちらで数えきれぬほど

崖が崩れ、木が倒れ、畑が冠水していた。

未だに道路や家が冠水している地域へ

ようやく車で近づけるようになっていた。

IMG_0111その日の夕方

国道の札内橋を渡った。

警戒水域を超える増水と濁流が

丸1日続いた札内川の水位も

IMG_0114ようやく下がって

堤外の広大な平地が姿を見せていた。

しかし、その姿は・・・

見るも無残な

テニスコート、サッカー場、野球場、パークゴルフ場

IMG_0122などの姿があった。

跡形もなく流され、崩され

その上に大きな倒木が流れ着き

その倒木が、生き残った立木に凭れ掛かり

そこに中小の流木が引っかかって止まっていた。

IMG_0123芝生はいたるところで裂けて土がむき出し

大量の砂利と、大量の土が

運び込まれて、流れの姿を残し

あちこちに大きな穴と裂け目が出来

泥水を貯めていた。

IMG_0124札内川堤外の憩いの場である

運動公園の施設は

全て破壊され

札内川は

太古の時代の

河原の姿に戻りつつあった。


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旭川出張

8月31から9月3日まで、

IMG_0043旭川へ出張します。

平成28年度北海道地区学会と、第67回北海道獣医師大会に、

出席参加します。

8月31日(水)は昼から、プロダクションメディスン研究フォーラム2016にも参加し傾聴します。

IMG_00429月1日(木)は、地区学会を傾聴します。

同日の夕方には獣医師大会に出席し、そこで私は、

我が町内の犬猫病院長のO橋先生の代わりに、

代理で表彰状を受け取る役目をおおせつかってしまいました。

IMG_0037これは全く初めての経験なので、正直照れ臭いです(笑)。

その後のパーティーには、もちろん出席します。

パーティー会場で豆作を見つけたら、

どうぞ気軽にお声を掛けてください!

IMG_00389月2日(金)は産業動物部門の第2会場で、

私は本名で(当たり前か・・・)発表をします。

エントリーNoは78番なので、時間は11時20分頃になる予定です。

久しぶりの発表なので、照れと緊張と懐かしさを今から感じています。

IMG_0039演題は「腹腔洗浄によって回復したミニチュアホースの腹膜炎の1症例」

興味のある方は、どうぞ聴きに来てください。

そして、遠慮なくガンガン質問していただけると嬉しいです。

馬の研究発表の会場に組み込まれたので

IMG_0040我が敬愛する同窓のドクターhig先生の発表なども同じ会場で

興味深い発表が沢山拝聴できそうで、楽しみです。

その夜もまた旭川市内のホテルに宿泊し

9月3日(土)の朝出発するノースライナー(都市間バス)で帰る予定です。

できるだけ多くの学術情報を吸収し

できるだけ沢山の人との出会いを求め

充実した楽しい3泊4日の出張の旅をしてこようと思っています。

IMG_0044ただ・・・

非常に気がかりなのは・・・

今、家の外で荒れ狂っている風と雨・・・

台風10号による暴風雨が十勝地方を襲っている・・・

半端ではない、すごい音がしている・・・

我が街を流れる札内川の上流の雨量がヤバく・・・

札内川の水位は警戒水域を超えたらしい・・・

札内川の河川敷に近い町内会には避難勧告が出されたようだ・・・

うちの町内会はまだ大丈夫だが・・・

明日(31日)の朝、無事に

旭川行きのバスが出てくれるといいのだが・・・


※十勝毎日新聞電子版からの情報

台風10号の接近に伴う大雨の影響で、帯広市は31日午前2時20分、災害対策本部を設置。同2時半、十勝川と札内川に氾濫の恐れがあるとして約1万6730世帯、約3万2110人に避難勧告を出した。

帯広開発建設部と釧路地方気象台は31日午前3時20分、十勝川に氾濫危険情報を発表した。氾濫危険水位に達し、氾濫の恐れが高まっている。

 浸水想定地区は、帯広、清水、芽室、音更、幕別、池田、豊頃、浦幌


これは、もうダメだな・・・(泣)


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