北の(来たの?)獣医師

北海道十勝地方で牛馬を相手に働く獣医師の最近考えていることを、 散文、韻文、漢詩 でつづったものです。

テレビの吹き替え

ずっと前から気になっていることがあるのですが、テレビに出てくる外国人の日本語の吹き替え。インタビューなんかで外国人がすごくフレンドリーでなれなれしくしゃべってるでしょ、あれ本当にそうなのかなぁ。「ぼくは○○なのさ」とか「そうよ△△ね」という具合。
特に子供の吹き替えはスゴイですね。外国の子供がやたらとなれなれしい。日本の子供があんなコメントしたら、抗議殺到じゃないかな。テレビ局の人が勝手に、子供というのはこうあるべきだという価値観を作ってしまっている。というか、日本人の先入観がテレビ局をそうさせているのか。
さらに、国によっても微妙に違った色分けを感じる。一番なれなれしいのはアメリカ人、イギリス人はちょっと紳士に、ブラジル人はセクシーで情熱的、フランス人はなぜかエレガントで粋だ。これに対して東南アジア人のほうはみんな純朴な感じ。中国人や北朝鮮人はどこか固いしゃべりになってる。でも、本当はそんなことないでしょ?、テレビって怖いな。

学者と臨床家(5)

軽種馬農協のCEM(馬伝染性子宮炎)浄化対策会議の後、JRA総研のA先生ら数人と帯広の町へ繰り出しました。A先生とは1992年の腺疫の日本再上陸のときからの縁(私はじつはその時の腺疫の第一報告者なのですよ)。久しぶりに骨のある獣医学者と馬の感染症について話しをすることができた。
学者は病気の診断や治療のプロセスを重視し、飼い主の気持ちを軽視してしまう傾向がある。これに対し、臨床家というのは極端な話、誤診であってもとにかくその病気が治癒さえすればよいと考え、飼い主の意向と結果を重視し、診断や治療のプロセスを軽視しがちである。A先生曰く、どんな症例でも現場の臨床家がまず記録をちゃんと残してくれることから始まる、そこから学者の研究が始まり、それを体系づけて次の症例に役立てることができるのです、と。骨のある学者ほど、現場の臨床家を大事に考えてくれているのだなぁとつくづく思った。
クリスマスイブの夜にこんな話で盛り上がって、私の子供達はもう皆中学生以上だから親父が家空けてもいいけれど、A先生のお子さんはまだサンタクロースを信じている年だそうで、夜空を見上げた顔がちょっと可哀想でありました。

シーズン

昨日はうちの診療所の忘年会、明日は軽種馬農協の懇親会、あさっては息子の部活の父さん達で朝からビールをやりながら餅つき大会、29日はチームミゾッチの忘年会、30日はうちの店の忘年会・・・町内の牛馬たちよ!どうか健康でいておくれ・・・
 露 出

昨夜痛飲息芳香

乾喉飲水貯膀胱

大量放尿納屋角

農婦出現視線合

牛群検診

うまいなぁ検診車本日は晴天。一軒の酪農家で代謝プロファイルテストを実施。30頭の血液検査を行ない、その牛群全体の健康を検診します。牛群改良のポイントは牛のストレスを減らし、良質な草をいかに沢山食べさせるかにあるのです、が、口で言うほど現実は簡単じゃない。

今年はおかしいよ


診療車今日の雪は20センチ以下で済んだけれど、今年の十勝はおかしいです。往診先でも、こんな年末は記憶にないという話ばかり。


往診を一軒残す吹雪かな

羊はいいなぁ

毛布子牛なほ毛布の中で震へをり

学者と臨床家(4)

さらに加えて、牛馬を使った実験系を作るのは、医学の人体実験よりもずっと困難なのです。人体実験は、命にかかわるもの以外は、お金を出して被験者を募ることができるし、被験者達に実験の目的を理解させることは容易であります。しかし、牛馬の場合は飼い主という存在があります。彼らはは自分の大切な財産を実験に使われるのは強い抵抗がある。実験をしたくても彼ら飼い主を納得させるだけの予算もない(笑)。人医学と獣医学の予算の出所はまったく違うのです、人医学は厚生省、獣医学は農林省。人の命と牛馬の命は、その価値に雲泥の開きがあるのは言うまでもないことです。当然予算のほうも雲泥の違いが出てくるのは想像に難くないのです。

学者と臨床家(3)

獣医学に限らず、自然科学のデータというのは再現性が求められる。あなたの研究で出したデータの有効性を追試でもう一度確かめます、ということになる。マウスやウサギなどを使った実験データであれば、ほとんど同じ条件で追試を行うことが可能である。イヌやネコでもまぁかなり精度の高い追試はできるでしょう。しかしこれが牛や馬となると・・・実験用の牛馬をそろえるのは大変な設備と手間とお金がかかる。人手もすごくかかる、さらに高等な動物を実験動物にするとなると動物愛護の倫理にも引っかかってくる。
ある学者がAという薬品をA群の牛に注射したら牛が元気になったといっても、違うところで行う追試では薬品Aはあっても牛群Aを作ることはまず不可能に近い、気候風土の違う牛群BやCを使わざるを得ないのだ。ある薬が牛や馬にとてもよく効いたからといって、それを別の牛馬でやってみるとサッパリ、ということが臨床現場ではよくある。牛馬に関する獣医学術データというのは、マウスやウサギでのデータと違って、いかにアバウトなものか、ちょっと考えただけで解りますよね。
 

雪1雪2こういう日の往診もまた時間がかかる。雪が止んでしばらくすると、また北風が吹いてブリザード(地吹雪)になる。

依田明倫氏からの電話

踏む牛に割れぬ氷となりにけり
という私の句を依田明倫氏がこう評してくれました、「牛を詠んでいるのか氷を詠んでいるのか、もう少し対象に踏み込みなさい」と、そして添削句
踏み込んで牛には割れぬ氷なり
ううむ、さすがホトトギスの快男児?!明倫氏に感謝

ブリザード

ブリザード2ブリザード3こういう日の往診は時間がかかる

岡ちゃん

Jリーグは横浜マリノス強いなぁ、連覇しましたね。注目は何といっても岡田監督。コンサドーレ札幌をあっさりJ1に昇格させて去って行ったと思ったら今度は横浜M連覇でしょ。外見は身近にいそうなイケてないおっさん風で決してカリスマ性はない。でも昨日のテレビでのコメントが印象的だった。

「選手の力を認めることです」

フランスW杯の時には三浦カズと北澤を外したり、厳しいところも当然あるけれど、どこか深いところで選手を認めているのでしょう、それは選手への尊敬と愛情と言ってもいいのではないだろうか。

 

 得点一瞬

蹴球放映興奮観

試合接戦皆不動

尿意限界慌用足

決定場面遂見逃



 

女の二人や三人

昨日夜遅く、私の敬愛する大先輩H獣医師が、突然うちの店(我が家の一部は妻が飲み屋を開いています)にオバサン二人を引き連れて飲みに来てくれました。二人というのはH氏の往診先の酪農家の奥さん達で、忘年会のホテルが偶然H氏と同じだったらしいのです。H先生ヘロヘロに酔っぱけて曰く「いいかぁおまえ、男はなぁ、いつでも女の二人や三人飲みに連れ歩けるようでなかったらダメなんだぁ」。その女というのが農家のオバサンというのが笑っちゃうけど、でもこれ、じつはとてもスゴイことなのですよ。農家さんから嫌われていたり、距離を置いてつきあっている獣医では絶対こうは行かないのです。H氏はまさに臨床家の鑑!!あぁ私も将来農家のオバサン達とはしご酒してみたいなぁ。そういう獣医師に、私はなりたい・・・。

学者と臨床家(2)

1+1=2 というのは学者の世界なら当たり前でこれ以外にはあり得ない。獣医学者というのは牛馬の中にこの論理的な、誰も反論することのできない無情なシステムを実験や調査を用いて発見し、学会で認められた人たちのことです。

これに対して臨床家というのは牛馬の飼い主と精神的な絆すなわち信頼関係を結んだ人たちのことです。一生懸命誠意を見せて飼い主の牛馬を治癒させたり、たまたま飼い主と相性が良かったりしながら信頼関係を築いてきた人たちのこと。臨床家の世界は1+1=3にも4にもなりうるし、信頼がなければいつまでたってもゼロなのです。

「獣医学-論理−無情」と「臨床家-信頼−人情」われわれ獣医師は自分の中に、いつもこのまったく異質な二つの要素が存在していることに気づき、それを明快に理解していなければならないのです。私の話はここからやっとスタートするのですよ。

一句

降る雪を初めて子牛見ておりぬ 降る雪を初めて子牛見ておりぬ


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ブラックアイスバーンを往診

スケートリンクで自動車を運転したことありますか?昨夜から今朝にかけての十勝地方の道路状況は最悪でした。今朝の往診は親牛の分娩後の子宮脱、子牛を産んでから勢いあまって自分の子宮までふんばり出してしまうのです。大きな袋をひっくり返したような子宮が母牛の陰部から垂れ下がっていて、子牛と連結していた胎盤が真っ赤なオハギのようにそのピンク色に裏返った子宮にぶつぶつとくっついています。これをきれいに消毒してエイヤッと母牛の体の中に戻してやるのです。母牛がふんばり返してくるのでこれがけっこう重労働なんだよね、でも今回はうまくいきました。それよりも今回は行き帰りの車の運転のほうが疲れましたね。

学者と臨床家

私は獣医師として牛馬の診療を始めて20年を迎えようとしています。最近の獣医師の診療技術は20年前に比べると、牛馬の病気をを科学的な目で見ることに関しては大変な進歩があります。感覚でやっていたことがどんどん数値化されてゆく。これは、獣医学にとって素晴らしいことであります。病気をアナログで捕らえていたものがどんどんデジタル化されて来た。臨床のデータが記録され蓄積され分析されて来た、ところがなのですよ・・・せっかく科学的な進歩をしている獣医学を、われわれ臨床家は上手に使いこなしていないんです。

獣医師の世界の人間を大雑把に分けると、学者と臨床家に分けられる。学問の世界と人情の世界といってもいい。この二つのものをしっかりと認識しておかないとおかしくなってしまうのですよ。医者の世界と同じだね。・・あ・往診が入ってしまってのでこの続きはまた後ほど(笑)

 

今度は地震かよ


地震余話


緊急避難大地震


便所安全一般信


伝統和式要注意


香汁跳上足元浸




 

二句

土地勘で回る往診吹雪の夜


初雪のすでに大雪北の町

夜間往診

じつは、昨日の深夜1件難産の往診があり、子牛♂体重約50漸畭膸をひっぱり出してきました。産道が狭い初産の親だったので出てきた子牛の顔や舌べろがむくんでパンパンに腫れて宇宙人(宇宙牛)のようでありましたよ。でも昨日の午前1時ごろはまだ雪の降り始めだったから、牛やさんまでたどり着けたけど帰りはもう吹雪、今日の朝だったらもう車が埋まっちゃって往診アウトだったと思いますよ。
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