1+1=2 というのは学者の世界なら当たり前でこれ以外にはあり得ない。獣医学者というのは牛馬の中にこの論理的な、誰も反論することのできない無情なシステムを実験や調査を用いて発見し、学会で認められた人たちのことです。

これに対して臨床家というのは牛馬の飼い主と精神的な絆すなわち信頼関係を結んだ人たちのことです。一生懸命誠意を見せて飼い主の牛馬を治癒させたり、たまたま飼い主と相性が良かったりしながら信頼関係を築いてきた人たちのこと。臨床家の世界は1+1=3にも4にもなりうるし、信頼がなければいつまでたってもゼロなのです。

「獣医学-論理−無情」と「臨床家-信頼−人情」われわれ獣医師は自分の中に、いつもこのまったく異質な二つの要素が存在していることに気づき、それを明快に理解していなければならないのです。私の話はここからやっとスタートするのですよ。