昨日乳房炎のことを書いたのは、何か潜在意識の中に気になることがあったからなのかもしれない
今日の往診受付に昨日乳房炎(+血乳症)で診た牛の飼主から、牛が昨日より調子悪くなったという電話が入りました
気になったので朝一番で牛舎に着いたら、飼主から「今朝搾乳した時はまだ立っていたんだけれどなぁ」という稟告、昨日の牛は起立不能に陥っていたのです
乳汁の細菌検査結果を確認したところ、A分房より大腸菌検出
うーんこれはまずい・・・
起立不能に加えてT39.9℃P116R速迫、眼球陥没、意識朦朧、知覚麻痺、甚急性の症状である
高張食塩水を2ℓ血管注射してから自然飲水が無いのでカテーテルで強制的に水分を補給、抗生物質の投与をして、ひとまず別の家の往診へ
3時間後にまた来て再び大量補液を行なったところ、意識が戻ってきた・・・
自発的に水も欲しがり飲むようになった、さらに起立意欲も出てきて、眼球の陥没も軽減し脱水症状が緩和されたようだ
なんとか助かったかな・・・
という感触を得たので、じゃぁ明日また来るからと言って、次の家の往診へ
 
臨床獣医師というのは、場当たり的なところがあり、次の家の牛を診始めたらそれに集中するので、前の家の牛ことはもう翌日の往診時まで忘れてしまうことが多いんですよ(私だけなのかなこれ)
そんな仕事の繰り返しで、夕方事務所に戻りコーヒーを飲んでいたら
一軒目の飼主から電話が来た
 
「いやーあの牛、今さっきいっちゃったよ・・・」
「ありゃー・・・」
「あっというまだったなぁ」
「うーん・・・血乳とかに惑わされて、大腸菌対策が遅かったかな・・・」
 
実はこの牛、昨日は血乳で普通の乳房炎を併発したものとして、止血剤とペニシリン系の抗生物質だけを投与していたのです
大腸菌感受性の抗生物質をつかっておけば・・・という悔しい一例になってしまった
 まだまだ修行が足りぬ、臨床家の私・・・