昨日の午後からの往診には、馬が2件。

その1件目Шさんの牝馬の発情鑑定。

3月7日に分娩、30日たったので、ということだ。

普通は、種馬持ちに来てもらって、当て馬をしてゆくところだが

「当て馬に来てもらったら、その馬、つけなきゃ悪いでしょ・・・」

Шさんは、お客の少なくなった一般の種馬屋さんに気を使っている。

気を使いつつも、(独立行政法人)十勝牧場のペルシュロンの人工授精を予定している。

そこで、登場するのが

利害のしがらみのない、共済の獣医師となる(笑)。

要は、獣医師が当て馬代わりになって、発情鑑定をするのだ。

当て馬と同等、いやそれ以上に正確な

この牝馬の発情周期を診断しなければならない。

まず外陰部の色と緩みを診る・・・なんともいえない若干の緩み。

直検にて子宮の緩みと卵胞の有無を診る・・・子宮はやや緩め、卵胞はすべて40mm以下で、主席卵胞なし。

「まだまだ、発情までは時間がかかるみたいだけどね・・・」

と私は言いながら、腟鏡を挿入し、子宮外口(頚管)の視診に移る・・・と・・・

子宮外口は大きく緩み、発情時のような所見だった。

「あ・・・けっこう緩んでますねー、これは・・・もしかして、終っちゃったかな?」

「やっぱり・・・7日前くらいから、どうも様子が変で、発情っぽかったんだよね。」

「排卵してから2〜3日、っていう所みたいですね。」

発情鑑定のポイントは、過去から未来にわたる排卵日の推定である。

これができれば、すべての交配計画が立てられることになる。

「じゃあ、今度は再来週から、診て行きますか。」

次回の発情周期は逃さぬように、2週後の再検を約束して、Шさん家を後にした。

Шさんの家に当て馬がいれば、また、Шさんが人工授精をしなければ

このような発情鑑定の仕事は、たぶん無くなるのだろう。

でも、無くなったら寂しいので、Шさんには

いつまでもこのままのスタイルで馬を飼っていてほしいなぁ・・・

      *    *    *

コトブキの孫ばんえい競馬用で一世を風靡した

重輓馬の名馬「マツノコトブキ」の

孫にあたる当歳馬、♂、鹿毛。

マツノコトブキの特徴である

高く盛り上がった鼻梁。

爺さんの特徴が良く出ている子馬だ♪