和牛の去勢の準備に取り掛かっていると

飼い主のαさんは、これから去勢される牛になにやら話しかけている。

「パパはねー、こういう事ほんとは好きじゃないんだよー、ゆるしてねー。」

去年の12月生まれにしては、体格がずいぶん小さい。

「この牛、すっかりひねちゃってね。この体格でしょ・・・負け組、ペットみたいなもんですよ・・・それでも売るんだったら去勢しなきゃ売れないよ、って言われて。・・・あれー?、お兄ちゃん・・・泣いてるのー?」

αさんに保定してもらって、得意の二玉同時捻転法(豆作法?!)で無事終了。

「これやったらなんだか、こっちまで、ちんこの奥が2、3日ぎゅーって痛いようで・・・あぁーっ・・・」

αさんのしゃべりが可笑しくて、私は術中ほとんどクスクス笑っていた。

「あ、もう終わったんですか?よかったー・・・じゃなよいねー、かわいそうにねー。立派にお毛も生えてたのにねー。でもなんだかすっきりしたねー、お兄ちゃん。」

去勢ひとつで、これだけ楽しめる農家を私はほかに知らない。

1頭だけで帰るのは、もったいないなー(笑)