「若牛(未経産)も何頭かスタンチョンに入れてるんだね。」

私は▲さんの牛の直検(繁殖検診)をしながら言った。

▲さんは経産牛30頭に満たない身軽な経営である。

「うん。まぁ、たまたま空いちゃったもんだからね。こっちに入れちゃったのよ・・・搾りの牛買ってきたら高いでしょ。こうやって自然に増やすの、これが一番金がかかんなくていいい・・・でもね、農協はいいこと言わないんだなこれが。」

「もっと沢山搾れ、って?」

「そう。金貸すから、もっと買って搾れって言う。やつらは金貸しなんだ。・・・牛屋にたくさん搾らせて、手数料稼ぐことばっかり・・・」

「銀行と同じだね。・・・はい、これ妊娠プラス。」

「デカイ銀行なんてさ、パンクしても国が公的資金を注入して助けてもらって、いいよなー。今度は銀行じゃなくて、JALもそうなる、いいよなー。JAL退職したOBのために公的資金なんてね。」

「まぁ、JALつぶれたらまずいからね、帯広から東京飛ばなくなったら困るし・・・」

「このあいだ、東京便乗ったら、スチュワーデスがえらく年増の不細工でさ、それがシートベルト以外にもテーブルだ背もたれだなんだかんだって、こうるさくて、参ったんだよな。宝石は売りにくるし、なんかスチュワーデスも質落としてんじゃねーのかな。キャビンアッテンダントとか何とか言いやがって。」

「(笑)、・・・はい、これもプラス。」

「国営化に逆戻りもどーなのかね。郵政だって俺は、民営化されてよかったと思ってるよ。あのガマガエルみたいな顔した亀井大臣はどーするつもりなんだか・・・」

「民営化で、郵便局員の挨拶はよくなったね。」

「そうでしょ。オらの部落のあんな小さい所に局長と部下2人もいたんだから。民営化前なら3人ともロクな挨拶しなくて、何様よって感じだった。臨時に雇われてた■の爺さんなんて午前中1軒配達して、あとは家の畑起こしてたからね、それで給料もらってんだから、どーもならん・・・」

「・・・うーんと、これは嚢腫。LH(-RH)打つからね。」

「次は・・・と、これも若牛。未経産。」

「生産調整してるわけじゃないんでしょ(笑)。」

「ははは。今年は年度途中の緊急対策は、まだないよ。」

「2年前にあった、AタイプとかBタイプとか言うアレね。」

「あんなの、オらに言わせたら、まったくけしからんね。」

「・・・はい、これはプラス。」

「生産過剰になったのはさ、年度枠の実績無視のデカイ牧場に自由に搾らせたからなのよ。いきなりどーんとでっかくして参入して、ガンガン搾って。」

「・・・はい、これもプラス。」

「余っちゃったのは奴らのせいなんだから、まずはそいつらを出荷停止にすべきだったんだ。」

「・・・これは、・・・排卵した後みたいだね。」

「農協は金貸したいもんだからさ、デカイ所にやれやれって規模拡大やらせといて、乳余ったらさ、組合員あまねく均等に生産調整・・・そんなのあるかって。」

「うーん・・・たしかに・・・。」

「そういう生産調整のところだけ『協同組合』なのよ(笑)。堅実にやってるところは馬鹿を見る、強者の味方の『金貸し』なんだから。」

「なるほど(笑)・・・はい、これもプラス。」

「えっと、・・・これで終わりだね、以上です。」

久しぶりに、▲節を聞きながらの、楽しい時事放談・・・じゃなくて繁殖検診だった。

 直検は手ですべし、頭でするべからず。

 牛の過去を信じて、未来を疑え。

というのが私の繁殖検診のモットーだ。

ちなみに

放談の内容についてはすべて▲さんのご意見。

私はすべて聞き役なんで、あしからず(笑)