搾乳牛が突然の食欲廃絶、可視粘膜蒼白、黒色タール状便・・・

貧血牛写真では、左の牛。

以前、私はこの症状の牛を一目見ただけで

第四胃潰瘍であろうと、勝手に診断していた。

私自身も十二指腸潰瘍を何度かわずらい、同じ症状で苦しんだことがあったので、他人とは思えず(笑)、過去のブログに書いたこともあった。

しかし

獣医学はそんなに簡単なものではなかった。

「家畜診療」56巻6号(2009年6月)p331〜に、NOSAI山形の先生が、この症状を見せる病気について、詳しく報告されていた。

上記の症状を見せる牛のことを

『出血性腸症候群(Hemorragic Bowel Syndrome)』略してHBSと呼ぶのだそうだ。

詳しくは「家畜診療」を見ていただきたいが、病巣は第四胃よりもむしろ空腸にあるらしい。

報告の中の死亡例からは、空腸の限局性の出血や、空回腸の広範囲の斑状出血などが認められたという。

私の場合は十二指腸だったので、その中間?(いっしょにするなって)

HBSの原因として有力視されているのは、アスペルギルスフミガタス(Aspergillus fumigatus)という飼料中のカビなのだそうだ。

私の場合は、ヘリコバクターピロリでしたが・・・(わかったから)

発生農場の約半数は大型フリーストールで、8割以上が輸入乾草飼料を給与していたそうだ。

報告の11例中、治癒したのは6例。

すばらしいのは、治癒した症例も個体の追跡を続け、その後剖検を行い小腸に肉眼病変を見つけていることだ。

「今後、飼料の汚染状況の調査と、アスペルギルスの消化管内における定着および増殖を阻害するとされる飼料添加剤の使用や、乳牛のストレス軽減を含めた予防策を構築する必要がある。」

と結んでいる。

私は、今までの安易な診断を反省しなければならない・・・

と同時に、NOSAI山形の先生方に敬意を表したい。