分娩『予定日』というのは、一般的に

最終受精日から数えて、その動物固有の妊娠期間が満了する日、のことである。

たとえば、ある牛の受精日が4月15日ならば、牛は妊娠期間が285日と言われているから

えーと・・・普通は、受精日から3ヶ月引いて10日足す方法で暗算して、1月25日が分娩予定日となる。

またたとえば、ある馬の最終交配日が4月15日ならば、馬は妊娠期間が335日と言われているから

普通は、交配日から1ヶ月引いた3月15日が分娩予定日となる。

『予定日』という言い方は、わかりやすいが、我々が勝手に予定を組んでいるに過ぎず

過去の経験やデーターによる平均値、最頻値であるから

実際には『予想日』である。

予想というのは、おおむねズレたり外れたりするものである。

もし、動物が予定日通りに分娩する確率を調べたならば、どれくらいになるのだろう?

牛と馬とでは、予定日通りに分娩する確率は、どちらが高いのだろう?

予定日からズレるズレ幅、すなわちバラつきは、どちらが大きいのだろう?

馬の繁殖シーズンを迎えて、そんなことをふと考えていた。

「当たり(予定日)から20日以上もたってるんだけどなー・・・さっぱり乳張って来ないんだよなー・・・こいつは毎年そうなんだよなー」

ベテランの馬屋さんのAさんは、よくそんなことを言っていた。

「この馬はね、いつも1カ月早く生むのよ・・・」

また別の馬屋さんのBさんは、毎年そう言って、馬もおよそ、その通りに産んでいた。

しかし

牛の分娩を管理する人たちからは、あまりそういう話を聞いた憶えが無いのだ。

予定日からいつも20日も30日もズレて分娩する、というのは

馬ではよくある話だが、牛では珍しいのではないだろうか。

馬のほうが分娩日のばらつきが大きいのだろうか。

ただ

ここで私の経験で言及している馬は、重輓馬のことである。

軽種馬は、すっかり居なくなってしまったので、よくわからない。

飼養管理(特に冬場の)の違いによる、バラつきもあるだろう。

上記のAさんは、冬でも昼夜放牧であり、Bさんは冬は舎飼いである。

冬場の管理は、馬の分娩への影響が非常に大きいことが知られている。

しかし、それをコントロールする技術マニュアルのようなものがなく

飼主が自己流で勝手にやっているのが現状である。

冬季飼養管理および分娩コントロールマニュアルが

重輓馬では、確立されていない・・・のか・・・

いや、そうではなく

ちゃんとした技術マニュアルを作ってこなかった

我々獣医師に、責任があるんじゃないのか・・・

ということは

重輓馬の分娩日にバラつきが大きいのは

我々重輓馬の生産現場の獣医師の

不勉強のせい、なのかもしれない。

まずいな、これは・・・