私の同僚獣医師であり、かつ

575王国のメンバーでもある獣医文芸派(!?)仲間の

頑黒和尚氏が、北海道から宮崎の口蹄疫の発生現場へ赴いて

殺処分などの仕事に当たっている。

先日から私の元へ、現地で詠んだ575作品を送ってくれている。

本人の許しが出たので、その作品を紹介したい。


 今、口蹄疫防疫最前線におります。
 
 そんな中、感じた句を雑感としてご連絡します。
 
 ・千歳空港に向かうとき
 
  前掻きをする手を抑え深呼吸
 
  錆び付いた手腕に落とす油かな
 
 ・宮崎県庁到着
 
  現場にてまさか自分が生中継
 
  フェニックス羽折れるまで羽ばたけよ
 
  行くも地獄残るも地獄釜の中
 
 ・現場にて
 
  運搬車農家の匂い積んでくる
 
  瞬きもせずに天空見上げる目
 
  ハンギング顔寄せ黒きツリーかな
 
  梅雨空に目を見開いて処分牛
 
  やる宛てもない飼料箱蝿集る
 
  つなぎ縄最後の餌と処分牛
 
  道内のNOSAI職員意気軒昂


 メールありがとうございます。
 
 どうぞお使いください。
 
 それで、牛の供養になるのであれば本望です。
 
 たしかに、現場での作句はつらいものがありますが、インターバル   のふとした瞬間にひねるようにしております。



 いま、厄払いから帰ってきました。
 
 私の姿が日曜日のNHKで映っていたとか。やられました。
 
 今日は暑い!日差しが強い!
 
 ということで、軽い熱中症になり、現場で作句したものはすべて Pa-です。これもまた現場の現象です。
 
 思い出しだし、雑感句。
 
  鳥や牛すぐに鳴き止むF15
 
  あやめてもまだ鳴き止まぬ牛の口
 
  牛の声止めばヤマドリ木霊する
 
  弁当に角突き刺さる元気牛
 
  水を飲む先から乾く亜熱帯
 
  亜熱帯そげコツ言ったら亜寒帯
 
  熱中症頭の回路ブチ切りす
 
 以上。くだらない句ばっかりですまん。
 
 明日は中日。怪我無く業務を全うします。
 
  頑黒之和



とにかく、句を読めば

現場がどういうものか、少し感じ取ることができるのではないだろうか。

いろいろな伝達メディアのある中で

575というツールは、短く簡潔。

手軽ではあるが、ごまかしが効かない。

北海道に居て、他人事だと思っている獣医師への皮肉もチラリと感じられる。

頑黒和尚は北海道出身なので

九州の暑さに、かなり参っているようだ・・・

健闘を祈りたい。