DVC00042妻が経営している場末の飲み屋、その食品衛生責任者は夫の私がなっている。

そんな理由で先日、講習を受けてきた。

開店して15年、今まで講習など受けなくても良かったのだが

平成15年の法律の改正により

講習を受けなくてはならなくなったのだ。

きっと退屈な講習会なんだろうな・・・と思って重い腰を上げて聴きに行った。

ところが、ところが・・・

これが、とても面白い講習会だった。

講師の先生の話が上手だったこともあるが

おそらく、大学時代以来となる「公衆衛生学」の講義の

それも現在進行形の最前線の公衆衛生の話だったので、たいへん興味深く聴かせていただいた。

すべてをここに書くのは到底無理だが

講師の先生が熱弁をふるって話していた事の一つを書いておこう。

DVC00040『食品安全基本法』という法律をご存じたろうか。

これは平成15年(2003年)に制定された法律で

日本の食品衛生の根幹となる法律なのだそうだ。

この法律の画期的なのは、その目的、基本理念だという。

すなわち

「国民の生命及び健康の保護」

なのだ。

今となっては当たり前の考え方のようだが

当時、存在していた古い食品衛生法の

食品に対する法律の基本理念というのはそうではなく

その文言というのは

「・・・もって、公衆衛生の向上及び増進に寄与する。」

という、健康よりも産業発展の重視とも取れるような

曖昧な表現によって結ばれていた。

それが

この『食品安全基本法』では

「・・・もって、国民の健康の保護を図る。」

という、国民の健康を護る

という文言がはっきりと入ったものになったのだ。

法律の目的が

産業保護から健康保護へと

大転換したのである。

しかも、この『食品安全基本法』は

諸々の法律の中でも位の高い「基本法」であり

その所管も、農水省や厚労省ではなく

内閣総理府の消費者庁にある。

わが国の食品に関する考え方は、この7〜8年の間に大きく変わったのである。

その理由は・・・

ガット・ウルグアイラウンド合意を発端として

わが国の食品の流通はタガが切れたように増大する。

それにつれて、大規模な食中毒(平成8年のカイワレ菜のO−157、平成12年雪印大樹工場ブドウ球菌)

あるいは、平成13年の肉骨粉によるBSE、平成14年牛肉の偽装事件、など

食品の安全性を脅かす事件が相次いで発生するようになる。

そんな背景から誕生したのが

平成15年の『食品安全基本法』、というわけである。

その理念の第二項には

「食品の供給に関する一連の行程の各段階における安全性の確保」

という文言も明記されている。

これはどういうことかというと

食品が誕生する最初の段階から

最後の国民(消費者)の口に入るまで

一貫した、安全性の確保がなされなければならない、ということなのである。

つまり・・・

話を我々に関係のあるところの

牛馬に限って言うならば

仔牛や仔馬が生まれたら

それらは食品になる可能性があるわけだから

そういう仔牛や仔馬の病気を治療する場合

その時点で、もうすでに、食品としての安全性に配慮した治療を施さねばならない

ということなのである。

それを聴いて、私はようやく

この数年、普段使う薬に対する規制がやたらと厳しくなった理由が、わかったのだ。

そして、ここに至って、今更ながら

私は、牛馬を診療するという普段の仕事が、食品を扱う仕事なのだ

という意識を持って、やらねばならないことを実感したのであった。

ただねぇ・・・

牛はまぁ

ある程度すんなりと

そう思えるのだけれど

DVC00041馬は

いきなり食品とは

なかなかねぇ・・・






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