「1点を通る直線の数は無数にあるが、2点を通る直線の数は1本である。」

そんな文言が、幾何学の教科書にあったかどうか

は定かではないけれど

「1本の直線は2点によって定まる。」 

というこの真理には、なかなか奥深いものがある。

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牛や馬の繁殖検診において

ある日、直腸検査によって1つの卵巣の所見を得たとする。

その所見が、これからどの様に変化してゆくかを推測し

授精の適期を探り、畜主にさまざまな助言をするのが、繁殖検診の目的である。

しかし

1回だけの卵巣所見から、その中で盛衰する卵胞や黄体の動きを推測するのは

なかなか至難の業である。

その所見が、今後どのように変化して行くかが

なかなか判らないからである。

そこで

数日あるいは十数日経過してから

もう1度、同じ個体の卵巣の所見を得ることが出来たならば

その個体の卵胞や黄体の動きが、たちまち具体的に、想像できる様になる。

すなわち、静止しているのか、正常周期で動いているのか、動きが異常であるのか

そういう変化が、2回目の所見を得ることによって、よく見えてくるのである。

つまり

卵巣の動きを、1回だけの「点」から

2回診ることによって、「線」でとらえることが出来るのである。

「点」には方向も長さもないが、「線」には方向があり長さがある。

その個体の卵巣が、どういう方向へ変化してゆこうとしているか

そして、どんな速度で、どのあたりまで進んだのか

同じ個体の所見を、日を置いて2回診ることによって

そんな卵巣の「動き」を、良く理解できるようになるのである。

かつて

私が駆け出しの頃

馬の発情鑑定法を身に付けるために

同じ個体を必ず、数日あけて2回以上、直腸検査させてもらったものである。

そうやって、卵巣を「線」で、すなわち「動き」で把握することに慣れてくると

別の個体を初めて診たときでも

1度診ただけで、その「動き」をある程度推測して、ものを言うことも可能になってくるのである。

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最近の牛馬の獣医師は、大変忙しい。

繁殖検診も、以前よりずっと忙しく

頭数ばかりをやたらと多くこなすようになったと感じている。

頭数の経験を積むことも大事だとは思うが

若い、経験の浅い獣医師諸君をみていると

一軒の農家の同じ個体を、何度もじっくりと診る

ということが、少なくなってきているのではないだろうか。

繁殖検診は

「点」の所見ばかりたくさん経験しても、それのみでは片手落ちであろう。

「線」でとらえた経験を、積み重ねることも、同時に大切なのである。

そのほうがきっと、上達も早いのではないか

と、私は思うのだ。

若い獣医師諸君は

1軒の農家の、同じ個体を記憶(記録)しておいて

それを何度も追いかけて検診してみていただきたい。

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DVC00960私のお気に入り徘徊散策コースには

柳の木が、あちらこちらに

無数といってよいほど生えている。

春の芽吹き時は、それらの「動き」が活発だ。

DVC009731つの柳の木の、同じ枝を

何日か後に又見ると

「動き」が良くわかり

この柳の木をよりよく理解できたような

そんな気がしてくる(笑)


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