先日、巨大な超過7ヶ月の長期在胎児を分娩したдさんの親牛は

その後、毎日治療が続けられた。

治療を続けること、7日間・・・

昨日は、私がдさん宅へ往診に行った。

初めは起立困難だったが、次第に寝起きがスムーズとなり

胎盤も強固に付着し、産褥熱もあったのだが、その胎盤停滞も除去され

DVC00020ようやく、解熱し

食欲も出てきたようだ。

「どれくらい食べるかな?」

「うーん・・・普通の半分くらいっすね。」

дさんの息子さんが答えた。

「乳はどう?・・・出る?」

DVC00022「うーん・・・と、そうっすねー・・・、1日2回で、15〜6キロくらい・・・かな。」

「お、出るんだ。」

「はい。まー・・・自分の食い扶持くらい!?、ははは・・・(笑)」

「よく出るようになったね。この病気やると、全然出ないことも多いって言うんだけど。」

「腹に入ってる間ずーっと長いこと様子見てて、最近急に乳が張ってきたから、あっ、やべーっ、産みそーってこっち連れて来たら、あんなだったっすから・・・(笑)」

「乳が張ってくるまで産ませないで粘ったのが、かえって良かったのかもしれないね。」

「そっすかねぇ・・・」

「これからもう少し食うようになれば、も少し乳も出るようになる?!・・・といいんだけど。」

「そっすね・・・、ちょっと利益出るくらいにね、ははは・・・(笑)」

親牛は何とか、復帰の目処がたったようなので

抗生物質と栄養剤の投与を止めて、様子を見ることにした。

DVC00023後はこの牛自身の力と、дさんのケァにまかせる事にした。

きっと何とか復帰してくれるだろう、と思っている。

ところで

長期在胎の乳牛の例はあまり多くはないが

不幸にして、発見してしまった場合

どのような対応をして

どのような処置をすべきなのか?

まずは正しく診断して

それぞれの状況に応じた判断をして

的確な処置を選択すべきなのは当然のことである。

今回の例の場合

特徴的だったことは

自然分娩の徴候が出るまで辛抱よく待った、こと

薬剤による分娩誘発をしなかった、こと

である。

そして、そのことが結果として

乳腺の泌乳準備を十分に待ってから分娩させることにつながり

分娩後の親牛の、泌乳牛としての復帰を可能にすることができた

・・・と、考えることは出来ないだろうか。

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