私が手術班の一員になった時に

気を付けていることがある。

それは、手術台に牛や馬を仰臥させたとき

DVC00250写真のごとく、必ず

蹄と球節を、ビニール袋で覆うのを忘れないことだ。

蹄や球節をこのようなもので覆いかぶせると

たとえその牛馬が、ばたついて暴れても

手術中の術創への落下菌を予防できる。

落下菌対策は

術中、おとなしい牛ではさほど気にならないが

暴れる牛では絶対に必要である。

DVC00246しかも

足袋をしていない時、術中に一度でも暴れたら

後から慌てて足袋を履かせても

それはもう、手遅れである。

術野を切リ始める前に、この足袋を履かせるのは

当然といえば当然である。

DVC00247足袋を履かせるのには

数十秒の手間しかかからないし

市販のビニール袋なのでお金もかからない。

ところで

ここで私の個人的な意見を言わせて頂きたいと思う。

これは我が診療所にとどまらず

きっと、どこの診療所でも言える事だと思うのだが

牛の獣医師の間では、未だになかなか

足袋を履かせるまでの衛生意識の徹底が

出来ていないようなのである。

全国津々浦々の診療所の獣医師から

いろいろ情報を聞くところによれば

牛の手術をした後

1ヶ月くらい経って

術創が腫れてくる牛を診る事は

残念ながら、今でもしばしばあるようである。

その時、どんな獣医師でも

嫌な気分を味わうものである。

術創の化膿は

明らかに獣医師の責任であり

1頭でも減らさなければならない。

もちろん、全ての化膿の原因が

足袋の装着の有無にあるわけではないが

だからといって何もしないのでは、全く進歩がない。

気付いたところから、出来るところから

着手し、実行してゆくべきであろう。

とりわけ、スタッフの多い診療所等では

主治医と術者が違うことも少なくない。

後で化膿した術創を診るのも

また違う獣医師だったりすることが多く

1つの病気、1回の手術に

複数の獣医師がかかわることになる。

各々の獣医師の手術方法や衛生意識は

常にチェックを入れていないと

ばらばらになってしまう傾向があるのではないかと思う。

毎年毎年

獣医師が異動や定年等で入れ替わり

スタッフが頻繁に変わるような大きな診療所等では

とりわけ

各々の獣医師の

手術方法や衛生意識について

厳しく検討してゆく事は

今後ますます、重要な課題になってくるのではないか

と、私は思っている。

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