ペルシュロン、ブルトン、ベルジァン

この3種類の純血種と、それらの間の交雑種のことを

まとめて、『重輓馬(じゅうばんば)』、と呼ぶようになったのは

ここ15年ほど前からだろうか。

帯広畜産大の祇萓犬蕕提唱された呼称で

私もそれに習って、この「重輓馬」という言葉を使わせてもらっている。

それ以前は

「重種馬(じゅうしゅば)」という呼び方が一般的だったと思う。

これはサラブレッドなどの「軽種(ケーシュ)馬」に対して

対句(ついく)をなす感覚で「重種(ジューシュ)馬」と呼んだのかと思われる。

サラブレッド中心の競馬業界から生まれてきた言葉のようだ。

理解しやすく、耳ざわりも良い言葉なので、今でも「重種馬」と呼ぶ人は多いし

私も臨機応変に使い分けている。

一方、血統登録書には、最近

「重半血種」という言葉ではなく

「日本輓系種」という言葉が使われている。

これは重輓馬を登録する団体が造った呼称のようで

世界唯一のばんえい競馬用の馬なんだぞ、という矜持(きょうじ)が滲んでいて

なかなか面白い呼称だ。

また一方、農業団体では、最近まで

「農用馬」という言葉が使われていた。

トラクターが急速に普及した半世紀前は

『重輓馬』はすべて農用馬だった。

しかし、今では使役用の農用馬は皆無である。

「農用馬」という言葉は

かつての「軍用馬」という言葉と

同じ運命をたどってしまうのかもしれない。

ちなみに

私はかつて

日獣会誌に投稿した論文に

「重挽馬」という言葉を使ったことがある。

発音は同じだが

こんな言葉は、もう誰も使わないだろう。

『重輓馬』という言葉が定着していなかった頃だったとはいえ

今となっては、ちょっと恥ずかしい。

橇や馬車を引っ張る「輓き馬」ではなく

肉にしてミンチをつくる「挽き馬」というわけだ。

だがまぁ、これも

ある意味、当っているような気もするけどね(笑)

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