往診の途中の道路上には

蟻や毛虫のような小さな昆虫から

鹿や熊のような大きな哺乳類まで

実に様々な生き物が通りかかるものである。

その多くは

車に驚いて逃げてゆくのだが

なかには

負傷して怯えてうずくまっていたり

屍になっていたりするものもまた多い。

自動車の通行のために作った道だ、ということを

知るすべのない彼らは

多くの場合、不幸な結末を迎えてしまうようである。

先日、路上で発見したものは

鳩だった。

DVC00103車が近くを通るたびに

羽根を動かして逃げようとするのだが

もはや、飛ぶことが出来ずに、パタパタするのみ。

手に取り上げると

観念したような眼差しを、私に向けた。

DVC00102どこが、どう悪くて、飛べないのか

鳩の知識がない私には、解らず

とりあえず、ここでは危険だろうから

道路上から近くの茂みの中へ移動させて置いた。

負傷したものか、それとも病気なのか

それさえも解らず

私はただこの鳩を、道路上から茂みの中へ

移動させただけだった。

この鳩は、きっとこのまま息絶えて

おそらく、狐の餌にでもなってしまうのだろう。

私はこの鳩に

それ以上何もしてやることが出来なかった・・・

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