元気が無く、食欲が落ち、目が凹み

便が出なくなってしまったという育成牛。

まだ受胎も定かではない若い雌牛が

明らかな通過障害(消化管のどこかが詰まった状態)を起こしていた。

*牧場の育成牛は先月にも、同じような症状で倒れ

手術したものの手遅れで助からなかった育成牛がいた。

今回はその反省から、即日、開腹手術をすることになった。

T38.5  P90 、ピングサウンドも(−)はであったが

血液検査では

Cl (クロール) 58  (mEq/L)↓↓!

BUN (尿素窒素)101(mg/dl) ↑↑!

という異常な値を示していた(翌日の結果報告)。

牛が通過障害を起こす主な原因の一つは

第四胃の食滞である。

今回もまずそれを疑って

image傍正中切開から第四胃の探索した。

「四胃にはガスはないですけど・・・ジャリジャリしてますね。」

手を入れた同僚のK獣医師は、そう言ってから私にバトンタッチした。

四胃の食滞は、おもに幽門(ゆうもん)部に起こりやすい。

「幽門部にこんなに溜まってるのは、おかしいね。」

軽度な食滞ならば、幽門部を外から揉みほぐすだけで通過障害は解消されるが

今回の食滞は、とても揉みほぐすくらいでは治せそうもなかった。

「四胃切開して、中身を取り出したほうが良さそうだね。」

四胃の大湾部を7〜8cm程度切開して、そこから手を入れて

そこより大湾に沿って、遠位の幽門部へと手を入れて行くと

胃内容とコーンの実とジャリジャリした小石の混ざった塊にぶつかった。

その塊を手でつかんでは、用意したバケツの中へ捨て入れる。

小さなバケツに半分ほどの四胃内容が摘出された。

imageバケツに入った内容物を、何度か水で洗い

最後の最後に残ったものを見ると

まるで玉砂利のような小石だった。

こんな小石では、流石に幽門の通過はできなかったろう。

手術後、この牛は順調に回復し

3日後には元気も食欲も正常となり

めでたく治癒となった。

imageそれにしても

フリーの育成牛舎内で

若い育成牛がこんなにも石を食べてしまうなんて

食欲旺盛な元気すぎる牛だったのか

それとも

なかなか餌に当たらぬ状態があった後

極度の空腹から、バカ食いしてしまったのか

原因は、なんだったのだろう?


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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画を撮りました

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