私が往診をして治療をする酪農家の乳牛たちの、

年齢がだんだん若くなっているのを感じることは最初に述べた。

乳牛たちが若くして病気を患うようになってしまったと言い換えることもできる。

しかし、その内訳を良く見てみると、

若い乳牛達が次から次へと病気になって、ほとんど毎日獣医師が通っている牧場があるかと思えば

獣医師を呼ぶことが少なく、往診に行っても病気の治療はなくほとんど繁殖検診ばかりという牧場もある。

前者の牛群の平均年齢は低い傾向にあり

後者の牛群の平均年齢は高い傾向にある。

すなわち

前者の牧場の乳牛の寿命は短く

後者の牧場の乳牛の寿命は長い。

IMG_4038この四半世紀の間に

私が特に感じるのは

前者のような牧場が増えてきたことである。

その割りに

IMG_2001後者のような牧場はあまり増えてはいないようなので

酪農家全体のトータルとしての

乳牛の寿命が短くなっているように感じるのだ。

私が往診で訪ねたことのある酪農家を

ざっくりと、2種類に分類するとそんな傾向が見られるのである。

搾乳牛の寿命が短い酪農家の牛群は、なかなか頭数が増えて行かないが

搾乳牛の寿命が長い酪農家の牛群は、だんだん頭数が増えてくる。

そして

前者の牧場は牛が思うように増えないので、搾乳牛を購入することが多いが

後者の牧場は牛が順調に増えてゆくので、初妊の牛を販売することが多い。

今、その2種類の酪農家の飼養形態を見てみると

BlogPaint前者は、大規模なフリーストールやフリーバーンで牛が定員をオーバーしている牧場が多く

後者は、家族経営で繋ぎの牛を放牧地等の運動場へ出し入れしている牧場であることが多い。

IMG_2999すなわち

前者の牧場は、牛乳を生産しながら乳牛を消費しているのに対して

後者の牧場は、牛乳を生産しながら乳牛も生産している。

簡単に言えば

前者の牧場は、乳牛の消費者であり

後者の牧場は、乳牛の生産者である。

本州では、家族経営の小規模な酪農家の廃業が多いと聞いている。

乳牛の消費牧場が増え

乳牛の生産牧場が減れば

乳牛は供給不足になり、牛の値段は上がるばかりである。

乳牛の供給不足は、とりもなおさず牛乳の供給不足も招く。

牛も、牛乳も、足りないという。

この現実は

ひところ酪農雑誌などでよく見かけた

「長命連産」などという言葉とは、まったく裏腹の現実だ。

また、5〜6年前まで業界を騒がせていた

「生産調整」とは、いったい何だったのだろう。

乳牛の平均寿命がどんどん短くなっている。

日本の酪農は

このままこんな方向で進んでよいのだろうか・・・?

この四半世紀の間に

私がいろいろな酪農家で仕事をさせてもらって

実に色々なことを感じて来たが

その中でも特に強く感じたことを

素直に記したまでである。

ついでに、もう一言

前者のような牧場は、他所から乳牛を頻繁に買うことで、伝染病などの病原菌が侵入しやすく危険であるが

後者のような牧場は、乳牛をめったに買うことがないので、伝染病が侵入しづらく安全である。

と、言えることも付け加えておきたいと思う。


(この記事、もう少し続く。)



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