大型の台風がかすめていったことが影響しているのか、

先週の日曜日から木曜日まで、

乳牛のお産がらみの厳しい症例が続いた。

我が診療地区の乳牛の頭数は6000〜7000頭ほどで

難産などで帝王切開になる症例は

今までのペースであればひと月に2〜3例程度。

それが先週から今週の1週間の間に、連日に5例が集中した。

こんなことはもちろん初めてだった。

日曜日の1例目は

搾乳牛約100頭のフリーストールA牧場。

お産の予定日まで来ていない乾乳の乳牛の子宮捻転。

子宮体部での強い捻転だったらしく

帝王切開をして胎児を摘出したものの既に死亡。

親牛もその2日後に死亡した。

IMG_4354月曜日の2例目は

搾乳牛約100頭の繋ぎ飼いのB牧場。

予定日が来て産気づくも、前肢、後肢、が複雑に屈折し介助不能

起立困難で、現地で帝王切開したが胎児は既に死亡。

親牛もその2日後の未明に死亡した。 

IMG_4360火曜日の3例目は

搾乳牛約150頭のフリーストールのC牧場。

お産の予定日を2週間過ぎていてようやく産気づくも

胎児が出ないまま、朝になって往診してみると

過大児で産道狭く、帝王切開したがETの和牛胎児は既に死亡 。

IMG_4363初産の牛で、この親牛はなんとか回復してくれたようだ。

水曜日の4例目は

搾乳牛約500頭のフリーバーンのD牧場。

もともと足の神経痛、痙攣を患っている牛で

手を入れてみると、子宮体部で180度以上の激しい捻転

IMG_4364即刻引きつけて帝王切開をするも、胎児は既に死亡。

親は命は取り留めたが、起立困難でまだ治療中。

木曜日の 5例目は

搾乳牛約120頭のフリーストールのE牧場。

分娩予定日40日以上も過ぎている長期在胎の牛に

IMG_4369分娩誘発処置をしたものの、産道開かず

帝王切開をして胎児を生きて摘出させたが

頭部に奇形のある胎児で、翌日死亡。

親牛はなんとか回復中。

以上のごとく

5日連続の帝王切開を実施。

これはうちの診療所の新記録となった。

大阪府立大学からたまたま実習生が来ていたので

実習生にとっては良い勉強になったと思う、が

それよりも

気になることは

今回、帝王切開をした5つの牧場は

かねてから私が最も心配をしている飼養管理形態

すなわち

A牧場は定員オーバーのフリーストール

B牧場は搾乳牛ばかりではなく乾乳牛も繋ぎっぱなし

C牧場は定員オーバーのフリーストール

D牧場は牛床不衛生な超過密フリーバーン

E牧場は定員オーバーで牛床不衛生なフリーストール

そして

揃いも揃って

ここ7〜8年の間に

急激に搾乳頭数を増やしてきた牧場ばかりなのだ。

それは何故なのか・・・

考えておかねばならないのではないかと思う。


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「牛のニコイチ捻転去勢法」

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