牛用の捻転去勢捧は、

サラブレッドの去勢にも充分使えることが、

hig先生のブログ記事によって明らかになったのは、

大変嬉しい事である。

サラブレッドの去勢に使えるものであれば、

十勝地方の重種馬やその他の種類の馬にも、

充分使えるであろう事は、容易に想像できる。

実は、去年

そのチャンスが巡って来たのだった。

それは、1才のドサンコだった。

しかし、安価なドサンコの場合

高価ななサラブレッドのように

完璧に麻酔を掛けて眠らせて

衛生的な施設で仰臥位にして

安全で理想的な去勢を実施することが

経済的に難しいという現実がある。

飼主さんと色々話し合った結果

実験的な試みも加えて

去勢をさせて頂けることになった。

その実験的な試みとは・・・そう

ニコイチ捻転法である。

hig先生がサラブレッドで採用した捻転法は

いわゆるヘンダーソン式といわれる

精巣を1個ずつ2回に分けて捻リ取る方法だが

実は、以前からずっと

私がやってみたかった方法は

精巣2個を同時に捻り取る

ニコイチ捻転法だった。

馬の精索を2本まとめて捧のフックに掛けて

手でゆっくりと回し

2個の精巣をいっぺんに捻り取るニコイチ捻転は

おそらく馬では

まだ誰もやっていない方法のはずだ。

枠場に入れたドサンコに

鎮静剤を投与し

さらに鼻捻と肢・肩・腹に保定ロープを取り付け

股間を洗浄消毒して、

陰嚢の正中線を1箇所

縦に切開し

皮下の結合組織を鈍性に剥がしながら

総しょう膜に覆われたままの精巣を

IMG_40532つ同時に露出させる。

精巣と皮下の結合組織は

牛よりも馬のほうが強靭に結合しているので

ここまでの作業が

牛を去勢するときよりも時間が掛かった。

しかし、ひとたび

IMG_40562つの精巣を露出させることができたならば

あとは、牛の去勢と同じように

掴んでいる2本の精索に

捻転捧のフックを掛けて

回し始めればよい。

ゆっくりと調節しながら

IMG_406120回以上回すと

回す手の抵抗がふっと消えて軽くなる。

更に捻転捧を10回も回せば

2つの精巣がその棒の先に付いて

馬の本体から離れる。

捻り取られた部位を消毒して

IMG_4063抗生物質を投与し

保定を解き放って終了。

その後5日間

抗生物質を打ってもらうことにした。

数日後、術部は若干腫れたらしいが

その後は、特に問題はなかったようだ。

IMG_4064以上で

私の初めての試みである

馬のニコイチ捻転による去勢は

無事に終了したのだった。


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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画を撮りました

写真をクリックして

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