レントゲン写真からの情報を参考にしつつ、

▲牧場の息子君とスタッフ数人の立会いのもとで、

今後の治療方針をなんとか説明して同意を得て、

IMG_4893あらためて治療を開始した。

前回の記事のごとく、

右後肢の内側蹄の繋骨と冠骨間の関節炎が自潰した部分を洗浄し

そこへ抗生物質(乳房炎軟膏)を注入し

FRパスタをたっぷりと塗ったガーゼを当てて

IMG_4895包帯で包んだ。

この時点で、仔牛の患肢は

全くと言って良いほどに

着地をすることができなかった。

おそらく強い痛みがあったのだろうと思われた。

その日から抗生物質の注射を1週間続けた。 

IMG_49221週間後に

この仔牛の肢を再び診た。

すると

仔牛は右後肢を着地するようになっていた。

レントゲン写真から

IMG_4955骨折のない事は分かったものの

関節の強い腫れと

骨膜炎が疑われる画像だったので

正直これほどまでに早く

跛行が改善するとは予想していなかった。

自潰したことによって

疼痛が次第に消えていったのだと思われた。

しかし、疼痛が消えたとしても

感染や炎症のが改善しているかどうかはわからないので

再び局所の処置をして

さらに、抗生物質を打ち続けてもらうように指示した。

IMG_4970それからまた約1週間後

この仔牛を診に牛舎を訪ねてみると

仔牛は私の気配を感じて立ち上がり

囲いの中を逃げ回った。

写真を撮ろうとして近づくと

IMG_4971直ちに勢いよく逃げて行くようになった。

肝心の跛行は

まだ若干の支跛が残っているものの

栄養状態も元気も申し分ない状態になっていた。

それからまた1週間程度経ったところで

IMG_4969同僚の獣医師が、この仔牛を再診し

鎮静をかけて、局所の状態を確認した。

その同僚獣医師の話によると

腫脹も軽減し

局所には肉芽が形成されて関節を覆い

跛行もほとんど消失し

自潰した部分は

順調に治癒しつつある

ということだった。 


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左の写真の道具を使う


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