たとえば、乳牛の慢性肺炎は、とても厄介な病気である。

先日往診した▲牧場の乳牛は、

BlogPaint体調不良、

という稟告だった。

聴診器を当てると

肺の音が良くない。

血液検査からは低カルシウムのほかに、

血清タンパク質のγ-グロブリンの極端な上昇、

すなわちA/G比の極端な低下、

が見られた。

これは慢性の炎症が体の中のどこかにある事を示す数値だ。

治療をしながら、耳の個体識別番号を見て、ピンときた。

これは半年くらい前に

慢性の肺炎がなかなか治らず

抗生物質を一ヶ月近く打ち続けた牛だった。

その後、この牛はなんとか肺の病を持ちこたえて

抗生物質での治療を打ち切り

乾乳期を過ごし、分娩し

搾乳を始めていたのだった。

IMG_5230そしてその後 

完治はしないが

症状はそこそこ小康を得ているので

様子を見ながら搾乳牛として働き始めていたのだ。

しかし

ご覧の通りの痩せ細った体

乳房だけはなんとか乳を出すために膨らんでいるが

それ以外の体の各所は

筋肉の少ない骨と皮ばかりである。

そんな慢性肺炎牛が、牛群の中で

受胎し、分娩し、

必死に生きているのである。

慢性肺炎という病気を抱えつつ

必死に生きながら

毎日搾乳される生活に入っていたのである。

世間一般に知られている酪農家の乳牛というのは

みんな健康なイメージである。

毎日乳業会社に出荷される生乳や

乳製品のチーズやバターの原料の牛乳は

健康で元気な乳牛から絞った牛乳

というイメージがある。

だが、実際には

健康な牛の乳はばかりではなく

不健康で具合の悪い乳牛もいて

それらの牛の乳も混ざっているのである。

もちろんすべての酪農家にこのような牛がいるわけではない。

しかし

一部の酪農家にはこのような牛もいて

必死に生きており

その乳が搾られて

出荷されることもあるのである。


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左の写真の道具を使う


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