前回の記事の起立不能の和牛は、

昨年の7月15日生まれだった。

初診は今年の4月26日で、

不慮の事故で起立不能となった。

生後約8ヶ月齢での出来事だった。

補液や消炎鎮痛剤や神経賦活剤といった薬剤による内科治療を、

10診続けたが効果はほとんど見られなかった。

11診目から治療方針を変えて

理学療法、すなわち経穴への針治療に切り替えた。

IMG_5428経穴に刺入した針にパルスの通電を施し

それを毎日20分程度続けた。

経穴に刺入した電針の通電治療を始めて

1週間目の17診療日に

なんとなく自力での起立意欲の高まりと

後肢の筋力の回復が明らかになり

翌日の18診目には

飼主の⚪︎さんが少し尻尾を持ち上げて介護すると

IMG_5431立ち上がる様になった。

こうなると、⚪︎さんの介護の意欲も当然高まってくる。

それからは毎日、起立補助と

歩行の訓練が開始された。

毎日、経穴への電針治療を続けながら

IMG_5694起立介助を施し続けていると

牛の起立時間は少しずつ伸びていった。

後肢の球節にナックルは残るものの

起立姿勢も改善し

とうとう自力で立てるようになった。

歩様も、蹌踉ながら一歩一歩進む様になった。

IMG_5520自力でなんとか水場と飼槽へ

たどり着ける様になったところで

一旦治療を中止して

様子を見ることにした。

様子を見ることにした日は、6月3日。

IMG_5696初診からじつに1ヶ月以上経過していたのだった。

今回の症例は

四肢の神経麻痺の起立不能症に対して

経穴への電針治療の効果を確認できた症例と言える。

それから約20日間 

畜主の⚪︎さんからは何の連絡もなく

この育成和牛は

めでたく治癒となった・・・

と・・・

思われたのだが・・・


(この記事続く) 


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左の写真の道具を使う


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