「この雨はヤバいな・・・」

そんなことを思いながら、

8月31日の朝、

私は旭川出張の荷物をカバンに詰め込んで、

早めの朝食を食べ、

よそ行きの服に着替えて待機していた。

そこへ、所長から電話が入った。

旭川行きのバスが出ないので、出張は明日に延期。

今日(31日)は、通常に出勤することになった。

早めに家を出ると、

夜一度通行止めとなったという国道の札内橋方面からは

通勤の車が沢山来ていたので

私は野次馬根性を出して国道を札内橋方面へ走らせた。

札内橋を渡る車は普通に流れていたが

橋の下を流れる札内川の姿は

今まで見たこともない驚きの姿だった。

IMG_0057川幅は堤防いっぱいに膨らみ

轟音と濁流が

堤外上流のテニスコート、サッカー場ソフトポールと野球場を

堤外下流のパークゴルフ場、ゴルフの練習場を

IMG_0062全て飲み込んで

そこに生えている楡や槐や柳の大木だけが

濁流の中で必死に立っている姿だった。

あまりの凄さに、

IMG_0070言葉を失った。

札内橋を往復してから

通常の通勤ルートに戻り

診療所へ向かうと

IMG_0079途中の旧国道で通行止めに遭った。

旧国道が通れないときは国道へ

といういつものバターンで国道へ出ると

国道が渋滞して長い車の列ができていた。

そこで所長からの携帯が鳴った。

IMG_0086国道の猿別川を渡る止若橋の西側が冠水し

通行止めになったという。

幕別市内の診療所へ行くためには

大きく迂回しなければならなくなった。

止む無く引き返し

南方の高台の山道を大きく迂回して

下流から数えて3番目の橋で猿別川を渡り

ようやく診療所にたどり着いたときは

出勤時間を15分ほど遅刻していた。

その日はほぼ普通に仕事をこなし

夕方、カルテを書いていると

本所から所長に電話が入った。

「出張は中止だそうです・・・。」

なんと!

バスもJRも高速道路も

十勝管内から札幌や旭川方面へ行くルートは

全て寸断されたという。

今までの北海道獣医師大会と三学会でも

季節柄、台風の襲来に何度も見舞われて

交通手段に影響が出たことはよくあった。

だがその度になんとか手段を変更したりして

目的地までたどり着けたのだったが

今回の出張中止は

そんな前例を覆す異常なものだった。

旭川で会おうと思っていた友人に

中止で行けなくなった事を伝え

IMG_0095落胆して帰宅し

郵便受けに刺さっていた十勝毎日新聞を

広げてみて驚いた。

想像以上の被害の写真が

IMG_0097紙面を埋め尽くしていた。

避難者は数千人を超えたようだ。

車ごと流された行方不明者が3名も出たようだ。

「これではとても・・・一晩待ったくらいでは復旧しないな。」

IMG_0098JR石勝線は1ヶ月以上不通になるらしい。

これではどうしようもない。

翌日

いつもの旧国道を通って出勤しようとしたが

旧国道はまだ通行止めだったので、国道へ

ところが国道はまた大渋滞。

そこでまた南方の山道を迂回して診療所に着いた。

その日の仕事内容もほぼ通常だったが

交わす会話は台風被害の事ばかりだった。

あちらこちらで数えきれぬほど

崖が崩れ、木が倒れ、畑が冠水していた。

未だに道路や家が冠水している地域へ

ようやく車で近づけるようになっていた。

IMG_0111その日の夕方

国道の札内橋を渡った。

警戒水域を超える増水と濁流が

丸1日続いた札内川の水位も

IMG_0114ようやく下がって

堤外の広大な平地が姿を見せていた。

しかし、その姿は・・・

見るも無残な

テニスコート、サッカー場、野球場、パークゴルフ場

IMG_0122などの姿があった。

跡形もなく流され、崩され

その上に大きな倒木が流れ着き

その倒木が、生き残った立木に凭れ掛かり

そこに中小の流木が引っかかって止まっていた。

IMG_0123芝生はいたるところで裂けて土がむき出し

大量の砂利と、大量の土が

運び込まれて、流れの姿を残し

あちこちに大きな穴と裂け目が出来

泥水を貯めていた。

IMG_0124札内川堤外の憩いの場である

運動公園の施設は

全て破壊され

札内川は

太古の時代の

河原の姿に戻りつつあった。


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左の写真の道具を使う


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