台風10号は十勝地方に大きな爪痕を残し、

1週間近く経った現在でも、

行方不明者が見つからず、

交通機関は寸断されたままで、

大変な事態が続いている。

それでも私の身の回りは、

幸いにも甚大な被害は至らず、

普段の生活を送ることができている。

そんな、特大の嵐が十勝地方にやってくる頃の

8月末から9月初めにかけての数日間に

我が診療地区の牛達に

子宮脱が3頭も発生した。

そのうちの1頭は、私が遭遇した。

朝の往診を振り分け

獣医師達が皆準備を終えて出発し始めた頃

「今朝産んだ牛の子宮が出てきた!」

という電話が酪農家の▼さんから掛かってきた。

それが、たまたま私の回る予定の地区だったので

私が ▼さんに行くことになった。

IMG_0026子宮脱星の大魔王は

私のことをなかなか解放してくれないようだ・・・

とりあえず牛舎に行くと

産んだ後で、子宮の脱出した牛が座っていた。

最近私はこういう場合

すぐに子宮脱整復に取り掛からず

血液を採取して

カルシウム剤500mlを1本投与することにしている。

そうしながら、お湯や板や踏み台やらの

整復の準備を飼主さんにしてもらいながら

IMG_0028牛の状態をよく観察する。

カルシウム剤を打ち終わってから

おもむろにカッパを着て手袋を履いて

自分の整復準備に取り掛かる。

このブログで何度も繰り返し書いている通り

子宮脱になっている牛は

私の調べている限りでは

全ての牛で血中カルシウム濃度が低くなっている。

今回もそれを予想し

まずは牛の全身症状を改善してから

牛を吊起して起立させて 

その後、子宮の整復に取り掛かった。

IMG_0029子宮は意外に簡単に

腹腔へ納めることができた。

子宮内感染を抑えるために抗生物質を投与し

整復した後は怒責による再脱出を予防するために

ビューナー針と包帯を用いて

外陰部の巾着縫合をした。

翌日

血液検査の結果かが送られてきた。

BlogPaint血中Ca濃度は

5.0 mg/dl

予想通りの低値だった。

8月末の

大きな台風がやってくる頃の

およそ1週間くらいの間に

立て続けに3頭

我が診療地区の牛が子宮脱を起こした。

子宮脱の発生要因として

低カルシウム血症もさることながら

台風の接近

あるいは低気圧の接近も

その要因として考えられる

と感じている獣医師は

きっと

私ばかりではないだろうと思う。

皆さんのところの牛達は

いかがでしたか?


 人気ブログランキング


IMG_2775
左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画をYouTubeにアップしています。

ここを→クリックして

ご覧いただけます。