乳牛が搾乳中に立っていられなくなり、

搾乳パーラーの中で倒れ、

人が搾乳作業をしている場所へ、

ずるずると転げ落ちてしまったという、

私にはちょっと想像のつかない事故が起こった〓ファーム。

しかし

大規模酪農家の多い地帯で働いている獣医師に

色々聞いてみると

そういうパーラー内での牛の起立不能による転落事故は

それほど珍しいことでもないらしい。

私にはそれがとても意外で

酪農もずいぶん変わったものだと驚いた。

IMG_0353と同時に

搾乳中に立っていられなくなるほど

乳を搾り取られ

酷使されて

疲れ果てている

牛達がとても哀れで

より一層かわいそうに思えてきた。

昨日の

搾乳パーラーのターンテーブルから転落した牛は

どうなったのだろうか。

翌日はいつもの時間に〓ファームへ往診に出かけた。

従業員がやってきたので

早速、昨日の牛のことを聞いてみた。

「・・・昨日の夕方、立てなくなってパーラーから転げ落ちた牛、どうした?」

「あー、あの牛は、あの後しばらくして立ちました。」

「・・・ほんとに。」

「はい、今はいつものホスピタルの中にいます。」

「・・・立ったんだね。」

「はい、立って自分でドアを通って外に出たようですね。」

「・・・ちゃんと歩けたかい。」

「歩いたみたいですよ、でも今はホスピタルで坐ったままですけど。」

IMG_0359私はとりあえず

良い知らせを聞き

ホッとした。

しかし

立って歩けるようになったからといって

またこれから、相も変わらぬ方法で搾乳をしていたら

またいつかどこかで起立不能になってしまうことは

十分想像がつく。

そんなことを考えながら

ホスピタルの牛舎に行き

例の牛を診察した。

IMG_0358牛は静かに敷き藁の中でうずくまっていた。

私が近づいて、触診をしても

立ち上がるようなそぶりは全く見せなかった。

やはり相当疲れているのだろう。

この牛は

関節炎と橈骨神経麻痺に加えて

乳房炎も患っていた。

再び補液と抗生物質を投与し

今後はこの場所でしばらく治療を続けることにした。

翌日

この牛の血液検査の結果が送られてきた。

BlogPaint低カルシウム血症ではなかった。

遊離脂肪酸の上昇がみられ、飢餓状態が示唆された。

血色素やヘマトクリットの低下が見られ、低栄養が示唆された。

ガンマグロブリンの上昇が見られ、慢性の四肢の炎症が示唆された。

また、心配された低血糖は見られず

むしろ血糖値は上昇し、強いストレスの下にあることが示唆された。

・・・なんとも

可哀相な牛だ・・・


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左の写真の道具を使う


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