今年は元旦と二日が勤務の日だった。

本年初めての往診1件目は、

◉さんの和牛の治療だった。

治療を終えて車に乗ろうとすると、

◉さんが隣のD型牛舎の入り口で、

私に向かって手招きをしている。

何かなと思って、

D型牛舎のそばまで行くと

「先生、今ね、隼が来てるんですよ。」 

「ハヤブサ・・・?」 

「そう。めちゃくちゃ緊張してますよ。」 

「緊張・・・?」 

「ええ。いつもこのD型には鳩や雀の鳴き声がすごくうるさいんですけど、今日はもう・・・」 

「今日は・・・?」

「しーんと、静まり返ってるでしょう。」 

「あ・・・そう言われれば、そうだね。」

「今この中、めちゃくちゃに張り詰めてますよ。」

◉さんはそう言って

D型牛舎の入り口を細く開けて

そぉーっと、中に入って行った。

私も◉さんの後について

そぉーっと、足を踏み入れた。

「あそこらへんに、やられた鳩の死骸が落ちてるはずなんですけど。」 

「隼にやられたの・・・?」

「はい。たしかこの辺に・・・あれっ?、無いな、おかしいな・・・」

「・・・?」

「そうか、きっと猫が持って行っちゃったんだな。」

IMG_0876「・・・。」

「でも、ほら!、ここに鳩の羽根が散らかってるでしょ・・・」

「あっ、本当だ。」

IMG_0878「この上に、いるんですよ。隼が、ほら!、あそこの簗に、止まってるでしょ・・・」

「あっ、本当だ。」

「隼って、意外に小さいんですよ。」

IMG_0877「ほんとだ・・・、鷹とか鳶よりも小さいんだね。」

「でも凄く速いですよ。」

「だろうねー・・・」

「鳩なんて、今日はもうビビりまくってますよ。」

「・・・うん。」

「雀もたくさんいるのに、簗のかげに隠れてて、1羽も見えないですから。」

「ほんと全然見えないね・・・いないみたいだけど。」

「でもいるんですよ。あ、・・・あそこに鳩がいますね。」

「あっ、本当だ。」

IMG_0879「首だけ出して、様子を伺ってる。」

「ずいぶん首長くしてるね。」

「いつも鳩と雀でうるさい牛舎が、こんなに静か。」

「面白いもんだねー。」

「しばらく隼を逃さないで、こうしておこうと思って(笑)」

元旦の朝の牛舎に

淑気(しゅくき)満つ、ではなく

静粛なる恐怖に満ちた

粛気(しゅくき)満つ、である。

1件目の初仕事の家で

初夢の縁起物の

鷹ではないけれども

同じ猛禽類の

隼を見ることができたのは

何か縁起が良い知らせ!?

と、いう事にしておこう

と思った。


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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

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