1月2日の午前、

往診2軒を終えて3軒目へ移動中に、

携帯電話が鳴った。

 「£さんの牛が子宮脱らしい。頼みます。」

緊急携帯を持っているS獣医師からの連絡だった。

 到着した時、親牛は

首を投げ出して横臥していた。

「朝7時頃産んだんですけど、その後、9時頃来たら子宮が・・・」 

仔牛は残念ながら死産、

親牛も力なく頭を上げることもできず

牛舎の柵に背中を向けて横臥していた。

「これでは、牛の腰にハンガーを掛けられないね。」 

BlogPaint起立不能の牛の子宮脱を整復するには

横臥したままでは腹圧が強くてうまく行かないので

骨盤(産道)を高い位置に保定する必要がある。

その場合、私は普通はカウハンガーを腰に取り付けて

骨盤(産道)を持ち上げて整復する。

ところが今回の場合は

それがうまくできそうにない。

「とりあえず、まずカルシウムを打って・・・」

£さんの牛は和牛だった。

しかし、子宮脱で起立不能で

経産牛の場合は

経験上ほとんどが低カルシウム血症であったから

私は採血の後、ためらわずカルシウム剤を投与した。

カルシウム剤を打ちながら£さんとしばし思案。

「このままだと吊れないし・・・」 

「ハンガーはかけられないですね・・・」 

「寝返りもできないし・・・どうしよう・・・」 

「後ろ足を縛って吊り上げますか?」 

「それ、いいかもしれない・・・やってみようか・・・」

£さんの機転で治療方針が決まった。 

後肢吊り上げ法である。

後肢吊り上げ法・・・というのは

普通は

子宮「捻転」を整復する時に採用する方法だ。

しかし、今回は

子宮「脱」を整復するために採用することになった。

私には初めての試みだった。

IMG_0886記念すべき瞬間(!?)の到来となったので

準備をしながら

£さんの奥さんにカメラマンをお願いした。

後肢を吊り上げて

骨盤(産道)を適当な位置まで持ち上げると

IMG_0892これがなかなか

整復するのに良いポジションとなった。

今回の子宮は胎盤停滞はしていなかった。

微温湯で洗浄し

IMG_0893用手整復に取り掛かった。

子宮は脱出してからまだ数時間以内で

半分程度の脱出で

浮腫もなかった。

IMG_0896怒責もあまり強くなかった。

子宮脱はあっさりと

整復されて

腹腔内に戻すことができた。


(この記事続く)

 
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左の写真の道具を使う


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