牛を吊る道具もなく、

場所も状態も制限されたために、

止むを得ず採用することになった、

後肢吊り上げ法による、

子宮脱の整復だった。

しかし、

採用してみると、

これが実に楽で、

スムーズに子宮を腹腔内へ完納することができる、

IMG_0897なかなか良い方法だった。

子宮の整復を終えた後

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陰部を巾着縫合して

吊った牛を下ろし

後片付けをしていると

「あれっ・・・」

牛の様子がおかしくなってきた。

断続的に大きく

四肢をばたつかせるようになった。

目を見開き

口を大きく開けるようになった

「あっ・・・これはヤバイ・・・」

気付いた時はもう

四肢のばたつきと

開口露舌の繰り返しは止まらず

眼光はしだいに彼の世へ向かって

死出の旅立ちを始め

数分後には

息を引き取ってしまった。

「・・・ダメだったか・・・」

「・・・ダメでしたね・・・」

「・・・親子で逝っちゃったか・・・」

「・・・そうですね。」

「・・・助けられなくて申し訳ない・・・」

「・・・いや、でもなんかこの牛、こうなっちゃうような気がしたんですよ。」

£さんの

落胆と慰めの混ざったような言葉に

妙に納得させられた私だった。

それから私は

淡々と後片付けを続け

診断書を書いて£さんに手渡し

次の往診へと向かった。

BlogPaint翌々日

血液検査の結果が来た。

検査項目には

これと言った大きな異常値は見られないようだった。

最も気になっていた

カルシウム濃度は

7.2 m/dl

と、

低値ではあるが

それが影響しているとは言い難い

微妙な値だった。

今回の牛の

子宮脱の原因は

いったい、何だったのだろうか・・・

そして

子宮脱の整復した直後に

死亡してしまった原因は

いったい、何だったのだろうか・・・





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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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