「牛は機械ではない。一緒に働く同僚のはず。農業は工業じゃないんです。」

アニマルウェルフェア畜産協会の、妹尾哲也代表のこの発言は、

酪農の効率優先、大規模化を進める国に対して、

それを考え直すことを促す、力強い言葉だと思う。

さらに、このアニマルウェルフェア畜産協会は、

牛の体の清潔さや牛舎の明るさや、尾を切らないーなど

IMG_100650項目の基準を独自に定め、

現在、3戸の酪農家を審査中で、

来年度中には、協会の認証マーク付きの商品が

市場に出る見通しだという。

協会の認証マークの付いた牛乳が一般市場に出回り

その美味しさが消費者に認められ

乳牛を大切に優しく飼われることの価値が

一般社会に広まってゆくことは

大変素晴らしいことであると思う。

こういう新しい価値を持った牛乳が

市場に出回ることを

私は大いに期待している。

もしそんな牛乳をスーパーの店頭などで見かけたら

普通の市販の牛乳よりも値段が高いことが予想されるが

必ず買って飲んでみたいと思っている。

そうすることによって

アニマルウェルフェア協会の認定農場が増える力になれる。

それは

牛を大切に飼う家族経営の小規模な酪農家の数が増えることを意味する。

まことに喜ばしいことで

私はこういう方向性に大賛成である。

大賛成である・・・のだが・・・

どうしてもそれだけでは・・・

満足できない・・・というか・・・

それだけではちょっと・・・

物足りない・・・というか・・・

どこか腑に落ちない・・・というか・・・

そんな思いを拭い去ることができない・・・

それは、どういうことかというと

アニマルウェルフェア協会の認定マークの付いた牛乳が

一体どれだけのシェアを取れるのか

という事とも関係している。

協会の認定マーク付きの牛乳は

認定マークの付いていない牛乳と比べると

非常に数が少なく

値段も割高であることが予想できる。

牛乳市場におけるシェアは

僅かなところに落ち着いてしまうことが想像できる。

つまり

認定マークの付いた牛乳は

高級ブランドの貴重な牛乳であり

贅沢品ということになる。

アニマルウェルフェア協会が認定した牛乳は

贅沢品とみなされてしまうことになる。

乳牛を大切に優しく飼って

健康な牛から搾った牛乳が

贅沢品・・・

というレッテルを貼られて店頭に並ぶことになる。

ここが

私の腑に落ちないところなのである。

アニマルウェルフェアの実践は

贅沢品を作るためだけの手段ではないはずだ。

高級ブランド牛乳があることには

私は大賛成だが

それを作るための手段としてのみ

アニマルウェルフェアが有るわけではないはずだ。

乳牛のアニマルウェルフェアの実践は

高級ブランド牛乳を生産する牧場だけではなく

普通の値段で飲める日常的な生乳を生産する牧場にも

乳製品への加工用の原料乳を生産する牧場にも

どんな牧場にも

なされなければならないはずだ。

それが私の願っている

「牛の健康」の姿である。

高級ブランドの認定マークの付いていない

圧倒的多数のシェアを持つ

圧倒的多数の「普通の生乳」を生産する牧場と

そこで飼養されている

圧倒的多数の「普通の乳牛」に対して

IMG_1004あまねく実践されるべき課題。

「牛の健康」を守るための

重要な課題が

我々の目の前に

立ちはだかっていることに

我々畜産関係者は

気が付かなければならないのではないか

と、私は思うのだ。


(この記事続く)



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