「子牛の耳から血が出てます・・・」

そんなFAXが、

和牛生産者の¢さんから送られて来た。

「縫ってもらいたいので、よろしくお願いします・・・」

いつもは

電話での往診依頼が来ることの多い¢農場だが、

この日ばかりはなぜか、FAXによる往診依頼だった。

FAXの印刷でそう言われてしまえば仕方がない、

縫合の準備を完璧にして¢農場へ向かった。

「耳標が取れちゃったんです・・・」

「あー、ほんとだ。」

生まれてまだ数日の仔牛だったが

とても元気が良く

捕まえることさえ大変な

IMG_1324やんちゃ坊主だった。

耳標を付けたばかりなのに

その耳標を何かに引っ掛けて

引き千切ってしまったのだろう。

IMG_1325出血していた耳は

大きく裂けていた。

「このまま放っておいてもいいかなとも思ったんですけど・・・」

「こんな小さいうちから耳裂けじゃあねぇ。」

「そうなんです。このままずっとこんな耳では・・・」

「見た目が悪いと、いろいろね。」

「そうなんです。それに、耳標をまた付けなきゃならないと思うと・・・」

「ちゃんと繕っておいた方がいいですよねぇ。」

「そうなんです・・・」

耳を触られるのを嫌がる仔牛を

セラクタールで鎮静して

IMG_1326縫合に取り掛かった。

乾燥していた創面に

カミソリを当てて

剃毛を兼ねて新鮮創にし

IMG_1327角針で縫合した。

縫合を終えて

アンチセダンで鎮静を解くと

仔牛はたちまち元気になり

IMG_1328ロープを強く引っ張って暴れ始めた。

やはり相当なやんちゃ坊主である(笑)

耳標(ピアス)の落ちた牛は

親牛では良く見かけるが

IMG_1329それらはすべてそのまま放置されている。

それを一々縫合して繕うことは

私は、かつて一度も経験がなかった。

しかし

耳の裂けた牛は

どこか哀れな感じがする。

まだ小さな仔牛の時から

そんな哀れな姿で一生を送るのは

ちょっとかわいそうだと思う。

それに加えて

牛の個体を確認をする場合

耳の裂けた牛は

番号がわからないので

確認に手間がかかる。

牛の外見を良くするためばかりではなく

牛の管理の徹底のためにも

こういう耳の縫合の仕事は

もっとあってもいいのかな

と思った。


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