私がなぜこれ程まで、

しつこい位に今回のシリーズ記事を書いているかというと、

この乳検協会の冊子の「乳検データー」から、

思い当たる事が、実に多いからである。

最近、私が日々の仕事の中でつくづく感じることを、

この冊子の「乳検データー」が、

みごとに裏付けてくれるデーターだからである。

私が最近つくづく感じていることを一言で言えば、

「治療をしても牛が治らない・・・」

ということである。

30年以上も牛の臨床獣医師をしていれば、

自分の獣医療の技術は少しは向上しているはずであるから、

以前よりも牛が治療に反応して

治癒率が向上してもよさそうなものであるが、

どういうわけか

治癒率が向上したという実感は、全くない。

それどころか

以前よりも牛が治療に反応せず

治癒率はむしろ下がっているのではないか

とさえ思えるのである。

「治療をしても牛が治らない・・・」

こう強く感じる事は

獣医師として、とても情けないことであり

恥ずべきことである。

しかし、現実はそれを日々感じつつ仕事をせざるを得ない。

これは非常にストレスのたまることであり

無力感にさいなまれることもしばしばである。

そんな日々を送っている時に見つけたのが

この乳検協会が出した冊子のデーターだったのだ。

何度もいうが

この「乳検データー」自体はたいへん素晴らしいものである。

ところが

それを解説する文章がまったくダメすぎて、お話しにならない

ということなのである。

では、また

その素晴らしいデーターと

それを解説する超劣悪な文章を

腹立たしさを我慢しながら読んでいきたいと思う。

超劣悪な解説文を書いている無責任氏は

IMG_1442課題5 「死亡や疾病で除籍頭数は増えている」

として

「図は年次別の除籍理由別頭数を示したものです。直近の除籍頭数は12万7千頭となり、増加傾向にあります。」

ここで「除籍」というのは

各酪農場から姿を消した牛のことである。

それぞれの折れ線グラフは、その除籍の理由ごとのグラフである。

無責任氏は続けて

「また、検定での除籍報告で、「その他」の項目が増えていますが、理由をあいまいなまま「その他」で報告しますと正確に除籍理由が把握できませんので、原因をしっかりと把握して除籍報告を行うように心がけましょう。」

などと言っている。

(もう無責任氏は何もわかっていないことに、ほとほと呆れてしまう)

飼主さんが、自分の牛を自分の農場から出すとき

あいまいな理由で出すなどという事は、ありえない事である。

考えに考え、悩みに悩んだ末に

飼主さんは、自分の牛を売ったり処分したりするのだ。

牛を処分する理由があいまいなどということは

実際を考えれば

そんな寝ぼけた除籍など誰もするわけがない。

「原因をはっきり把握して除籍報告を行うように心がけましょう。」

などと

間抜けなことを言っている無責任氏の頭の中こそ

はっきりさせた方が良いだろう。

(本当は、除籍の原因は、はっきりしているのです)

ただその原因を

飼主さんは

「明記したくない」から「その他」なのである。

ここで「明記されている」原因を

少ない方から挙げてゆくと

「消化器病」

「低能力」

「産後起立不能」

「乳器障害」

「乳用売却」

「運動器病」

「乳房炎」

「繁殖障害」

「死亡」

「その他」

となっている。

そして、除籍理由としての「その他」は

2014年から2015年の1年間に

5000頭近くも増えて、ダントツの1位になっている。

飼主さんたちがあえて「その他」として

明記を避ける除籍理由とはいったい何か?

第1に思い浮かぶのは

我々NOSAI獣医師が深く関わっている

「共済廃用」である。

そしてさらに

共済(NOSAI)保険の限度枠を使い切ってしまったために生ずる

「自家廃用」である。

この2種類の廃用は

我々獣医師が

「治療をしても治らなかった・・・」

牛たちである。

転売はもちろん、肉にもできない

飼主さんにとっては最も不本意なものであろう。

不本意な除籍の理由など

飼主さんはいちいち書きたくはないだろう。

そしてさらに

最も明記したくない除籍の理由として

「伝染病」がある。

その最たるものが

「法定伝染病」や「届出伝染病」

であるが

これもまた

「治療をしても治らない・・・」

牛たちである。

伝染病で除籍することは

飼主さんにとって不本意なばかりか

最も恐ろしく忌まわしいものであろう。

世間の目や風評なども気になり

そんな除籍の理由は

飼主さん達が明記することは

絶対と言って良いほど

ないだろう。


(この記事続く)



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