この冊子の解説文を書いている無責任氏は、

課題 7 「分娩後に母牛・子牛の死廃事故率が多い」として

「北海道NOSAIの引き受頭数に対する死廃事故頭数・被害率をみても、地域別に差がありますが、毎年高い割合で推移しています。」

と言い、また

「振興局別に除籍率、母牛60日以内死廃率、子牛死産率をみると、地域によって大きな差がみられます。死廃率は全道平均では5.7%ですが、地域でみると4.2〜6.5%となっており、詳細な地域単位や酪農家単位では更に開きがあると推測できます。自らの農場における死産の発生状況を今一度確認して見ましょう。」

IMG_1444などと言っている。

ここで、無責任氏の言っていることに、それほど腹立たしいものはない。

しかし

無責任氏はここで

このデーターについての言及を終わりにしている。

なんだか、あっさりと触れているだけで

そのまま口を塞いで

無口になってしまったかのような印象がある。

気になるので

データーの細かいところを見てみたいと思う。

下に示した表は

北海道の乳検での

IMG_1444除籍率

母牛死廃率

子牛死産率

を地域(振興局すなわち支庁)ごとに並べた表である。

その中で

まず、気になるのは

母牛の分娩後60日以内の死廃率

その14地域(振興局=支所)ごとの内訳の中で

最も少ないベスト3は

  1位  胆振 4.9%

  2位  宗谷 5.2%

  3位  檜山 5.4%

最も多いワースト3は

 12位  十勝 6.4%

 最下位 釧路 6.7% (同率)

 最下位 網走 6.7% (同率)

となっている。

つぎに、気になるのは

子牛の死産率

その14地域(振興局=支所)ごとの内訳の中で

最も少ないベスト3は

  1位  宗谷 4.2%

  2位  檜山 5.0%   (同率)

  3位  留萌 5.0%   (同率)

最も多いワースト3は

 12位   十勝 6.1%

 最下位  釧路 6.5%    (同率)

 最下位  網走 6.5% (同率)


となっている。

私が注目したのは

母牛の分娩後60日の死廃率

子牛の死産率

どちらも

十勝・釧路・網走が

ワースト3
になっている

ということである。

それはなぜなのだろうか?

ここで1つ

興味深いデーターを重ね合わせてみよう。

それは

北海道の畜産振興局が出している

「振興局別家畜飼養個数・頭数」というもので

最新のデーターをホームページから見ることができる。

その中の乳用牛の部分を引用したのが下の表である。

IMG_1588





クリックして大きくして確認していただきたい。

この表の一番下の段に

一戸あたりの頭数

が、14地域(振興局=支所)ごとに示されている。

それによれば

一戸あたりの頭数の多い順に並べて見ると

 1位 十勝  161.7  頭

 2位 釧路  136.8  頭

 3位 根室  134.6  頭

 4位 オホーツク(網走) 118.0 頭


となっている。

これを素直に読み取るならば

一戸あたりの頭数の多い酪農

すなわち

規模の大きな酪農家が全道で最も多いのは

十勝であり


分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

十勝はワースト3 に入っている

ということになる。

さらに

規模の大きな酪農家が全道で2番目に多いのは

釧路であり


分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

釧路はワースト3 に入っている

ということになる。

さらに

規模の大きな酪農家が全道で4番目に多いのは

網走であり


分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

網走はワースト3 に入っている

ということになる。

規模の大きな酪農家の多い地域の

分娩後の母牛と子牛の死廃事故が

軒並み高くなっている


ということが

このデーターから

読み取れるのではなかろうか。

さて、また

前回の記事に立ち戻って

十勝の酪農の乳量の伸びを示した

新聞記事をもう一度

ここに貼り付けてみる

クリックして見ていただきたい。

IMG_1537




「1頭あたり乳量10年で1トン増」

「農家大規模化」

「米国流の飼料管理」

こんな見出しがついていて

喜ばしいことのように書かれているが

私に言わせれば

こんなものは全く

喜ばしいことではなく

憂うべきことである。

なぜ憂うべきことなのか?

この新聞記事の書き出しは

「道内の生乳生産を引っ張る十勝管内で・・・」

という言葉で始まっている。

もう一度言おう

規模の大きな酪農家が

全道で最も多いのは

道内の生乳生産を引っ張るという

十勝であり

分娩後の母牛・子牛の死廃事故率が

ワースト3 に入っているのが

道内の生乳生産を引っ張るという

十勝である。

十勝は

道内の生乳生産を

どこへ引っ張るのだろう?

これだけ事故の多い十勝の酪農

道内の生乳生産

間違った方向へ引っ張っているのではないか?

十勝の酪農家を相手に仕事をしている獣医師として

私は非常に残念で

なんだか

とても情けない。


(この記事続く)



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