複数の獣医師がチームを組んで、

仕事についているNOSAIの家畜診療所では、

夜間の当番はその人数によって、

均等に割り振られて、

仕事量の偏りがないようにしているのが普通である。

夜間の往診の数は、

1年間の平均件数を計算してみると、

診療所チーム内のどの獣医師も、

だいたい1件〜2件の間に均等に収まるものらしい。

ところが

1ヶ月程度の短い期間でこれをみると

それぞれの獣医師によって

夜間往診の数が極端に偏ることがある。

ある獣医師は、往診が全くない0件の夜が何回も続くのに

ある獣医師は、毎回深夜まで何件もの往診に呼ばれて睡眠不足になる

という現象が起こる。

夜の往診の忙しさには波があるのだ。

その波は、診療所内の獣医師の仕事内容を

支配下に置く「大忙しの星」の気まぐれなパワーの現れのようである。

先日の

早朝5時頃

私の個人携帯に

その日の夜間当番用の携帯から

電話がかかって来た。

最近、夜間当番で大当たりが続いているS獣医師からだった。

乳牛のお産で、胎児の頭が後ろを向いた側頭位らしい。

緊急の帝王切開をすることになり

私は手術の助手をするべく診療所へ向かった。

診療所へ着くと

手術室にはすでに帝王切開の準備がされていた。

「最近よく当たるね。」

「そうですねー(笑)」

S獣医師は、前回の夜間当番の時も

深夜に乳牛の帝王切開と、早朝の和牛の難産介助をしていた。

その後数日、別の獣医師が当番をした夜は

特に難産や深夜の往診はなかったのだが

昨夜からのS獣医師の当番でまた難産が発生した。

(大忙しの星の下に完全に入っているのだ・・・)

親牛を手術台に寝かせて

術野の毛刈りと洗浄消毒を終えて

さぁこれからメスを入れて

帝王切開を始めようとした時

当番用の携帯電話が鳴った。

和牛の難産で逆子のようなので来てほしい、という往診の依頼だった。

手術に取り掛かろうとしていた私たちは

その往診依頼に対して、事情を説明し

手術をある程度終えるまで、今しばらく待ってもらうように伝えた。

IMG_1947そしてまた帝王切開に取り掛かった。

ホルスタインの母親の子宮の中で側頭位になっていた大きな♂ホル仔牛を

無事に生きて出すことができた。

「あとは、縫うだけなんで、安田さん和牛の往診に行ってください。」

「わかりました、じゃ、後はよろしく。」

私は手術から離れ

診療車に乗って和牛の難産介助に向かった。

(大忙しの星の下に私も入ってしまった・・・)

和牛繁殖農家の◯さん宅は診療所から車で5分程度の近い家だった。

手を入れてみると

確かに逆子だったが

その胎児の後肢の隣に前肢があり

その前肢の隣に頭が来ているという状態

すなわちそれは双子の難産だった。

後肢を押し戻すと

もう片方の前肢がその奥に現れたので

前肢2本と頭が同じ胎児のものであることを確認して

IMG_1946まず正常位の1仔目の胎児を牽引娩出

次に尾位の2仔目の胎児を牽引娩出

無事に介助が終わり

私は再び診療所へと車を走らせた。

診療所の手術室では

S獣医師が術創の最後の皮膚を縫い始めたところだった。

IMG_1948術野の縫合が終わり

牛が手術台から降ろされた。

ところが

この母牛が、今度は

IMG_1949なかなか立つことができない。

カルシウム剤を注射して

気合を入れて起立を促しても

立てなくなってしまったので

仕方なくハンガーで吊起することにした。

IMG_1950ハンガーにてなんとか吊り上げて

立たせたものの

右の前肢の負重ができず

3本足でようやく体を支えるのみ。

どうやら

右前肢の橈骨神経が麻痺してしまったようだ。

これでは歩行することもままならず

家畜車の荷台までどうやって歩かせるのか

(大忙しの星のバワーは容赦がない・・・)

さて、どうするか・・・

(この記事続く)

 

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左の写真の道具を使う


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