前々日の深夜、

同僚のT獣医師が当直の時、

産後起立不能症で診た☆さんの乳牛は、

血液検査の結果低カルシウム血症だった。

立てることは立てるのだが、

まだ足元がふらついているということで、

通常時の往診でまた☆さんの牛を診ることになった。

その牛は繋ぎ牛舎の一角でうずくまっていた。

「あれから立ち上がったんで、足場の良いところに移動したんですが・・・」

浮かない顔の☆さんは話を続けた。

「またすぐ寝て、その後また立ったんですが、同居の牛に乳頭を踏まれたみたいで・・・」

「あらま・・・どこの乳頭?、寝たままじゃあ分からないけど、今は立てるの?」

「なんか、また立てないんです。」

「じゃあ、まず吊って立たせて。」

「はい。」

私はカルシウム剤とリンゲルと抗生物質を用意

その間に☆さんはこの牛の吊起の準備をした。

吊ればなんとか立つらしいので

IMG_2145まずは吊起をして立たせて

踏まれたという乳頭を診察した。

踏まれた乳頭は左前の乳頭の先端部だった。

先端から約3センチ程度が黒く変色し

皮膚が剥がれ乳管が挫滅して
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泌乳することができなくなっていた。

「あー・・・これは、この部分は切って落としたほうがいいね。」

「はい。」

「今、注射セットしてから、切る準備するから。」

「お願いします。」

IMG_2155私は抗生物質を打ち

カルシウム剤などの補液を開始して

再び診療車に戻り

消毒液とハサミと輪ゴムを準備した。

再び吊起ハンガーで腰を挟んだままの牛の元へ戻り

IMG_2156やっと自力で立っている牛の

左前の乳頭を掴んで洗浄し

その先端の挫滅部位がすべて取れる長さを

切断した。

IMG_2146牛はほとんど動かなかった。

痛みもあっただろうが

それよりも全身症状によって

痛がる余裕もなかったのだろう。

IMG_2149切断した乳頭の先端からは

溜まっていた乳汁が噴き出してきた。

しばらくその乳汁の勢いが続き

次第にその勢いが衰え

IMG_2152ほとんど出なくなったところで

こんどは輪ゴムを三重にして

乳頭の切断面ら1センチ程度のところに掛けて

切断面の止血をした。

IMG_2151この処置はいつもの方法と全く同じである。

「取り合えず、これでよし、注射が終わったら外してね。」

「はい。」

「乳頭に付けた輪ゴムは搾乳の時に外してね。」

IMG_2154「はい。」

私はすべての処置を終えて帰路に着いた。

翌日

同僚のK獣医師に診察してもらった時

この牛はもう立って歩くようになっていたので

その時点でこの牛の治療は終了した。

その後☆さんからは何も連絡はないので

経過は順調のようだ。


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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

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