初診時は明らかなヘルニアだった子牛の臍が、

数週間後にはヘルニア輪が判らなくなり、

その代わりに臍帯の膿瘍が、

急激に大きくなって、

ヘルニア輪を埋めている。

今回の子牛の臍がそういう状態になっていたことが

手術を進めているうちに

明らかになってきた。

理想を言うならば

手術のメスを入れる前に

より詳細な超音波検査などで状態を十分に把握し

それに適した術式を選択して

手術に臨むべきところだったのだろう。

しかし

我々の診断力と経験の蓄積は

そのレベルまで至らず

臍ヘルニアと膿瘍とが

どのような具合になっているのかは

半信半疑のままで

いわゆる試験的な開腹という意味を含んだ手術だった。

IMG_2125その結果

膿瘍らしき部分を

丸ごとそっくり衛生的に摘出する事はできず

腫瘤物の腹腔側の根本にメスを入れたとき

化膿汁が吹き出るという事態になった。

IMG_2127そうなってしまったからには

そのままとにかくも切り進み

摘出できるものは出来るだけ摘出し

噴出した化膿汁は出来るだけ排除し

摘出した後の腹膜から

IMG_2128臍帯につながっている

いろいろな腹腔内の構造物を

ともかくも出来る限り洗浄した。

洗浄してからは

腹膜、僅かな筋層と皮下組織、皮膚

IMG_2131と縫い進み

閉腹して

手術を終了した。

飼主さん宅に帰ってからは

この牛には毎日

IMG_2132抗生物質の投与が行われている。

現在もまだ

抗生物質の投与を続けているが

今ところ

この仔牛はたいへん元気である。

IMG_2134気になっていた下腹術部の熱感と腫脹は

非常にゆっくりではあるが

すこしづづ治まって

正常な腹壁に戻りつつあるようだ。

そして先日

IMG_2162この牛を最後に診た同僚の獣医師も

熱感と腫脹は確実に治りつつある

という判断をしたが

念には念を入れて

さらに10日間

抗生物質だけは打ち続けてもらうように指示して

この子牛の治療を

終了した。


(この記事終了)


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