日本伝統俳句協会の第28回の全国大会が、
9月9.10日の2日間にわたり、
群馬県は榛名山麓の伊香保で開催された。
私がこの大会に出るのは、
4年前に札幌で行われた大会以来2回目だ。
群馬は私の所属俳句誌「桑海」の編集部があり
私の敬愛する俳人村上鬼城の活動した土地であり
私の娘の住むところでもあり
何かとご縁か深い場所。
娘に会うことや桑海の句友の皆さんと会うことなど
いろいろな理由を重ねて
職場から休みを頂いて
大会に参加して来た。
開催地は終日好天に恵まれ
たいへん気持ちの良い吟行をすることが出来た。
吟行の気持ち良さに加えて
会場の宿の温泉に浸かる心地よさと
懇親会のお酒のうまさも加わり
申し分なく楽しさを満喫することができた。
しかし
あまりにも心地の良い時間のなかで
当日、詠んだ俳句のほうは
全く成績が振るわなかった(笑)
そのような大会での
稲畑汀子会長の講評はいつものように
「選に入らなくても良いのです。こうして皆さんと俳句を作るという事が良いのです。」
という、優しい言葉を聞き
今回もそのお言葉に慰められることになった(笑)
いつまでもそんな事ではいけないのと思うのだが。
それでも我が花鳥諷詠の若干の進歩といえば
今大会の事前に行われる募集句の部において
稲畑汀子会長の選に
私の一句
雨のまだ降り手にとどきさうな虹 豆作
が入ったこと。
当日は全然ダメでも募集句の方でなんとか
進歩を感じ得たのはちょっと嬉しかった。
さらに
大会の講演で
「西洋の詩と東洋の詩、特に日本の詩」
と題した有馬朗人(ありま・あきと)氏の講演が大変面白かった。
有馬朗人氏は国際俳句交流協会の会長さんで
俳句をユネスコの無形文化遺産に登録することを目指している方である。
俳句をそういう無形文化遺産というものに登録することについて
色々意見はあるようだが
私はそれも結構なことではないか
と思っている。
俳句を文化遺産に登録しようがしまいが
俳句という日本の文芸は揺らぐこと無く
この世界に生き続けるものであろうと思うからである。
歌舞伎や能、和食あるいはヨガなども
すでにユネスコの無形文化遺産に登録されているらしいが
それらと同様、俳句も揺らぐことはないだろう。
ユネスコの無形文化遺産のリストを見ると
そこに登録されているものの共通点は
「西洋人の知らない文化」
という西洋中心の考え方が根底にあるように思える。
歌舞伎や能は登録されているが
ミュージカルやオペラは登録されていない。
和食は登録されているが
フランス料理は登録されていない。
そういう西洋人の勝手に基づくユネスコの文化遺産運動など
俳句にとっては針小な事だと思う、が
西洋人に俳句というものを理解させる一助になるのであれば
それも結構なことだろう、と私は思う。
今回私は、有馬朗人氏の講演をはじめて拝聴したが
さすがに東大学長や文部大臣などを務めた方の話は
非常にわかりやすく、聞いていて飽きのこない楽しいものだった。
まさに講演のプロ、教壇に立つプロ、だと思った。
西洋の詩歌と東洋の詩歌を比較することでその違いが浮き彫りになり
だからこそユネスコの無形文化遺産に俳句を登録すべきではないか
という有馬氏の考え方は、とても明瞭でよく理解することが出来た。
ただ、有馬朗人氏はこの運動に積極的だが
稲畑汀子先生はこの運動に対しては
勝手におやりなさい
というスタンスに見えた。
ともあれ
今回の吟行会は
榛名湖畔の花野だったが
私にはもちろんはじめての経験だった。
その中で、私の収穫出来た事といえば、何と言っても
北海道ではなかなか体験することのできない「季題」との出会いであった。
すなわち、左の写真の上から順に
「ゆうすげ」
「松虫草」
「吾亦紅(ワレモコウ)」
「女郎花(オミナエシ)」
「藤袴(フジバカマ)」
などの秋の植物だ。
こういう北海道ではなかなか出会うことのできない季題を
生で体験できる機会は
北海道に住んでいる限り
そう多くはない。
インターネットで未知の季題の写真を見たり動画を見たりしても
それは視聴覚だけの刺激であり
大きさも拡大と縮小がなされており
本物の季題とは程遠く
結果、良い俳句を詠むことはできない。
未知なる季題と対面し
それを生で感じることが出来たのは
とても有意義なことだった。
左の写真の道具を使う
「牛のニコイチ捻転去勢法」
の動画をYouTubeにアップしています。
ここを→クリックして
見ることが出来ます。
コメント一覧 (8)
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- 2017年09月14日 05:10
- >ヨシオカさん
今回はお二人とも見えませんでしたが
山田佳乃さんは北海道ホトトギス大会に何度か来てます。
星野高士さんは来年の北海道俳句協会の総会で講演されるのではないかと思います。
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- 2017年09月14日 07:34
- 豆作さん
それは!来年の総会に何としてでも行かねば!
不純だなあ、私(笑)
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- 2017年09月14日 07:55
- >ヨシオカさん
それで良いと思います。
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- 2017年09月14日 20:13
- 絵画、芸能や音楽でも、生で見たり聴いたりするとまるで別なもののように感動もひとしお。
俳句など文芸はそうことに左右されることはない分野なので、前出のコラボの記事は面白い着想だな、と思っていました。
植物はその場所が気に入って咲いているので、季節だけではなく、周りの様子もおのずと決まってきます。なので、特に自然界で生き生きと咲いている花からは共通のイメージを想起しやすいのかな?そんなことを思いながら画像と文章、作品を拝見させていただきました。虹の句、日本語っていいな、と思いました。
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- 2017年09月15日 04:19
- >はとぽっけさん
生で体験することは芸術分野でも大切ですし
我々の仕事の分野ではもっと大切なことです。
私のブログを読んだだけでは
あまり勉強にはならないと思いますが
共通の生の体験のある人には
情報交換にはなっているようです(笑)
「日本語っていいな」
私もそう思います。
日本語で詠む俳句こそ本物の俳句です。
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- 2017年09月17日 06:44
- 花の名前は上から何ですか?
こちらではムラサキシキブが実をつけています。
アキノノゲシがぐんぐん伸びています、花はまだですが。雑草なのに去年2メートル半くらいに伸びました、俳句にならなさそうですね(;´_ゝ`)
オペラが話題にありましたが、シネマオペラというのが映画館でやっていたので、初めて観て来ました、主役級が全員凄い太っているのにビックリ‼しました!可憐な姫が、渡部直美やらゆりやんレトリィバァよりももっと太っていて、しかも転けながら登場するので、これは笑うシーンか?と、判断つきませんでした(シリアスなシーンでした(-_-;)笑うとこではなかった)
でも良かったですよ(^^;)
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- 2017年09月17日 07:03
- >きなこさん
上記写真の花のはわかりやすいように
その名前も上から順に並べて書きました。
写真や動画だけでは
なかなか花を実感できないものですね。
オペラも映画だけではなく
実際に見たら
太った人の声量に圧倒されて
感動するのかもしれませんね。
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牛馬語の俳句
伝統俳句協会には会いたい俳人が沢山いるので、もう羨ましい羨ましい♪
私が会いたい人は、山田佳乃さんと星野高士さんです!