「生まれたばかりの仔牛の足がおかしい・・・」

酪農家の♯さんからの電話だった。

♯さんといえば、

つい最近の1ヶ月ほど前に、

産科チェーンで仔牛の前肢を牽引し、

両前肢の中手骨を骨折させて、

結局治せずに処分したばかりの酪農家である。

なんと・・・また仔牛の骨折か・・・、

到着して、仔牛の右前足を診ると

着地不能でひどく腫れている。

「・・・これは、折れてるよ。」

IMG_2006「ほんとに?」

「・・・また助産で引っ張ったの?」

「いや、引っ張ってない。」

「・・・ほんとに?」

IMG_1996「ほんとに引っ張ってないよ、自然に生まれてたんだ。」

「・・・ほんとに?」

「ほんとだって。」

「・・・とにかく、またキャスト巻かなきゃダメだね。」

IMG_2008「よろしく頼みます。」

「・・・とにかく、今度こそ、治さないとね。」

あらためて触診してみても

仔牛の右前肢は間違いなく骨折していた。

IMG_2010それも、中手骨の遠位の

ちょうど産科チェーンをかけて牽引する位置である。

私は♯さんが嘘をついているのではないかと

ずっと疑っていた。

IMG_2011本当はまた産科チェーンをかけて牽引して

また仔牛の前肢を骨折させてしまったけれども

私に呆れられることが恥ずかしくて

咄嗟に嘘がついて出たのではないかと

IMG_2012ずっと疑いつつも

♯さんをそれ以上は追求せずに

前回と同じような方法で

前肢を牽引して

IMG_2017下巻きはバンデージのみ

その上にアルミホイルを巻き

その上からキャストを巻いた。

抗生物質を投与し

翌日

エックス線撮影をした。

IMG_2018その画像が

下の写真である。

骨折部位が真っ直ぐではなく

前方向に屈折したまま

キャストを巻いてしまっている。

前肢の牽引方向が悪かったことを示している。

牽引する包帯の結び目を

仔牛の前肢の掌側ではなく背側にすべきだったのだ。

そのご指摘は甘んじて受けることにして

骨折した部分をさらによく見ると

IMG_2022この骨折は

中手骨の掌側よりも背側の方に

ダメージの大きい折れ方をしていた。

これは

何か大きな圧力が

IMG_2020背側から掌側の方向へ掛って

その圧力によって骨折をしたような折れ方をしていた。

すなわち、これは

産科チェーンの牽引による骨折ではなく

親に踏まれたことによる骨折ではないか

と想像される骨折の画像だった。

♯さんは

つまらぬ嘘をついていたわけではない・・・と

この画像を見た私は

そう思い

♯さんの発言を

やっと信用することができた。


(この記事続く)



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左の写真の道具を使う


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