産科チェーンによる牽引で、

仔牛の左右の中手骨を骨折させてしまった、

酪農家の♯さんは、

その後産科チェーンを使わず、

産科ロープを使って無理な牽引は止めている様であった。

ところが今回、またしても、

生まれたばかりの仔牛の右前肢の中手骨の骨折。

なんという不運であろうか。

そして、それを治療した獣医師の私は最初、

♯さんの稟告が嘘で、

本当はまた、チェーンの牽引によって骨折させたのではないかと疑っていた。

それも♯さんにとってはまことに不本意なことであったに違いない。

しかし

エックス線画像を診ることによって、

今回は、牽引による骨折ではなく、

親牛に踏まれたことによる骨折である可能性が高いことがわかった。

ということは

今回の骨折部位周辺の軟部組織のダメージは

前回の骨折部位周辺のダメージよりは軽度であろう

と推測することが出来た。

私も、♯さんも

今度こそは

骨がちゃんと癒合して

仔牛が助かってくれることを

心から願っていた。

そんな思いを抱きつつ

2週間が経過した。

♯さんの仔牛はとても元気だった。

BlogPaint前回の失敗したときの仔牛も元気だったから

子牛の外見からは

中手骨がちゃんと癒合しているかどうかは

全くわからない。

仔牛を寝かせて

子牛の前肢のエックス線撮影をした。

そしてその足で東部診療所へ走り

エックス線フィルムのカセッテを

現像機械へ挿入した。

祈るような気持ちで画面を見る私の

目の前のモニターに現れた画像は

左のような画像だった。

IMG_2072「・・・。」

「癒合してるんじゃないですか?」

一緒に画面を覗いていた後輩のM獣医師がそう言った。

「・・・そう?」

「大丈夫ですよ。」

IMG_2071「・・・そう、・・・だといいんだけど。」

「いいんじゃないすか。」

「・・・これがね、骨折した翌日に撮った写真なんだけど。」

私は、携帯電話に保存されている2週間前の

この子牛の骨折部位の画像をM獣医師に見せながら

それを、目の前のモニターに映し出された今日の画像と

IMG_2074比較してみた。

上が2週間前の画像で

下が今日の画像。

「・・・白い部分が出てきているみたいなんだけど。」

IMG_2075「あー、比べてみるとよくわかりますね。」

私は、今回の骨折が

何とか治癒に向かいつつあるとを確認し

胸をなでおろしたのだった。

ちなみに

最後の2枚のエックス線画像は

IMG_1843今回の症例ではなく

前回の失敗例すなわち

左右の中手骨がどちらも癒合しなかった症例の画像である。

今回のものと比べて明らかなのは

2週間たっても

IMG_1844骨折部位には

白い化骨細胞の出現が

全く見られず

むしろ黒く変化して

壊死していることである。



(この記事続く)



人気ブログランキング


IMG_2775
左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

の動画をYouTubeにアップしています。

ここを→クリックして

 
 見ることが出来ます。