「新生子牛へワクチン接種した場合、

ワクチンブレイクという現象によって、

その病原体に対する抗体価は上がらないけれども、

抗体価が上がらないからといって、

免疫力も上がらないのではなく、

細胞性免疫はしっかりと獲得され

免疫力が増強される。

したがって、

新生子牛へワクチンを接種する時、

ワクチンブレイクを気にして、

接種を遅らせる(生後3ヶ月〜)必要はなく、

新生子牛へ早期からのワクチン接種が、

有効である。」

今回のセミナーで

私が教わった新知見である。

講師の大塚先生は

この説を唱えるきっかけになったのが

人医療における小児のワクチン接種法だったという。

人の新生児には母親の胎盤を介して

IMG_2552IgGが移行しているにもかかわらず

できるだけ早く

数種類のワクチンを接種することが推奨されているという。

その理由は当然

ワクチン接種の効果が期待できるからである。

IMG_2553その効果とは

発症率の低下という形で現われたり

発症した後の症状の軽減という形でも現われるもので

血中抗体価の高低とは必ずしも一致しないものだった。

講演時間の関係で詳しいデーターの解説は省かれたが

結論として、前回の記事に書いた通り

ワクチンブレイクによって出来た抗原と抗体の結合物は

マクロファージに貪食され

その抗原情報がTリンパ球に記憶され

細胞性の免疫機能が準備される

という新知見が示された。

したがってワクチンブレイクを気にして

新生児へのワクチン接種の時期を遅らせる必要はなく

むしろ生後の早い時期に積極的にワクチンを接種すべきである

というのである。

この理論を裏付けるものとして

実際の現場のワクチネーションの

実例で示したのが

次の講師の加藤先生だった。

加藤先生のデーターの1つは

なかなか衝撃的だった。

それは

サルモネラ症によって

新生子牛が生後数日で次々と重篤な症状を示し

高い確率で死亡してゆくある農場で

サルモネラ症不活化ワクチンを

出生直後に接種し始めた時の

死亡率の変化を示したものだった。

詳しい数字は省略するが

IMG_25552ワクチン接種を開始した時点で

サルモネラ症による子牛の死亡率が

有意に低下している。

その劇的な変化に私は驚いてしまった。

ちよっと読みづらいが

IMG_2532プレゼンテーションの写真に示されているのが

そのワクチネーションプログラムである。

是非参考にしていただきたいと思う。

ちなみに

このサルモネラ症不活化ワクチンは

主催者の京都微研の製品ではなく

他社の製品だった。

ともあれ

サルモネラ症以外の

他の細菌やウイルス感染症においても

新生子牛への早期のワクチン接種で

同じような効果が期待できる

と考えるのが自然ではなかろうか。


(この記事終わり)


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