酪農業界で導入されてきた、

牛の飼養形態の中で、

ここ30年くらいで、

急激に増えてきたのは、

フリーストール、

あるいはフリーバーン、

という乳牛たちの飼養形態である。 

乳牛の首を繋いで飼うことがないので

「フリー」という言葉が使われて居る飼い方である。

BlogPaintしかし

私に言わせれば

この飼養形態の「フリー」ほど

不自由な飼養形態はないのではないかと思う。

一見矛盾するような言い方だが

これが私の実感である。

フリーストールやフリーバーンというのは

じつは本当のフリーではなく

BlogPaint一定の面積だけに囲われて

その中に閉じ込められた

牛たちにとっては実に不自由な場所なのである。

閉じ込められた牛たちは

一生涯その囲いの中で過ごす。

「フリー」すなわち「自由」と呼ばれて居る牛群の

その実情は

強い牛たちだけが自由な天下であり

弱い牛たちの居場所がない

IMG_2338不平等な社会

すなわち

「格差社会」でもある。

フリーストールやフリーバーンは

本来そのような事態にならないために

一定の面積に入れる頭数を制限している。

例えばフリーストールであれば

「ストールの数よりも10%少ない頭数を入れる。」

フリーバーンであれば

「親牛1頭あたり2.4平方メートルを確保する。」

ところが

この2つの制限は

私が過去から現在に渡って往診してきた

どこのフリーストールやフリーバーンでも

まず

ほとんど守られてはいない。

どこへ往診に行っても

牛が「過密状態」で飼われている。

その結果

「フリー」と言われる飼い方が

「不自由」な飼い方に変わってしまう。

そして牛たちの「格差社会」はとどまることを知らず

限度を超えると

弱い牛から次々と体調を崩し

弱い牛から次々と病気になり

我々が治療を施しても焼け石に水で

結局は廃用にするか死亡するかで

牛群全体の頭数が調節されてゆく。

弱い牛たちの多くはまだ若く

短命に終わる。

IMG_2339牛にとってはまことに過酷な社会である。

過密の牛舎の床は

当然のように

糞尿も過密に垂れ流されることになる。

本来ならば過密に排泄される糞尿も

回数を多くして掃除しなければならないが

ほとんどの牛舎でそのような衛生意識がない。

その結果

牛が汚れて不衛生になるのも

過密なフリー牛舎の特徴である。

IMG_2340さらに

そこへ追い打ちをかけるように

今は

冬の厳しい寒さが襲いかかる。

不衛生と寒さによって

牛はますます病状が悪化し

次々と死んでゆく。


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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

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