「黒い便をして、餌を全く食べなくなった・・・」

当直の夜、そんな電話が入った。

酪農家のЭさんからだった。

IMG_3125「昼間はまだ餌食べてたので、様子見てたんですけど・・・」

「便が真っ黒だね。」

「急にこんな炭みたいな色の便になって、夕方からは全然食べなくなって、これはヤバイなと思って・・・」

「これは、小腸のどこかから出血してるようだね。出血性腸炎かもしれない。」

IMG_3121「腸炎ですか・・・」

「うん、それも胃に近い方のね、便が真っ黒だから。」

「コーサイレージがちよっとカビてたんですよね・・・」

「それは関係あるかもしれないね。」

私は10年近く前に、このブログで

牛のHBS(出血性腸症候群)について記事を書いたことがある。

それから年に数例

IMG_3123HBS(出血性腸症候群)を疑うような症例に

出会うことがあるのだが

今回の症例のように

飼主さんの

「餌のコーンサイレージがカビていた。」

IMG_3124という情報があると

これはHBS(出血性腸症候群)の可能性が

グンと高まってくる。

私はHBS(出血性腸症候群)を強く疑った。

体温 38.5℃   心拍数 110  

普段よりも量の多い補液とトラネキサム酸と抗生物質を投与。

初診の血液検査で

Ht(ヘマトクリット)17.4%  Hb(ヘモグロビン)6.2 g/dl

だった。

翌日からも同様の治療が続いたが

牛の可視粘膜は貧血感を増してゆき

寝起きも困難になってフラフラ状態が数日続いた。

便は黒色泥状便。

第5病日の血液検査では

Ht(ヘマトクリット)7.6% !    Hb(ヘモグロビン)2.4 g/dl !

これは・・・ひどい貧血だ。

この日から牛はとうとう起立不能となってしまった。

半ば諦めムードの中で

さらに3日間の治療が続けられた。

すると牛の顔つきがやや良くなり

食欲が出てきた。

便の色が次第に正常な色へと回復してきた。

しかし、自力起立ができず

可視粘膜は真っ白な貧血感のままだった。

第8病日の血液検査では

Ht(ヘマトクリット)12.6%      Hb(ヘモグロビン)3.6 g/dl 

これは・・・貧血が改善してきた。

さらに治療を続けると

食欲は少しづつ増加し

便の色は正常な色となった。

さらに4日間治療が続けられ

牛の顔つきは良く

食欲は1/2程度まで回復。

しかし

可視粘膜の色は蒼白

そして

どうしても自力で起立することができなかった。

四肢は脱力

麻痺が進行していた。

そして

初診から14病日

飼主のЭさんとの相談の結果

この牛を廃用処分にすることにした。

残念な結果になってしまった。



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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

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