先日の当直の朝、

和牛繁殖農家の◎さんの牛が起立不能、

という往診が入った。

この日の朝はよく晴れていて、

放射冷却で気温は氷点下10℃を大きく下回る、

シバレついた朝だった。

真冬のきついシバレ程ではないが、

まだまだ3月の朝は気温が下がる。 

IMG_3328起立不能になった親牛は

舎外のパドックでうずくまっていた。

周りの他の牛たちと様子が違い

この牛だけは

体毛が真っ白に霜がついていた。

この牛だけ発汗して

その汗の水分が体毛に付着して

毛に付着した水分が

朝の冷気によって急激に冷やされて

真っ白い霜となって

黒毛の牛の体表を覆っていた。

これぞホントの「霜降り」牛である・・・

体温37.8℃、心拍数80、呼吸数約10 

「ずいぶん汗かいてるね。お産はいつ?」

「分娩は確か去年の暮れだったと思うけど・・・」 

「お産は関係ないか。でも、こんなに汗かいて。」 

「体温が下がってる・・・」 

「これはきっと低カルシウムだと思うから、カルシウムを打つね。」 

「お願いします・・・」 

IMG_3330牛は馬と比較すると

あまり汗をかく動物ではない。

牛が汗をかく時というのは

私の経験的に感じているのは

ミネラルの代謝が異常な時が多いようだ。

特に多いのは分娩前後のミネラルの代謝異常の時で

低カルシウム血症をはじめ

低リン血症の時も

モウモウと湯気を上げて汗をかくことが多い。

「今回はお産は関係ないけれども多分低カル、念のために血液とって調べてみるね。」

私は、この牛の血中ミネラル濃度が

どのような状態になっているのか

ちょっと楽しみだった。

きっと異常な値を示すに違いない

そうなれば

牛の発汗の機序が少し分かるかもしれない。

翌日、この牛は起立して

食欲も回復したので

もう1度カルシウムなどのミネラルを投与し

様子を見ることになった。

牛はあっさり治ってくれた。

これはやはり

思惑通り

投与したカルシウムなどのミネラルが効いてくれたのだろう。

そう思って

検査センターから送られてきた検査結果を見た。

初診時の血中濃度は・・・


BlogPaint カルシウム     8.9 mg/dl

 無機リン         3.9 mg/dl

 マグネシウム  1.8 mg/dl


あれっ・・・???

どれも正常値の範囲内だった。

牛が発汗をしている時によくあると感じていた

ミネラルの異常が見られなかった。

私の経験則は

全くあてにならないことが判明した・・・

そして私は

牛が汗をかく機序が

ますます分からなくなってきた・・・

牛の発汗と

ミネラル代謝について

どなたか詳しい人がいたら

教えて欲しい・・・


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左の写真の道具を使う


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