「和牛の難産で側頭位、昼から帝王切開。」

昨夜の当直だったK獣医師から、

そんな連絡を受けていた。

IMG_3965午後から手術室で待機していると、

△さんの牛が運ばれて来た。

「ちょっと手を入れてみるかい?」

「はい。」

胎児を探ってみると

側頭位だったという胎児の頭部の

眼窩と鼻梁を簡単に触れることができ

それを掴んで

押し引きしていると

胎児の頭部がこちら向きに変わり

失位を整復することができた。

「直りましたよ。」

「そうかい!、じゃあそのまま牽引しよう。」

二人の獣医師と△さんの3人で

胎児を経膣で

簡単に引き出すことができた。

「お、まだ生きてるよ。」

「心臓は動いてますね。」

「でも、呼吸がない・・・」

私とK獣医師は

直ちに子牛の蘇生に取り掛かった。

K獣医師が人工呼吸をしている間に

私はジモルホラミン(呼吸刺激剤)を投与。

さらに人工呼吸を繰り返し

子牛はようやく自発呼吸を始めた。

IMG_3963「なんとか助かった!」

親牛を手術室へ運ぶと決めた時点から

約6時間が経過していた。 

側頭位ということで

胎児は死亡している可能性が高かったが

この胎児の場合は

生きていたので

自発的に首を動かし

手術室に連れてこられる間に

胎位が直ったのだと思われた。

IMG_3964「生きててよかったですね。」

飼主の△さんも

喜んで親子を荷台に運び入れ

めでたく帰路に着いた。

ところが

それから3日後

「子牛の様子がおかしくなった・・・」

という連絡が入り

この子牛が

誤嚥性肺炎を引き起こしていることが判明。

高熱と呼吸の速迫が続いた。

それから毎日

点滴と抗生物質の投与を繰り返し

懸命な看病を続けた。

しかし

この子牛は

とうとう

生後9日目に

死亡してしまった。

残念な症例になってしまった。


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左の写真の道具を使う


「牛のニコイチ捻転去勢法」

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