乳牛はみな巨乳である。

沢山の乳を搾るために、

そのように改良(改変)されて来たのだから、

仕方のないことであるが、

そのおかげで、

色々なところに支障が出る場合もある。

先日、

四胃変位の手術をするために連れて来られた牛は、

超・巨乳、だった。

手術台に寝かされて

仰臥姿勢にすると

巨大な乳房が

前方へはみ出して来て

四変手術の切開部位である

傍正中線付近が

すっぽりと覆われてしまった。

一部分だけ覆われて手術しづらい

という事は過去に何度もあったけれど

今回は手術予定部位がほぼ全域

超・巨大乳房によって覆われてしまう。

IMG_4830仕方がないので

この巨大乳房にロープをかけて

後方へ引っ張り

そのロープの先端を後方に固定することにした。

いつもは四肢を縛っているロープを

IMG_48311本余計に使って巨乳の固定をした。

こんなことをするのは初めてだった。

巨乳を固定した後は

写真のように普通に

バリカンで毛刈りをし

IMG_4832普通に手術を終えることができたが

こういう牛の共通項として

巨乳の割りには

体がやせ細って

腹囲が巻き上がっている。

IMG_4833そのために

巨乳が前方へはみ出して

手術の邪魔になるのである。

乳牛の体型の

遺伝的な改良が進むのは

良いことだと思うが

どれもこれも良くなるというものではなく

時には体型が崩れて

それが返ってあだになってしまう

という場合もある。

家畜の改良というのは

遺伝子ばかりを良くすることではなく 

飼われる環境も

同時に改良して行かなければ

本当の改良にはならないのだろう

と、つくづく思う症例だった。 


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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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