天塩町の酪農家、

井口寿美子さんが、

このたび新設された北海道文学館俳句賞の、

IMG_5079最優秀賞に輝いた。

1人20句の未発表の俳句を募集し、

第1回目にあたる今回は、

応募者数は北海道内外から325人にもなった。

その中から

井口寿美子さんの20句が最優秀賞に選ばれたのだ。

その作品タイトルは「牛を飼ふ」というもので

20句のほとんどが

牛のことを詠んだ句になっている。

いくつか挙げてみると

 
 産声といふも牛の仔クリスマス   寿美子

 
 名を呼べばかほ出す仔牛息白く   同


 咳一つもらし仔牛の売られゆく   同


など

仔牛に対する目が優しい。

また


 初日さす盆暮のなき牛飼に   寿美子


 病む牛を寝返りさせて寒の水   同


 風花や尼僧のやうな搾乳帽    同


 搾乳の窓に氷柱の影ならぶ    同


 海二つかち会ふ岬寒波来る    同


など

天塩町の厳しくも美しい環境の中で

酪農家の母さんの毎日の暮らしが

読み手にストレートに伝わってくる。

IMG_5088これらの作品群が

私を含めた7名の選考委員の間で

最高の評価を受けて大賞に選ばれた。

私はこの作品を初めて読んだ時

その内容から

酪農家の母さんであることは容易に想像できたので

IMG_5093作者に是非会ってみたいと思って

この作品を第1位に推した。

もちろん私1人だけが推薦しただけでは

最優秀賞には届かないのだが

今回は、私以外にも第1位に推した人を含め

選考委員の皆さんの評価が高く

IMG_5099見事に最優秀賞に選ばれたのだった。

2月2日の授賞式の当日

はたして

ご本人にお会いすることができた。

井口寿美子さんは私とほとんど同世代だった。

いろいろ話をしていたら

IMG_5094数日前に

牛のお産があり

なんと三つ子の仔牛が生まれだのだという。

残念ながらその仔牛は死産だったらしいが

それがもし全て生きていたら

今頃は仔牛の世話に追われて

授賞式には出席できなかったかもしれない

とおっしゃっていた。

まさしく

現役の酪農家の母さんの話だった(笑)

2月13日の

道新の夕刊のコラムに

IMG_5142この賞の選考委員の代表である

五十嵐秀彦さんが

井口寿美子さんの受賞作品を取り上げて

「・・・1次産業の現場からの俳句が持つ強さ・・・」

と書いている。

私も

まさしくその通りだと思った。

井口寿美子さんには

これからも

酪農現場からの俳句を

たくさん詠んでいただきたいと思う。


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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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