腫れ物にメスを入れてゆく。

皮膚を切り、

筋肉の層を切り、

筋肉の血管から出血のある中

更に切り進む。

切った層の深さが指の長さ以上(100mm)になっても

まだ筋肉層だった。

更に深く手を入れると

硬い膜のような物に触れた。

この硬い膜は何だろうか・・・?

創面を広げるように横に切り

手を深く入れて

この硬い膜のようなものに

メスを入れた。

プツリ・・・

という感触があった。

その数秒後

切った創面に

クリーム色のとろりとした液体が溢れてきた。

膿汁だった・・・

ということは

この大きな腫れ物は

血腫ではなく膿瘍であった。

牛の頸部背側の

深部にできた大きな膿瘍だった。

切開層をメスで広げて

手がすっぽりと入る大きさまで切開すると

大量の膿汁がとめどなくあふれ出てきた。

IMG_5606助手のH獣医師に

膿瘍を両手で押してもらうと

更に残りの膿汁がたくさんあふれ出てきた。

5リットル以上はあっただろうか。

膿汁の勢いが減ったところで

BlogPaint水道のホースを創部に突っ込み

その先端を膿瘍の奥へ挿入して

膿瘍の内壁を洗った。

排泄されてくる微温湯が

米のとぎ汁のように

BlogPaint次第に透明感が出て

さらにそれを続けると

排出液はほぼ透明になった。

ホースを抜いて

そのまま牛を手術台から下ろした。

創部からは出血が続いた。

IMG_5614止血のために

大きめのタオルを創部に挿入し

そのまま手術を終えるつもりだった。

ところが

しばらくすると

大量の血液を含んでヌルヌルになったタオルが

創部から出てきて落ちてしまった。

創部からは尚も出血が続いた。

数分様子を見ていたが

創部からの出血の勢いは治らなかった。

これだけ出血していると

そのまま牛を返すわけにはゆかなかった。

そこで仕方なく

創部を止血縫合することにした。

ズタズダに切れた筋層からの出血は

血管を特定することができなかったので

IMG_5615筋層を大きく針で掬い

出血が止まるまで繰り返すという

かなりラフな縫合をした。

ようやく

出血が止まったので

抗生物質を投与し

牛を△さんの元へ返すことにした。

△さんには

明日また往診して

様子を見に行くことを伝えた。

(この記事つづく)


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