長い間、

乳牛の診療をしていて、

頻繁に遭遇する体表の膿瘍。

その中でも今回の膿瘍は、

特に印象的な症例となった。

搾乳牛の頸部背側に、

ラグビーボールをふた周りも大きくしたような、

巨大でしかも深く、

切開して手を入れた時、

頚椎をほぼダイレクトに触れるような所まで、

膿瘍が侵入していた。

場所が場所だけに

切開に伴う出血やその他のダメージに対して

色々配慮した方が良かったという反省点も多かったが

ともあれ

何でこんなところに

こんな大きな膿瘍ができたのか?

それを解明することは重要だった。

実は

その答えは簡単だった。

写真を見て頂けれは直ぐわかると思うが

BlogPaint牛を繋いでいるタイストールの

横に渡してある2本のパイプ(ネックレール)のうちの

上の方の位置が

適正な位置ではない。

赤のペンで囲った部分は

牛の膿瘍のほぼ頂点にあたる。

黄色く囲った部分は

ネックレールが牛の頸部のその部分に当たって

対応する部分だけがテカテカに光っている。

△さんの搾乳牛が採食しているのを

ずっと観察していると

TMR(まぜ餌)が目の前に撒かれると

牛は首を伸ばしてそれを食べ始める。

65819324_2293160414234312_3676162813312630784_nその時

ネックレールが低いので

頸部がネックレールに当たる。

食欲旺盛な牛はそれに構わず

首を伸ばして餌をさぐると

牛の前半身の体重が

前肢ではなく

ネックレールに当たっている頸部にかかり

頸部背側の1点に

牛の前半身の体重がかかる。

△さんの他の牛達を観察していると

多くの牛達が

前足を浮かすほど首を差し出して

餌をがむしゃらに食べている。

よく見ると

ほとんどの牛達が

頸部背側の

ネックレールに当たる部分が

瘤(こぶ)になっていた。

コブというかタコというか

ほぼ全ての牛の頸部背側に

ネックレールダコ

が出来ていたのである。

その中で

今回の牛は特別にタコのダメージがひどく

そこに細菌が感染して

膿瘍が形成されていったものと思われる。

タイストールの

ネックレールの位置を直さない限り

この様な症例は

後を絶たないだろう。


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左の写真の道具を使う

「牛のニコイチ捻転去勢法」

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